平成7年12月議会一般質問
1995年12月01日
平成7年12月
09番【加藤仁司君】
通告に基づきまして、順次質問をいたします。
初めに、現在の社会環境の対応について、2点の項目について質問いたします。
まず、青少年健全育成のための施策について伺います。既にテレビ、新聞でも報道されたとおり、愛知県西尾市でのいじめによる中学生の自殺から1年が経過し、その命日に当たる本年11月27日には、新潟県上越市の中学2年生がいじめを苦に首つり自殺をいたしました。また、同日の夕刊には、制服姿の女子高生をねらい、集団で15人にも及ぶ乱暴を行った東京都内の高校生ら10人を逮捕との報道がありました。その少年らの自宅を家宅捜索すると、わいせつ写真誌や漫画雑誌など計200冊が見つかり、その中には、都の青少年健全育成条例に基づき有害図書とした10数冊が含まれ、調べに対して少年たちは、写真誌では満足できずに犯行に及んだと供述しているとのことであります。昨今の報道においても、覚せい剤や大麻、シンナー等に関する青少年を巻き込んだ犯罪や非行が連日のように発生し、経済発展の裏返しとも言うべき事件を目の当たりにして、社会環境の悪化を、国・県はもちろんのこと、我が小田原市においても真剣に論じるときがきていると思われます。そこで、度重なるいじめ問題や青少年の自殺等、今や青少年を取り巻く社会環境の改善や浄化に、本市も警察や学校、地域との協力によって独自の青少年の健全育成事業を進めておられるわけですが、行政として、その具体的な行動を学校や地域にどのようにされているのか、また、青少年健全育成にかかわる各種委員の委嘱状況がどうなっているのか質問いたします。
次に、先ほど述べましたとおり、青少年を取り巻く社会環境整備のために、青少年にかかわる条例が各県または市町村にも存在しておりますが、小田原市における条例はどのような状況となっているか、また、現在の効力のほどについての見解をお尋ねいたします。
続いて、このような行政及び各関係者の努力にもかかわらず、一向に青少年の犯罪や非行が後を絶たない状況の一つに、いつ、どこでも、酒類、たばこ、図書やビデオまで簡単に購入できる自動販売機が設置されていることも、それらを誘発する原因として受けとめざるを得ません。既に酒類の自動販売機への規制に関して、平成6年9月議会で当時の20番加藤議員から、青少年の購入防止策として、通産省と業者によるプリペイドカード制の導入について検討の余地はあるのかとの質問の中で、市長は、多少の抑制効果があるだろうと述べております。その中で、飲料水に関する市内の自動販売機の設置台数について、約3500台との報告がありましたが、現在の酒類、たばこ、図書、ビデオ、ツーショットカード等の青少年がかかわってほしくない自動販売機の設置数が市内にどれくらい存在するかが1点、また、昨今の自動販売機のはみ出し規制強化の中で、行政と業界や組合の自主規制について相談もされていると思われますが、青少年健全育成にかかわる問題等について、連携や手段を講じている、または検討していることがあるか否かお尋ねいたします。
次に、年々凶悪化している青少年による犯罪と非行について、小田原著によると、市民の憩いの場となっている藤棚周辺における薬物及びシンナー売買により、数名の少年を逮捕あるいは補導していると伺っております。また、海岸に恵まれた小田原ではありますが、夏の夜ともなりますと、深夜まで徘回する者や、駅前周辺も騒々しいとの声も問こえてまいります。また、先般、これは補導具の方から伺ったのですが、廃屋やガード下等を拠点とした不良グループが以前たむろしていた場所もあったと聞きました。そこで、非行や犯罪者への対応は警察の管轄となるでしょうが、本市は廃屋や環境上ふさわしくない場所等を把握するなどの防止策は講じられているか、その所見をお尋ねいたします。
さて、さまざまな青少年に関する環境について何点か質問をいたしましたが、今や有害と言えるような雑誌、ビデオ等は、さきにも申し上げましたとおりも巷にはんらんし、特定の販売店ではなく、一般書店やコンビニエンスストア等にも陳列され、青少年が目に触れたくなくても触れざるを得ない状況となっていることは大きな問題であると考えます。
また、少年少女売春や性道徳の荒廃にもつながるツーショットカードの販売機が、あろうことか学校施設の近辺に設置され、法規制の限界から、手も足も出ない誠に残念な結果に現在あることに憂いを感じております。このような有害環境を締め出すことは、現在の法律や条例の中で可能か否か、その対策を市は考えておられるか質問いたします。私は、全国で、青少年に対する社会環境の悪化を危惧し青少年健全育成関係条例を改正した千葉県や福島県、そして出雲市では屋外における酒類並びに屋内外における図書等の自動販売機の撤去がなされたことから、条例の再検討をすべきだと考えますが、改正の必要性の認識をお持ちかどうかお尋ねいたします。
2番目として、レ婚姻及び離婚制度の見直し審議に関する中間報告」についてお伺いいたします。去る9月13日に各新聞紙上の一面に、法制審議会民法部会による「婚姻及び離婚制度の見直し審議に関する中間報告]の記事が掲載されました。その中の要旨は、夫婦の姓、子の姓の変更、既婚夫婦への適用、離婚訴訟の原因に分けられますが、特に夫婦別姓について、「夫婦は婚姻の際に同姓夫婦か別姓夫婦のどちらかを選択する]と、選択的別姓制を導入するものとなっております。そして子供の姓は、レ父母の婚姻の際に、その夫婦間の子の姓と定めた姓を称する]とし、兄弟姉妹の違う姓を認めていないとしております。この中間報告は、来年早々に民法改正要綱をまとめて、法務省は改正要綱の答申を得て来年の通常国会へ改正法案を提出する方針とも問いておりますが、まず市長はこの中間報告に対してどのような見解をお持ちかお尋ねいたします。また、法案が成立したと仮定した場合に、戸籍や住民票、その他行政業務が煩雑になることも考えられますカ八導入に際して、業務関連費用の試算や増員等の内容の検討を行っているかお尋ねいたします。
この中間報告に対する私見を申し述べさせていただくならば、明治以来の夫婦同姓の大原則をやめること、すなわち姓の「呼び名」を改めるだけだとの見解もありますが、これは家族のあり方や家庭の存在自体に多大なる影響をもたらすものであり、我が国の道徳倫理の基盤の崩壊を意味するものとしてとらえざるを得ないと思います。特に、前述した青少年の非行等は、家族や家庭と密接な関係があり、ただでさえ希薄な家庭環境にさらされた者が夫婦別姓にすることで逆に一体感を持ちづらい環境に追いやることになるのではないかと推察されます。家族は一体と考える夫婦同姓は、高齢化社会を迎える今日にあっても、老人介護も第一義的にとらえるでしょうし、祖先崇拝の念を生じさせることにもつながると思いますが、果たして国民のコンセンサスが得られているかが疑問である今日、本市はどのような態度で臨むつもりかお尋ねをいたします。
当問題は、本市だけではなく、日本全体にわたる懸案事項としてとらえるべきものでありますが、これからは陳情や意見書等が各団体から出されると思われます。行政は、このような状況になったとき、どのように対処されるおつもりかお尋ねをいたします。
次に、市民意識向上についてお尋ねします。本市は総合計画として、昭和61年に「おだわら21世紀プラン」の将来都市像として、「歴史と文化の香る都市」をメインテーマに、その推進を図るべく、積極的に事業を展問してまいりました。そして現在は当プランの後期計画として、「きらめく城下町・おだわら」の創造をテーマとして、施策推進を行っております。しかしながら、城下町小田原という言葉は、特に小田原のシンボルである小田原城を中心とした地域、すなわち「おだわら21世紀プラン」の位置づけでの中央地域はより城下町意識を図ることができますが、それ以外の5ブロックはその意識は薄いのではないでしょうか。私は後期プランのテーマである「きらめく城下町・おだわら」を変えてほしいと言っているのではありません。「きらめく城下町・おだわら」をテーマに後期計画を推進していくのであれば、城下町意識が薄いであろう地域に対して、「城下町」というイメージづくりを行政は意識的に行っているか否かをまずお尋ねいたします。
次に、城下町意識から、小田原市という市民の意識についてお伺いいたします。周知のとおり、小田原市は横浜市、川崎市に次いで県内3番目の面積を有しております。この広大な市内に約20万人の市民がそれぞれの生活を営んでいるわけですが、市制施行以来5回、9町の町村合併を行って現在に至っております。古くは昭和23年の下府中村から昭和46年の橘町合併以来、実に25年が経過しようとしておりますが、この問に、市長は市民に対して、小田原市民としての意識高揚のためのイメージづくりをどのような形で行ってきたかお尋ねいたします。
そもそもこのイメージづくりは、形であらわせるもの、すなわちハードと、形であらわせないもの、ソフトの両面があると思われますが、ハードの面について触れさせてもらいますと、例えばさきにも申し上げたとおり、小田原駅周辺は、「おだわら21世紀プラン」の中でも小田原城を中心にシンボルゾーンと位置づけ、その意識向上が図られております。また、観光や他市から訪れる方々は、城の周辺や町並み等で、そのまちの活気やこだわりによって行政の意気込みや取組方を評する一面もあるとの認識から、その整備に対して市の熱意を感じることができ、そのまちのイメージが形成されると推察されます。しかしながら、「おだわら21世紀プラン]で位置づけられた他の地域は、基本計画にもあるように、それぞれの特色を生かした施策を講じようとしておりますが、市としての共通のイメージや意識を持たせることが不足しているのではないでしょうか。
小田原市と聞くと、市民や小田原を知る人は、小田原城を筆頭に小田原ちょうちん、かまぼこ、箱根細工、梅林などを挙げられるでしょう。確かに小間京城周辺地域や飯泉橋等市内の一部の街路灯は、小田原ちょうちんをモチーフとして小田原のイメージづくりが行われております。そこで、小田原市に一歩を踏み入れた途端に、ここは城下町小田原だという形で表示されたものを、観光あるいは他市町村からの来訪者の方々に見せつけると申しましょうか、表現できるハード面での対応ができないものでしょうか。すなわち、東西南北の道路網あるいは電車の中からも視覚等で訴えることができるような看板やモニュメントを設置し、市民はもちろん、市外の方々にも小田原市のイメージを示す。現状のように、ただ単に行政境の標識だけでの表示は寂しい感じがいたします。特に、昭和46年の合併以来25年が経過した橘地域は、小田原の東の玄関口であります。しかしながら、先ほど16番志渾議員より話もあり、繰返しとなりますが、12月1日号の「自治会だより」で、橘団地一般住宅自治会長の手記にもありましたように、「市民であって市民にあらず」との見出しで、生活の揚は小田原市ではなく二宮町だとの意識が地域の風でありにおいであるとしております。そして、中央集中に偏らない行政運営を切望しているとあります。まさしく橘地域はそのような空気であることを否定できません。しかし、時代が21世紀へと移行していく中で、現状にただ憂いているだけでは解決できません。今こそ、橘地域の市民も市民として誇りを持つための意識高揚並びにイメージづくりを図ることが、行政並びに当地域にも必要なのではないでしょうか。地域格差を感じている住民が多いことも事実であり、行政にもその対応を切にお願いするとともに、これは提案なのですが、小出原市の東の玄関口である橘地域に、小田原をイメージするモニュメントや看奴等を設置し、ハード面における市民の意識高揚策を講じていただきたいと願うものであります。このことについて御所見をお尋ね申し上げます。
最後に、既に本議会の議案関連質問の中で31番中野議員が触れられておりましたが、本市における市営並びに民営の駐車場表示の件についてお伺いします。市内には、これから整備計画のある栄町駐車場をはじめ、東口臨時駐車場などが利用されておりますが、現状、小田原市内を通る国道1号に駐車場の表示がないのであります。小田原市を訪れる観先客は、駅前に行けばどこかあるだろうと渋滞の中を右往左往しているのが現状ではなかろうかと推察されます。さきの質問の中で、駐車場の電光板表示について、都市部長は、満車状態のときにはその対処法がないと言われておりますが、現在は駐車場を示す看板自体が存在していないのであります。そこで、モータリゼーションの発達により、市内を訪れる車に欠かせない、せめて駐車場の位置だけでも表示する看板が設置できないものかお尋ねをいたしまして、第1回目の質問を終わります。(拍手)
○市長【小澤良明君】
9番加藤議員の御質問にお答えをさせていただきます。初めに、青少年健全育成のための施策についての御質問が何点かございました。まず、本市の青少年健全育成にかかわる学校及び地域への行政の対応でございますが、地域には、自治会連合単位に地区青少年健全育成組織を定め、教員をはじめ自治会長や民生委員、指導員、補導員等関係者の御協力のもとで、親子ふれあい活動や地域パトロール等、地域の青少年健全育成活動を推進いたしているわけであります。9番加藤議員におかれましても、少年補導員をお務めいただいているわけであります。一方、学校といたしましても、学徒校外補導協議会や足柄下地区児童・生徒指導連絡協議会を設置し、諸施策を推進しております。また、これら施策の推進にかかわる各種委員の委嘱状況につきましては、肯少年問題全般にかかわる総合施策的な審議をしていただく青少年問題協議会委員、青少年の健全育成活動を推進する青少年指導員、肯少年の非行防止活動を推進する青少年補導員、青少年を取り巻く環境浄化活動を推進する環境浄化推進委員を委嘱し、それぞれの分野の連携を図り、きめ細かな御指導、御尽力をお願いしているところであります。
次に、条例についての御質問がございましたが、青少年保護育成条例は、子供たちを守るために加害者を罰することを主目的といたしました条例でございまして、市独自では制定しておりません。市単位の制定よりも、より広域的なものが望ましいと考えまして、神奈川県青少年保護育成条例に基づきまして、本市の健全育成を推進しているわけであります。
有害環境の締め出し策につきましては、現在では、御指摘のとおり法規制では限界がございますので、地元警察や地域並びに青少年各種団体と協力し推進するとともに、現行の青少年保護育成条例等法令を十分活用しながら進めていきたいと考えております。
青少年保護育成条例等の改正につきましては、表現の自由の制限などの問題や、広域的な観点も必要でありますので、今後も引き続き社会環境には十分注意を払いながら、県や各市とともに研究をしてまいりたいと思っております。
次に、市内の自動販売機設置数についての御質問でございますが、酒類自動販売機は137ヵ所207台、図書類自動販売機は10ヵ所37台、ツーショットカード自動販売機の設置箇所10ヵ所という状況です。たばこの自動販売機につきましては把握できない状況でございます。各業界との関係につきましては、たばこ商業協同組合、進戯場組合など、青少年の環境問題に関係のある業者組合から推薦をいただき、環境浄化推進委員とし、この委員で小田原市環境浄化推進委員協議会を設置し、有害図書類やツーショットカード自動販売機の撤去を関係者に依頼し、青少年の環境の改善に成果を上げているところであります。
市内の廃屋等環境上ふさわしくないたまり場等の場所の把握につきましては、青少年相談センターでは、青少年補導員と協力をし、常時把握しているところでございますが、そのたまり場等の街頭指導を強化する一方、非行に走る青少年に対し、愛情のこもった温かな指導を念頭に置き、青少年の健全育成に努めているところでありますので、なお一層の御理解と御協力をいただきたいと存じます。
次に、「婚姻及び離婚制度の見直し審議に関する中間報告」に対する私の見解について御質問がございました。1975年の国際婦人年や、1985年のド女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約]の批准を契機に、我が国でも、個人を犠牲にしてではなく尊重することで家族の絆がつくられるという意識が高まりました。この女子差別撤廃条約の中では、「自由に配偶者を選択し及び自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」「婚姻中及び婚姻の解消の際の同一の権利及び責任」等、女子の差別を撤廃することを定めているわけであります。今回の中間報告は、それを受けての改正案でございまして、いわば時代の趨勢であると考えております。
次に、婚姻及び離婚制度の見直しにより、事務量がどの程度増加するのかとの御質問がございました。報告の中では、婚姻により夫婦別姓を選択することができるようになります。また、既婚夫婦につきましては、改正法施行後1年以内に、配偶者とともに届け出ることにより別姓に変更することができるとされているわけであります。一方、離婚につきましては、夫婦が5年以上別居している場合、裁判所に離婚の申立てができる等、離婚の申立て理由が追加されます。足立区の調査では、夫婦別姓を選択すると答えた方が1.9%という結果が出ておりまして、夫婦関係を何年か継続してきた既婚夫婦が合意して、改正法施行後1年間に夫婦別姓を実際に届出されるケースは少ないのではないかと考えているわけであります。また、離婚につきましては、裁判による離婚制度が変わったからといって、夫婦問の結びつきや考え方が急に変わるとは思っておりません。したがいまして、届出がされた場合の影響を考えますと、戸籍や国民健康保険等の台帳処理、コンピュータのプログラムの変更等、事務処理が若干増加すると考えられますが、職員数や業務の変更などに与える影響は比較的少ないものと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。 次に、新制度の導入は、先ほど御答弁申し上げましたとおり女子の差別を撤廃するためでございまして、それが家庭崩壊や青少年問題を助長するとは考えていないわけでございます。昨年は国際家族年でございましたが、その宣言文でも、唯一の理想の家族像の追及を避けるべきであり、どんな形態、状況であろうと、すべての家族が保護され、基本的自由と人権が促進されるよう求められているわけであります。国民のコンセンサスの問題につきましては、御指摘のとおり、国民の大多数から御支持をいただいているというわけではないようでありますが、改正の趣旨は、別姓を強要するものではなく、選択の幅が広がることにより個人の生き方を尊重するものでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、陳情書等に対する御質問がございましたが、私といたしましては、先ほど申し上げましたとおりの基本的スタンスであり、また、このことにつきましては国でもまだ議論をされている段階でありますので、市として、現時点での対処については考えておりませんので御理解を賜りたいと思います。
次に、市民意識の向上について何点か御質問がございました。「きらめく城下町・おだわら」のイメージづくりに関連をいたしまして、意識的に行っているのかということでございますが、その前に、私が「おだわら21世紀プラン」後期基本計画におきまして、「きらめく城下町・おだわら]の創造をメインテーマに掲げましたことについて述べさせていただきたいと思います。
ここにおける「城下町]といいますのは、市民の皆さんにとってのふるさとである小田原、この小田原が持っております豊かな自然、恵まれた気候、培われた歴史文化、こういった要素を一言で表現し、かつ他都市と比較して小田原を特徴づける言葉として「城下町」という表現に凝縮したものでございます。それに、生き生きとした躍動感にあふれるまちを意味しての「きらめく」という言葉を冠したものであります。したがいまして、「きらめく城下町・おだわら」の創造が意味しますものは、かつての城下町をほうふつとさせるまちづくりということだけではなくて、市民の皆さん一人ひとりが恵まれた自然環境と地域の文化を生かしながら、生き生きとした暮らしを営み、「小m原は私のふるさと]と誇れるようなまちづくりを進めようということであります。こうした考え方のもとに、総体的には、景観面や環境面からのまちのイメージアップを図っているほか、「市民と市長との地区懇談会」や「市民と市長とのほっと懇談会」、「市長への手紙」に対するお答えなどを通しまして、本市の目指すまちづくりについて、市民の皆さんに御理解をいただいているところであります。さらに、「わがまちよいとこ応援事業」や「まちづくり市民工房21」などによる市民の皆さんの自主的なまちづくり活動への積極的な支援、地域の伝統芸能や伝統工芸、伝統技術の継承、そして市民と行政との協働のまちづくりを目指した3基金の活用などによりましても、「きらめく城下町」のイメージづくりを図っているところであります。そして、こうしたまちづくりの展開によりまして、市民の皆さんには、おのずと「きらめく城下町」のイメージが醸成されてくるものと考えております。
次に、小田原市民としての意識高揚のためのイメージづくりについての御質問がございました。歴代の市長におきましては、本市のシンボルでもある小田原城天守閣の復興をはじめ、さまざまな祭りやイベントの開催などを通して、小田原市民としての意識の高揚や一体感に努めてこられたわけであります。同時に私は、市民の皆さんに小田原市民としての意識を持っていただくためには、何よりも本市の特つ個性により磨きをかけ、きらりと光る「小田原らしさ]が随所に見られるようなまちづくりを進めていくことが必要であろうと考えております。そのための具体的な方策として、これまでもメインテーマに基づく「4つの視点」のもとに、さまざまな事業を推進しているわけであります。
具体的に申し上げますと、「城下町のやすらぎ」という視点では、市民の皆さんに心の安らぎを感じていただけるよう、地震防災対策を緊急課題として取り組んでいるほか、本市の自然的・地形的特性を生かした公園や河川、海浜の整備・活用などを推進しているところであります。また、環境の面では、今年を「環境元年」と位置づけ、環境美化などに取り組んでおりますが、今後は環境に開する基本計画を策定し、総合的に環境行政を推進していきたいと考えております。次に、「城下町のうるおい」という視点では、小田原城跡に代表される貴重な史跡、文化財などの整備・活用や、国際化に対応した創造性豊かな市民文化の育成に努めているほか、高齢化社会に対応した多様な環境整備を進めているところであります。
次に、レ城下町のにぎわい]という視点では、市街地再開発や道路・下水道などの都市基盤の整備をけじめ、地域産業の活性化を図るための工業団地の整備等々も進めているところであります。
次に、「城下町のふれあい」という視点では、情報化の進展や少子化問題など、新しい社会変化に対応した施策を推進するとともに、市民の自主的なまちづくり活動などにも積極的に支援をし、市民の皆さんこそがまちづくりの主役であるという機運をより一層盛り上げていきたいと考えております。
また、外に向かっても、本市にゆかりのある人たち約130人に対して、春と秋に「きらめく城下町・小田原だより」という本市の近況を知らせる手紙をお送りいたしましたり、また「小田原・城下町大使]を任命するなどいたしまして、本市の魅力を積極的に情報発信し、小EH原市のイメージアップを図っているところであります。今後ともこうした「小田原らしさ]を形成するさまざまな事業・施策を市民参加のもとに推進し、小田原市民を実感できるようなまちづくりを進めてまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
次に、橘地域に小田原のシンボルとなるようなものを設置したらどうかとのお尋ねがございました。現在市内には、板橋地内の国道1号沿いに小田原域を模したお城の案内塔が設置してありまして、西大友地内の国道255号沿いには小田原松風ライオンズクラブが設置した交通安全啓発塔があるほか、本市の玄関である小田原駅前には観光歓迎塔が設置されております。これら三つの施設は、すべてが観光歓迎塔ではないものの、いずれも観光客等を対象にしたもので、市民としての意識向上を図る目的で設置されたものではございません。しかし、近年の自動車利用による観光客の増加を考えますと、適切な場所に歓迎の意思と観光小田原市をあらわす観光歓迎塔の設置は必要であろうと考えております。今後、新たな歓迎塔の設置につきましては、観先客へのサービスとして早急に措置すべき事業かどうか、また市外からの本市へのアクセスを考え、設置箇所としてどこがよいのかなど、検討すべき問題も多くあるものと思っております。いずれにいたしましても、9番加藤議員の言われる、小田原市民としての意識向上のために設置するのであれば、例えば商工会や自治会など、地域の方が市民参加として設置することも一つの方法でもございますので、これらの方法等も考慮に入れながら、観光歓迎塔設置につきましては、今後の課題とさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
次に、駐車場の表示についての御質問が最後にございました。現在、小田原駅周辺には、臨時駐車場を含め公共駐車場3ヵ所、民間駐車場16ヵ所、計19ヵ所の一次預かり駐車場があり、本市ではまだ案内システムや誘導システムがありませんので、その大部分が個別の施設に表示されているのみでございます。そこで、現在、平成6年度、7年度の2ヵ年継続事業で駐車場整備計画の策定を進めておりまして、その策定に当たってば、国・県・市・警察、それぞれの担当者により連絡協議会を設置いたしまして、その中で、将来の駐車需要を踏まえ、一定区域の官民を含めた案内・誘導システム等の導入につきましても研究を進めているところでございます。御指摘のとおり、駐車場の案内看板を設置することは、小田原駅周辺の渋滞緩和対策の一つの方法と認識はしているわけでありますが、先ほども申し上げましたように、駅周辺の駐車場は民間施設が相当ございまして、公の施設の表示は短期に行うことができますが、民間の施設につきましては公の看板に併設することは無理かとも思われます。したがいまして、既存駐車場の増強を図った上で、公民あわせた案内・誘導システム等を導入する方がより有効な方法かと思いますが、導入時期等もございますので、関係者の方々と協議しながら、具体的方法を検討させていただきたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
以上で9番加藤議員の御質問に対しましての答弁とさせていただきます。
09番【加藤仁司君】
一定の答弁をいただきましてありがとうございました。再質問をさせていただきます。
まず、肯少年の問題についての件でございますけれども、確かに本市においては、神奈川県青少年保護育成条例に基づいて対応されているということは承知をしているわけでございますが、今市長の答弁の中にも、それを十分活用するという御答弁をいただきました。
しかしながら、先般、神奈川新聞に、神奈川県議会の警察渉外・県民環境両常任委員会で12月14日、特にテレホンクラブについて規制のための条例整備が必要という認識がされたという記事がございました。少女被害者が昨年に比べて19名増というような状態で、県も本腰を入れつつあるという認識をしているわけでもございますけれども、本当に疑問に思うのは、神奈川県の条例ということで、市独自の条例というものがなぜできていないのか。できるような状況ではない、大変犯罪等も少ないという理由なのか、そこら辺のところを行政としてどのように考えられているか答弁をいただきたいことが1点でございます。
また、自動販売機の件についても、たばこ以外については数を表示していただいたわけでございますけれども、これはちょっと古いデータということで、出どこはわからないんですけれども、喫煙をしたことがある少年の56.4%が自動販売機を使用、たしか酒については25%程度というような記事がございました。全国で酒類の自動販売機は約20万台ということで、世界においても日本だけが自動販売機で酒が買えるという状況でございます。今すぐ日本全国についてどうこうという話をここでする必要はないわけですけれども、やはり小田原市がこのような青少年健全育成に積極的に取り組んでいるという姿勢を出していただくためには、県のこの条例改正、記事の中ではテレクラの部分だけの条例改正と聞いておりますが、やはり全般的に、私もこの保護条例を見させていただきましたけれども、例えば有害図書の指定をしても、結局はそれが出版され、購入者の手に渡り、1ヵ月ぐらいの経過の後に有害図書と指定され、それを回収するときにはもう既に市場にはないという現状がございます。そして千葉県においては、この個別指定であったものを包括指定というふうに条例を改正することによって、販売と同時に規制をすることができるという形になりました。今すぐに市の中で条例の取組ということも、恐らく神奈川県の条例の改正の様子を見て市としての取組方が決定されるんではなかろうかと推察はいたしますけれども、やはりこの小田原市、歴史と文化のある小田原市が率先して独自の条例をつくってもよろしいんではないかと、このような感じがいたします。先ほどの質問と重複をするような形になりますけれども、再度御答弁をいただければと思います。
また、夫婦別姓の問題について、市長からも、時代の趨勢ということで、また昭和60年の男女差別撤廃に関する条約の中で、夫婦同姓は女性差別、これを撤廃するためにこの中間報告について受け入れる姿勢であるというような御答弁であったわけでございますけれども、私もいろんな方にお会いして、特に女性の中で、夫婦同姓という現状で大変差別を感じているという方はあまりおりませんでした。
09番【加藤仁司君】
差別と感じている方も中にはいらっしゃると思います。しかしながら、先ほど来、青少年の問題に触れさせていただいたとおり、家族と家庭という問題、この観点若しくは青少年の健全育成という見地に立った場合には、たとえそれが選択をすることのできる、引佐については強要され,るものではないということではありますけれども、この導入というものを全国的に提示されたときに、やはりさまざまな題が出てくるのではなかろうかと思います。先はどの御答弁の中には、業務関連については影響は少ないということでありましたけれども、例えばいろいろな問題として、ちょうどここに「婚姻及び離婚制度の見直し審議に関する中間報告]に対する意見の概要ということで、法務省からいただいたもので、各意見かおるわけですけれども、その中のアンケート調査の一つとして、夫婦の墓には入りたいが夫の家の墓には入りたくないと考えている妻が半数以上を占めるとのアンケート調査結果かおる。これが基準で導入というものが図られると、先般もどなたかの質問がありましたけれども、小田原市には公営墓地として久野霊園がございますが、平成6年度には4倍若しくは6倍というような競争率になっておりまして、このような引佐を求める夫婦が亡くなった場合に、この公営墓地に対する募集率も極めて高くなってしまう、こういうような一面もあろうかと思います。私は、こういうことについて、だから夫婦別姓がだめだというわけではありません。あくまでもこれからの福祉文教、高齢化対策を考えるときに、今現状で行政が高齢者への介肋とか看護体制について財政的にゆとりかおりまして十分に対応できるということや、また青少年の犯罪や非行がないという前提であれば問題はないのかもしれません、また引佐問題が特効薬になるということであれば問題はないんですけれども、逆に現状でも、先ほど述べたように家族問の希薄ということが言われている今日、あえていろいろな意見かおるこの問題について、行政の方で受け入れる姿勢だという判断をしなくてもよろしいんじゃないかと思います。
その後の件については、また意見ということで述べさせていただきたいと思いますので、先ほど言いました青少年の問題について御答弁をいただきたいと思います。
○市長【小渾良明君】
9番加藤議員の再質問でございますカ叙青少年健全育成のための独自の市の条例を早くつくるべきではなかろうかという御提言でございます。先ほどもお話をさせていただきましたけれども、9番加藤議員におかれましては、警察委嘱の少年補導員もお務めで、大変日ごろから御苦労いただいております。敬意と感謝を表する次第であります。先ほどもお話がございました県の動き等もございますし、小田原市といたしましても、青少年健全育成にかかわっていただいております、先ほどもお話ししました多くの諸団体がございます。この方々が、御承知のとおり大変な御努力で、県内他市に比べまして、相対的な議論で言えば小田原市は非常にそういう問題が少ないまちだ、そういう評価をいただいている而もございまして、これらはそうした方々の大変な御努力の成果でありますし、あるいは市民それぞれが、比較論でいいますと他に比べて各家庭も幸せな家庭が多いのかなと、そういうような感じもいたします。この条例制定につきましては、県の動向を見ましたり、あるいは青少年問題協議会がこの青少年健全育成のそれぞれの団体の代表者の方々によって構成をされておりますので、少し様子を見させていただきながら、この場でも検討させていただく。私といたしましては、9番加藤議員御指摘のとおり、テレクラ問題あるいは最近ではツーショットカードの自動販売機の問題、そのほかいろいろとお触れになられましたようなさまざまな問題がございまして、やはり同じ気持ちで憂慮いたしております。そういうことで、今後しっかりと状況を把握しながら検討させていただきたいと思いますので、少しお時間をおかりしたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。
09番【加藤仁司君】
最後に市民意識向上の件について、これは意見ということで、また要望ということにさせていただきたいと思います。
実は先般会派で、山形県の天童市に視察に行ってまいりました。御承知のように、天童市は地場産業として将棋のこまが有名でございます。ちょうど市内に入りますと、街路灯とか橋の欄干、おりとあらゆるところに将棋のこまの形をしたものがいろいろとアピールをしているという現実を見てまいりました。小田原市においても、是非とも市内全部に、いろいろな統一したもの、共通したものをやっていただきたい。これはこのように要望させてもらうわけでございます。
先ほど来、橘地域のことについても触れさせていただきました。実はこの前、橘の商店会の方から資料をいただきましたけれども、こういう形で、猿が小田原ちょうちんを持っている、橘商店会、御来店ありがとうございますというようなものをいただいてまいりました。このように橘地域においても、この小田原ちょうちん、このようなイメージで活性化を図りたいという願いがこれに込められているのではなかろうかと思います。ですから市長も、是非ともこの橘地域においても、小田原市民の意識高揚のための策をより以上に御検討いただいて、小田原市民としての意識づくりに励んでいただきたいことを心からお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)