平成12年9月議会一般質問

2000年09月01日

質問要旨(H12-09)

1 史跡小田原城跡整備について

(1) 馬屋復原と活用について

(2) 二の丸御殿跡の利用について

2 新学習指導要領の実施に関する件について

(1) 地域との協働による学校づくりとは何か

(2) 「総合的な学習の時間」について

○6番【加藤仁司君】        通告に従いまして順次質問してまいります。

はじめに、史跡小田原城跡整備について何点かお伺いいたします。

本年8月7日より実施された国指定史跡小田原城跡馬屋曲輪跡試掘調査によって、稲葉時代に作事されたと思われる「馬屋」並びに「大腰掛」の遺構が確認され、約 300年前の江戸時代中期、元禄年間に描かれた宮内庁図と言われる絵図どおりに出土されました。このことは新聞紙上でも大きく取り上げられ、9月2日には現地見学会の開催、また、議会においても9月4日に福祉文教常任委員会の視察に私も同行し、現地を見てまいりました。教育委員会による説明では、城内における確認された建物跡の中では、大変保存状態もよく、馬屋跡からは鉄砲玉、銅びょう、鉄くぎ、かわらの破片なども出土し、小田原城の歴史の一端をかいま見ることができました。

さて、平成5年3月に策定された「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」によると、平成16年度までの短期計画では、発掘調査として馬屋曲輪土塁試掘、馬出門桝形本調査が、常盤木門周辺、二の丸主部、本丸等の環境整備とともに行われ、平成16年度以降の長期計画の中で、馬屋曲輪環境整備として馬出門桝形復原、土塁修景整備、馬屋復原が示されております。そこで質問として、今回の馬屋曲輪跡試掘を受けて、さきに示した「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」のとおり馬屋の復原をされるのか、また、されるとした場合、いつごろを予定しているのかお尋ねをいたします。

続いて、この馬屋は宮内庁図では、長さ21間(約38メートル) 、幅3間半(約6メートル)、また大腰掛も長さ12間半 (約23メートル) あったと見られており、復原整備がなされると、登城ルートの一つである銅門へ通ずる住吉橋前に新たな観光スポットとして誘客が図れるものと大いに期待をいたします。そこで、馬屋復原といっても、建物の復原だけで果たして人が訪れるかは疑問であります。例えば彦根城の馬屋は元禄時代に建立されたと言われ、こけらぶきの屋根や白壁に下見板張りの外周という重要文化財に指定されているものはそれ自体の価値が認められるものの、復原となると忠実に再現しても限度があると思われます。やはり馬屋自体の復原とともに、実際に馬を馬屋に置くことはいかがでしょうか。時代劇を見るまでもなく、馬が城にいる、こんなに城にマッチした動物はほかにいるでしょうか。小田原城跡には象がいます。熊もいます。ライオンもいました。しかし、馬がいない。北條五代祭りでも、市長をはじめ議会議長もよろいとともに馬に乗っております。馬屋の復原により、実際に馬が馬屋にいる、自然ではないでしょうか。また、馬が観光客を乗せて城址を回る、あるいは近くの御幸の浜海岸に乗馬コースを設定する等、法的な制約は多少あるかもしれませんが、さまざまな観光としての誘客効果を図る手段を考えてみたらいかがでしょうか。市長の御見解をお伺いいたします。

次に、小田原城二の丸御殿跡の利用について伺います。二の丸御殿跡は、最近では旧城内小学校あるいは旧三の丸小学校跡と表現した方がわかりやすいと思いますが、二の丸の大手門である銅門が復原され、二の丸主部に至っても2回ほどの試掘調査が行われたと聞き及んでおります。「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」長期計画によると、二の丸主部環境本整備で二の丸御殿部分的復原、二の丸御殿の塀、冠木門等附属施設の整備が図られることとなっております。この二の丸御殿(御屋形とも呼ばれるそうですが)の建物群は数々の変遷を遂げておるようですが、三代将軍家光の上洛のころには東西約69間半、南北67間半という広大な敷地を要するもので、小田原藩の中枢でもあり、この復原整備となると相当な時間、経費を要すると思われます。そこで、この二の丸御殿の復原については今後どのようにされるのか、質問をいたします。

さて、この二の丸御殿跡地ですが、現在は毎年の北條五代祭りをはじめ、各イベント会場として、市民はもとより市内外からの観光客が集まる場として親しまれております。しかしながら、イベントがないときはそれこそ単なる更地にすぎず、イベント開催でも突風が吹くとほこりが舞ってしまい、このままの形でよいのか甚だ疑問であります。さらに、日曜日や休日の晴れた日などは、親子あるいは家族で昼食をとるといっても、天守閣付近の売店あるいはお休処で食事をされる方はよいのですが、お弁当を持参し、適当な木陰で食事をしている光景をよく目にします。ところが、小田原城跡には本丸、二の丸とも、その地に腰をおろしシートを敷いてお弁当をほおばるような場所が見当たりません。石垣山一夜城に行かれた方はおわかりかと思いますが、一面の芝生が植えられ整備された場所には、休日には子供たちは跳ね回り、シートを敷いてお弁当を食べている家族の姿が数多く見られます。そこで、二の丸御殿跡地を当分の間、芝生等の植栽によって、観光客あるいは市民が気楽に腰をおろし憩えるような整備を施すべきだと考えますが、市長の御所見を伺います。

次に、新学習指導要領の実施に関する件について、何点かお伺いをいたします。

平成14年度から実施される新学習指導要領に関する質問は何度かいたしておりますが、先般、神奈川県教育委員会が発行した「地域との協働による学校づくり」と題する冊子を手にする機会がありました。その冊子によりますと、「協働を合言葉に学校と地域を結ぼう」とうたっており、子供たちの“豊かな育ち”のために、・グラウンド・体育館を地域に開放する、・教育懇談会を催す、・地域の人が自由に参観できる授業公開日を設ける、・地域の人々を対象とした公開講座を開く、・「総合的な学習の時間」への協力をお願いすることを学校からのアプローチとして、・地域住民として学校の教育活動に関心を持つ、・職業体験学習に協力する、・文化祭・運動会を合同で行う、・学校支援ボランティアとして活動する、・地域講師として授業に参画することを地域のアプローチとして、学校を拠点としたまちづくり施策の必要性を訴えております。このような県の姿勢を受けて、本市が取り組んでいる、またはこれから取り組む予定の学校と地域とを結ぶ施策は何か、示していただきたいと思います。

さて、今紹介した県の冊子に示されたとおり、全国的にも学校と地域との関係を密接なものにしていこうという取り組みがなされるようになりました。このような状況にあって、本年7月、PTA、青少年育成団体、スポーツ少年団をはじめとする団体が大きなショックを受けた事件がありました。本年7月8日付で、学校施設への宿泊の禁止通知が教育総務課長名で各校長に出されたことであります。新玉小学校、前羽小学校、酒匂小学校、大窪小学校、下府中小学校、富士見小学校、山王小学校、城南中学校の学校区内の団体は、昨年まで各学校を拠点に宿泊を伴う合宿を実施し、チームの結束力の強化や地域と子供たちのふれあいに大きな貢献を果たしてきたものと思われます。しかしながら、この通達が全学校長に出されたため、事業計画を立てていた各団体は、学校側の協力が得られず、事業を断念したところもあると伺っております。果たしてこのようなことになった経緯そして理由について、市長に対し十分な説明を求めます。

続いて、今回の教育委員会の措置は、さきに示した「地域と学校との協働」に反しているのではないかとの疑問を持たざるを得ません。この冊子の中では、協働の具体的事例として、「広域避難所である学校の校庭を使って、学校と地域の共催で土曜日から日曜日にかけて防災訓練と野外炊飯、レクリエーションやキャンプファイヤーなどで交流を図る」とも書かれております。今回の措置は、小田原市立学校条例に抵触しているとも聞いておりますが、教育総務課長から各校長への通達日は7月8日、すなわちほとんどの団体はこの夏休みに計画を実施する予定であったでしょう。果たして今回、学校開放が県をはじめ国を挙げて取り組もうとしている背景のもと、適切な措置とは到底思えません。特例あるいは一時保留にしつつ早急なる検討事項とする柔軟策を講じ、中止命令を回避することが最善ではなかったか、御見解を求めます。

さて、今回の件について、いま一つ質問をいたします。市長はさきの6月議会における私の「健康と教育」に関する質問の中で、教育に関してはそれぞれの立場の中での議論は必要であるが、この議論により何かを感じてもらう、感じる中で行動に移していく、すなわち実践することの必要性を御答弁されました。今、何かと問題になっている青少年や学校を取り巻く問題の解決には、確実な一つの答えが存在しないことにその難しさがあると思います。だからこそ、さまざまな地域の団体が、地域と子供たちとのふれあいや子供同士の交流を深める事業を実践している。酒匂小学校、新玉小学校にて宿泊活動を展開してきたサッカー少年団では10年前より、前羽小学校PTA主催による6年生宿泊においては14年間も宿泊事業が行われてきております。そして今回、長年にわたり実践してきた団体の期待を破り、突然学校施設の宿泊禁止通知を行ったということは、市長の教育理念に反しているのではないか、また、このたびの事例は教育委員会と学校との連携がなされていない事実が露呈されたわけですが、あわせて御所見を求めるものであります。

さらに、先述しましたとおり、このたびの中止措置は「小田原市立学校条例」第3条、第4条、さらに「小田原市立小学校及び中学校の管理運営に関する規則」第7条、「小田原市立小学校及び中学校の施設開放に関する規則」第4条に抵触していると伺っております。そこで、本市は今後もこの条例あるいは規則に全く手をつけずに禁止措置を続けられるつもりか、それとも条例規則の改正をされるつもりかお尋ねをいたします。

次に、「総合的な学習の時間」について何点かお尋ねいたします。

さきの6月議会においても、「総合的な学習の時間」については少しばかり触れさせていただきましたが、その際、教育長から、「総合的な学習の時間」は生きる力を身につけることが一番の大きなねらいである旨の御答弁をいただきました。本年4月1日から平成14年3月31日までは、新学習指導要領が適用されるまでの移行期間に当たり、「総合的な学習の時間」については、移行期間中から教育課程に加えることができるようですが、本市では平成12年度当初予算に 439万円を総合的な学習の時間推進委託事業費として計上いたしております。そこで、その執行状況並びに具体的内容についてお示しいただきたく存じます。また、あわせて、国際理解教育として「総合的な学習の時間」に小学校英会話講師派遣事業費(平成12年度当初予算 100万円)が計上され、市内小学校25校に派遣されることとなっておりましたが、執行状況についてはどのようになっているのかお伺いいたします。

さて、この「総合的な学習の時間」は、現行の学習指導要領における年間授業時数を減らしてまで創設された経緯があります。ゆとり教育の優先は学力の低下を引き起こす等の議論も展開されている今日、さまざまな内容について学べるこの「総合的な学習の時間」を有効に使うため、私は一つ提案し、質問したいことがあります。それは、昨今の乱れた母国語、すなわち日本語に対する学校教育の取り組み方であります。御承知のとおり、若者が日常使う言語の乱れは、どの時代でも多かれ少なかれ問題になっております。また、「ら」抜き言葉にも象徴されるような言語の使い方についての問題も指摘されておりますが、それ以上に気になるものは、尊敬語、謙譲語、丁寧語など、まさしく日本の文化を象徴するような言葉が失われつつあるような気がしてなりません。このことは学校教育だけでなく、家庭教育の中でも培われるべきですが、小学校における国語の授業時数が1年生34時間、2年生、6年生35時間、3年生、4年生45時間、5年生30時間、中学生は1年生から3年生一律35時間が削減されることになっており、人と人とのコミュニケーションを

図る上で欠かせない敬語の使い方について、今後、国語の時間の枠内で十分な教育が施されるものなのか、「総合的な学習の時間」に組み込むことはないのかお伺いをいたします。

さて、「総合的な学習の時間」について気にかかるもう一つの問題は、最近の傾向として、新聞社が「総合的な学習の時間」に新聞を教材として授業を展開するいわゆるNIE(Newspaper In Education)という動きが見られます。既に、学校で使用する目的であれば格安料金で購入できる状況をつくり、紙面で大きく宣伝されている新聞社もありますが、教育委員会はこのような新聞を使った授業についてはどのような見解をお持ちかお尋ねいたします。

最後に、「総合的な学習の時間」は、それこそ各学校、各クラス、または学年を越えてさまざまな授業の取り組みがなされてまいるのですが、その授業内容についての把握を教育委員会としてされるのか、各学校、各教員任せなのか、指導や評価についてはどのようになるのかお尋ねをいたしまして、第1回目の質問といたします。(拍手)

○議長【二見健一君】        この際、暫時休憩いたします。

午前11時51分       休憩

午後 1時 0分       開議

○議長【二見健一君】        休憩前に引き続き再開いたします。

市長、登壇願います。

〔市長(小澤良明君)登壇〕

○市長【小澤良明君】        6番加藤議員の御質問に順次、まず私の方からお答えさせていただきます。

はじめに、馬屋曲輪の復原についてのお尋ねがございました。国史跡内におきます建造物の復原につきましては文化庁長官の許可が必要なことは御承知のとおりでございまして、許可の前提といたしましては、発掘調査等によって建物の位置を確定させることと、絵図や古写真、起こし絵図などの平面的・立体的な資料が必要となります。今回の試掘調査は、馬屋と従者の待機所であります大腰掛が描かれている唯一の宮内庁絵図をもとにいたしまして、位置等を確認するため3ヵ所の試掘調査を実施いたしましたが、これら建造物の礎石や縁石などの一部が確認されているわけであります。そこで、この試掘調査結果と絵図面等をもとにいたしまして、文化庁や関係機関と協議した上で、どのような整備手法がふさわしいか総合的に検討いたしまして、来年度(平成13年度)に馬屋曲輪整備基本計画を策定し、さらに平成14年度以降に馬屋、大腰掛の全面発掘調査を実施して、より具体的な実施計画の検討をしてまいりたいと考えているところであります。

次に、馬屋の活用方策について具体的な提案をいただきました。御承知のとおり、平成9年に銅門が復原されまして、さらに今後、馬屋や大腰掛も整備をされますと、正規の登城ルート上の建造物がかなり整ってまいりますので、小田原城跡の観光的な価値を高めるためにも、これらを上手に活用していく必要があると考えているところであります。したがいまして、馬屋に馬を置き、乗馬を楽しんでいただくという6番加藤議員からの御提案も、観光客の安全確保という面で課題もあろうというふうに思いますが、大変興味深い御提案でございますので、馬屋の活用方策を検討していく中で参考にさせていただければと思います。

次に、二の丸御殿跡の復原についてお尋ねがございました。二の丸御殿の試掘調査は平成9・10年度に実施をいたしましたが、江戸時代前期と後期の二つの御殿跡の一部が確認されました。御殿の復原ということになりますと、先ほど御答弁を申し上げましたように、古写真や起こし絵図などの平面的・立体的な資料が必要となるわけでありますが、現時点におきましては、復原に必要なこれに足る資料が確認をされておりませんことから、復原はなかなか難しいものと考えております。したがいまして、「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」にも、御殿が存在したことを示す位置や配置等がわかる表面表示を計画いたしたものであります。いずれにいたしましても、小田原城跡の整備につきましては、長い年月と多くの費用がかかりますことから、財政状況も十分勘案しながら進めたいと考えているところでございます。

次に、二の丸広場に芝生などを植栽したらどうかとの御提案がございました。御指摘のとおり、二の丸広場でイベントなどを行いますと、砂ぼこりが舞うこともございますので、現在のところ、こうした際には散水車で散水するなどして対応しているところであります。御提案のように、芝生を植えるということも一つの方法だと思いますが、今後、二の丸御殿の表面表示の計画などもございますので、市といたしましては、この整備に合わせて、砂ぼこりが舞わないような、また、市民の皆さんや観光客の方々がくつろげるような広場として、6番加藤議員御提案のことも含めまして検討し、整備をしてまいりたいと考えているところであります。

次に、新学習指導要領の実施に関します件につきまして御質問がございました。これらのことにつきましては、教育長からの答弁とさせていただきます。

以上をもちまして、6番加藤議員の御質問に対します私の方からの答弁とさせていただきます。

○教育長【江島 紘君】       6番加藤議員の御質問に順次お答えいたします。

まず、地域との協働による学校づくりはどのようなことを指しているのか示してほしいとの御質問がございました。新学習指導要領では、「開かれた学校づくりを進めるため、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域との連携を深めること」とされており、学校、家庭、地域の連携が求められております。本市では、具体的に次のような内容で推進しております。学校側からは、児童・生徒の保護者だけでなく、地域の方々を含めての授業公開、運動会・文化祭などの学校行事への参加依頼やスポーツ少年団、社会スポーツ団体等への運動場や体育館の施設開放などがございます。地域側からは、「総合的な学習の時間」の講師やクラブ活動・部活動の指導者としての参画や職業体験学習への地域の企業による協力などがございます。また、平成12年度から4校で導入いたしました学校評議員制度や、近々発足いたします(仮称)学校教育懇話会なども、子供たちの豊かな育ちのための地域との協働による学校づくりの一つの方策であると考えておりますので、御理解いただきたいと存じます。

次に、学校施設への宿泊を昨年まで認めていたのに今年になって急遽取りやめた経緯、そして理由について御質問がございました。7月初旬にある団体より、屋内運動場に宿泊し、調理のため家庭科室を使用したい旨の申し出がありました。そこで、すべての小・中学校を調査したところ、夏休み中に学校施設に宿泊を予定している学校が7校ございました。学校施設は、本来、子供たちの教育の場として使用されるものでありますが、学校教育上、支障のない限りにおいて、教育委員会は、社会教育その他公共のために使用を認めております。また、小田原市立学校条例においては、学校施設への宿泊についての規定はされておりません。さらに、防犯上などの施設管理面の問題点も多いことから、各学校長あてに、7月8日付で宿泊の取りやめの通知をしたものでございます。

次に、今回の件に関し、特例あるいは一時保留しつつ早急なる検討事項とする柔軟策を講じ、中止命令を回避することが最善ではなかったかとの御質問がございました。本市におきましては、中央教育審議会の答申、「今後の地方教育行政のあり方について」を受けて、さまざまな施策が展開されておりますことは御承知のことと存じます。その中で、開かれた学校づくりにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、今までの校庭や教室を地域に提供する施設開放、公開講座のような機能開放などのほか、最近では情報公開や保護者等に対する説明責任、また、学校評議員制度のような学校運営への参加が求められており、それらが「地域との協働による学校づくり」につながるものと考えております。また、子供たちの健やかな成長、発達にとって、学校、地域、家庭はそれぞれ大切な場であり、それぞれが連携しながら子供たちを育てていくことがより必要であると十分認識しております。6番加藤議員がお示しの県のパンフレットにつきましては、平成11年度から県教育庁が実施しております「地域との協働による学校づくり」推進事業のために本年4月に作成し、5月初旬に県下市町村教育委員会に発送いたしたものでございます。この事業について県教育庁に問い合わせましたところ、学校や地域での教育活動等についての例示であり、そこに示されている事業につきましては、教育活動の一環として学校と地域が共催して行うものであり、社会教育活動単独による宿泊は認めていないとの回答を得ております。そこで、今回の件につきましては、夏休みを控え、関係団体の方々に御迷惑をおかけしたと存じますが、まず学校施設への宿泊が条例上に規定されていないこと、さらに、学校との共催でない社会教育活動に対して行われたことを踏まえますと、「地域との協働による学校づくり」に反しないものと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。

次に、学校施設への宿泊を取りやめさせたことは、「健康と教育」の考えに反しているのではないかとの御質問がございました。先ほど御答弁申し上げましたとおり、今回の学校施設への宿泊を取りやめさせたことについては、条例等の規定に宿泊を想定していないことや、防犯上など施設管理上の問題からやむを得ないことであると考えております。しかしながら、学校教育は社会とのつながりの中で行われなければなりません。たくましく生きる心と力をはぐくむ教育は、学校、家庭、地域社会の三者が連携して取り組まなければならないと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。

次に、今回の事例は、教育委員会と学校との連携がとれていなかったのではないかとの御質問がございました。先ほど御答弁申し上げましたが、宿泊を予定していた7校のうち、3件につきましては今年度新たに実施しようとしていたものであります。また、残りの5件については、学校の独自の判断で行われ、その情報を教育委員会に報告されなかったことが今回の問題につながってしまったものと考えております。いずれにいたしましても、教育委員会と学校との間で連絡が不十分であったと認識しておりますが、今後このようなことがないよう、学校との連絡を密にし、情報の遺漏がなきよう指導してまいりたいと考えておりますので、御理解いただきたいと存じます。

次に、学校施設への宿泊ができるよう、小田原市立学校条例等を早急に見直す考えはないかとの御質問がございました。先ほど御答弁申し上げましたとおり、本市におきましては現在、学校教育上、支障のない範囲において、学校施設の社会教育開放を行っております。今後、学校週休2日制や「総合的な学習の時間」の導入などにより、地域と連携する機会がふえることから、学校と共催して行う活動につきましては、今後十分調査した上で、学校施設開放等のあり方とともに、「小田原市立小学校及び中学校の管理運営に関する規則」の見直しの検討を始めたところでありますので、御理解を賜りたいと存じます。

次に、「総合的な学習の時間」についての御質問が何点かございました。総合的な学習の時間推進委託事業につきましては、小学校3年生以上の各学級に対しての活動費は1万円でございます。その使途は、農作物の種苗や肥料の購入、調査に伴う図書の購入や交通費、通信費等でございます。なお、使途の詳細につきましては、翌年度に実績報告書が提出されることになっております。

次に、小学校英会話講師派遣事業の現状についての御質問がございました。現在、講師は10名登録されておりますが、1学期は延べ16校から派遣要請があり、延べ12名の講師を派遣いたしました。その内容は、あいさつや返事の大切さ、身近なものの名前を通しての英語文化との違いの発見、東南アジアの国と人々の生活を紹介しながらのタイ米や日本米についての話題等、さまざまなものが挙げられます。

次に、敬語の使い方について、国語の時間で十分な教育ができるのか、「総合的な学習の時間」に組み込むことはないのかとの御質問がございました。国語の時間では、児童・生徒の発達段階に応じて、尊敬語や謙譲語をはじめ丁寧な言い方などについて、日常の言語生活につながる指導を工夫して進めております。しかしながら、言語能力は国語の時間だけで身につくものでなく、全教育活動を通して高めていくものでございます。特に「総合的な学習の時間」は、情報収集や発表の場面で多くの人とコミュニケーションを図る機会が多くありますので、敬語を生活の中で適切に使える力を身につけるよう指導していきたいと考えております。

次に、「総合的な学習の時間」にNIEの動きがあるが、どのような考えかとの御質問がございました。NIE( Newspaper In Education )につきましては、新聞を教材として教育実践に活用する取り組みですが、本市におきましては、「総合的な学習の時間」においてNIE実践校はございません。小・中学校におきまして、以前より教科の授業などで、新聞の記事の一部を活用しておることはございます。今後、「総合的な学習の時間」などにおいて、新聞の記事やインターネットなどによる情報活用が多くなると思われます。いずれにいたしましても、学習指導要領のねらいを踏まえ、学習活動が行われるよう指導していきたいと考えております。

次に、各学校における「総合的な学習の時間」への取り組み内容を教育委員会は把握するのかという御質問がございました。「総合的な学習の時間」は、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、問題を解決する力など生きる力の育成や、学び方や物の考え方の習得などをねらいとし、各教科等で身につけた知識や技能を関連づけ、総合的に働くようにすることを目指しております。教育委員会といたしましては、教職員がこれらのねらいを正しく理解するよう、各種教職員研修会を充実させております。また、学校訪問などで、各学校がそのねらいを達成するような取り組みをしているかを把握するとともに、さらに一人ひとりの子供が何を学び、何を身につけ、どのように成長したかを評価するよう指導してまいりたいと考えておりますので、御理解いただきますようお願いいたします。

以上で私からの答弁とさせていただきます。

○6番【加藤仁司君】        御答弁をいただいたのですが、再質問させていただきます。

まず、馬屋の復原についてですが、お城と馬、大変マッチしているということは最初の質問でも申し述べました。ちょうど今、馬屋周辺といいますか、小田原城跡の中においては、私が聞いた中で二つ事例を申しまして、お城と馬の結びつき、また、これからの施策に反映していただきたいなと思う部分がありますので、ちょっと御紹介をさせていただきます。まず、昨年と本年、小田原青年会議所における馬出門のイミテーション、これについては多くの方々が大変関心を寄せられているということを聞いております。また、復原に対して、署名運動等も進めているということでありますので、こういった動きがあるというのが一つ。そして今、歴史と福祉との自然の融合を目的とした自然・馬・人の会、このような団体があるということですが、二の丸広場で毎月1回の乗馬会を開催して、これが4年を迎えているということであります。もう既にいろいろな馬に関しての事業といいますか、いろいろ興味を持っている方々が、馬出門そしてまた馬屋の復原に大変大きな関心を寄せているということで、やはり今、私の方で提案をさせていただいたような、馬屋の復原に合わせて実際に馬を置くということはぜひ進めていただきたいなと思うわけでございます。

ただ、馬屋自体、先ほど大きさもいいましたが、実際にあの場所を、今は試掘の段階ですけれども、これからは全面の発掘がされるということで、これから具体的な計画をされるということですけれども、過去に私も一般質問の中で、歴史見聞館がつくられたときに、平成16年までのことで、それ以降は馬屋周辺のところにまたそういったものを考えるという答弁をいただいていたと思います。それに合わせて馬屋の復原ということになりますと、どのような形になるのか、市の方では、検討はこれからなんでしょうけれども、そういった今までの議会での答弁、そして馬屋の復原、これについての具体的な形、今現在考えられていることを、この時点で結構ですのでお伝えいただきたいというのが第1点でございます。

あと、二の丸広場の整備については、現状については市長も十分御認識をされて、ほこり等は散水車で対応しているということで、表面表示の計画と合わせて、くつろげる広場を検討したいという御答弁をいただきましたので、本当にこれは部分的なことから進めてもよろしいのではないのかなと思いますけれども、私なんかもちょうど北條五代祭りであの周辺にいますと、皆さん大変な思いをして食事等もされているということもありますので、これは順次整備をしていただきたいなと思います。これについては意見にとどめさせていただきたいと思います。

それから2番目の件については、「健康と教育」に対して、市長の教育理念に反しているのではないかということで私は質問させてもらいましたけれども、市長からの御答弁がなかったものですから、再度、今回の件について、市長の掲げる「健康と教育」の理念に果たして整合されているような措置だったのか、これについて見解を求めます。

それから今回の措置について、それぞれの学区で今まで実施された方々から大変怒りが上がっているということは事実です。現に10年以上にわたって、教育委員会が各団体の学校施設への宿泊について承知をしていなかった。これは今教育長の方からも御答弁があったとおりですけれども、条例の方を御存じでない方もいらっしゃるかと思いますので多少説明しますけれども、小田原市立学校条例第3条の2には、小田原市教育委員会の許可を受けなければならないということがあります。例えば今までの八つなりの団体の方々がこれを承知していれば、じかに教育委員会にお話をして、そこでだめだということがあったかもしれませんけれども、実際そういった団体は、この条例自体まず知るよしもないというのが普通だと思います。そうなってくると、結局そういう団体は、学校施設を使用したいということは学校に相談をする、このような過程を踏む。これは当然のことですが、学校自体がその条例を承知していなかった。これが事実だと思います。これについて、例えば当時の校長先生がどうこうということを追及するつもりはないんですけれども、実際このことで、今まで本当に社会のために、学校のために、地域のために、子供たちのためにいろいろ事業を展開してきた方々の気持ちをそぐようなことになってしまった。本当に残念なことであります。

一つ例を挙げさせていただきますけれども、例えば前羽小学校については、小学6年生が毎年夏休みに、これは先生も児童も、また児童の保護者の方も、本当に大勢の方々、クラス、地域で協力をしてくれる方、その方々もあわせて、本当に三位一体という形で活動をされてきました。これが今年、突然に制限をされたということです。実際に6年生の一つの恒例行事ということで、大変評判もよく、例えばその弟さんや妹さんも、また来年になったら、もしくはもう3年たったらみんなで宿泊して楽しい一日が送れるということを楽しみにしていた。この現実を今回踏みにじってしまったということは、本当に気の毒であります。また、橘北地区の青少年育成会、これは青少年課の方から、今年は城南中学校区と橘中学校区の二つの学区において土曜ふれあいフェスティバルを行うということで今検討している段階なんですけれども、やはり学校施設が使えないということで、ほかのところを考えているというような形になってしまっております。こういうような形で、土曜ふれあいフェスティバルが学校週休2日制ということで敷かれることについては、今年度二つの中学校区が対象になったわけですけれども、今後、こういった土曜ふれあい事業は、来年度以降どのような形になるのか、まずそこについて2番目の質問とさせていただきます。

また、条例についても御答弁をいただいたんですけれども、現時点においては、学校と地域の共催については開放とともに見直しの検討を始めるという御答弁をいただいたんですけれども、隣の箱根町においては、実際に条例の中に宿泊というものがうたわれている。これは御存じだと思いますけれども、箱根町立学校施設使用条例、これは昭和32年7月6日施行ということですが、宿泊規定、午前9時から翌朝の午前9時まで、小学生から大学生までを1人 100円、そして一般は認めていないというような条例の中に規定がある。こういうほかの町の例もありますので、小田原市はすぐこういった形の条例化、これは本当に教育委員会のやる気一つで決まるのではないかと思います。多くの市民の方々が期待していたものを本当に踏みにじった。この部分をクリアするには、やはり早急なる条例の改正が必要だと思います。いろいろと条例改正については細かい議論があるかもしれませんけれども、今示したように、あくまでも学校長の許可ではなくて教育委員会が許可をしているという内容になっております。これは、簡単に条例の文言の中に、学校自体がいろいろ地域とのふれあいの中で状況を一番よく把握していると思いますので、なぜ教育委員会が許可をしなければならないのか、学校長の判断ではいけないのか、これについてちょっと触れてさせていただきますので、再質問をさせていただきます。

次に、英会話講師派遣事業、これは答えをいただいたわけですけれども、国際理解ということで英会話講師の派遣事業だということを前の予算委員会の中でも聞かせていただいたこともあります。英会話を学ぶことが他国の理解ということであれば、なぜ英会話ということに限定しなければならないのか。これは日米安保上、また日本とアメリカというのは親しい国には違いがありません。決して否定をするわけじゃないんですけれども、国際理解イコール英会話という発想自体、これは大変貧困だと思うんです。なぜ国際理解イコール英会話なのか、これについて伺いたいと思います。

またもう一つ、インターネットとかで全国的に英会話を導入している学校も本当に多く見受けられます。これは承知しているんですけれども、あくまでもこれは「総合的な学習の時間」です。「総合的な学習の時間」というのは、それこそ初めての取り組みなのでマニュアルもありません。だけれども、それぞれが特色ある学校づくりを創造するというのが目的だと思いますので、横に倣えというような姿勢をとることはどうかなと思います。小田原市も出航した船に乗りおくれてはいけないということで進められているような感じがするんですけれども、ここはそういうような発想ではなくて、じっくりと学校が創意と工夫のできる土壌づくりに専念をしてもらいたいなと、このように思うわけでもございます。今の「総合的な学習の時間」の英会話等国際理解、ここに言われる一つのゆえんといいますか、21世紀の日本の構想、これがもとになっているのかなと思うわけですけれども、この中には、国際化時代にあって日本の英語下手は国益を損なうというような表現がある。それにただ乗っかっているんではないか。果たして本当に現実に英語が下手だということは国益を損なうものなのか、これはどうしても私自身にとって疑問でならない。これは意見だけにさせていただきたいと思いますけれども、とにかく今、言葉の使い方からすると、敬語等が全く感じられない。テレビにおいてもそうなんですけれども、恐らく学校の中で、国語教育だけではなくて生活の中でいろいろと指導されているということですが、これは特異なことかどうかわかりませんが、学校の先生と児童・生徒、これが本当に今、対等な形でやりとりをしている場面をよく見かけます。テレビなんかでも同じような形。それについて先生が、敬語を使えとか言うことも聞いたことがありません。どうしても、日常の中で見る中では、そういった敬語の使い方がされていないような感じもします。繰り返しになりますけれども、やはり学校の中で、敬語の使い方について、その使い方は日本独特のものかもしれませんけれども、さらにそうしたものについては進めていただきたいと、これは要望させていただきます。

あと、NIE、「教育に新聞を」という合い言葉の中で、今、新聞社の方もいろいろな格安の料金をつけて学校導入を図っているということは先ほども述べさせていただきました。新聞を教材に使うこと、これは本当にやぶさかではありません。私なんかのときもあったと思います。ただ、一つの出来事を、社説とかそれを見てみると、各新聞社によってさまざまで、いろいろな複数の異なる新聞があるわけですけれども、これを複数の異なる新聞を一堂に会して例えばディベートを行うとかということは十分わかるんですけれども、例えばある一つの見解を示した新聞をもとに授業を行うということはちょっとまずいのではないか、そういった心配がどうしてもあります。そもそも新聞自体というのは、教科書の検定を受けたわけではありませんので、教材としてという部分を踏まえた上で使うならいいんですけれども、やはり「総合的な学習の時間」になりますと、教師自体もマニュアルもない、教科書もないという状態だと思いますので、どうしてもそういったものに頼ってしまう、この危険性を十分に感じます。今ちょっと言いました心配な部分については、校長会または教職員の方々にも十分伝えなければいけないんじゃないかなとは思うんです

けれども、これについてどのようにされるのか、再度見解を求めるものであります。

○市長【小澤良明君】        6番加藤議員の再質問に、まず私の方からお答えさせていただきます。

馬屋曲輪あるいは馬出門に関係いたしまして、いろいろとお話をいただきました。小田原城歴史見聞館のことにもお触れになられましたが、御指摘のとおり、この歴史見聞館につきましては、仮設的に設けさせていただきました施設でございます。近い将来、どういうふうにするか検討しなければならない施設でございます。移転の可能性について言いますと、例えば馬屋曲輪等を復原して、そこを利用するというような考え方もできるかもしれませんが、現状の歴史見聞館の機能をすべて馬屋曲輪に移すというようなことは、規模のことから考えますとちょっと無理なのではなかろうか、そんなことも考えられます。いずれにいたしましても、馬屋曲輪の整備に当たりましては、文化庁等との協議が必要になってまいりますので、現時点では具体的な整備イメージが固まらない段階でございます。この馬屋曲輪につきましては、隣接する大腰掛とあわせまして、正規の登城ルートの玄関口にふさわしい施設として整備してまいりたいと考えております。

また、馬出門のことにつきましてお触れになられました。青年会議所の皆さんがプラスチック等でつくっていただいた仮設の門がございましたけれども、いずれにいたしましても、馬屋曲輪あるいは大腰掛等を整備した後でないと、馬出門をその後にしませんと、工事上の問題が出てくるというようなことがございまして、青年会議所の皆さん等には大変申しわけなく思いますけれども、そういう技術的な問題等もございまして、後にならざるを得ないというようなことを今担当課の方では考えているようでございます。

それから学校施設への宿泊を取りやめさせたことにつきまして、私が「健康と教育」を市民社会挙げて取り組む大きな課題だというふうにしていることと違うのではないかというような御指摘がございました。本年度、私は「健康と教育」を重点施策の一つとして取り組んでいることは御承知のとおりであります。現在、教育分野につきまして、行政分野の方では市の企画部企画政策課が直接の取りまとめ役になりまして、教育委員会と共同で具体的な取り組みについて検討に入っております。その概要につきましては、未来からの預かりものであります子供たちを、「豊かな心」と「生きる力」を兼ね備えたたくましい小田原の子供たちとして育てていくために、その出発点として市民の各界各層あるいは行政が、6番加藤議員もお触れになられましたが、着実に静かなる教育論議を通じて、これらの達成に努力をしてまいりたいと、こういう場所、ステージをつくってまいりたいというふうに思っているところでございます。今回の学校施設への宿泊を取りやめさせたことにつきましては、私自身にも、地区の役員と市長との懇談会におきましても、厳しい御批判や御意見もいただきました。その場で、開かれた学校、教育、あるいは学校施設の地域開放、あるいは地域との連携、あるいは学校週休2日制の子供たちの今後の問題等も考えまして、市を挙げてこれからそういう問題にどう対応するかということを真剣に取り組んでいるさなかでございましたので、私としては、その御指摘に対しまして、おわびというか、遺憾の意を表したところでございます。ただ、教育委員会の立場といたしましては、先ほど来教育長が答弁したとおりのようでございます。いずれにいたしましても、学校教育の一環として地域との連携を進めていくものにつきましては、まず主体的に教育委員会の責任としてこれを進めていっていただかないと、教育委員会あるいは学校長、先生方、私どもといたしましてそれ以上のことをとりあえず言えないと思っておりまして、これにつきましては、先ほど教育長の方からも今後検討していくということでございますので、ぜひそういうことで御理解いただければ、私としてもありがたいと思うところでございます。

以下のことにつきましては、教育長の方からお答えをいたしたいと思います。

○教育長【江島 紘君】       それでは6番加藤議員からの再質問につきまして、順次私の方から御答弁を申し上げたいと思います。

まず、中学校区フェスティバル事業の今後の展開につきまして質問がございました。中学校区フェスティバル事業につきましては、次代を担う子供たちを地域の中で育成していくというような視点から、中学生と地域住民とのふれあいや、中学生、高校生たちの若い世代が地域活動に参加するきっかけとなることを目的としているわけでございます。本年度につきましては、橘中学校区と城南中学校区の2校をモデル事業というようなことで委託いたしましたが、この事業は、中学生と地域住民の代表が実行委員会を組織し、事業の企画から運営までを実施していただくことになりますので、お互いの本音や意見交換を通じて、充実した内容の事業が実施できるものと期待しておるわけでございます。今後、この事業の展開につきましては、今年度モデル事業として実施していただいております活動内容や成果を踏まえながら、拡大する方向で検討してまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

次に、箱根町に倣い、本市も小田原市立学校条例を見直す考えはないかというようなことがございました。御指摘のとおり、箱根町では、箱根町立学校施設使用条例において、学校施設に宿泊できることを規定していることは承知しております。箱根町に伺ったところ、この条例は昭和32年に制定され、学校施設への宿泊許可の規定は、学校施設を林間学校として使用するために設けられたとのことであり、規定はあるものの、宿泊許可の実績はここ数年ありませんでしたが、本年度、市内の中学校に宿泊を予定していた1団体が箱根町の温泉小学校に宿泊したとのことでございます。いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたとおり、「小田原市立小学校及び中学校の管理運営に関する規則」の見直しの検討を始めたところでございまして、先ほどありましたように、学校長の判断ではどうなのかというようなことも含めまして、今後検討していきたいというふうに思っておりますので、御理解を賜りたいというふうに思います。

国際理解教育の中で、英会話でなければならないのかというようなことがございましたけれども、国際理解教育につきましては、本市の中でも「総合的な学習の時間」の中で数多く行われているわけでございます。例を挙げれば、世界音楽旅行であるとか、日本の身近な国を知ろうとか、国際交流というようなことをテーマにいたしましてさまざまやっているわけでございます。おっしゃるとおり、国際理解教育というのは英語だけではないわけでございますけれども、ただ、いろいろな国のそういうような文化を理解するということにつきまして、あくまで英語を媒体とした、そういうような活動の中で行っているということでございますので、御理解を賜ればというふうに思います。

それから「総合的な学習の時間」に関しまして、学校から創意工夫できるような土壌づくりをしていくべきではないかというようなことがございましたけれども、「総合的な学習の時間」につきましては、おっしゃるとおり今までなかったことでございますので、今後どういうようにしていくのかということは、現在、各学校で鋭意工夫しながら努力をしているというような状況にございます。それに従いまして、特色あるような学校というようなものをつくっていくということも事実でございますが、そういうようなことも含めまして、学校で創意工夫できるような環境というものはぜひつくっていきたいというふうに考えております。

それからNIEの教材というようなことにつきましてでございますが、先ほども申し上げましたとおり、各学校では、現在そういうようなことはないわけでございますけれども、今後そういうようなことも考えられます。ただ、そのときには、先ほど申しましたように、あくまでその学校の教育課程の中で、どういうようなテーマのもとにそういうような新聞等を使っていくのかというようなことが中心になろうかと思いますので、あくまで指導要領というようなものにのっとった中で、そういうようなことを考えられればいいのかなというふうに思っております。ただ、そのことにつきましては、あくまで指導要領にのっとった教育課程というようなものの中でしていただくというようなことについては指導してまいりたいというふうに考えております。

以上でございます。

○6番【加藤仁司君】        時間があまりありませんので、順序は逆になりますが、最後の「総合的な学習の時間」について一つ触れさせていただきたいと思います。先般、私、中国の方や、あと二つの国の女子留学生の弁論大会を聞く機会がありました。本当に皆さん流暢な日本語の中で、本当に熱のある弁論を繰り広げたわけですけれども、皆さんは自国の文化や伝統を本当に大切にされ、自国を大変誇りに思っております。そしてまた日本も大好きだというような言葉がありまして、これが本当に日本人が普通にしゃべっている日本語と同じような形で、弁論大会で一生懸命お話をされておりました。彼女たちに聞いてみますと、19歳とか20歳ぐらで日本語に初めて触れた、それから一生懸命勉強したということでありまして、決して小学校のときから日本語を習っているわけではない。案外、この英会話の部分について、いろいろな識者が言われるのは、やはり小学生、幼いうちからそういうようなものが必要だというようなことを述べられることも聞くんですけれども、そういったことではない、このような部分だけ、私は意見的に申し述べさせていただきます。

あと馬屋曲輪の方については、これからまた整備が進められるでしょうから、その都度また気にさせていただきたいと思います。

肝心な学校施設に対しての措置については、見直しの検討をしていくということで御答弁を再三いただいているんですけれども、実際、現実問題をとにかく解決しなければならない。これが先であって、言葉自体で検討しておくというような段階ではない。もう今、目の前に、例えば学校施設を使って協働で地域と学校とのふれあいをやっていくんだというところもあるわけです。ちょっと聞きますと、もう既に今年の9月の終わりですか、PTAのふれあい事業として、下曽我小学校の方で行いたいということも聞いております。もうすぐに解決しなければならない問題が目の前にあります。これをこれから検討する、こんなことでは、例えば条例などに関してはいろいろな議論がこれから必要でしょうけれども、すぐにやらなければいけないことが目の前にある。今の中では、例えば下曽我小学校がやりたいといってもできない。本当にそれでいいのか。今、何かの措置をしなければ

いけないんじゃないか。これについて、この1点だけ再々質問としてさせていただきます。

○教育長【江島 紘君】       すぐにやらなければいけないことがたくさんあるんではないかということでございます。ただいまのことはそのとおりでございまして、検討というのは、何ができて何ができないのかということを今やっているというようなことでございます。先ほど答弁いたしましたように、地域は地域、学校は学校ということでなくて、その地域の子供たちは一つでございますので、そういう中で、これからの教育というものは地域、学校、保護者、三者の連携の中でというようなことは強く言われておりますが、そういうことで、その子供たちを育てるということを地域と学校が一緒になってやっていただく。そして、そういうような形の中で、先ほど共催だったならばという話をいたしましたけれども、そういうことの中で学校が入っていただいて、そして学校施設の宿泊というようなことにつきましても、現在の条例の中でもそういうようなことは可能であるというふうな考えを持っておりますので、そういうところで実際にやっていただくようなことを今考えておりますので、御理解いただきたいというように思います。

○6番【加藤仁司君】        今、再々質問に対しての御答弁をいただいたんですけれども、学校との共催であればということで一つの条件を出されました。確かに今、スポーツ少年団等は共催とはなっていないということで、そこについては締め出しをしたままにするのかなというような感じがいたしますけれども、ただ、現時点で何にも工夫がされていないじゃないか。現時点で共催じゃなければいけないというのはおかしいんじゃないか。やはり今までの中で許可を受けていた、これが実際には法に抵触しているものだったかもしれませんけれども、許可を受けていたという事実があります。やはりこれはあくまでも方法論で、例えば学区の中でいろいろな団体を登録制を設けるとか、そういった団体だったら認めるとか、あくまでも管理運営の部分で教育委員会はびくびくしているんじゃないかなと思うわけですけれども、そういったところはとにかく明確にする、また誓約書を出す、いろいろな方法論というのがこれからできるんじゃないか。学校施設を使いたいというのを任意のだれだかわからない方が言ってくる、これについては断ることはできるでしょうけれども、自治会をはじめ地域の中でもさまざまな団体があります。一つのこの団体自体が、どういった責任者を置いて、どのような活動をしているか、そういったことも踏まえた中でいろいろな方法論が展開できると思うんですけれども、今の御答弁だと、そこについては一切触れない、おかしいんじゃないかと思いますので、最後にそれについての再々の質問をさせていただきまして、終わらせていただきます。

○教育長【江島 紘君】       今御質問がありましたようなことも含めて、これから検討をしていくということでございますので、御理解いただきたいというように思います。