平成13年3月議会会派「粋誠会」代表質問
2001年03月01日
粋誠会 代表質問(H13-03)
1 21世紀の小田原市政に対する市長の考えを問う
(1) 市政の中心となる「ビジョン21おだわら」について
ア 前期基本計画について
イ 実施計画の見直しについて
ウ 財政収支の見通しについて
(2) 市債依存の事業の再検討について
(3) 競輪事業収益の増収対策について
(4) 都市計画事業の見直しについて
(5) 福祉行政のより充実した行政体制の確立について
(6) 学校教育の教育環境・指導体制の確立について
(7) 地域センター計画について
2 平成13年度施政方針並びに当初予算案について
(1) 本市を中心とした県西地域の国の直轄調査の概要について
ア 調査の詳細について
イ この調査を今後どのように生かしていくのか
(2) おだわらレインボーヒルズ構想(西部丘陵整備構想)について
ア 地元住民の説明について
イ 推進における課題とその対応の進め方について
ウ おだわらレインボーヒルズ構想と情報化計画の関連について
(3) 環境にやさしいまち
ア 最終処分場について
イ 埋め立て処分場跡地利用について
(ア)現況調査終了後の公園整備について
(4)魅力ある都市空間
ア 鴨宮駅のバリアフリー化について
イ (仮称)小田原宿場町会館整備事業と小田原用水の復元について
(5) 生きる喜びを実感する生涯学習
ア 全国童謡フェスティバルの成果と今後の開催について
(6) 健やかに伸びる力を育てる教育環境
ア スタディ・サポート・スタッフ事業について
イ メンタルフレンド事業について
(7) 農業振興策について
ア 市街化調整区域整備・保全構想の策定について
イ 農業後継者不足による耕作放棄対策について
(8) まちの魅力を発信する産業
ア 観光振興策について
(ア)花の小田原城事業について
(イ)誘客宣伝事業について
(9) 活力あふれる商工業
ア 中心市街地活性化推進について
(ア)TMOのこれまでの実績と今後の展開
(10)暮らしの質を高める情報環境
ア IT講習の実施について
(ア)市民のどの層を対象とし、講習の内容はどうなっているのか
(イ)次年度以降の講習や機器類の利用について
イ 住民基本台帳ネットワークシステムについて
(ア)市民サービス関連のカードのビジョンについて
(11)効率的な行政運営
ア 人材育成について
(ア)年功序列から実績重視の人事管理制度
(イ)民間企業への出向
(ウ)スペシャリストの養成
○15番【常盤一郎君】 16番穂坂議員、26番小林議員、6番加藤議員、5番武松議員と私、15番常盤の5名で構成する粋誠会を代表し、通告に基づき質問に入る前に、ハワイ沖における米原潜と実習船衝突による実習船「えひめ丸」の行方不明者9名が一日でも早く発見されますことをお祈り申し上げますとともに、西インド大地震・中米エルサルバドル地震による犠牲者の皆様の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
さて、私たち粋誠会は、21世紀、小田原のまちがより豊かで、住みよい、活力あるまちを確立できるよう、変革期を認識し、市民の意識を明確に判断し、自信と決断力を持ってこれからの「私たちの小田原」を構築するために、施策遂行に邁進していきたいと思っております。そこで、粋誠会として、平成13年度の事業計画、予算編成に当たり、「ビジョン21おだわら」の見直しを含めた政策的な課題、市民要望の強い課題等、行政施策として取り上げるべき諸課題について、昨年10月、「平成13年度事業計画、予算編成に関連する諸施策の要求・要望書」を小澤市長に提出したところであります。私たち粋誠会の基本理念である提出した要望書をまずもとにして質問に入ります。
最初の質問は、21世紀の小田原市政に対する市長の考えを問うに関連して、市政の中心となる「ビジョン21おだわら」の計画推進について伺います。
「ビジョン21おだわら」は、「世界にきらめく明日の1000年都市」を構築すべき本市の進むべき基本を定めたものなのは言うまでもありません。平成10年度をスタートとして、平成22年度までの13年間を基本構想とし、平成16年度までの7年間を前期基本計画期間と定め、さらに市民に計画倒れとの失望感を与えないように、この計画の確実な事業達成をすべき実施計画を2期に分け、平成13年度までの4年間の実施計画を推進中であります。 そこで、1点目として、「ビジョン21おだわら」がスタートして3年を経過したわけですが、この間の社会経済情勢の変化は著しいものがあります。特に経済情勢については、長期化する景気の低迷からいまだ脱することができず、市税は大幅な減収となっております。こうした計画の根底を揺るがすような財政状況の悪化の中、果たして基本計画に定めた事業が実現できるのか、危惧しております。現在、実施計画のローリングを実施しているとのことでありますが、抜本的に基本計画から見直し、市の財政状況に合った総合計画とすべきと考えますが、御見解を伺います。
2点目として、今年度の実施計画のローリングにおいては、13・14年度の計画を策定しているようでありますが、いまだ計画書が示されておりません。本来、予算は実施計画に基づいて編成されるべきものであり、特にこのように財政状況が厳しいときには、実施計画において事業の優先順位づけをした上で予算を編成すべきと考えますが、実施計画のない中で、13年度の予算はどのように編成されたのかをお伺いします。
3点目として、社会経済情勢に大きな変化があったにもかかわらず、基本計画を見直すことなく実施計画のローリングのみを行っているようですが、現在の財政状況は現行の実施計画における財政推計と大きく乖離しているのが実情と思います。こうした状況において、基本計画にある大規模事業の実現は困難と考えますが、今回の実施計画のローリングにおいて、どのような財政見通しのもと、こうした事業に対処されたのかをお伺いします。 次に、市債依存事業の再検討について伺います。
本市の全会計市債残高は、平成10年度末で約1401億円、平成11年度末で約1408億円、平成12年度3月補正後の見込額は約1411億8000万円、また、平成13年度見込額は約1392億6000万円となっており、全会計予算額に匹敵するほどの額となっております。市債の借り入れについては、現在の市民と後世代の市民との公平化の観点から、市債残高や公債費負担比率などの財政経営の指標値に十分留意しながら、将来の返済を考慮した市債の借り入れに努められているとは思いますが、財政改革のためには、市債に依存した事業、特に公共下水道事業を含めた諸事業を再検討する必要があると考えますが、見解をお伺いし、あわせて財源の確保についてもお伺いします。
次に、競輪事業収益の増収対策について伺います。
小田原市の貴重な自主財源である競輪事業は昭和24年に開設し、競輪事業による純益の一般会計への繰入金は相当の金額であり、貴重な自主財源として、市民生活に大きく寄与してきたと認識しております。しかし、昨今の経済の低迷から、車券売り上げは減少し、上納金と言われる五つの交付金等の金額、開催経費、選手への賞金等の比率は年々上昇し、収益を圧迫しており、経費の節減が課題であると言われております。全国平均で、車券売上金の約10%が交付金等として上部団体に納められておりますが、これは施行者の収益率 1.6%に対し、 実に6倍以上であります。そこで、小田原市の貴重な自主財源である競輪事業収益の増収対策として、全国的な競輪組織改革に積極的に取り組むべきだと思いますが、見解をお伺いします。
また、神奈川県六市競輪組合及び茅ヶ崎市より、売り上げ減に伴う大幅な赤字増加を理由に撤退する旨の意思表示があり、加えて、県競輪組合も見直しを検討していると報道されています。平成13年度より肩がわり開催を小田原市が行うようですが、そうであれば、すべて小田原市の直営となります。そこで、肩がわり開催に当たって、採算を含めた対応について伺います。
次に、都市計画事業の見直しについて伺います。
現在、都市計画の位置づけがされている道路につきましては、昭和20年代に多くの路線が計画決定され、基本的な都市計画道路がつくり上げられました。また、昭和62年に策定した「小田原都市計画道路マスタープラン」において、ネットワークの基本方針が定められたことから、それ以降の具体的な路線の決定については、そのマスタープランを道路計画の基本として作業に取り組んできたと聞いております。しかしながら、未着手の路線や未整備の区間がある路線があまりにも数多く残されています。また、線引き見直しの際に設定されている特定保留区域については、昭和59年の第2回の線引き見直しから制度化され、以後の都市計画における計画的な新市街地の整備に大きく貢献していると思われます。この特定保留区域については、現在、土地区画整理事業の施行を前提として、飯泉地区、栢山地区、小竹地区、上町地区、東千代地区の5地区が位置づけられ、関係地権者との事業進捗を図っていることと思いますが、東千代地区を除いていまだ事業着手に至らず、結果として長期間の時間を要している状況にあります。そこで、低成長、成熟化社会が現実のものになったと言われる中、決定している都市計画道路、特定保留区域等の土地区画整理事業などを完成度合い、投資効果等、各方面から精査して、長期間、事業の進展がない都市計画事業は早期に見直し、事業の整理、機構のスリム化を図り、経費の節減に努めるなど、市民に計画倒れのまちづくり感を抱かせず、実感として「小田原のまちづくり」が見える都市計画事業とすべきと思いますが、見解を伺います。
次に、福祉行政のより充実した行政体制の確立について伺います。
在宅の介護保険サービスの柱となる訪問介護、通所介護、短期入所生活介護が自治体ごとにどれくらい提供できるかを指数化し分析した、住友生命総合研究所の「在宅介護力指数」によると、小田原市は平成9年度において神奈川県内で最も在宅介護力がある市町村という結果が出ております。高齢者、乳幼児、青少年を含めた小田原の福祉行政は全国自治体の中でもトップクラスであると思いますが、介護保険、少子化対策等の趣旨に沿って、より制度の充実を図り、制度の適切かつ公平な実施、さらに小田原らしさを加味した福祉行政施策の展開を図るべきであると考えます。そこで、施策の取り組み、展開について何点かお伺いします。
1点目は、各種の障害者に対して、特に入所施設の拡充が求められております。また、社会福祉事業法の改正により、平成15年4月より措置から契約に変わろうとしております。これらの状況も踏まえまして、障害者の入所施設の拡充や法改正の内容と対応についてお伺いします。
2点目として、高齢者医療費助成事業について伺います。68・69歳の医療費助成については、昭和48年の事業開始以来27年間にわたり、経済的側面では大きな成果を上げてきたものと思います。社会情勢も大きく変化しているところではありますが、この高齢者医療費助成事業は、市民に大変喜ばれている事業であります。この事業の変更の内容と、なぜこの時期に事業を変更しなければならないのかを伺います。
3点目として、介護保険に関連して伺います。介護保険が施行され、1年が経過しようとしております。先日報告されました「介護サービス市民満足度調査」においても、各サービスの満足度はおおむね70%を超え、過渡的なこの1年を順調に推移できたことは高く評価し、敬意を表する次第であります。介護保険の目的の一つは、在宅介護の支援であります。介護者への支援については、現状、寝たきりや痴呆の介護者に対し、市から3万円、社協から1万円、県から2万2000円の支給があると聞いております。また、労苦をねぎらう食事会等も開催されているようですが、介護者への支援について、今後どういった対応を考えているのかを伺います。
次に、学校教育の教育環境、指導体制の確立について伺います。
小学校、中学校の現状は極めて憂慮すべき現状にあります。「健康と教育」を掲げる小田原市の行政反応は、誠に時宜を得た方針であると一定の評価を示すものでありますが、教育委員会が今こそその指導体制を確立し、教職員、PTA等の関係者だけでなく、全市民を挙げて学校教育の正常化に取り組む体制づくり、教育環境づくりに積極的に取り組む必要があると考えます。人間として、そして日本人としての自覚と誇りを持つことができるような学校教育環境の構築に向け、小田原市らしい施策の展開が望まれます。本市は、全国的にも画期的と言われる「静かなる教育論議」と銘打って市民を挙げて教育に関する意見や考えを吸い上げ、小田原市の教育の方向性を模索する施策を図っております。このことについては、従来の教育は教育委員会にお任せの体質から脱却するものとして、大いに評価をするものであります。
さて、それでは教育委員会はといいますと、小田原市学校教育懇話会を設置し、(仮称)学校教育推進計画研究協議会での推進計画策定に研究、協議すると伺っておりますが、そこでお尋ねいたします。
1点目として、学校教育懇話会はどのようなことを協議し、推進計画研究協議会に何を提言するのか。
2点目として、学校教育懇話会、(仮称)学校教育推進計画研究協議会及び「子ども・未来」市民会議の関係と連携はどのようになるのかお尋ねします。
次に、地域センター計画について伺います。
「ビジョン21おだわら」前期実施計画における地域センター建設につきましては、毎議会と言われるほど、その進捗を問う質問を繰り返してまいりました。しかしながら、このたび私ども粋誠会の要望事項に対する回答でも、「建設のための諸条件の整備に日時を要していることがおくれの要因」との回答をいただいております。そこでお尋ねいたします。富水・桜井地域における日時を要している建設のための諸条件の整備とは何か、また、橘地域における日時を要している建設のための諸条件の整備とは何かお伺いいたします。
また、このたびの「ビジョン21おだわら」ローリング作業において、建設計画を現状に適合したものに修正していると聞いておりますが、当初議会及び各自治会等に説明した規模や内容に大きな変更点があるのかお尋ねいたします。
次に、新世紀の幕あけ、特例市としての最初の年、「健康と教育」、福祉など、細かく目配りした元気印の積極型予算、全会計で前年度比3.15%増の1443億5155万円の平成13年度当初予算案並びに施政方針について何点か質問いたします。
最初の質問は、本市を中心とした、県西地域における国の直轄調査の概要についてであります。我が国では、経済の成長や人口の増加に陰りが見える低成長・成熟化社会が到来しております。この県西地域においても、人口は減少傾向にあり、産業活動においては、観光客数、製造品出荷額、商品販売額等も軒並み落ち込んでおり、地域活力の低下が現実のものとなっており、何らかの活性化策が必要であると考えます。小田原市は、日本の中のガーデンアイランズであると自負されておりますように、小田原市をはじめとした県西地域は、自然など豊かな地域資源に恵まれており、何といっても交通の利便性は他に類を見ないものと思います。そこで伺います。現在、大都市圏周辺部の活性化をテーマとする、国の直轄調査を行っているとのことですが、この調査はどこの省庁がどのような目的で行っているのか、その概要をお尋ねします。
また、県西地域がモデル地域となっているとのことから、この地域にふさわしい活性化策が検討されていると考えますが、市として今後この調査をどう生かしていくのかを伺います。
次に、おだわらレインボーヒルズ構想に関連して何点か伺います。
本市の現状を見ますと、先般公表されました国勢調査の速報によれば、人口は20万173人ということで、平成7年に20万人を突破したものの、依然として横ばい、停滞の状況にあります。そして、産業面についても、製造業については工業出荷額の落ち込みが激しいと聞いており、同時にその就業・雇用の場も大きく減少しているものと思います。こうした現状のもとで、レインボープロジェクトの中でも特に推進すべき重要施策として、住宅、産業、そして芸術・文化の三つの振興策を内容としたおだわらレインボーヒルズ構想を打ち出し、取り組みに御尽力されていることに対し、敬意を表するものであります。このおだわらレインボーヒルズ構想については、平成10年度から平成12年度の3年間にわたり、基本構想、基本計画と検討作業を進めてきていると承知しておりますが、いまだ市民への説明がなされていないようです。こうした重要なプロジェクトについては、一日でも早く地域住民に公表し、話し合いをすべきと思いますが、お考えを伺います。
そして、この推進においては、県の土地利用規制の関係が非常に大きな支障となっていると聞いておりますが、そうした課題について、今後どのような姿勢で臨まれるか、あわせてお尋ねします。
2点目として、おだわらレインボーヒルズ構想と情報化計画との関連について伺います。国においては本格的なIT時代を迎え、平成12年7月に「地域IT推進本部」を旧自治省内に設置し、同年8月には国が地域のIT化を推進するための方向として「地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」を策定したところであります。そこで、本市では、今後の情報化の施策展開を研究するために、平成12年7月、旧郵政省の外部団体である「情報基盤協議会」が本市に地域分科会を設置し、調査・研究をしているとのことでありますが、その検討状況について伺います。
また、西部丘陵地整備基本構想によると、情報基盤の整備のもと、土地利用に基づく機能の適正配置や機能間を連携するネットワークの形成を考慮した将来の整備イメージを示しています。そこで、同地域分科会のテーマの一つである「情報を核とした次世代型まちづくり」は、おだわらレインボーヒルズ構想にどのように反映されるのかをお伺いします。次に、「環境にやさしいまち」に関連して何点かお伺いします。
まず1点目は、堀ヶ窪埋立処分場についてであります。堀ヶ窪埋立処分場は、昭和61年から焼却灰を埋め立てし、その許容量は既に限界に達していると伺っております。しかしながら、ごみの分別化・資源化等とあわせ、市民意識の向上により、ごみの減量化が図られ、最終処分場の延命措置が続けられている状況です。そこでお伺いいたします。計画処分場を建設すべく準備を進めていますが、その進捗状況についてお伺いします。
2点目として、埋立処分場の跡地利用について伺います。昭和47年から埋め立てを開始した中村原埋立処分場については、平成10年2月に埋め立てを終了し、平成10年6月に国から示された基準に基づき、平成11年度からは処分場の廃止に向けての調査として、地下水、ガス発生状況、地中温度等の調査を行っていると伺っております。この基準は2年以上継続して良好な結果であった場合に、処分場の廃止が可能であるとも伺っております。しかし、平成12年度が2年目の調査が終了する年でありますが、13年度当初予算で処分場跡地整備の方向づけが見受けられません。そこで、処分場廃止に向けた調査状況と、今後の公園整備を含めた、跡地整備の見通しと考え方についてお尋ねします。
次に、「魅力ある都市空間」に関連して何点かお伺いします。
1点目は、鴨宮駅のバリアフリー化についてであります。「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」、いわゆる交通バリアフリー法では、まず国が基本方針を策定し、移動円滑化の意義や目標を設定します。それに公共交通事業者が構ずべき措置に関する基本的事項や市町村が作成する基本構想が策定されます。小田原市の基本構想は今のところ策定されていないようでありますが、バリアフリーは、到達すべき目標ではなく、必要最低限の条件であり、公共施設であれば当然備えていなければならない機能であります。バリアフリーは、身体障害者だけのものではありません。健常者であっても、交通事故や病気、女性であれば妊娠、子育て世代であれば、ベビーカー等が該当します。また、高齢になれば、いずれだれもが必要となるものであります。施政方針では、駅施設の交通バリアフリー化に向けた検討に入りますとなっておりますが、鴨宮駅自由通路部分のバリアフリー化の早期実施に向けた調査内容と取り組みについてお伺いします。
2点目の質問は、(仮称)小田原宿場町会館整備事業と小田原用水の復元であります。(仮称)小田原宿場町会館整備事業は、本町三丁目の通称「カド吉」としても親しまれてきた建物であり、小田原駅、小田原城址公園、御幸の浜海岸や商業集積などの集客資源を有しているとともに、箱根への入口にも当たる本市の中心市街地の重要な位置にある建物であります。そこで、(仮称)小田原宿場町会館整備事業の整備内容について、どのような基本的考えを持って整備するのか、また、管理運営の方法について伺います。
次に、レインボープロジェクトの「交流のまちおだわら・時の回廊」の中にある、小田原用水の復元について伺います。レインボープロジェクト「交流のまちおだわら・時の回廊」は、本市の持つ歴史や文化を生かし、魅力ある空間をつくることにより、人々の回遊性を高めていくことが主目的の一つだと理解しておりますが、宮之前、高梨町地区では、小田原用水を利用してせせらぎを整備し、潤いのある生活空間をつくろうと、地域の住民が平成10年6月より「宮之前、高梨町せせらぎ自主的景観研究会」を発足し、市とともに検討を進めていると聞いております。そこで現在、せせらぎの整備について、事業の進捗や地域の取り組み状況について伺います。
また、この二つの事業は一体的事業として整備することにより、互いの事業の相乗効果が発揮され、地域のまちづくり活性化に、より有効に機能していくものと考えますが、本市がこの地域に描いている将来像についてどのような考えを持っておられるか、お伺いします。
次に、 「生きる喜びを実感する生涯学習」に関連して、全国童謡フェスティバルの成果の活用と今後の開催について伺います。市制施行60周年記念事業、「国際音楽の日」記念事業として、昨年11月に開催した全国童謡フェスティバルは、46都道府県から1220名の応募者、また、開催日当日は930名の入場者があり、成功裏に終了したようでありますが、全国に小田原をアピールし、 全国の人々と交流を深めることができたと考えます。全国から寄せられた応募作品の創作童謡詩や、小田原から生まれた新しい童謡等の成果を子供たちへの活用を図るとともに、市民にも広く普及すべきと思いますが、見解を伺います。
また、童謡を新世紀に歌い継ぐとともに、子供たちの豊かな感性をはぐくむためにも、この童謡フェスティバルを継続して開催する考えがあるのかをお伺いします。
次に、「健やかに伸びる力を育てる教育環境」に関連して何点かお伺いします。
1点目は、スタディ・サポート・スタッフ事業についてであります。本事業は、施政方針演説の中でも触れられていましたが、小学校1年生に対するきめ細かな指導を行う指導者を市民公募するとのことであります。この事業の必要性は何か。また、このような形態で、教室内及び学校運営に混乱をもたらさないのか。さらに、県下で初めて実施される事業と伺いますが、全国的に実施している行政機関はあるのか、また、あるとすればどのような効果があったのかをお尋ねいたします。
次に、メンタルフレンド事業について伺います。聞きなれない本事業は一体どのような事業なのか、その概要をお尋ねします。
次に、農業振興策に関連して何点かお伺いします。
1点目は、市街化調整区域整備保全構想策定についてであります。市街化調整区域の土地利用については農林業の生産環境を中心として、地域環境の維持や保全を基本としており、計画的な市街地の整備を進めている市街化区域に対しても、市街化を抑制する区域で基本的には建物等が建たない区域と理解しております。また、このような性格の市街化調整区域において、本市では県下一律の土地利用規制でなく、県西地域の独自性を尊重した土地利用の必要性から、活力のある土地利用を図るための手法等を研究されていることは認識しております。一方、平成12年5月に都市計画法の全般的な見直しが行われ、自治体が地域の課題に応じてより柔軟に活用できる仕組みになったところでありますが、神奈川県の土地利用方針において、市街化調整区域については原則として都市的な利用を避け、市街化を抑制する区域と定めており、県の全国でも例のない人口フレームを基本とした土地利用調整条例において、厳しい土地利用の規制があり、本市を含めた県西市町からは、極めて不平等な県の施策であると考えます。そこで、この市街化調整区域の整備・保全構想の策定は、市街化調整区域における厳しい土地利用規制がある中で何を目的とした構想を策定しようとしているのか、また、本市の活性化に役立つものなのかを伺います。
2点目の質問は、農業の後継者不足による農地の耕作放棄対策についてであります。近年、農業経営は、輸入の増加による農産物価格の下落などにより、厳しさを増す一方であり、農業後継者不足も深刻化しております。5年に一度行われる統計調査である「農林業センサス」の2000年調査によりますと、小田原市内の総農家戸数は2645戸で、5年前に比べ9.6%減少しており、この5年間で約1割の農家の方が農業を離れてしまったことになります。また、耕作放棄地は増加の一途をたどっており、経営耕地全体に占める耕作放棄地の比率は14.6%に達しております。本市の農業においても、周辺環境に影響を与えかねない耕作放棄地の増加を食いとめ、農地の保全を図る施策を強力に推進すべきと考えますが、御見解をお伺いします。
また、市民農園としての整備を促進することも、この問題の有効な対策と考えます。そこで、市内にある市民農園の状況はどうなっているのか、また、今後市民農園をふやすお考えがあるのかを伺います。
次に、「まちの魅力を発信する産業」に関連して、本市の観光振興策について何点かお伺いします。
まず1点目は、小田原城址公園を核とした観光、誘客のための施策についてであります。一般に、観光地における魅力とは、その地域でしか体験できない事柄がある、歴史や文化などを感じさせるまちの雰囲気がある、地域の人々との温かいふれあいがあるといったことであろうかと思います。また、観光地のにぎわいとは、その観光地を形成する中心的な観光資源が必要であります。したがって、本市が今以上に観光都市として活況を呈するためには、観光資源の核となっている小田原城址公園の魅力の向上とともに、小田原城址公園周辺地域のにぎわいづくりが大変重要になってくるものと思います。そこでお伺いします。花の小田原城事業と銘打って、常盤木坂周辺の園路整備や花木の植栽を進めていくとのことでありますが、具体的に平成13年度はどのような整備を考えているのか、また、平成14年度以降の整備計画はどのようになっているのかをお伺いします。
2点目は、誘客宣伝事業についてであります。施政方針では、2002年のサッカーワールドカップを契機に、外国人観光客の来訪を促進するため、外国語のホームページを設けて観光情報を発信するなど、さまざまな媒体を活用して積極的に誘客宣伝事業を進めていくと述べています。近年では情報の進展により、あらゆる分野においてインターネットを使った情報発信というものが急速にふえていると考えます。このことは、従来の観光情報の発信・受信のあり方を大きく変えてくるものと思います。今後、観光情報を効果的に発信するためには、観光情報の内容を充実させることもさることながら、情報提供のターゲットや情報発信のタイミングなどを考えて、情報媒体を選択し、情報の受け手にとって欲しい情報を適時適切に提供することが大切になってくると思います。そこで、本市の観光情報の発信、誘客宣伝について、どのような方針を持って取り組んでいるかを伺います。
次に、「活力あふれる商工業」に関連して、 中心市街地活性化推進についてお伺いします。
本市の中心市街地は、全国多くの都市と同様、 ここ数年で空洞化が加速しております。商業統計調査によると、本市の中心市街地における商業環境は、昭和63年から平成9年までの9年間で、商店数、従業員数、年間商品販売額ともに減少しており、特に市全体に占める販売額のシェアは7.1ポイント低下しています。加えて、平成11年3月にはシティーモール・クレッセが、また、平成12年9月にはダイナシティ・ウエストが出店し、これら2店の店舗面積は、小田原駅周辺の総店舗面積に匹敵します。これらの影響を受け、昨年12月に行われた流動客調査においても、中心市街地の来街客数の減少傾向が続いているようであります。このような中、平成10年7月の「中心市街地活性化法」の施行に伴い、本市では、翌年3月「小田原市中心市街地活性化基本計画」を策定し、この基本計画に則して発足して1年を経過した小田原TMOのこれまでの実績と今後の展開について伺います。TMOの発足初年度に当たる平成12年度は、組織・体制の強化を進めながら、あわせて活性化事業を行うという、いわば本格化に向けての助走段階であったと思いますが、具体的にどのような活性化事業を行ってきたのか、また、平成13年度以降は事業そのものの成果が問われる時期となりますが、どのような事業を展開しようとしているのかを伺います。 次に、「暮らしの質を高める情報環境」に関連して質問します。
1点目は、IT講習の実施についてであります。昨年の森首相の「IT革命」発言により、ITが急速に注目されました。しかしながら、社会情勢としては、既にIT関連株のバブルがはじけ、IT関連のメーカーの業績見込みも下方修正され、設備投資も前年度比20~30%削減される予定です。このような状況にあっても、市民の間にITへの関心が急速に高まっております。隣の二宮町でIT講習の初心者コースに高齢者の希望者が殺到するなど、行政側の対応にも柔軟性が求められているところであります。本市においても328講座6560人を対象としたIT講習が実施されるようですが、その講習は市民のどの層を対象とし、内容はどうなっているのか伺います。
また、この講習は、単年度事業となっているようですが、次年度の講習や整備した機器類の利用についてお伺いいたします。
次に、住民基本台帳カード等、市民サービスのカードのあり方について伺います。
行政の情報化による住民の利便の増進及び行政の合理化を目的として住民基本台帳法が改正され、具体的には、住民票の写しの広域配付や転入出手続が簡素化されます。また、市町村は住民の申請に基づき住民基本台帳カードを交付することができ、そのカードは、条例で定める目的のために利用することが可能となります。我々粋誠会では、2月に北九州市を視察してまいりました。北九州市では、北九州市民カードといって印鑑証明と住民票の自動交付ができるカードが本年1月15日より導入されました。これは自動交付機にカードを挿入し、暗証番号を入力することにより、印鑑証明と住民票の写しを自動交付できるものであります。また、この自動交付機は住民基本台帳カードでも共用できるとのことであります。小田原市では、住民基本台帳カード導入に際し、印鑑証明カード、図書カード等、幾つもある市民サービスのカードを今後どうするのか、また、その対応について伺います。
最後の質問は、効率的な行政運営に関連した職員の人材育成についてであります。
今、まさに地方分権の時代であります。この分権時代にあって、地方自治体は、従来の国の省庁による護送船団方式、いわゆる国追随型から、地域のために何が必要かということをみずから考え、政策を立て、そして実行することができる政策立案型へと大きな変革が求められております。本市も行革を推進する中で、行政のスリム化は最大の懸案事項であり、定員の適正化を目指した職員数の削減はやむを得ないことと理解しております。それだからこそ、職員は本市の財産であり貴重な資源であります。多様化・高度化するニーズ、逼迫する財政事情、少子・高齢化の進行など、厳しい環境の中で政策形成能力の向上、住民サービスという視点、経常的感覚の取得など、職員に要求されるものは多種多様であると考えます。こうした要求に対応できる人材をどう育て、どう生かしていくのか、そしてそのための人事管理など、「人づくり」の環境について何点か伺います。
まず1点目は、年功序列から実績重視の人事管理制度についてであります。過日、政府・与党が中央省庁再編後の行政改革の柱と位置づけております「公務員制度改革」の内容が明らかにされましたが、民間企業と同様に実力主義で実績に応じた人事評価制度にシフトすることなどが盛り込まれております。能力を十分に発揮し、さらに優秀な人材を育てていくためには、やはり年功序列的な人事の仕組みを見直し、実績を重視した人事制度へと変更する必要があると考えますが、この点についてどのように考えておられるのかを伺います。
2点目は、民間企業への出向についてであります。今、民間企業は長期景気低迷の影響を受け、生き残るための競争力を強化する経営戦略に必死であり、中でも最も重要なのが人事戦略であるとして、人材育成に取り組んでいる企業が多いと聞いております。ある企業では、従業員一人ひとりに求められる基礎的な能力を「創造性」「未来性」「活力」であるとし、これらの能力開発に熱心に取り組んでおります。この三つの能力は、今の自治体職員に求められる能力と同様であると思います。こうした人材育成で成果を上げている企業に職員を出向させてはどうかと考えますが、御見解を伺います。
3点目は、スペシャリストの養成についてであります。本市の事務職職員の場合、同じ職場に5年程度在籍してから異動し、さまざまな部門の経験を積みながら、いわゆるゼネラリストとしての成長を目指していると聞いておりますが、職員の異動によって、それまで市民との間で培われてきた関係が切れてしまう、つまり行政の継続性が分断してしまうことがあります。さらに、これだけ行政需要が高度化・複雑化してまいりますと、それに的確に対応するためには、その道の専門家が各課に必要ではないかと考えます。そこで、スペシャリストの養成について、どのように考えておられるかをお伺いします。
以上を持ちまして、21世紀の初めの年である平成13年度を踏まえて、小田原市政の大胆な変革と強力な実行力を期待し、質問に対する小澤市長の御答弁をお願いしまして、登壇しての粋誠会の代表質問を終わります。(拍手)
○議長【二見健一君】 この際、暫時休憩いたします。
午後 3時22分 休憩
午後 3時40分 開議
○議長【二見健一君】 休憩前に引き続き再開いたします。
市長、登壇願います。
〔市長(小澤良明君)登壇〕
○市長【小澤良明君】 粋誠会・15番常盤議員の代表質問に順次お答えをさせていただきます。
はじめに、「ビジョン21おだわら」基本計画の抜本的見直しについての御質問がございました。「ビジョン21おだわら」は、策定時に展望した中長期的な時代認識に立って組み立てられた計画でありますことから、財政状況が悪化したからといいまして、すぐに基本計画の見直しにつながるものではないと考えております。財政状況の悪化に対しましては、基本的に、実施計画のローリングにより柔軟に対応していくべきものと考えておりますが、地方分権時代を迎えて、計画がより一層重要視されることになりますことから、御指摘の趣旨も踏まえて検討をしてまいりたいと考えております。
次に、実施計画のローリングに関する御質問がございました。実施計画は、基本計画と予算を連結するもので、予算編成の指針となるものでございます。したがいまして、今回のローリングにおいては、13年度の予算編成に先立って見直しをした実施計画の原案を各課に示し、これに基づいて、予算要求とその後の編成作業が行われたものであります。現在、実施計画は、各所管と最終的な内容の整合を図っている段階でございまして、正式に実施計画書としてお示しできるのは、従来と同様の4月になってからとなりますので、御理解を賜りたいと思います。
次に、今回のローリングにおける財政見通しと大規模事業の位置づけについての御質問がございました。今回の実施計画は、2年間という短期間の計画でありまして、13年度については既に予算化がされまして、14年度につきましては現在内容を再調整中でございますが、景気の動向を勘案しながら、13年度を若干上回る規模で事業を構成することといたしております。また、基本計画における大規模事業につきましては、将来の小田原を見通して、必要な事業として位置づけてきたものでございますことから、ここで直ちに事業の中止や延期という判断を下すことなく、今後の社会経済情勢の変化を見きわめながら方向づけをしてまいりたいと考えているところであります。
次に、市債に依存した事業の再検討についてのお尋ねがございました。市債の借り入れにつきましては、現在の市民の方、あるいは子や孫が将来にわたって便益を受ける施設の建設や整備を行うための財源といたしておりますので、厳しい財政状況の中でも有効に活用していくことも必要であろうと考えております。特に、御指摘の公共下水道事業につきましては、今後も基本的には普及率向上に向けて整備を推進してまいりますが、事業の実施に当たりましては、国庫補助金等の財源の確保に努めながら、市債の累増につながらないよう配慮してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、市債の借り入れに当たりましては、引き続き市債残高や公債費負担比率等に配慮するとともに、後年度負担につきましても視野に入れた効率的で的確な設備投資が図れるよう、健全な財政運営を行ってまいりたいと考えております。また、財源の確保につきましては、既存の制度の枠組みの中で財源確保に努めることはもちろん、全国市長会での要望だけではなくて、特例市のリーダーといたしましても、税源委譲について国に強く働きかけてまいりたいと考えているところであります。
競輪事業についての御質問がございました。まず、交付金等の改善についての御質問でございますが、日本自転車振興会に対する交付金等は、開催経費に占める比重が高く、収支に大きな影響を与えることは御指摘のとおりであります。その改善方につきましては、全国の競輪施行者で構成しております全国競輪施行者協議会を通じ、通産大臣(現経済産業大臣)に対し、たびたび要望をいたしてきているところでありますし、競輪施行都市で構成しております全国競輪都市協議会を通じましても、同様に要望いたしております。また、この要望につきましては、関係機関に働きかけていただきますよう、昨年の秋、地元選出の国会議員にもお願いをしたところであります。一方、本市の二見議長が現在相談役を務められ、また、32番椎野恵二議員、16番穂坂英山議員が会長を務めておられました全国競輪主催地議会議長会からも、通産大臣に対し改善方の陳情をしていただくとともに、小田原市議会といたしましても、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣及び関係大臣あてに地方自治法に基づく意見書を提出していただいたところでございまして、大変心強く感じているところであります。こうしたさまざまな取り組みにもかかわらず、現在のところでは、この関係団体への交付金を見直すとの回答はいただいていないのが実情でありますので、今後とも粘り強く働きかけをしてまいりたいと考えております。
次に、競輪の借上施行者、六市競輪組合の撤退に伴う肩がわり開催に当たっての収支の見通しについてお尋ねがございました。神奈川県六市競輪組合からは平成12年2月に、また、茅ヶ崎市からは平成12年4月に、それぞれ肩がわり開催の要望書が提出されました。茅ヶ崎市につきましては現在協議中でございまして、もう少し待ってほしいというお願いをいたしているところでございますが、神奈川県六市競輪組合とは協議が調いまして、平成13年度予算に小田原市営競輪としての開催分の予算を計上させていただいております。そこで、肩がわり開催をするに当たっての収支の見通しでございますが、最近の経済情勢など、競輪事業を取り巻く状況を踏まえ、従業員の出勤調整、その他開催経費の見直し、特別競輪等の場外発売の積極的引き受け、あるいは開設記念競輪の場外売場開設の充実に努めるなどによりまして、競輪事業全体としての収益の確保を図ってまいりたいと考えているところであります。
次に、都市計画事業の見直しについてでございますが、決定済みの都市計画事業につきましては、小田原の将来のまちづくりに必要なものを位置づけ、事業化を図っているところであります。まず、道路事業につきましては、事業効果の高い路線から優先的に事業実施を図っておりますが、引き続き早期事業化に向け取り組んでまいりたいと考えております。また、特定保留区域の事業化につきましては、昨今の厳しい経済状況等から、安全で安心できる事業を目指すため、地元推進組織である組合設立準備委員会等を設置し、研究・検討を重ね、事業化に向け努力をしているところであります。なお、早期事業化が困難と判断をされる場合には、線引き時に設定の見直しを行っております。
次に、福祉行政のより充実した行政体制の確立について何点かお尋ねがございましたので、順次お答えをさせていただきたいと思います。まずはじめに、障害者の入所施設整備の見通しと、社会福祉事業法の改正の内容及びその対応についてお尋ねがございました。現在、市内には知的障害児者入所施設が4施設ございます。このうち2施設が整備を進めており、さらに平成14年4月には、県西地区初めての重症心身障害児者施設が市内に開所する予定であります。また、本年4月には、南足柄市内に身体障害者療護施設が開所し、本市の障害者も有効利用できるものと考えております。このように着実に施設整備の促進に努めておりますが、介護者の高齢化等により、施設への入所を希望している方が多くいらっしゃいますので、今後とも引き続き、施設整備の促進に努めてまいりたいと思います。また、障害者福祉制度の改正に関してでございますが、昨年6月に、社会福祉事業法の改正に伴い、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法等、障害者福祉関係法の改正がなされました。制度改正の大きな柱の一つは、平成15年4月から、現行の措置制度にかわりまして、障害者がみずからサービスを選択する利用制度に改められることであります。その具体的な内容等につきましては、平成13年秋ごろから順次国から示されるとのことでございますので、制度改正に向け、万全な体制で対応してまいりたいと考えております。
次に、高齢者医療費助成事業につきまして御質問がございました。はじめに、変更する内容のお尋ねでございますが、今年の9月以前に68歳になられます方につきましては、70歳になるまで引き続き受給資格を有することになりますが、本年10月から68歳になられます方につきましては、市民税の非課税世帯に属する方のみをこの事業の対象としてまいりたいと考えております。今年の9月を境にしてということになります。したがいまして、新規に対象となる方の数が本年10月から減少することとなりまして、制度が平準化する平成15年10月からは68・69歳の方のおおむね23%の方、要するに4分の1ほどの方は、引き続きこの受給資格を得ることになろうと想定しているところでございます。
次に、この時期に変更する理由でございますが、本事業の見直しにつきましては、行革市民会議よりの提言に基づきまして策定をされました「小田原市行政改革大綱」により検討を続けてきたところでございます。昨年度は、御承知のとおり、一大社会システムの変革であります介護保険制度が導入され、また、今後もさらなる高齢化の進行により、高齢者、特に75歳以上の後期高齢者に対する市の新たな財政負担が見込まれております。また、実際に医療保険や介護保険をお使いいただく以前に、高齢者の方々の保健予防や生きがいづくりなどの健康増進のための施策を一層充実させていくためにも、新たな財源を必要とすることから見直しをするものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
次に、在宅での介護者に対する支援でございますが、本市の介護者への支援事業といたしましては、家族介護者交流事業として、寝たきりや痴呆の高齢者の方を介護されている御家族をおねぎらい申し上げ、また、情報交換の場としていただくために、昼食会を開催いたしております。ほかに、介護者見舞金の給付や、家族介護用品支給事業として紙おむつの給付を行っております。さらに、在宅で高齢者を介護するために、家族がホームヘルパー研修を受講された場合、その受講料の一部を助成させていただきますとともに、痴呆や寝たきりの高齢者を介護される方を対象に、介護知識や技術を習得するための痴呆介護教室や家族介護教室を開催いたしております。また、13年度からは、家族介護者交流事業につきましては、多数の介護者が御参加いただけるように、昼食会を2ヵ所で開催いたします。ほかに、新たな事業といたしまして、介護者の身体的や精神的、さらに経済的な御負担の軽減を図るために、寝具類等洗濯乾燥消毒サービス事業や、徘徊痴呆性高齢者探索事業を実施するとともに、要介護4または5の重度要介護者で、住民税の非課税世帯に該当し、かつ、1年間介護保険サービスを受けなかった御家族に対する慰労金給付事業の実施も新たに予定をいたしているところであります。いずれにいたしましても、在宅での介護者に対する支援につきましては、大変重要なことであると考えておりますので、事業の必要性を十分勘案しながら、施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、学校教育懇話会の協議内容と提言についての御質問がございました。学校教育懇話会は、小田原の地域性を生かした学校教育プランを策定するに当たりまして、有識者から提言を受けるために、教育長のもとで昨年11月に設置されたものでございます。懇話会では、少子化に対応する学校のあり方や、特色ある学校づくりや、情報化・国際化に対応する教育の推進など、学校教育を取り巻くさまざまな事柄について議論し、教育委員会に提言をしていただきます。教育委員会は、この提言を受けて計画の素案を作成いたしまして、ちょっと長い名前でございますが、(仮称)学校教育推進計画研究協議会に学校教育プランの策定について諮問を行うものでありまして、直接、懇話会から提言を受けるということではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
次に、学校教育懇話会、(仮称)学校教育推進計画研究協議会及び「子ども・未来」市民会議の関係と連携につきまして御質問がございました。学校教育懇話会と(仮称)学校教育推進計画研究協議会につきましては、ただいま御答弁申し上げましたとおりでございますが、教育委員会が独自に学校教育プランを策定するために設置するものでございます。一方、「子ども・未来」市民会議につきましては、市民社会挙げて教育について論議を行う「静かなる教育論議」の一会議体として、「井戸端会議」で出された意見を総合的に集約するとともに、関係諸団体の連絡調整等を行うものでございます。このため、それぞれ直接的なつながりはございませんが、教育論議で出された意見等でその趣旨が生かせるもの等につきましては、教育プランに反映をされるものと考えているところであります。
次に、地域センターの建設計画について御質問がございました。まず、建設のための諸条件整備に日時を要しているとのことだが、その内容は何なのかというお尋ねでございますが、(仮称)富水・桜井地域センターにつきましては、「富水・東富水・桜井地区地域センター建設促進対策協議会」を交渉窓口といたしまして、建設に向けての基本的な条件について調整をしてまいりましたが、桜井支所を統合するという当初案、もともと地域センター計画は、支所の統廃合という大前提、大原則の上にある計画でございますので、当然のこととして桜井支所を統合するということになりましたが、その当初案に御理解が得られませんでしたので、市といたしましても、種々検討をいたしました結果、地域の事情等にも考慮させていただき、窓口コーナーとして残す案を新たに提案させていただきました。しかし、この案につきましても、桜井地区自治会連合会から陳情書が提出されるなど、いまだ御理解が得られていない状況にございます。なお、このような中で、建設促進対策協議会は、その後、行政に資料提供を求めるなど、解決に向けて皆様方がそれぞれ一生懸命御努力をいただいているというところでございます。また、(仮称)橘地域センターにつきましては、羽根尾工業団地内に建設する方向で、交渉窓口の「橘地域センター建設仮準備委員会」から御理解が得られている状況にございますが、用地の公有地化、この地域センター内に移設されます橘支所の都市計画道路築造に伴う移転の時期などの諸問題、そして相模人形芝居下中座や橘商工会からの御要望等もございます。いずれにいたしましても、市民の方々の御要望の高い施設でございますので、これら諸条件の解決に向け、懸命に努めてまいりたいと考えております。
また、「ビジョン21おだわら」ローリング作業において、当初、議会及び地元に説明した規模や内容に大きな変更点が生じているのかとの御質問でございますが、地域センター2号館、3号館建設の進捗状況に合わせて、建設規模等についての計画の変更ではなく、事業年度の見直しを行ったものでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、国の直轄調査についての御質問がございました。この調査は、国土庁、現在の国土交通省が、首都圏周辺の産業や商業の一定の集積と、交通基盤を持つ都市において、地域の個性や資源を生かしたさまざまな主体の協働(コラボレーション)を通じた活性化策を探ろうするものであります。県西地域は、そのモデル地域として選ばれたものでございまして、首都圏にありながら、国内でも屈指の水と緑の豊かな自然環境、中部圏との圏域間交流の結節点に位置するという都市的立地条件、長い年月に培われた歴史・文化などの豊富な地域資源をとらえまして、この地域の国土計画や首都圏計画における重要な役割を担う新たな自立都市圏域としての位置づけをねらったものでございます。この調査を通じて、多自然居住地域の創造や広域連携拠点都市の形成など、国策の誘導とともに、行政、住民及び企業の連携や協働(コラボレーション)により、さまざまな活性化策が掘り起こされることを期待しております。
次に、おだわらレインボーヒルズ構想に関するお尋ねがございました。西部丘陵地一帯の土地活用につきましては、粋誠会・15番常盤議員の御指摘のとおり、市街化調整区域でありますことから、さまざまな制約がございます。しかし、地方分権の進展の中で、昨年の都市計画法の改正を中心に、市町村がその実情と特性に応じた独自なまちづくりを推進する仕組みもできておりまして、今後とも、県や国との協議・調整に努力をしてまいりたいと考えております。したがいまして、こうした国・県との調整状況等も見きわめながら地元の皆様方への御説明は一日も早く行うべきものと考えているわけであります。
次に、おだわらレインボーヒルズ構想と情報化計画の関連についてのお尋ねがございました。情報化計画の策定につきましては、総務省、前の郵政省はこの中に入っておりますけれども、この郵政省の御支援をいただきまして、昨年7月に、郵政省の外郭団体のような存在でございますが、情報基盤協議会が本市に小田原地域分科会なるものを設置し、いわゆる産・学・官の連携によりまして、この産の中には我が国のIT先端企業のほとんどが入っておりますけれども、こうした企業群、あるいはデベロッパー、コンサルや、これらに加えまして地元有力企業も参加していただいております。この産と学と官の連携によりまして、この分科会の委員長が東大の大西教授、この分野の第一人者と申しますかそういう方でございますが、現在、調査・研究を進めておられます。具体的には、情報通信技術の活用を視野に入れ、市民生活の利便性等を図るための「地域情報ネットワークの実現」と、デジタル技術の開発動向をもとに先進的な情報基盤整備を基礎といたしました「情報を核にした次世代型まちづくり」、これからの小田原のまちがどう情報化していくべきか、IT化していくのか、こうした小田原をモデルにした地方都市の次世代の姿を描いていくということでございますが、この二つの研究部会を設置いたしまして、調査・研究を行っているものでございまして、今後、幹事会、総会を経て、小田原市に報告書という形で提言をされることになっております。また、地域分科会の研究テーマの一つである「情報を核にした次世代型まちづくり」の研究部会とおだわらレインボーヒルズ構想とのかかわりでございますが、同研究部会におきましては、情報基盤整備を基礎として、自然や景観、交通の利便性等、小田原のポテンシャルを最大限に生かしたまちづくりを視点に、調査・研究を進めていただいております。西部丘陵地は、内在しております諸条件が、IT先進ニュータウン、インテリジェントニュータウンのモデル地区としてまさに最適だということでございますので、調査・研究の対象として取り上げていただきまして、居住、文化・芸術、産業、この各分野の検討がされているところであります。いずれにいたしましても、その提言内容につきましては、今後できるだけおだわらレインボーヒルズ構想に反映をしてまいりたいと思っているわけであります。
次に、ごみの最終処分場の建設についての御質問がございました。堀ヶ窪埋立処分場は、15番常盤議員御指摘のとおり、埋立残容量がわずかであり、逼迫する処分場の延命対策として、焼却灰をやむなく県外へ搬出し、埋立処分に頼っている状況でございますが、昨今は受け入れ先の条件も大変厳しいものになっております。そこで、市が計画している処分場の建設につきましては、地元住民の方々と交渉作業を進めているところでございますが、今後も引き続き御理解が得られますよう折衝してまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
次に、中村原埋立処分場の廃止に向けての調査状況及び公園整備への見通しと考え方でございますが、平成11年度より「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令」に基づく最終処分場廃止基準の対象となっております地下水、ガス、埋立地内部の温度等の調査を行っております。これら調査結果で考慮しますと、まだ十分に安定化していないと考えられますので、今後も引き続き調査を行い、経過観察を続けてまいりたいと考えております。なお、公園整備及び廃止までの暫定跡地利用につきましては、現在も一部をゲートボール場等に利用していただいておりますが、今後とも地元の要望等を取り入れた利用方法になるよう、関係機関と協議してまいりたいと考えております。
次に、鴨宮駅自由通路昇降施設関係調査につきましては、具体的な整備方針を固めていくために、既存構造物や地下埋設物等の現況を把握するとともに、歩行者動線やピーク時の歩行者数の状況などの基礎的データの収集、昇降施設を設置する場合の技術的課題の分析等の基礎的な調査を実施するということを目的といたしております。いずれにいたしましても、平成13年度での調査を実施した後に、整備の基本方針やスケジュール等を検討していくことになろうかと思いますので、これからの総合計画への位置づけ等も含めまして、早期実現が図られますよう調査・検討を行ってまいりたいと考えております。
次に、(仮称)小田原宿場町会館整備事業の整備及び管理運営についてのお尋ねがございました。(仮称)小田原宿場町会館の整備につきましては、外観、構造等を復元保存するとともに、1階は休憩や観光案内などの回遊の拠点機能を中心に持たせ、2階は資料展示や集会なども実施可能な交流の拠点機能を中心に考えております。また、会館の管理用務や売店・案内等の運営につきましては、公共的団体に委託するとともに、施設の運営につきましては、小田原TMOをはじめ利用団体等による協議会を設置するなど、積極的・効果的な運営に努め、観光客や市民の回遊及び交流の拠点といたしたいと考えております。 次に、小田原用水を利用したせせらぎの整備についてでございますが、平成10年に地域の研究会が発足して以来、地域の皆様とともにせせらぎのある城下町づくりに向けての検討を重ねてまいりました。このせせらぎ整備に当たりましては、道路幅員の状況から、一方通行による規制が必要ということになりまして、その影響が及ぶ周辺自治会への説明を行っておりますが、現時点ではいまだ十分な御理解が得られていない状況でございます。今後も引き続き交通問題の解消に向けて、地元研究会の皆様ともども鋭意取り組んでまいりたいと考えております。なお、(仮称)小田原宿場町会館との関連につきましては、相乗効果が図られるよう、進めてまいりたいと考えております。
次に、全国童謡フェスティバルの成果の活用と普及についての御質問がございました。この全国童謡フェスティバルでは、全国46都道府県の皆様から、創作童謡詩コンクールに 732件、童謡歌唱コンクールに 488件、計1220件もの御応募をいただきまして、文字どおり、全国レベルのフェスティバルとなりました。この童謡フェスティバルで生まれました「ねずみがかじる」「いつもの道」の新しい童謡2作品につきましては、既に東京駅コンサートや今市市で開催されました杉の街童謡フェスティバルのほか、本市のロビーコンサート等でも御披露をさせていただいたところであります。また、現在、尊徳記念館のロビーにてフェスティバルの紹介コーナーを設けておりまして、近く北原白秋童謡館におきましても展示コーナーを設ける予定となっております。さらに、平成13年度は創作童謡詩入賞作品集を市内の小・中学生に配付し、豊かな感性や創造性を醸成するとともに、小田原で生まれた新しい童謡のCDや合唱用の譜面を作成し、イベント、学校行事、音楽関係団体のコンサート等、さまざまな場面で幅広く活用が図っていただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。
全国童謡フェスティバルの継続開催についてのお尋ねでございますが、昨年の童謡フェスティバルを通して、市民をはじめ全国の皆様の童謡に対する関心が大変高いということを改めて感じております。童謡の聞こえるまち小田原という都市イメージを定着させていくためにも、継続して開催をしていきたいと考えております。ただ、今後の開催でございますが、毎年とか隔年とかということにもなかなかいきにくい部分もございまして、いろいろ準備期間も要しますので、企画や作品募集期間、さらには新しい童謡の普及等も踏まえまして、今のところ3年に一度、ですからトリエンナーレということになりますけれども、3年に一度の開催を考えていきたいと思っております。
次に、教育の問題等につきまして幾つか御質問がございました。メンタルフレンド事業については私の方からの答弁とさせていただきますが、スタディ・サポート・スタッフ事業につきましては教育長からの答弁とさせていただきたいと思います。
メンタルフレンド事業でございますが、この事業は、不登校で、教育相談指導学級に通うのが困難な小・中学生と、長期間にわたって家庭に引きこもり、社会参加しない状態が続いているおおむね20歳ぐらいまでの青少年を対象に、これらの保護者からの要請を受けまして、メンタルフレンドとして登録した大学生等が家庭を訪問するものでございます。そして、引きこもっている青少年に対し、話し相手や相談相手としてかかわることによりまして、青少年の心を和らげ、良好な人間関係をつくるきっかけとなるように支援をしてまいりたいと考えているわけであります。
次に、市街化調整区域の整備・保全構想の策定についてのお尋ねがございました。市街化調整区域につきましては、農林業生産や田園居住としての環境を維持・保全する役割を担っておりますが、市街地周辺においてスプロール化が進行するなど、土地利用上の問題が生じておりまして、土地利用の明確な指針を定めることが、都市計画の面で重要な課題となってきているわけであります。そこで、市街化調整区域につきましては、保全を基調としつつも、地域の資源を活用した地域の活性化につながる土地利用を検討することといたしました。いずれにいたしましても、県の厳しい土地利用規制下にありますことから、県との綿密な調整を行いつつ、この作業を進めていかなければならないと考えております。 次に、農業後継者不足による耕作放棄についてお尋ねがございました。耕作放棄対策といたしましては、これまでも、リフレッシュ農地事業、農地流動化推進事業、いきいき農業塾などを実施してまいりましたが、絶対的な対策となっていないのが現状でございます。一方で、農業者以外の方々の農業に対する関心は確実に高まっておりまして、市民農園につきましては、市が関与しているものだけで、現在市内に6ヵ所、約 750区画ございますが、 100%近い利用状況となっております。このような状況を踏まえ、今後も市民農園の整備や担い手の育成など、さまざまな取り組みを通して農地利用率の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に、花の小田原城事業についての御質問がございました。この事業は、観光おだわら魅力アップ委員会からの提言などを踏まえまして、城址公園の客観的な魅力を高めようとする事業で、県の「花と水の交流圏づくり推進事業」にも位置づけられたものであります。具体的には、「史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想」との整合を図りつつ、平成13年度は常盤木坂を挟んだ本丸東堀、及びあそこに水鳥の池がございますが、その周辺においてツツジなどを植栽するとともに、人々が回遊しやすいよう環境を整えていく予定であります。また、平成14年度以降につきましては、本丸南堀方面など、景観的な魅力に乏しい箇所から順次、花の小田原城事業を進めてまいりたいと考えているわけであります。
次に、観光誘客宣伝事業についての御質問がございました。誘客宣伝にとって大切なことは、小田原に行ってみたいという意識を喚起することでございますので、テレビなどのマスメディアに小田原を取り上げていただけるよう、積極的に小田原の見どころなどの情報を発信するとともに、首都圏の主要駅などでキャンペーン活動を展開したり、近隣の市町などと連携して誘客事業を行っているところであります。さらに、情報通信技術の活用という面でも、ホームページの内容を充実させたり、携帯端末を活用したりといった形で、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。なお、インターネットを利用する人がすべてではございませんので、観光パンフレット類の充実にも継続して努めてまいりたいと考えております。
次に、小田原TMOの実績と今後の展開について御質問がございました。小田原TMOの発足初年度の取り組みといたしましては、民間専門家の確保や、財源対策としてのめがね橋臨時駐車場の運営など、組織・体制の強化を図ってまいったわけであります。また、新たな活性化事業といたしまして、0465.netの開設や、商店街との共同事業であるイルミネーション事業や、まちづくり提案カードの作成などを実施してまいりました。事業成果が問われる平成13年度につきましては、中心市街地全体の販売促進を図るための商店街フェアの実施や、新たなテナントミックスの推進、旧東海道周辺のまちづくりなど新規事業に積極的に取り組むとともに、民間再開発事業を含めた継続事業の推進など、より効果的な活性化事業を展開するとのことであります。
次に、IT講習についてのお尋ねがございました。IT講習推進事業は、国民がIT講習を受ける機会を、言ってみればパソコン講習でございますが、これを受ける機会を飛躍的に増大させるために、総務省(旧自治省)が「IT講習推進特別交付金」なるものの制度を創設し、地方自治体が行う講習会の開催を全国的に展開しようとするものであります。本市でも、平成12年度にはこの議会で補正予算を御承認いただきましたことから、中学校等でモデル的に、1講座20人を対象に3講座を開催いたします。これは今年の3月末までに完了いたします。平成13年度、新年度からは、1講座当たり原則として20名の講座を想定いたしまして、328講座6560人の規模で実施してまいりたい。20万人市民のうちで、6560人の皆さんにぜひ受講していただきますよう、準備を進めたいと考えているところでございます。その講習内容でございますが、20歳以上の市内在住、在勤、在学しております方々を対象といたしまして、初心者の方がパソコン操作をはじめ、インターネットによるホームページの閲覧やメールの送受信ができるようになるための基礎的な講習を、1講座当たり大体12時間かけて行うものでございます。また、講習会場でございますが、多くの市民の方々が受講できますよう、市内の中学校をはじめとした公共施設や民間施設等で約30ヵ所の会場を設けまして、IT講習を実施しようとするものであります。
次に、平成14年度以降のIT講習の開催と、整備されるパソコンの利用についてのお尋ねがございました。平成14年度以降の講習の開催につきましては、現段階では、国の支援が予定されておりません。しかしながら、市といたしましては、昨今の情報化社会の急速な進展を踏まえまして、平成13年度に開催するIT講習を受講した方々の感想や御意見、御要望等もお伺いしながら、例えば中央公民館が実施する成人学校等の講座で、社会教育施設等に整備される機器類を活用いたしまして、基本的には初心者を対象として開催をしていく考えであります。
次に、市民サービス関連のカードについての御質問がございました。本市では、現在、印鑑登録や図書館、病院などにおいてカードを利用した市民サービスを実施いたしております。御指摘のとおり、平成15年8月より全国一斉に住民基本台帳カードの導入が予定されております。このカードは、住民基本台帳としての本来の目的以外に、技術的にはさまざまな分野で新たな市民サービスを実現する大いなる可能性を秘めたものであります。本市におきましても、平成15年8月という法律に定められた期限もございますので、市役所内部における横断的な研究部会の設立や、IT化を推進する組織の強化体制を整え、このカードの導入が市民生活の利便性の向上につながるよう、既存カードのサービス特性や費用対効果などを踏まえ、広範な視点で検討してまいりたいと思っております。
次に、職員の人材育成についてのお尋ねがございました。まず、本市の人事管理制度についてでございますが、平成10年度に勤務評定制度を改正し、挑戦目標を設定し評価することや、特別昇給制度の運用の拡充を図るなど、汗を流して努力をして成果を上げた職員、また、成果を上げようと努力している職員に対し、それをきちんと評価し、処遇をするための制度といたしました。しかしながら、人事管理制度には、これが完全だというものはございませんし、当然、先ほどもお話をいたしましたように、地方公務員法等々のいろいろな縛りが市の職員にはございまして、こうした現状にかんがみ、国におきましても、実績主義の人事給与制度に変えていく検討もされているようでございますので、これらも視野に入れながら、時代に適合した制度への改革に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
次に、職員の民間企業への出向についてのお尋ねがございました。職員を民間企業に派遣して、その人材育成方針や経営ノウハウ等について学ぶことは、私も非常に有益なことであると考えておりまして、平成10年度には小田急電鉄株式会社に職員1名を派遣いたしております。職員を派遣する場合には、当然、その目的、効果等を勘案しながら派遣先企業を選定し、その同意を得る必要がありますが、現在の企業を取り巻く経済状況の中では大変難しい状況にあるということも事実でございます。したがいまして、こうした状況の変化も見きわめながら、また、職員の政策形成能力向上のため、現在派遣をいたしております民間のシンクタンク等々のほか、民間企業につきましても派遣先の一つとして考えてまいりたいと思います。
最後に、スペシャリストの養成についての御質問がございました。これからの本格的な地方分権時代においては、自治体の自己責任、自己決定の領域が拡充され、高度化・複雑化する市民ニーズに対応していく専門性も求められているということは十分認識しております。国においては、専門知識を有する民間人の人材を任期つきで採用する制度が新たに導入されておりまして、また、地方行政の高度化・専門化に対応できる地方公務員の任期つきの任用制度も検討されておりますので、こうした動向に注視をいたしまして、対応に努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上をもちまして、粋誠会・15番常盤議員の御質問に対しまして、まず私の方からの答弁を終了させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○教育長【江島 紘君】 15番常盤議員の粋誠会の代表のうち、教育関連の御質問につきましては、私から順次お答えをさせていただきます。
スタディ・サポート・スタッフ事業とはどんな事業か、また、どんな人がスタッフとなるのかとの御質問がございました。この事業は、小学校1年生を対象に、一人ひとりに目が行き届き、生活面、学習面で個別の支援をしやすい授業体制をつくることを目的としております。方法といたしましては、小学校1年生の1学級35人以上の学年に、教員免許を持ち、児童の教育に熱意のある市内在住の方を中心に公募し、配置していきたいと考えております。なお、平成13年度は8校への配置を予定いたしておりますが、今後一層の充実を図る方法を探っていきたいと考えております。
スタディ・サポート・スタッフを配置することで、学校の指導に混乱を招くのではないかとの御質問がございました。小学校入学当時の児童は、生活面では、基本的生活習慣が身についていない子、感情のコントロールができない子が増えております。また、学習面では、個人差が大きく、個別の支援が必要な児童も増えております。現在、学校では、このような状況に対して、担任だけでなく、校長、教頭、教務主任、養護教諭などが協力して指導に当たっているものの、この者たちもほかの仕事もありまして、十分にかかわることができない状況がございます。そこで、スタディ・サポート・スタッフが児童にかかわることで、学年や学級の指導・支援をよりきめ細かいものにできると考えております。
全国でスタディ・サポート・スタッフ事業と同様の事業を実施しているところがあるか、また、その効果はどうかとの御質問がございました。少人数教育を実施または実施を予定している県や市町村は、千葉県浦安市の「少人数教育推進教員配置」をはじめ、かなり増えてきていると思われます。その中で、1年生を対象としたものは、現在把握している範囲内では、群馬県の「小学校第1学年多人数非常勤講師」、山梨県の「小学校TT」、香川県の「小学校低学年複数担任制」、広島県の「36人以上の1年生の学級への教員配置」などがございますが、神奈川県内では、1年生へのこのような事業を公募で行うのは初めてでございます。なお、これらの各県でも、事業が始まったばかりで、効果はまだ公表されておりませんが、それぞれ継続して事業を実施していくと聞き及んでおりますので、効果が上がっているものと思われます。
以上をもちまして、粋誠会・15番常盤議員の代表質問に対しましての私からの答弁とさせていただきます。
○15番【常盤一郎君】 御答弁いただきましてありがとうございました。3点ほど要望、再質問をしたいと思います。
まず1点目、童謡フェスティバルの継続開催でございますが、今、市長答弁の中で、積極的に取り組んでいきたいという御答弁をされていました。市内のあちこちから、このフェスティバルの開催につきましては、ぜひ継続してほしいという声を聞いております。継続開催については、いろいろな工夫を凝らしながら継続する必要があるかとは思いますが、ぜひ実現していただきますよう強く要望したいと思います。
2点目に、TMOの組織の強化についてでありますが、市の基本計画に則し、TMO構想を着実に推進していくためには、TMOの組織・体制の強化が不可欠だと思っております。しかし、全国的にも、TMOの運営に関しましては、人の問題や財源の問題など多くの課題が山積しており、模索している都市が非常に多いのが実態のようであります。小田原TMOについては、その先進的な取り組みから、国や他県をはじめ全国の市町村から視察や問い合わせが非常に多いと聞いておりますが、TMOの発足以来、組織・体制の強化など、どのように行ってきたのか、また、市はどのように支援してきたのかを伺いたいと思います。
3点目としまして、職員の人材育成に関してでありますが、市長の御答弁で、時代に適合した実績重視型の人事制度に向けて改革される意欲は十分感じました。国の制約等、いろいろあるかとは思います。また、人材育成は短期間ではなかなかなし得ない取り組みだとも深く理解しておりますが、これからの分権時代に適応する職員の養成は急務であるとまた一方では考えておりますことから、現在の制度以上に、これは24番中野議員も強く意見を述べられておりましたが、流した汗が報われる、いわば実績重視の人事評価制度が必要だと思っております。国の制度が変わるのを待ってからといったことではなくて、できるだけ早い機会にこうした実績重視型の人事給与制度へと移行する必要があると思っております。
また、先ほど市長答弁をいただきました民間企業への出向、私が考えております出向は、平成10年にそういう例があるとおっしゃいましたが、ただ単にそういう企業に出向させるんじゃなくて、人材育成という人づくり、この小田原市の職員をどのような人間づくりをしていくのかという目的を持った出向の内容というものを踏まえながらトライしたらどうかという私の考えであります。そういうことを二、三思っておりますが、この点につきまして、市長のお考えがあればお伺いしたいと思います。
○市長【小澤良明君】 粋誠会・15番常盤議員の代表質問の再質問に、まず私の方から人材育成の方につきましてお答えをさせていただきたいと思います。
24番中野議員の御質問にもお答えをさせていただきましたけれども、地方公務員の場合は、国家公務員の制度に準拠しているということでございまして、そのいろんな縛りを超えて制度をつくるということは大変難しい点もございます。しかしながら、一方では行革を求められてきておりまして、先ほど来議論がございますように、職員の適正化計画等に基づきまして、もう相当数の職員が減員となっておる。その分、仕事は減ってきたのか、仕事はふえてきている、職員の皆さんにも御苦労をかけているところでございます。そういう中で、例えば同じ年に課長になって、しかし一方の課長は5時になるとさーっと帰って、あるいは休みの日は御家族と一緒に御自分の人生を満喫していらっしゃる。一方は、遅くまでやったり、あるいは休み等も、極端な話、自宅に仕事を持ち込んでまでやっていらっしゃる方もいらっしゃる。それはもちろん能力の問題もあると思いますし、本人の仕事に対する誇りみたいなもの、おれは自分の考えでやっているんだという自覚とか誇りとかというものだとか、いろいろな切り口で考えると、その人なりの納得でやっていることもあると思います。しかし、例えばその課長さんが隣同士で住んでいるとしますと、奥さんや御家族の方々がそれを見ていてどう感じるかということでございます。一方は無我夢中で働いて、例えば給料は幾ら、同じ課長だから同じだと。これはやはり御家族の方々は、当人が好きでやっているんだからとか、変な言い方をすれば御理解を得られたにしても、世間が許さないということだと思います。ですから私は、そういういろいろな現状に即さない地方公務員の置かれた処遇の問題につきまして、国民の皆さんからもいろいろ意見があって、政府・与党も、新しい公務員像というものはどうあるべきか、あるいは公務員改革をすべきだということで今検討がされているのではなかろうかというふうに思います。ですから、先ほど15番常盤議員もおっしゃいました、流した汗が報われるような形で、正当な報酬が払えるような制度を、国の動向も注視しながら引き続き検討してまいりたいと思っているところでございます。
それから民間企業への出向について、単に民間企業のあり方を勉強させるために行くだけでなくて、人材育成をどうやっているのか、そこら辺に目的を絞って、その民間企業の人材育成のあり方を勉強させるために職員を出向させたらどうかという意味の御質問だと思いますけれども、いずれにいたしましても、職員研修等も含めまして、民間企業の人材育成のコンサルなどがいろいろございますけれども、そうした講師等をお招きして、年間でも相当最近は綿密に市といたしましてもこうした勉強を重ねております。ただ、お勉強で受けたのと実践の場で行ったのとは、おっしゃるとおり確かに違うなという感じはしますけれども、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、ビビッドに動いている民間企業のあり方を、いろいろな形で市の職員が自分のものとして理解できるような方途は講じていかねばならんだろうというふうには思っているところでございます。
TMOにつきましては担当の方からの御答弁とさせていただきます。
○助役【青木正次君】 TMOの組織と体制の強化についての御質問につきまして、私の方から答弁させていただきます。
確かにTMOの組織と体制につきましては、議員のお話にもありましたように、全国的にも多くの課題を抱えているわけでございます。その中で、小田原のTMOにつきましては、商工会議所内部にTMO事業推進室とTMO推進会議を設置いたしまして、専従職員の増員や、事業を推進しますテクニカルコーディネーターの確保などを行いまして、組織・体制の強化を行ってまいりました。また、活動財源の確保の面といたしましては、市の支援はもちろんでございますけれども、国や県の補助制度を有効に活用するとともに、めがね橋臨時駐車場を開設いたしまして、その収益をTMO構想の推進費に充てるなど、さまざまな財源確保策を図ってきたところでございます。市といたしましても、引き続き人的・財政的な支援を行うとともに、TMOの収益事業の充実など、自立した組織に向けまして指導・助言を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
以上でございます。
○15番【常盤一郎君】 私の質問はこれで終わりますが、6番加藤議員が関連質問を行いますので、よろしくお願いいたします。
○6番【加藤仁司君】 それでは、本市の教育施策に関連して何点か伺います。既に15番常盤議員の教育に関する質問での答弁をもらっておりますが、本市の教育姿勢を問う形で質問をやらせていただきます。
まず、スタディ・サポート・スタッフ事業とメンタルフレンド事業について伺います。これら事業の概略や、本事業導入に対しての心配事等については御答弁をいただいたのですが、どうもこれらの新規施策は、「健康と教育」を基本柱とする小澤市長が、何らかの事業を行わなければならないという必然性に迫られただけのことで導入したものとしか言えない事業だと思います。学級崩壊や引きこもりの問題等は、確かに現在の教育の荒廃、学校と子供たちの関係が昔と随分違っていることの象徴であると言えると思います。だからといって、単に教育者をふやしたり、過剰なケアを施すことを問題解決の糸口とすることに疑問を呈するものであります。
さて、スタディ・サポート・スタッフ事業についてですが、学級崩壊によって授業が成立しないことは、教員の資質や、問題児童・生徒自身、そしてその児童の家庭環境に問題があることがその主たる原因ではないでしょうか。先ほどは子供から見た形で、学校は混乱しないとの答弁でしたが、ただ単に指導教員をふやすだけでは、解決するどころか、教育者同士で牽制し合うなどの混乱が生じることをどうしても危惧してしまうのは心配性過ぎるのでしょうか。
メンタルフレンド事業においても、心を閉ざしている子供や、その状況を黙認あるいは関心を示さない家庭等に十分な効果を上げることができるかは、個々のケースがさまざまであり、逆作用に陥ることもあり得る心配があります。心理学者でも医学博士でも難しいこの問題を、市民公募で出き得るようなものではないと思いますが、このような事業は効果や十分な調査をした上で果たして提案されたのか、私にとっては安易に導入したとしか思えず、この事業について市長はどのようなことで導入されたのか、その真意をお聞かせいただきたく存じます。
また、特に引きこもりの問題は、先日あるテレビ番組では、数時間で引きこもりを治す専門家が登場されておりましたが、その方は「この問題はすべて親の問題である」と、親の行動について細かい指導、すなわち親をしかっておりました。これもさまざまなケースはあると思いますが、子供だけをとらえての事業ではなく、親の姿勢をその原因とし、環境を変えることも引きこもりの解決策ではないかと思うのですが、御見解をお伺いいたします。
次に、学校教育の教育環境、指導体制の確立に関連して質問いたします。今回、この種の質問をするのは、新学習指導要領が平成14年度からスタートする前の年ということで、それこそ戦後教育の総決算的な意味合いが強いことで、あえて言わせていただきたいと思います。このことは、本市だけではなく、日本全国が今日ほど教育に関して大いに関心を持っている時代はないとも言えます。今までの放任された教育現場が、いつの間にか将来を不安にさせる事件や問題が表面化して、大慌てで修正しなければならないという国民の不安が増大した結果だと思っております。その修正にはどうしても、現在教育に携わっている方々が、日本の将来を考え、世界の国々と対等にかかわることのできる国づくりに邁進していただくため、特に教育委員会の存在と指導にその期待をするものであります。
先ほどの質問にもありましたように、今年度の学校教育に関する各協議会や会議等が大変錯綜している感がいたします。おのおのがそれぞれ役割を持って事業展開することは、御答弁をいただいてある程度理解するわけですが、さきに私どもが主張した「人間らしい、日本人として自覚や誇り、そして小田原らしい教育」を目指してもらいたいとの意見を申し述べましたが、これらの協議会、会議には共通の目標がなければならないと思います。すなわち、教育委員会が先頭に立って教育目標を掲げ、各学校関係者へその指針を示すべきだと思いますが、現在の教育委員会は実際の現場、すなわち学校の現状をどれだけ把握しているのか大変気になるところであります。そこで、教育委員は日常の学校生活や現場の先生の意見、あるいは児童・生徒と直接かかわることはされているのかお伺いをいたします。
また、来年の新学習指導要領の導入に向けて、本年は中学校の教科書選定がなされます。全国的に教科書選定について、それぞれ変化があるようですが、教科書採択に至るまでの県下の流れについて、何か変化はあるのか、お示しいただきたく存じます。
さらに、昨年12月、福祉文教常任委員会にて教科書選定に関しての陳情書が採択されました。教科書の採択に当たっては、学習指導要領に基づいた内容評価を判断基準とすること、教育委員会がみずからの責任において適正な教科書の選定と採択を実施すること、採択手続、採択結果の理由の公表など透明性の確保等、三つの陳情項目について教育委員会ではどのように取り組まれるのか。また、最終的採決権を持つ本市教育委員会は、これからの教科書採択に向けてどのような姿勢で取り組まれるつもりかお伺いをいたします。
○教育長【江島 紘君】 粋誠会・6番加藤議員の代表質問に対しましての関連質問に、私からお答えいたします。
スタディ・サポート・スタッフをはじめ新規事業が多く、安易な施策とも受け取れるが、どのような考えで導入するのかとの御質問がございました。教育委員会といたしましても、調査や学校訪問などを通しまして、新入学児の様子を見ておりますと、なかなかなじめない状況がありますので、担任以外に指導に当たることのできる人の配置が急務と判断いたしました。いずれにいたしましても、本事業は、入学当時の1年生を生活面、学習面から支え、学校生活の良好なスタートを促すために有力なものと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
次に、メンタルフレンド事業についてでございますが、本市と同様な事業は、既に横浜市教育委員会で平成11年度から実施しておりまして、大きな成果が上がっていると伺っております。社会との接点を持たずに長期間自宅に閉じこもる引きこもりにつきましては、社会問題化して、一説には、引きこもりのケースは全国で数十万人、また、年々その数がふえる傾向にあるとも言われております。この事業は、青少年相談センターを所管として実施いたしますが、同センターには、年間20~30件の引きこもり状態を悩みとする相談が保護者から寄せられております。このような悩みを抱えた方々を支援することは、青少年の健全な育成を図るための相談機関として設置されている青少年相談センターが積極的に取り組むべき重要な課題であると考えております。引きこもっている青少年の心の扉を開くのは大変難しいことであると認識しておりますが、不登校の小・中学生が通う教育相談指導学級を所管する教育研究所とのより一層の連携を図るとともに、先進都市の事例などを参考に、メンタルフレンド事業の効果的な実施を図りまして、一人でも多くの青少年が社会への一歩を踏み出すきっかけになればと念願しております。
次に、引きこもりの問題については、本人に対してだけではなく、その保護者へのかかわりも必要ではないかという趣旨の御質問をいただきましたが、私も同様に認識しております。青少年相談センターでは、現在、不登校の高校生を持つ保護者の集まりである「かめの会」を隔月で開催しております。平成13年度からは、メンタルフレンド事業の実施に合わせまして、参加対象の枠を広げ、毎月開催することを予定しております。同じ悩みを抱えた者同士が意見を交換することにより、悩みを軽くすることができ、また、子供への今までのかかわり方を見直すことのできる場として、この会の充実を図っていく考えでございます。
次に、教育委員の動き等についての御質問がございました。教育委員は、毎月開催される教育委員会定例会や協議会において、議案の審査などを行うほか、教育委員会が実施するさまざまな事業に参加しております。特に、学校へは研究発表会に出席するほか、必要に応じて出向き、教師や生徒との懇談なども実施するなど、できるだけ現場との連携をとるよう努めております。今後も、庁舎内での会議だけではなく、積極的に学校等に出向き、教師や児童・生徒、あるいは保護者の方たちなど、多くの市民の方々に直接お会いしまして、さまざまな状況を見聞きするとともに、例えば「広報 おだわら」などを通じて教育委員の活動や役割を知っていただけるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、平成14年度使用の小・中学校の教科書採択に関する御質問がございました。御存じのように、今までの教科書採択の流れは、検定教科書を採択地区協議会で調査・審議して1種を選定し、その答申を受けて各市町村の教育委員会が採択をしておりました。今後は、採択地区内で共同採択をしていくことは変わりませんけれども、採択地区協議会で種類を絞り込むことはなく、協議会で調査・協議した報告をもとに、また、児童・生徒や地域の実態、学校の希望なども反映させて、各教育委員会で協議・調整し、主体性を持って採択することになっておりますので、本市といたしましてもそのように取り組んでいきたいと考えております。また、12月議会で採択されました三つの陳情に対する取り組みに関しましては、県教育委員会の選定資料などをもとに、学習指導要領との関連や配列などを研究するとともに、開かれた採択に向けて、採択結果の周知・公表などに努めていきたいと考えております。いずれにいたしましても、教育委員会といたしましては、適正かつ公正な教科書採択を行いたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
以上をもちまして、粋誠会・6番加藤議員の関連質問に対しましての私からの答弁とさせていただきます。
○議長【二見健一君】 この際、申し上げます。本日の会議時間は、会議規則第10条第2項の規定により、これを延長いたします。
○6番【加藤仁司君】 一定の御答弁をいただきましたが、時間の方もあまりありません。再質問させていただきます。
まず、スタディ・サポート・スタッフの事業についてですが、今までは校長や教頭、また教務主任等が力を合わせて、いろいろなじめない1年生への対応をしていた。しかしながら、なかなかそこが難しいということですけれども、やはり1年生は初めて学校に来て、いろんな先生方にも会う。校長、教頭というのは、なかなかじかにお話しするということができない。その中で、教室に校長等が来られていろいろ一緒に指導する。これは大変ほほ笑ましいことだと思います。そういったものが、今度のこのスタッフの方が入ってくることによって、教頭も校長も、私たちはそんなに直接関係ないよというようなことも出てくるのではないか。やはり今まで皆さん小学1年生を繰り返してきているわけですから、こういったものがもうできない限界に達しているのか。校長、教頭が入ることは、先ほどいろんな仕事があるということを聞きましたけれども、もう限界なのかどうか、これを1点伺いたいと思います。
また、メンタルフレンド事業については、私もこの事業についてちょっと調べましたところ、案外民間でやっているところが多いように感じました。これを行政の方が支援するということがあるように聞いておりますけれども、今回の導入に当たって、民間に対して市が支援をする、別にお金ではなくて、例えば場所とか、いろんな専門の講師の方を派遣するとか、そういった民間に対しての支援、この方向でいこうとかということは今まで検討されたのか。
この2点を伺いたいと思います。
○教育長【江島 紘君】 スタディ・サポート・スタッフのことにつきまして、校長であるとか、教頭であるとか、教務主任、養護教諭等がかかわるということが非常にほほ笑ましいというようなお話でございまして、これからこのスタディ・サポート・スタッフが入ることによってそういうようなもののかかわりはなくなってしまうのかというようなことでございますが、そういうようなもののかかわりがなくなるということではございませんで、もちろんそういう方々も、1年生のいろいろなことについてはかかわっていくということでございますが、このスタディ・サポート・スタッフが入ることによって、今までより以上の効果を上げようということでございますので、御理解を賜りたいというふうに存じます。特に、今までの校長、教頭等の指導が、もう絶対に限界でどうしようもないと、こういう意味ではございませんので、御理解を賜りたいと思います。
メンタルフレンドのことにつきましては、担当部長の方からお答えをさせていただきたいと思います。
○生涯学習部長【稲子紀夫君】 メンタルフレンドの再質問につきまして、私から御答弁させていただきます。
民間に対する支援のことについては考えなかったかという御質問でございますけれども、今回のメンタルフレンドを導入するに当たりましては、先ほど教育長から御答弁申し上げましたとおり、横浜市において11年度に導入した結果、大変な成功をおさめているということがありまして、そのほかにも、寝屋川市の方でも同じような成果が得られているというようなことで、特に今回につきましては、民間の方の検討はいたしませんでした。
以上でございます。
○6番【加藤仁司君】 再々ということで、これは意見になりますけれども、先ほど教育委員会の姿勢、教科書採択に関してはいろいろな変化が出てきたということで、これからもしっかり教育委員会は主体性を持って指導力を発揮するという力強い言葉を私は聞いたと思っております。ちょうどおとといぐらい、新聞の方に、大分県でいろいろ教材の方が問題になったということがありました。こういったことも、やはり教育委員の方は逐一そういう情報を踏まえて、この小田原の将来に向かってすばらしい指導力を発揮していただきたいと、このように要望いたしまして質問を終わらせていただきます。