平成11年9月議会一般質問
1999年09月01日
質問要旨(H11-09)
1(1) 少子化の進行に伴う市立幼稚園・小学校・中学校の今後のあり方について
2(1) 国旗及び国歌に関する法の成立を受けて、教育現場での扱いはどうするのか
3(1) 義務教育諸学校用教科書採択状況について
○6番【加藤仁司君】 通告に基づいて、順次質問してまいります。
はじめに、少子化の進行に伴う市立幼稚園、小学校、中学校の今後のあり方について何点か伺います。
平成11年6月11日、厚生省が発表した98年人口動態統計によると、ある年の15歳から49歳までの女子の年齢別出生率を合計した値で、一人の女子がその年次の年齢別出生率で子供を産むと仮定した場合の、一生の間に産む平均子供数をあらわす、いわゆる合計特殊出生率が、平成10年には1.38人と過去最低だった前年の1.39人をわずかに下回ることとなりました。同調査によると、平均初婚年齢が男性28.6歳と横ばい状況であるのに対し、女性は26.7歳と前年を0.1歳上回り、また、初産を迎える母親の平均年齢は、毎年0.1歳程度の上昇で過去最高年齢の27.8歳を記録いたしました。さらに、年齢別出産数では、30代の出産数は対前年比で約1万9000人の増であるが、逆に20代は約9000人の減少となりました。このように、少子化と言われる背景には晩婚化・晩産化の傾向が大きく起因しているものと考えられます。
さて、このような少子化への進行は、我が国においても、また都道府県、市町村においてもエンゼルプランの策定・実施等子育て支援策が講じられているとはいえ、将来の我が国の社会経済に大きな影響を与えることは必至の情勢であります。周知のとおり、本市においてもこの9月定例会で補正予算に計上された少子化対策臨時特例交付金は、少子化対策の一層の普及促進と雇用・就業機会の創出を目的として、保育所待機児童の解消、地域の実情に応じた少子化対策に関する事業の実施のために、総額2003億円をかけて各都道府県、市町村に配分されました。
以上のような少子化対策が図られる一方、神奈川県において、県立高校改革推進計画が発表されました。本計画では、少子・高齢化の進行、国際化・情報化の進展など社会の急速な変化とともに、興味や進路希望が多様となったことへの対応をはじめ、生徒数の減少の進展による県立高校の適正な学校規模の確保と配置の必要性がうたわれております。既に7月18日の県立横浜平沼高校での「県立高校改革を考える」と題する「高校フォーラムかながわ’99」を皮切りに、県内6会場にて県立高校改革推進計画骨子案の説明と意見交換が行われたと聞き及んでおり、さらに8月には県立高校の前期再編整備計画が示され、この県西学区では、小田原城内高校が平成14年度より募集を停止し、小田原高校に再編統合され、平成16年度に単位制による普通科高校となることや、西湘高校は平成17年度に自然科学の専門コース設置校となる予定とあります。この計画は県によるものと十分承知をいたしておりますが、小田原市内にあり、歴史的にも多くの卒業生を送り出した城内高校の統合について、市長の御所見をまず1点お伺いいたします。
さて、前述のとおり、県においては県立高校改革が進められようとしておりますが、本市においても懸念されることは、やはり少子化による就学児童・生徒の減少であります。平成11年度当初予算説明資料の小田原市立小・中学校児童・生徒数の推移によると、小学校における平成8年度の児童数は25校合計で1万2079人で381学級、平成12年度の1万1373人、361学級まで児童数は減少し続けるものの、平成13年度からは徐々に増減を繰り返し、平成16年度には児童数1万1453人、368学級と推測されております。一方、中学校では、平成8年度の生徒数は12校合計で6474人で181学級、これも増減を繰り返し、平成16年度には児童数5713人、160学級と推測されており、小・中学校合わせますと、平成8年度から平成16年度までの児童・生徒数の減少数は1387人、34学級となり、本市も少子化の波は避けられない状況にあります。そこでお尋ねいたします。本市における児童・生徒数が激減する学校は今後どうなるのか、統廃合等の考えはあるのか否かお尋ねいたします。
次に、少子化の進行がさらに加速度を増して影響を与えるものに、市立幼稚園の存在があります。既に、少子化が叫ばれる以前より、報徳、矢作を除く市立幼稚園の定員割れが生じて久しく、酒匂、東富水、前羽、下中の各幼稚園は定員の半分にも満たない状況です。そこで、市立幼稚園の現況を示したわけですが、市立幼稚園は今後どうなるのか、また、少子化問題以前から懸案となっている定員割れについてどう思われるのかお尋ねをいたします。
さて、平成9年9月、文部大臣は中央教育審議会(中教審)に今後の地方教育行政のあり方について諮問し、平成10年3月に中間報告を、そして平成10年7月に答申が示され、そして同年12月14日、学習指導要領が改訂され告示されました。この新学習指導要領では、(1)豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること、(2)みずから学び、みずから考える力を育成すること、(3)ゆとりのある教育活動を展開する中で、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実すること、(4)各学校が創意工夫を生かし特色ある学校づくりを進めることを重点として改訂されました。本学習指導要領は、幼稚園においては平成12年度から全面実施、小・中学校は平成14年度の実施となっておりますが、その中の、各学校が創意工夫を生かし特色ある学校づくりを進めるには、具体的な方策として現状で何か考えられておられるかお尋ねをいたします。
続いて、この特色ある学校づくりでは、私は、ただ単にソフト面としての取り組みだけでは不十分ではないかと思います。各学校によって画一された学校運営であれば、自分の住居近くの学校であろうが、遠くの学校であろうが、ほとんど差異のない教育が施されるであろうけれども、創意工夫の時間割編成や学校自体に特色を持つ施策を行った場合、児童・生徒の中にはなじめない者も出てくるのではないかと心配をいたします。とりわけ自分に合った学校の選択、すなわち学区制の改廃を視野に入れるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、御所見を伺いたいと存じます。
次に、質問の大項目の2番目、「国旗及び国歌に関する法律」の成立を受けて、教育現場での扱いはどうするのかについて伺います。
平成11年8月9日、戦後五十有余年間続いた、教育現場における不毛な政治的・イデオロギー的対立に終止符を打つ、国旗・国歌法が成立いたしました。衆議院では賛成403票、反対86票、参議院は賛成166票、反対71票と全国会議員の4分の3以上の支持を得て成立された同法の意義は非常に大きいと感じずにはいられません。このたびの同法の成立について、市長の率直な意見、感想をまず伺いたいと存じます。
次に、国旗・国歌の教育現場での扱いについてお伺いいたします。本年6月29日に開議された第145回国会本会議の内閣提出「国旗及び国歌に関する法律案」の趣旨説明及び質疑の中で、各政党がさまざまな視点で国旗・国歌が教育現場でどのように扱われるのかの質疑が繰り返し行われました。その中で確認された事項は、学校が指導すべき内容は学校教育法に基づく学習指導要領に定めることとされ、その学習指導要領には、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」となっており、そして学校における国旗掲揚、国歌斉唱の指導は、児童・生徒が国旗及び国歌の意義を理解し、それを尊重する心情と態度を育てるとともに、すべての国の国旗及び国歌に対してひとしく敬意を育てるために行うこととしていると答弁されております。しかしながら、本法律は法律自体に尊重義務規定が明示されておりませんが、このことで教育現場における混乱が心配されます。
平成11年6月12日に開催された日教組第86回定期大会の大会宣言によると、抜粋ではありますが、こう述べられております。「憲法危機の中で、平和・人権・環境と民主主義の運動推進がまさに問われている。違憲の集団的自衛権の行使を含む新ガイドライン関連法を実働化させない取り組みを、米軍基地の縮小・撤去、脱原発などの取り組みとともに進めていく。また、日の丸・君が代の強制に反対して、国旗・国歌としての法制化を許さず、通信傍受法案(盗聴法)、住民基本台帳改正案の成立を許さない取り組みや、憲法調査会の設置反対の取り組みとともに強力に進める」。さらに、同法が成立した8月9日には、国旗・国歌法案の成立にかかわり、日教組の戸田書記長は、「法制化が強行されたことは極めて遺憾である。日の丸・君が代が侵略と支配のシンボルとしてゆがめられた歴史を持っていることを含めて、歴史的認識を培うことの重要性などについては、国会審議の中でほぼ合意に達した。学校現場での問題については、子供たちの内心の自由を尊重するため、国歌斉唱のときに退席したとしても、子供に不利益を与えてはならないことが確認されたが、この確認を尊重するように関係者の努力を求めたい。一方、教職員(公務員)に対しては、内心の自由に反してでも指導すべきとの答弁が繰り返されたが、この公務員の職権と市民的権利という分野はまだ未解明であり、今後、国会や学会において十分解明されることを求める」(抜粋)とコメントしております。ただ単に法律への反対の意思表明についてとやかく言う必要はありませんが、最も重要なことは、以上のような意思表明をした団体に小田原市の公立学校教職員の実に91.8%が加入しているという事実であります。詳しくは日教組の下部組織として西湘地区教職員組合があり、前述した加入率はこの西湘地区教職員組合への加入を示したものであります。
そこでお尋ねいたします。このように組合の大会宣言、コメントは、同法について明らかに反対の表明がなされており、そこに所属する組合員のこれからの行動に注視する必要があると思います。そこで、さきにも述べましたとおり、教育現場において、尊重義務を明示しないことで、あえて混乱を意図的に起こすことも懸念されますが、教育委員会としての取り組みはどのようにされるおつもりかお伺いをいたします。
さらに、国旗・国歌に対する尊重義務規定が盛り込まれていないことで、殊さら児童・生徒に対して、国旗・国歌は法制化されたが、国旗掲揚の際に退場してもいいんだとか、起立し斉唱する必要はないなどと、あえて学習指導要領に反する行為を行った者にはどのような対応措置を行うのか示していただきたいと存じます。
最後に、義務教育諸学校用教科書採択状況について伺います。
平成10年11月13日、教科用図書検定調査審議会は、新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善について建議しました。まず、教科書は、教育課程の構成に応じて組織・配列された教科の主たる教材として、児童・生徒の教育に極めて重要な役割を果たし、民間による著作・編集、文部大臣による検定、教育委員会等による採択の手続を経て児童・生徒に提供されるものであり、その充実改善を図る必要について指摘をしております。その建議にさかのぼること7年半前の平成2年3月20日付で文部省は、「教科書採択のあり方の改善について」と題する通知の中で、「採択は、採択権者(教育委員会)がみずからの権限と責任において適正かつ公正に行う必要がある。このことは、教科書に対する国民の信頼を確保するためにも極めて重要なことである」と指摘しております。
さて、来年度からは新しい小学校の教科書が導入されます。小・中学校の教科書は通例として4年間使用することとなっておりますが、平成14年度からの新学習指導要領の実施に伴い、変則的に2年間だけの使用となりました。6月24日、文部省による小学校教科書の検定結果が発表され、その後の本市における教科書採択に至るまでの経緯について示してみますと、まず、文部大臣から県教育委員会に検定をクリアした教科書目録とともに発行者から見本本が送付されます。この発行者からの見本本は、県教育委員会からの教科書目録とあわせて採択地区内市町村教育委員会にも送られ、県教育委員会は調査員がかかわった教科用図書選定審議会に諮問、そしてこの審議会から答申を受けて、採択地区内市町村教育委員会に指導・助言・援助が行われることとなっております。本市においては、市教育委員会ですぐに教科書が採択されるのではなく、本市と足柄下郡3町の構成員で組織する足柄下採択地区協議会(足柄下教育事務所内)に諮られます。足柄下採択地区協議会は、各教育長をはじめ、教育関係者である調査員、整理員を含めて組織されており、その調査員並びに整理員がそれぞれの教科書に対しての意向が示された資料を採択地区協議会に諮り、その協議会での議論をもとに各市町村教育委員会の採択作業が行われるとなっております。その間、県教育委員会は各地区で教科書展示会を開催し、県民全般に検定済み教科書を閲覧できる期間を定めております。
このような複雑な過程を経て採択された教科書が、小学校においては来年度より使用されるのですが、採択された教科も多岐にわたることから、ここはそれぞれの教科書の特色があらわれやすい社会科を例にとってお伺いいたします。まず1点目として、教科書採択はどのような基準でなされたのか、また、今回採択された教科書の採択理由は何かお尋ねをいたします。
さらに、先ほども申し上げましたとおり、検定から採択まで非常に複雑な経緯によって決定がなされております。東京都のある種の事例では、採択の際、教科書本体の実物に則した調査に関してはわずか15分のセレモニーを行っただけとも聞いております。本市においては、教育長を含み5名の方々が、議会の同意により選任された教育委員会委員がおられ、このような複雑な過程を経なくても、教育委員による直接審査を行うという簡略化が図られるよう県とも協議すべきだと存じますが、御所見をお伺いいたします。あわせて、小田原市教育委員会の本年の採択決定に費やした時間、会議で出された意見等をお示しいただきたいと思います。
以上をもちまして、1回目の質問を終わりといたします。(拍手)
○議長【穂坂英山君】 市長、登壇願います。
〔市長(小澤良明君)登壇〕
○市長【小澤良明君】 6番加藤議員の御質問に順次お答えさせていただきます。
教育問題につきましては、教育長の方からの答弁とさせていただきますので、あらかじめ御了解いただきたいと思います。
はじめに、小田原城内高校の統合について率直な所見を伺いたいとの御質問がございました。県立高校改革推進計画案につきましては、社会の変化や生徒の多様化、少子化の進行などさまざまな課題に対応するため、県立高校の適正な規模を確保するとともに、生徒が将来、社会の発展や調和に貢献する自立した人間となるために、新しいタイプの高校等の設置に向けて、県立高校の再編整備、つまり既設高校の発展的統合や単独の高校の改編が盛り込まれているわけであります。多様で柔軟な高校教育の展開、地域や社会に開かれた高校づくり、活力ある教育活動を展開するための規模及び配置の適正化を県立高校改革の基本方向として定め、再編統合の実施に当たっては、各学校の立地条件や周辺環境、通学の便、校舎・敷地の状況などを十分考慮し、総合的な観点から対象校が選定されているということであります。神奈川県は、小田原城内高校につきましてもこのような総合的な観点から考えられたものであるようでございますが、御指摘のように、歴史的にも多くの卒業生を送り出した名門校、城内高校が統合されるということになりますと、市内外にさまざまな波紋を惹起するということも考えられます。伝統ある県立校ということもございますので、今後ともその推移を注視してまいりたいと考えているところであります。
次に、本市における児童・生徒数が激減する学校は今後どうなるのか、また、統廃合の考えはあるのかとの御質問がございました。児童・生徒数につきましては、御指摘のとおり、ピーク時から比べるとかなり減ってはおりますが、余裕教室は生活科教室やパソコンルーム、ランチルーム等に活用しているようであります。本市のゼロ歳児から中学校3年生までの児童・生徒数の今後の推移から考えますと、現在と比べると大きな減少傾向は認められない状況でございますので、小・中学校の統廃合につきましては、現状のところでは考えておりませんので、御理解いただきたいと思います。
次に、このたびの「国旗及び国歌に関する法律」の成立に対しての御質問でございますが、内閣総理大臣や文部大臣からの談話が発表されておりますように、私も、長年の慣行によりまして、それぞれ国旗・国歌として定着いたしておりました日章旗及び君が代につきまして、今回、成文法でその根拠が明確に規定をされましたことは意義深いものと考えております。今回の法制化に伴い国民に新たに義務を課すものではないということでありますが、国旗と国歌とは国家の象徴として大切に扱われるものであろうと考えております。また、国家にとって必要なものであると考えているところであります。
以上をもちまして、私からの6番加藤議員の御質問に対しましての答弁とさせていただきます。以下は教育長から答弁をしていただきます。
○教育長【中村 瑛君】 6番加藤議員の御質問のうち、市立幼稚園の今後はどうなるか以下の御質問につきましては、私からの答弁とさせていただきます。
まずはじめに、市立幼稚園は今後どうなるか、また定員割れについてどう思われるかとの御質問がございました。市立幼稚園の今後につきましては、平成16年を目途とする「ビジョン21おだわら」の前期基本計画に基づきまして、幼稚園教育の振興計画を推進するための制度の研究や施設のあり方についても、地域バランス等を踏まえたさまざまな角度から現在検討を進めておりますが、今のところ具体的にその結論は出ていない状況でございます。市立幼稚園の定員割れにつきましては、昭和54年度の1052人を最高に年々減少いたしております。現在は580人となっておりますが、数字が示しますように、地域幼児数の減少の激しさに加えまして、定員数が開園当時の幼児数に合わせて大きく設定してあることも原因と考えております。しかしながら、定員を大幅に下回っている酒匂、東富水、下中、前羽の各幼稚園につきましては、定員には満たないものの、昨年よりも園児数がふえている状況が見られるわけでございます。市立幼稚園のあり方につきましては、今後、昨今の少子化や核家族化、女性の社会進出の増加など社会状況を踏まえまして、定員の見直しを含め、慎重に検討してまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいというふうに存じます。
次に、各学校が創意工夫を生かし特色ある学校づくりを進めるために、具体的な方策として現状で何か考えているか、また、学区制の改廃を視野に入れるべきではないかとの御質問がございました。各学校におきましては、学校ぐるみで例えば環境教育に取り組んだり、あるいは地域の人にそれぞれの生き方を学んだりというような、地域に根差した特色ある学校づくりを進めているところでございます。学校規模も含めて、これらをその学校の個性としてとらえ、カリキュラム編成や新教育課程で創設される総合的な学習の時間につきましても、各学校が工夫を凝らした取り組みを始めたところでございます。しかし、ここで注意しなければいけないのは、まず特色ある学校ありきということではなくて、それぞれの学校が掲げております教育目標、それに対しまして、それぞれの学校の児童・生徒の実態、このところを埋めて学校教育目標に近づけるのがそれぞれの学校の教育活動でございます。したがいまして、その教育目標に迫るために、それぞれの地域によってそれぞれの取り組みが考えられると思いますので、そこにそれぞれの学校の特色ある学校づくりというものを私としては考えていきたいというふうに思います。今後は今まで以上に個性を重視した特色ある学校づくりが進められるものというふうに考えております。教育委員会といたしましては、それぞれの学校に対しまして指導・支援をしてまいりたいと、このように考えております。一方、学区の見直しや保護者や生徒が学校を選択していくという方法につきましては、今のところは考えておりませんが、今後の課題であると認識をしております。
次に、「国旗及び国歌に関する法律」の成立に関しまして、尊重義務を明示しないことで、あえて混乱を起こすことも懸念されるが、どのような扱いをするかという御質問がございました。学校教育における国旗・国歌に関する指導は、児童・生徒が我が国の国旗及び国歌の意義を理解し、諸外国の国旗及び国歌も含め、これらを尊重する態度を身につけることができるようにするために、学習指導要領に基づいて実施されているものでございます。現在、本市におきます国旗掲揚及び国歌斉唱の実施状況は、卒業式を例にとりますと、小学校25校、中学校12校すべてで実施をされております。教育委員会といたしましては、そういうような実態を踏まえまして、教職員、児童・生徒とともに国旗及び国歌に対する正しい認識がさらに進むものではないかというふうに考えておるところでございます。
次に、学習指導要領に反する行為を行った者にはどのような対応措置を行うのかということにつきましてお答えをいたします。先ほどもお答えしましたように、学校教育における国旗及び国歌に関する指導は、学習指導要領に基づいて実施されているものでございます。教育委員会といたしましては、今回の法制化に伴い、学習指導要領に基づくこれまでの指導に関する取り扱いを変える考えはございません。また、学校現場におきまして、教職員等による的確でない指導があった場合には、県教育委員会と連携をとりつつ、対応してまいりたい、こんなふうに考えております。いずれにいたしましても、今後とも学校現場における国旗及び国歌に関する指導が一層適切に行われていくよう努力してまいりたいと考えております。
次に、本市が来年採用する教科書について、その採択の基準と採択理由についてのお尋ねがございました。本市が来年採用する教科書につきましては、神奈川県教育委員会の採択基準に基づきまして、1市3町(小田原市、箱根町、真鶴町、湯河原町)によります神奈川県教科用図書足柄下採択地区協議会によりまして、国で検定されましたすべての教科用図書につきまして、詳細に内容を検討し、資料を作成し、厳正な選定を行っているところでございます。具体的には、編集の趣旨と工夫、内容、組織・配列・分量・表記、造本等の検討事項に基づきまして、各教科ごとの観点や、さらには地域の児童の学習に適切なものであるか等、総合的に判断し選定されております。なお、本市教育委員会からは、この協議会に、私を含めまして2名が教育委員会の代表として参加をしております。その選定が適切であったこと等を私の方から教育委員会会議で説明し、採択を決定いたしましたので、御理解をいただきたいというふうに思います。
次に、教科書採択に至る経緯が複雑過ぎ、教育委員による直接審査など簡略化が図られるよう県と協議すべきとの御質問がございました。現在、義務教育諸学校用教科書の採択につきましては、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」に基づいておるわけでございます。この法律では、採択に関しまして、県教育委員会の任務、採択地区の設定などが定められております。また、施行令によりまして、さらに細かく規定されておりまして、教科書採択に至る経緯が複雑であることは6番加藤議員の御指摘のとおりであると思います。平成10年9月に中央教育審議会から出されました「今後の地方教育行政のあり方について」の答申にも、県の役割や指導の見直し等がございますので、その推移を見守りながら、今後、機会をとらえて意見の交換等をしていきたいというふうに考えております。
次に、教科書採択に教育委員会が費やした時間、会議で出された意見等を示していただきたいとのお尋ねがございました。教科書採択に至る経過につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおりでございますが、最終的には、それぞれの教育委員会が教育委員会議に諮り採択をいたしております。この会議で小学校教科用図書の採択にかかわりまして要した時間は10分でございます。また、出されました意見等は、「書店が変わったなど、従来と変わったところはありますか」と、これは出版会社の意味というふうに解釈をしていただければと思いますがという、そういう質問がございました。
以上をもちまして、6番加藤議員に対します私からの答弁とさせていただきます。
○6番【加藤仁司君】 一定の御答弁をいただきました。再質問をいたします。
城内高校については、総合観点での対象校となってしまったということで、推移を見守りたいということでございます。市の方でできる範囲というのがございますので、これはこれ以上どうこうできるものではないと解釈をいたします。
そして、各学校への今後のあり方については、少子化の観点ということで質問いたしましたけれども、現状、統廃合は考えていないということで、ある一面ほっとしているような感じがいたします。少子化が進んだとしても、今出されている「ビジョン21おだわら」では人口の第一目標が23万人で、その人口増を望むものであります。
さて、幼稚園の件については、教育長の方から、現在いろいろな中身についての検討を進めているということでありますけれども、まず最初の質問として、公立幼稚園の通園方法、保育時間、教育内容、この3点はどうにかならないものかと、よくお母さん方から要望や意見が出されることがあります。この通園方法、保育時間、教育内容の3点について、今後どのようにされるおつもりか、まず第1点として伺います。そして、前に私も福祉文教常任委員会に4年間おりまして、ちょっと聞いたんですけれども、幼稚園にかかわる協議会があるということでお聞きをしております。研究をしたり調査をしたりする機関、協議会、このような存在があるのか、また、あるとすればどのような内容なのかお示しをいただきたいと思います。
それから特色のある学校については、教育長の方からお話があったんですけれども、私は第1の質問でも述べましたように、今の教育長の御答弁からすると、現状とあまり変わらないのではないかな、逆に、今度の新学習指導要領には相当特色ある学校を目指す、そういった意気込みを感じるわけです。言うならば完全自由校だとか、スポーツ重視校、または大変厳しい学校とか、ハード面といいますか、そういったものが、その特色自体が相当強烈な特色の学校をつくるようなイメージとして受けとめていたものですから、私が解釈しているのと教育長の解釈とはちょっと違うようですけれども、違うのかどうか確認をしたいと思います。
さて、国旗・国歌の件ですけれども、市長の方からも、今回の法律においては大変意義深い、国家の象徴として大切であり必要なものだということで御答弁をいただきました。しかしながら、まだ法律が決まってから卒業式を迎えていないのでわかりませんけれども、いろいろ聞くところによると、卒業式でも、例えば壇上に先生が登ったときに一礼をしない、君が代斉唱のときには口もあけないという先生方もいたとかということを聞くこともあります。やはり子供は純粋に慕っているわけですから、そういう先生の姿を本当に見ていると思います。教師そして公務員としての自覚をぜひとも促したい、このように思います。
なかなか時間が経過するのが早いものですから、言いたいことを言い切れない部分があるかもしれませんけれども、今回の国会においてもいろんな議論がありました。先ほど29番関野議員もそれについて触れられていましたけれども、審議時間が少ない、侵略戦争のシンボルではないかというような指摘があったわけでもございます。しかしながら、私が思うには、今回の法制化が、学級崩壊やいじめ、そのような学校の中でいろいろと今問題化されている、その問題解決の糸口となる、また、希薄となっている他を思いやる心、社会や国を愛する心が早期に正常化される、このような糸口になるんじゃないか、このように思っております。いろいろと指摘される日本の侵略戦争のシンボルということであれば、それこそ敗戦によって日の丸・君が代がなくなってもしかるべきだったかもしれませんけれども、なくならなかった。このことは本当に非常に大事なことだと思います。戦勝国の手によって憲法が変えられて領土も変えられました。戦犯として死刑をはじめ刑事罰も受けました。結局、戦勝国の将兵たちが亡くなった犠牲になったという背景があるにもかかわらず、日の丸・君が代が抹殺されなかった。これはやはり感情では左右されない国家の存在、すなわち、日本の歴史を、日の丸・君が代を認めていたからではないかな、このように私自身は思うわけでもございます。国旗・国歌法が成立した以上、教育委員会においても、私が今第1の質問で言いましたような心配事がそれこそ取り越し苦労であってほしいというように願うわけですけれども、引き続き適正なる対応をお願いするものであります。
前置きが大変長くなりましたけれども、国旗・国歌に関しての再質問ですが、学習指導要領では、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と。この指導要領に書かれているように、入学式や卒業式などという表現があるんですけれども、この「など」とは何なのかお示しをいただきたい。あわせて、本市でもそうなんですが、公の機関である公立学校も毎日国旗を掲揚することが、国旗を尊重する心情と態度、そして敬意を育てることにつながる、国への帰属意識や誇り、自覚を持った国際人としての意識にも通じると考えるんですけれども、それに対しての御所見を伺いたいと思います。
さて、3番目の教科書に関する件、いろいろとお話を聞いていく中で採択に至る経緯がはっきりしてまいりました。今、御答弁の中には基準と方針、いろいろと御答弁があったわけですけれども、結局、教科書の採択に至るまでの経緯、ここに出てくる方針の中には、神奈川県教科用図書選定審議会の答申に基づき定める、また、採択の基準においては、教科用図書に関する調査・研究の結果等を活用して採択すると記載されております。結局、神奈川県教科用図書選定審議会、この存在自体、私も内容がわからないんですけれども、この審議会の答申によって採択自体がすべて左右されているような感じがいたします。これは完全に、採択権者である市教育委員会の採択権を骨抜きにしている、もしくは形骸化している、このように思います。なぜ形骸化しているように思えるのかといいますと、先ほど教育長の御答弁にあった、小田原市教育委員会の会議においては採択に費やした時間が10分だけだったと、10分であれば会議が始まってそれこそ閉会まで実際の質疑はほんの二、三分なのかな、そんな会議が成立するのかなと思うんですけれども、このようなことから明らかではないかと思います。そして、この基準の部分については、採択自体、何をもとに採択をするか、先ほどの教育長の御答弁の中には、基準を示しているということではあるんですけれども、第1番の基準というのはやはり学習指導要領ではないのか、このように思います。市教育委員会での採択に学習指導要領そのものが大いに関係があると思うんですけれども、関係がないのか、教科書における一つ目の質問といたします。
また、先ほど言いました神奈川県教科用図書選定審議会から出された答申、これ自体にランクづけとかされて答申がされているのか、内容を教えてもらいたいと思います。
また、採択の理由をもう一度伺いたいんですけれども、先ほど最初のときに言いました小学校6年生の社会、これを一つ例にとった方が早いと思いますので、これを例にして挙げますけれども、今回採択されたのが教育出版だということで伺っています。教育出版の教科書はどこがすぐれて、またほかの選定に上がった教科書はどこが劣っていたのか、この具体的なものを示していただきたいと思います。
○教育長【中村 瑛君】 何点かの再質問がございまして、最初の公立幼稚園の件につきましては、担当の方から答弁をさせていただくということで御了承いただきたいと思います。
その次に、特色ある学校づくりということで私が御答弁申し上げましたのは、真意は、いわゆる特色、特色ということに気持ちがいってしまって、子供の実態あるいは地域の実態ということをしっかりと見詰めないでそういう学校づくりに飛び込んでしまうと、結局は本物の教育にならないんじゃないだろうか。こういう基本的な特色ある学校づくりについての意識といいますか、そういうのをベースにして、まず学校の教育目標がある、そうして子供の実態がある、このすき間を埋めていく教育活動が学校で取り組むべき本来の姿であろう。ただ、そこで取り組むべき方法はいろんな方法が考えられます。その方法をソフトだけでとらえられると、私はもう少し幅広くこの方法をとらえているわけでして、そういうことでそれぞれの学校が地域性を生かす、そういう意味の特色ある学校づくりは大いに結構であるし、最終的には校長の決断でもっていろんなスタイルが考えられるであろう。ただ、先ほどの御発言の中にありました完全自由校というのが、果たしてそこで出てくるかどうか、現時点では私の意識の中にはございません。もう少し枠の中で自由な選択をしてほしいなというのが私の特色ある学校づくりの要件でございます。
それから国旗・国歌につきまして、思いやりの心とか、相手の気持ちを理解する態度とか、そういうものがこれによって培われていくのではないだろうかという御発言がありました。他者を思いやる心、心情というのは、人間の人格形成の中で非常に大事な要素でございます。これは国旗・国歌に限らず、いろんな場合を通じて各小・中学校の教員は取り組み、また苦労をしているところでございます。非常に育ちにくいのが教育の場では心情の面でございます。知識面は比較的楽ですけれども、心の教育というのは最も難しい。いろんな手段を通じて人を思いやる心というのは育てていってくれているというふうに受けとめております。
それから「など」ということについてどういうものかという御質問がございました。通常は入学式、卒業式、特に卒業式というのは学校にとっては最大の学校行事でございます。3年なり6年なり手塩にかけた子供たちの晴れの門出を祝うという意味もございます。しかし、その式の形態につきましては、昔は来賓の方やいろいろな方が壇上に登り、子供たちがフロアに座ってやっておった卒業式も、並列になったり、いろんな工夫をすることによって、今各小・中学校ではいろんなスタイルの中で卒業式が行われています。しかし、そういう卒業式や入学式のほかに、例えば始業式とか終業式とか修了式とかまたは開校記念日とか、そういういろいろな行事が考えられるわけですので、この辺につきましては、それぞれの学校がその行う行事の意義を踏まえて判断をするのが適当であるというのが学習指導要領では示されているわけですけれども、そのようなことで、この「など」という言葉を御理解いただければありがたいというふうに思います。
それから教科書採択につきましてランクづけがあるのかどうかという御質問がございました。これは全くございません。
それから採択の基準でございますが、非常に抽象的な言葉ですが、三つ示されております。採択に当たっては次の基準により行うと。公明適正を期し、すぐれたものを採択する。学校、児童・生徒、地域等の特性を考慮して採択する。教科用図書に関する調査・研究の結果等を活用して採択する。この三つが示されております。これにつきましては、足柄下地区の採択協議会で、開会に当たりまして、ここをまずしっかりと確認をいたします。それから具体的な作業に入ってまいります。
それから先ほど社会科の教科書をどういう理由で採択されたのかという御質問がございました。これにつきましては、私もその採択地区協議会に出席しておりますが、終わりますと、その資料は全部回収されてしまいまして、今手元にその関係資料が残っておりませんので、詳しく申し上げることができません。どうぞ御了解いただきたいというふうに思います。ただ、この教科書採択につきましては、非常に長い時間をかけまして、現場の教員がチームを組んでいろいろな角度から検討し、それぞれの意見を付してその採択地区協議会に提出しているということは事実でございます。先ほど申し上げましたように、その資料は全部回収されますので、今私の手元に残っていなくて申しわけないんですけれども、そういうことで厳正に教科書を選んでいるということは言えるかと思います。
以下の問題につきましては、担当の方から答弁をさせていただきます。
○学校教育部長【石井紘一君】 6番加藤議員の質問のうち、市立幼稚園の通園方法、保育時間、教育内容及び市立幼稚園の研究調査機関、協議会の存在と内容についてということで再質問がございましたので、私から御答弁申し上げます。
まず、通園方法につきましては、保護者同士の交流や幼稚園での子供の様子を直接見ていただくということから、保護者が徒歩で送り迎えをしていただくという方法をとっております。また、保育時間、教育内容についてでございますが、国が示しております幼稚園教育要領によりますと、4時間を標準とするということで園児をお預かりし、幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与えてその心身の発達を助長するという目的に基づいて教育目標を設定し、心豊かな人間育成を図ることを目指しております。
次に、公立幼稚園の研究調査機関あるいは協議会の存在と内容ということでございますけれども、教育委員会の内部におきまして、幼稚園問題検討委員会というものを設置いたしておりまして、この協議内容といたしましては、保育料の見直しですとか定員の見直し、3歳児保育に関すること、それから幼稚園の将来的方向に関する調査・研究ということで、幼稚園に関する総合的な調査・研究をしているところでございますが、先ほど教育長の方から答弁申し上げましたように、いまだ結論に達していないというのが実情でございます。
以上でございます。
○6番【加藤仁司君】 御答弁をいただきました。最初の1番目の部分については、特に特色のある学校については、教育長の方からわかりやすい答弁をいただいたんですけれども、これは全く別の学校ですけれども、例えば埼玉県の所沢高校のように、あそこも公立という一つの型といいますか枠の中ではありますが、高校と中学、小学校はもちろん違うんですけれども、そういった中で、逆に私どもの方から見ると、自由という名のもとにかなり好きなことをやっているような感じがいたします。このような形になってしまうと困るなということから、特色のある学校とは何ぞやと質問をさせていただきました。また、これが新学習指導要領にのっとっていろいろと動き出すというようなときにもまた議論を重ねたいと思っております。
さて、国旗・国歌の方についてです。おもしろいというと変ですけれども、ある新聞にこんなことが書かれております。多少はしょってしまいますけれども、農水省の事務次官会見で農水省側が会見会場に日の丸を掲げようとしたところ、一部の新聞社、通信社が入り口にふさがるなどして阻止したということは、議員各位もまた執行部の方も新聞等でごらんになったと思います。そういったことを指摘しているんですけれども、公の機関である農水省が国旗を揚げたい、揚げるべきという意思や、揚げても構わないという他の記者の意向を実力で拒んだり、言論で圧力をかけようとするのであれば、そちらの方が強制と言わざるを得ない、このように言及しています。そして、それでもなお阻止しようとするのであれば、成人式の講師の話も聞けない若者同様のだだっ子症候群というしかない、そのような結び方をしております。憲法第19条の思想及び良心の自由は、人間の内面においては何ら侵されることはないわけですけれども、第12条にもかかわりながら、この自由を乱用してはならない、常に公共の福祉のために自由を利用する責任を負わなければならない、このようにも書かれております。ましてや未熟な児童・生徒、学校を通じて社会儀範、最低限のマナー、モラルを修得するものであって、それが集団の中の自分、学校の中の自分の立場を認識する学習にもなることから、自由、自由という名のもとに権利の乱用をし、それこそだだっ子症候群を生まないような教育をぜひとも現場の先生方にはお願いしたいし、公人そして聖職者としての使命をぜひとも果たしていただきたい。これは私の意見でもあり要望でもあります。また、管理者でもある校長並びに教育委員会には、この祈りにも似たような私の気持ちをぜひとも酌み取っていただきたい、このように思うわけでもございます。国旗・国歌に関しては意見、要望ということで、再々質問としては教科書の方に移らせていただきます。
またこれも意見になってしまうかもしれないんですけれども、いろいろとこの質問に当たって、本市が採用された、もう既に名指しをしてしまいましたので言いますけれども、教育出版の6年生の社会科の教科書、これを目にする機会がありました。この教科書を見ますと、私見ですけれども、明治時代から敗戦までの記述は、まさに我が国の歴史は自虐、自虐のオンパレード、このような印象を受けました。このような一連の記述については検定段階でチェックされるべきで、また、されているから出てきているんですけれども、文部省の段階ではそこら辺のチェックといっても比較的緩い、そのようないいような解釈をして、あとは採択に向けていろいろ幅広い議論を期待する、このような形で出てきたんではないかと勝手な解釈ですけれども、では実際に採択段階では緻密な議論が行われているか。先ほど教育長から御答弁をいただいたように、さっき言いましたように10分間、そしてまた教育長御自身がそこに出られているんですけれども、終わると回収されてしまう、手元にないというようなことで、実際に採択権というのは各市町村の教育委員会にあるわけですけれども、そういったものが逆に手元にないというのもやはりおかしな話ではないか。それこそ、この教科書はどうなっているんだと、目に触れた方は言ってくることもあろうかと思います。そのときに採択権のある市の教育委員会が、いや私は存じてないということはやはりできないんじゃないか。実際にこの調査をした部分というのは、現職の現場の先生方がいろいろ長い時間をかけてやった、その御苦労は本当によくわかるわけですけれども、最終的な採択権者である教育委員会は、すべてのものにおいて対応できるような姿勢をぜひともつくるべきだと思います。
私はこの教科書問題をなぜ質問させていただいたかといいますと、特に社会科については、歴史ですね、私なんかもそうですけれども、歴史観や人生観また未来観、ここら辺のところは子供のときに生まれてくる。これの周りに教科書という存在があると思うんです。今述べましたような教科書記述、機会があれば議員の方々もごらんになっていただきたいと思うんですけれども、「日本軍は敵国の軍隊と戦ったんではない。多くの他国の人々に対し、破壊し略奪し殺人を犯す」、こんな刑事犯罪者のイメージ、これで日本の歴史が表現されております。本当にふんまんやる方ない思いであります。我々の祖先が命がけで戦って守ってきた我が国。この教科書記述によりますと、「我が国の緒戦は狂気の残虐者が戦争を仕かけ、他国に迷惑をかけた」との記述が誇大に子供たちの目に触れる。本当にこういった形で祖先を冒涜した形、これには全くやるせない思いであります。学習指導要領の小学校6年の社会科の目標の中には、「国家、社会の発展に大きな働きをした先人の業績やすぐれた文化遺産について関心と理解を深めるようにし、我が国の歴史や伝統を大切にする心情を育てる」と定めていることから、明らかに今の教科書の部分というのは異とするもの、そのような感じがいたします。
大変時間がない中で、話せばずっと続いてしまうんですけれども、時間がありませんので、最後にちょっと述べさせていただきます。午前中に追加議案ということで、中村教育長が今議会で辞職されるということを伺いました。私も当選してから数々議論を重ねたんですけれども、大変寂しい思いでいっぱいでございます。教育問題に関しては、今議会は私が最後になるのかなと思いますので、この際、この6年間教育長としてやってこられた感想といいますか思い、コメントを、最後に伝えていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○教育長【中村 瑛君】 はじめに、教科書関係についてお答えさせていただきます。今るる御発言いただきましたのは、恐らく歴史観の問題であろうというふうに思います。この教科書を検討するに当たっては、事前に文部省での検定が行われまして、そこをいわゆるパスした何社かの教科書、その中で、教科書を使っての教育ですので、この地域としてどの教科書がやりやすいのかとか、いろいろ条項があるわけですけれども、そういう視点で調査委員会も検討し結論を出したことであろうと思います。ですから、歴史観の問題にまでは多分食い込んでいないのではなかろうか。それはもっともとの部分でクリアしていると、こういう理解で採択の事務に取りかかったのだろうというふうに思いますので、その辺は御理解をいただきたいというふうに思います。
最後に、6年間の感想なり思いということでございますが、大変難しい御質問でして、私は、教育は人や環境が人を育てる営みだというふうに考えております。したがいまして、こちらが変わらない限り相手は絶対に変わらない。教育を本業としている人ほど相手を変えよう変えようという意識が強過ぎて、自分を変えようとする意識がややもすると希薄になってしまう。そういうところを痛感いたしました。それからもう一つは、教育には特効薬がございません。平凡な手段ですけれども、本当に基礎的なことをこつこつと根気よく積み重ねていくしか方法はないだろうと、そんなことを思いました。6年間いろいろありがとうございました。(拍手)