平成8年9月議会議案関連質問
1996年09月01日
平成8年9月
議案関連質問
○議長【吉田清治君】 9番加藤議員。
9番【加藤仁司君】 議案第57号 平成8年度小田原市一般会計補正予算における小田原城歴史体験施設展示設計等委託料について質問いたします。既に本議案に関連して、複数の議員からも質問が出されておりますので、多少重複することもあろうかと思いますけれども、御了承くださるようお願いいたします。
本議案につきましては、基本的に事業が展開される背景といたしまして、福祉文教常任委員会協議会でも協議をされましたように、また、既にさきの御答弁にもありますように、小田原城を永久に保存管理するとともに、遺構整備、保存とその活用を図りながら市民生活の中に役立て、さらに歴史的観光価値の拡大を図ることを整備の基本理念として、昭和57年に「史跡小田原城跡整備の理念と方針」、さらに平成5年3月こは「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想]という存在かおるかけてございまして、その構想自体、市はどのように考えているかを中心としまして質問をしていきたいと思っております。
さて、平成6年1月に、城跡内にある旭丘高等学校より文化庁長官あてに提出された、 「史跡小田原城跡の現状変更許可申請書」が、地下1階を含む第一校舎新築計画が新たなる遺構の破壊につながることから、市文化財保護委員会からの答申を踏まえて、県の文化財保護課より、地下なしとした上で、地下遺構をできる限り破壊しない方法による建替えの趣旨にとっての調整を指示されまして、現在事前協議が進められ、本年3月に提出された請願も、福祉文教常任委員会において度々の審議を経て、6月19日に趣旨採択された経緯があります。また、本年5月2日には、旧三の丸小学校の解体工事に絡み、小田原市三の丸小学校旧校舎の活用についての陳情書が提出されまして、これも福祉文教常任委員会協議会において6月19日には不採択、同様陳情者と他より出された旧三の丸小学校の建物存続にかかわる陳情も不採択ということとなり、本年8月より解体工事も既に施工された状況であります。このことは、城内小学校と本町小学校との合併の歴史や経緯は当然のことながら、その基礎となるものは、さきにも述べましたとおり、史跡純化、すなわち将来に向けて小円窓市の歴史的観光価値の高揚を図るものとして打ち出された「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」の推進にほかならないわけであります。
そこでお尋ねいたします。一つ目として、以上のような経過や背景かおるにもかかわらず、当面計画で解体となっていた講堂を一時的であるが存続し活用を図ることは、史跡純化を促進する「史跡小日原城跡本丸・二の丸整備基本構想」に逆行すると思われるわけですけれども、どのような認識をされているか、その見解を伺いたいと思います。 続きまして、先ほど来御質問もありました小田原城の天守閣入場者数が年々減少しているということでございますけれども、このたびの小田原城歴史体験施設を、小田原城天守閣をはじめ他の施設における体験及び展示施設として利用することは、先ほどの御答弁にもありましたように、考えたけれどもさまざまな要件もあって早急な改修等ができないというような答弁をされておりました。また、さきの経済病院常任委員会協議会及び本日の答弁においても、平成17年以降に馬屋曲輪を整備してそこに移設することも一案であるという旨の説明があったわけでもございます。確かに、模型、映像、三次元マジックビジョン、ハイテク機器等で、小田H原城にまつわる歴史的な経過を参加体験してもらうという趣旨について、またその施設が欲しいということにつきましては、私も大変理解をしているわけでもございます。 しかしながら、平成10年春に完成予定の銅門、櫓門、そして天守閣をつなぐ動線上にある講堂の有効利用の考えや東海道ルネッサンス構想という背景もあるということでありますけれども、それらを同時にスタートさせる必要が果たしてあるのか。
天守閣入場音数の減少、これはもちろん深刻なことではありますけれども、銅門の復原計画また櫓門の計画には、歴史体験施設についての考えがその当時既にあったかということについては疑問なんですけれども、少なくとも銅門、櫓門の完成は、単に復原だけではない、この完成によって観光客の増加が見込まれると行政の方は予測をしていると思うわけでもございます。大変言い方は悪くなりますけれども、そんなに欲張らなくても、現存施設での体験施設としての改修が困難ということであるならば、当面は銅門、櫓門が整備されたことを市民また市外にも大きく宣伝をしてもらい、近い将来、このような歴史体験施設をつくりますよという告知をしてみたらいかがかと思います。すなわち、二つ目の質問といたしまして、さきにも各議員から質問がありましたように、短期間に利用される施設に相当なお金をかけるわけでもございます。そして、すぐに壊してしまうというような利用法を考えるよりも、小田原城歴史体験施設展示設備を施した復原整備を考えた方がより効率的であると思うのですけれども、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
最後になりましたけれども、城跡整備に関しまして、さきに述べました岨丘高校また旧三の丸小学校の問題も、「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」での長期計画の中で平成17年よりエンドレス、すなわち、計画が完了する時期や年度が明確でないことが、度々議論が沸騰するゆえんであると考えるわけでもございます。今後の整備展開を図る上では、ここに基本構想を持参しているわけでございますけれども、ある程度、整備ごとの年度の区切りを設ける必要かおるのではないかと思いますけれども、御見解をいただきますようお願いいたしまして、第1回目の質問を終わらせていただきます。
○市長【小原良明君】
9番加藤議員の小田原城歴史体験施設に関連する御質問にお答えをいたします。
まず初めに、旧三の丸小学校の講堂を利用しての小間京城歴史体験施設につきましては、城跡に新たな魅力を付加するとともに、史跡の価値や重要性を高めるものでございまして、より多くの人々に城跡を訪れていただきたいという願いから整備を進めようとするものでございます。確かに講堂を利用することによりまして、純イヒという視点からは若干のおくれになろう、そういう考え方もできるかとは思いますけれども、少しでも早い時期に整備したいという願いから生まれた小田原城歴史体験施設が開設することによりまして、より多くの方々に夢とロマンを感じていただけるとともに、国民的財産である小田原城跡を次代に引き継ぐという精神の醸成が図れるという効果は大きいものがあると考えております。
したがいまして、講堂を利用しての歴史体験施設の整備は、全民的にも貴重な史跡の保存と活用を図るという構想の精神に沿うものでございまして、また、小日原城跡には必要な施設であるというふうに考えておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。
以下は助役から答弁いたします。
○助役【鶴井和親君】
講堂以外の候補につきましてのお尋ねがございました。既にお答えをいたしましたけれども、講堂以外の候補といたしましては、城跡内では天守閣をはじめといたしまして常盤木門及び馬屋曲輪におきますところの馬屋の復原、周辺地域ではスポーツ会館及び三の丸地域における新設について比較検討をいたしました。
しかしながら、天守閣につきましては、大規模改修とあわせて行うことが望ましく、予算措置の問題であるとか、長期にわたりまして休館をしなければならないなどの問題があること、常盤木門につきましては建物の形状がコの字形で回遊の範囲が狭いこと、馬屋の復原につきましては発掘調査や各種手続の問題があること、スポーツ会館におきましては既存機能の移転問題が大きいこと、そして三の丸地区における新設につきましては用地であるとか建設コストの問題があることなとがら、大手筋に位置しておりまして、建物の形状が理想に近く、早い時期に実施が可能であるこの講堂を、暫定的でありますけれども利用することにいたしたわけでございます。 また、暫定的な整備ではなくして、恒久的な復原整備をすべきではないかとのお尋ねでございますけれども、例えば馬屋前輪の環境整備におきます馬屋の復原を考えてみますと先ほども御答弁申し上げましたとおり、発掘調査であるとか各種の手続あるいは関係機関との協議などがありまして、最低でも5~6年は必要となります。したがいまして、少しでも早い時期に整備したいという思いから、今回は講堂を利用することにいたしたわけでございますが、今後は城跡内の復原的な整備や周辺地域での整備も含めまして、種々な角度から検討してまいりたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○助役【坂本元旦君】
城址整備に関しましてのお話がございました。御指摘のように、「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」におきましては、毎年度の事業の区切りをいたしておりません。これは、城址の整備が大変長期に及ぶものでありますので、さしあたりこの基本構想の中では、第1段階といたしまして、本丸、大手筋の整備を進めていくということで、それを短期計画として目標年次を平成16年度に設定いたしました。その後のものにつきましては、本丸周辺の内郭の整備あるいは二の丸の民有他の整備といった段階で、整備事業の項目を挙げて全体を長期証言として位置づけをさせていただいたものでございます。これらの事業につきましては、御承知のとおり莫大な経費を必要とするほか、実施する段階では、公共施設の移転・撤去をはじめ、民有地につきましては土地所有者の理解と協力を必要とするなどさまざまな問題を解決する必要がございますので、完了には長い年月を要すると考えられます。そこで、具体的な実施時期につきましては、市の総合計画等によって、その財政等の状況も照らし合わせながら考えてまいりたいということで考えております。いずれにいたしましても、現在策定しております整備の基本構想は、あくまでも一つのビジョンでございますので、今後の財政的な問題等を含めまして、全体的な考え方の中から進めてまいりたいと考えておりますので、長期部分につきましては、現時点では年次を定めずに、もう少し今後の短期の整備の状況を見た以降に考えてまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解を願いたいと存じます。
9番【加藤仁司君】
御答弁をいただいたわけでございますけれども、若干再質問させていただきます。 今市長の方から御答弁がありましたように、今回の部分についてはちょっと純化という観点とは違うということでお話があったわけですけれども、去年の12月議会の中で、城内の遊園地にある飛行塔・観覧車の撤去に関しての条例が可決されて、既に撤去されたわけでもございます。実は、私白身も、この飛行塔・観覧車、小さいころからなれ親しんだこういう施設がなくなるということについては大変遺憾でもあり、またそういう思いをされた市民の方も多くいたと思います。 しかしながら、小田原市がこの小田原城というものをシンボルとして、城跡整備、その純化を図って歴史的観光価値を高めることが、観光、そしてまた市長もおっしゃるような魅力的な小田原市をつくる一つのきっかけではないか、そのように思いまして、史跡純化促進の立場から、この飛行塔・観覧車の撤去に賛同した経緯があります。 3月の予算委員会の中でも、今回この講堂の活用の意向が出されたという経過もあって、市としてはこの要望に沿ったというように答えられると思うんですけれども、私自身思いますと、先はども言いましたけれども、事前協議が行われている旭丘高校の校舎建替え、これらに絡みまして、やはり市が率先して純化ということの姿勢をとることが必要なのではないか。また、この三の丸小学校旧校舎が解体されて、この講堂自体も早急に解体を図るということを市民の前に示すことで、小田原市は21世紀を目指して、積極的に観光都市・小日原を創造しているよと、このような気概を是非市民の前に示してもらいたい、このように思うわけでもございますけれども、これについて御答弁いただければありがたいと思います。
○市長【小澤良明君】
9番加藤議員の再質問にお答えさせていただきます。
史跡の純化という問題に関係をいたしまして、昨年の暮れの議会におきまして、遊園地の飛行塔・観覧車の撤去をさせていただきましたことだとか旭丘高校のことにつきまして御指摘がございました。もちろん、小田原城跡の整備の基本構想に基づきまして整備の促進あるいは史跡の純化を進めていくわけでございますけれども、特に遊園他の飛行塔・観覧車の問題につきましては、私自身、9番加藤議員と同じ思いであの施設を考えておりまして、市民の皆様方の悲痛とも言える声も本当に心を痛める思いで聞いておりました。 しかしそういう中で、阪神・淡路大震災の教訓によります小田原の防災計画の見直し等によりましてチェックをさせていただきましたところ、どうしても遺構を壊さないと補強の方法がない、あのまま放置いたしますと子供たちの生命の危険にかかわる問題になる、こういう問題に直面をいたしまして決断をさせていただきました。いずれにいたしましても、そういうことでございますから、豆自動車や豆電車のことにつきましては、当面その純化という問題とどこまで折り合いがつくか、なかなか難しい問題もございますけれども、今9番加藤議員の御質問にございましたような市民の気持ちもいろいろと配慮させていただきまして、できるだけ当面の間ということで残させていただきたいと考えたところでございます。
また、旭丘高校の問題につきましても、小田原市の文化財保護委員会あるいは神奈川県の文化財保護課あるいは文化庁の御指導等にもよりまして、御承知のとおりの経過をたどってまいりましたけれども、いずれにいたしましても、これも、教育の場所ということと、文化財を守る、純化をするということの両方の難しい選択の中でぎりぎりの判断をさせていただいた結果として今がある、こんなふうに考えております。
御指摘の講堂の問題につきましても、全く視点は違うと思いますけれども、純化をしていくという問題と、あるいは史跡の価値を全体的に高める中で結果的に市民あるいは訪れる人たちの史跡に対する愛着や高い評価につながっていく、そういうことの両面をいろいろと判断させていただき、既存の講堂を暫定的に歴史体験施設として使用させていただくということの調査の委託料につきまして、議会の皆様方に御審議をお願いしているところでございますので、是非この点につきましてもよろしく御理解をお願いしたいというふうに思います。以上でございます。
9番【加藤仁司君】
今、市長から御答弁をいただきまして、確かに純化の部分と文化的ないろいろな価値との中で、どうしても食い違いが出てきてしまうところではあるんですけれども、今回この質問を数人がやっているわけですが、とにかく暫定的だからという言葉が必ず出てきます。暫定的ということで講堂が利用されるということ自体、私も経験は浅いですから、歴史的なこととかわからないところも多いんですけれども、この暫定期間を迎えたときに、もうここでおしまいだよということになったときに、これは余計な心配かもしれませんけれども、また存廃問題が浮上することも考えられるわけです。これは、いろいろこういうことが考えられるかなと思うのが幾つかあるんですけれども、先ほど出ていた、採算が合わないからもうちょっと延長してみるとか、この旧三の丸小学校の解体のときに話があったような文化的価値が講堂にもあるんじゃないかとか、またいろいろさまざまな問題といいますか提案がされるのではないかと思うんです。それ以上に、長期計画ということではありますけれども、白河市の方は、市の都合で、文化庁がいいと言ったから暫定的に残すということを決めたとして、やはりこの史跡の純化のためには、先ほど来お話がありますように、民間施設にしても公共施設にしても移転を余儀なくされるという場面も出てくるわけでもございます。そのときに、今回のこの部分で、市はとりあえず文化庁がいいと言ったから残しましたということですが、ほかの機関から例えば移転・撤去の要請をされたときに、おれたちは従わないよと。そういうような問題、これが一番大きな問題ではないか。こういう懸念をどうしても持つものですから、今回市長に対して、とにかく純化という方向の中で、先はども言ったように遊園地の施設にしても理解を示させていただいたということでもありますので、今この史跡は純化の方向でいきますという強い方向づけを是非出していただきたい、このように願うわけでもございます。この問題については、また付託された委員会の中でいろいろな議論が展開されると思いますけれども、私自身、これを考えますと、是非この件については再考を促したい、このように意見を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。