平成19年9月議会一般質問

2007年09月01日

平成19年  9月 定例会 – 09月14日-03号 – P.122

◆14番(加藤仁司君)
通告に基づきまして順次質問してまいります。

はじめに、本市の防災体制について伺います。

私は、平成7年の初当選以来、小田原市の防災体制については本会議において何度か質問してまいりました。大規模地震が起こり得るという前提で、発災前に行政が行うべき問題、あるいは発災時に対する行政や市民の意識や体制、また、発災後にも起こり得る行政対応等、幅広い視点から防災について議論を交わしてまいりました。幸いにも、本市にかかわる大きな地震は到来しておりませんが、毎年行われる市の防災訓練や自治会単位に行われる防災訓練等、「天災は忘れたころにやってくる」ということわざのように、日々災害に備えた体制をとっておく必要があります。

今年は、海の日である7月16日の午前10時13分ごろに、新潟県上中越地域をはじめとした、マグニチュード6.8、震度6強を観測した新潟県中越沖地震をはじめ、8月には千葉方面での地震が頻発しておりました。近年の大地震で真っ先に思いつくのは、やはり平成7年に発生した阪神・淡路大震災だと思いますが、この阪神・淡路大震災では、2階建てあるいは高層住宅の1階部分が押しつぶされた家屋が多く、不幸にも圧死された方々が非常に多かったと伺っております。明け方の地震でかなりの方々が睡眠されていたということも重なって、揺れを感じたと同時に家が崩壊しつぶされた事例も少なくはなかったと思われます。

そこで、地震の被害を最小限に食いとめる措置として、JR東海では、地震を検知すると列車を緊急停止させる地震動早期検知警報システム(ユレダス)を導入し、またJR東日本では、地震検知から警戒発令までを1秒で行うコンパクトユレダスが採用されていることや、コンピュータを扱う会社やいろいろな企業でも、地殻を伝わる速度が横波であるS波よりも2倍の速度である縦波のP波を感知すると警報を発する機械、これは緊急地震速報受信装置と申しますが、これを既に導入しているところもあると聞いております。地震発生を本震であるS波が到来する前に多くの住民に知らせることができれば、安全場所への避難や火を消すなどの初期行動をとれるというのが本システムのメリットだと思いますが、この緊急地震速報が10月より本格運用され、一般提供が開始されると伺っておりますが、この件について何点か質問してまいります。

はじめに、緊急地震速報システムは、どのようなメリット、デメリットがあるのか。

2番目として、さきの8月29日の神奈川新聞では、本年度から本速報を行政無線で流す予定の県内市町村は、南足柄市、綾瀬市の2市にとどまり、小田原市では平成20年度以降との見解が示されておりましたが、なぜ来年度以降となるのか。

3番目として、住民に対する緊急地震速報専用受信装置の導入は考えていないのか。この3点をお伺いいたします。

さて、次の質問として災害対策について伺います。

さきの新潟県中越沖地震が報道された次の日に、知人の議員から、大きな被害を受けた柏崎市の議員から手伝いを依頼するメールが届いたとのメールをもらいました。その内容は、災害直後で倒壊や半壊している方々が、自宅にある貴重品等や、倒壊したたんすや棚を起こせず困っているので、手をかしてほしいとのことでした。新潟県中越沖地震発災以降、連日テレビでその被害状況が映し出される中、何とか手助けできないものかと単身現地に赴いたのですが、亀裂の走った道路が至るところにあり、倒壊した家屋、道路にまで転がった墓石、完全につぶれた車庫等、災害の恐ろしさを改めて感じ、手伝いをしながら発災直後の現地や災害対策本部を視察してまいりました。新潟県では、3年前の中越地震が小千谷地域を震源に起こり、死者67名、4800名が負傷、避難住民10万3000人、家屋の全半壊およそ1万6000棟の被害をもたらしました。今回の地震でその教訓が生かされていたかどうかはわかりませんが、発災後3日の柏崎市内では、自主的な炊き出しが行われ、断水や都市ガスの供給停止が続いていたものの、比較的に住民は混乱もなく現状を受け入れていたように感じました。生活用水として井戸を持った家庭もあり、近所の方々が交代で井戸水をくんでいる光景を目にして、地域との関係・連携の必要性を強く感じてきたところであります。

そこで、大震災に不幸にも本市が見舞われた際に、対処しなければならない事例、問題を幾つか掲げ、現体制はどのような対策を考え対処するのかについて質問してまいります。

はじめに、本市は以前より被災する可能性のある地震が幾つかあると伺っています。それぞれの地震でこうむるだろう死者数、負傷者数、倒壊家屋数などの見込みはどのくらいと予想しているのか。

次に、水道・電気・下水道等のライフラインはどのような状況が予想され、その対応、復興に費やす日程や能力についての予測はどうか。

ボランティアの受け入れ態勢はどうなっているのか。

余震などによる二次災害や被災地域の防犯体制についてはどのようにするのか。

地域や市民からは、発災以降、仮設トイレの設置や配給品等さまざまな要望・要求が出されると思いますが、その受け入れ態勢はどうなるのか。

倒壊や半壊した家屋の家財の保管はどのようにするのか。

最後に、応援隊として駆けつける自衛隊をはじめ、応援物資搬送車両など各車両の駐車場はどこにするのかを伺います。

続いて、防災対策の三つ目の質問として、消防分署計画について伺います。

災害が発生したときに心配される事象として、建築物の倒壊が挙げられます。さらに、激しい地震の際には、河川にまたがる橋脚の崩落も考えられ、そのときには、川と川に囲まれた地域は、陸地の交通手段が奪われ、完全な孤立状況となります。傷病者の対応や復旧作業にも大きな影響が出ることは明らかです。特に、森戸川と中村川に囲まれ、医療機関も一つしかない橘地域では、発災時における医療、救急体制、消防体制への不安が高まっている状況ですが、本市の「ビジョン21おだわら」後期基本計画の第1次実施計画では、平成20年度に(仮称)消防橘分署庁舎設計が予定されております。地域住民にとっては、早期に消防分署を望む声も多く、大変期待しているところでありますが、本計画が予定どおりに推進されるのか、市長の御見解を伺います。

次に、大きな質問の二つ目として、コミュニティバスの導入検討について伺います。

はじめに、コミュニティバスとはどのようなものを指すのかと申しますと、ウィキペディアによると、市・区・町・村などの自治体が住民の移動手段を確保するために運行する路線バスと言われ、それは、市街地などの交通空白地帯において公共交通サービスを提供するもののほか、市街地内の主要施設や観光拠点等を循環する路線などのさまざまなタイプがあり、従来の乗り合いバスを補う公共交通サービスとして全国的に急速に導入されており、そのサービスは、その後、一部のバス事業にも採用されているとあります。そして、その運行は地元のバス会社に委託するなどし、必要に応じ自治体側が経済的な支援を行うのが一般的であると解説されております。現在、コミュニティバスの先駆けと言われる東京・武蔵野市のムーバスをはじめ、金沢市の金沢ふらっとバスなど、日本国じゅうで調べただけでも約553件のコミュニティバスが運行されているようですが、その実態は、現状の路線バス事業者が運行していない、あるいは撤退した地域を運行することから、経常収支が赤字計上となっているところがほとんどで、交通空白地帯の解消や公共交通の確保という公益的な観点から、市町村からの運行費用の補助が行われている状況と聞いております。

さて、本市における公共交通について目を向けてみますと、鉄道については言うまでもなく、小田原駅を中心に、JR新幹線、JR東海道線、御殿場線、小田急線、箱根登山線、大雄山線が鉄道5社により運行され、18もの駅が存在する、まさに交通の要衝であります。また、路線バスにおいては神奈川中央交通、箱根登山鉄道、伊豆箱根鉄道、富士急湘南の各バス事業者が小田原市内を循環しており、市民の足として利用が図られているところであります。しかしながら、平成14年度に道路運送法の改正により、バス事業においては事業者の参入・退出が原則自由となり、現在において小田原市内を循環するバス路線では、伊豆箱根鉄道の中久野-坊所間、神奈川中央交通の坂呂橋-下小竹間が廃止され、富士急湘南バスの金手-小田原駅間、下曽我駅入口-中堀間、日本新薬前-延清入口間は系統の再編成が行われ、さらには、下曽我駅入口-国府津駅間、神奈川中央交通の比奈窪-国府津駅間が大幅減回となりました。加えて、本年度は、富士急湘南バスの新松田駅-小田原駅間、新松田駅-国府津駅間、新松田駅-栢山駅間、小田原駅-山北駅間において退出または減回の申請が出されたと伺っております。企業において採算性を重視、赤字路線を減回あるいは退出することは仕方ないとはいえ、その路線を利用してきた方々が不便な生活を強いられることは大きな不満を持たざるを得ないのであります。さきにも述べましたように、全国的にコミュニティバスが広がったのも、法改正により公共交通確保の手段として導入してきた結果だと思われます。

そこでお尋ねいたします。本市を循環するバス事業者が、今後、退出または減便を図る可能性のある路線はあるのか、バス事業者の退出及び減回により不便を来した地域に対する公共交通サービスについてどのように考えているのか、コミュニティバスの導入を図るつもりはあるのか、あわせてお伺いし、登壇しての質問を終わります。(拍手)

市長(小澤良明君)
14番加藤議員の御質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。

まず、その前に、7月16日の中越沖地震におきましては、その直後に、14番加藤議員におかれましては、オートバイを駆られて柏崎市に直行された、救援活動にいそしまれたということをお聞きいたしておりまして、ただいまの質問の中にもお話をされていらっしゃいました。相変わらずの積極・迅速な活動に心から敬意を表したいと思いますし、大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。

さて、緊急地震速報のメリット、デメリットについての御質問がございました。緊急地震速報とは、気象庁が全国の地震計によって震度5弱以上の地震を感知し、これを解析し、これから大きな揺れ(震度4以上)が来ると予想される地域を知らせるものでございます。緊急地震速報のメリットは、この情報を受信することで、列車やエレベーターを素早く制御させ危険を回避したり、工場や家庭などにおいて、事前に避難行動をとることによって被害の軽減が期待できることであります。デメリットといたしましては、神奈川県西部地震のような直下型地震または震源地が近い地震の場合には、緊急地震速報が地震の発生に間に合わないことや、雷等による誤報が発信される可能性があることなど技術的な限界に加えまして、これはデメリットという意味ではないというふうに思いますけれども、こうした問題点があるということと、情報を得た人が適切な行動ができずに混乱を招くこともあるかもしれないと、こんなようなことがデメリットではなかろうかというふうに思っております。いずれにいたしましても、10月1日からテレビやラジオでこの緊急地震速報が実施されるということでございまして、市民の皆様におかれましても、あの音につきましては、何かのときに聞かれたというふうに思いますけれども、今後とも、何かのときには御注意いただければありがたいと思うところでございます。

次に、緊急地震速報を防災行政用無線で周知する時期についての御質問でございますが、緊急地震速報等を防災行政用無線で放送することができる全国瞬時警報システム(通称、J-ALERT)につきましては、国において平成19年度と20年度において整備することが決定をされました。システムの稼動に必要な専用モデムを各市町村に配布することとなっております。この専用モデムの配布に当たりましては、全国瞬時警報システム(J-ALERT)を稼動させる装置を平成19年度に予算化している市町村、導入に至って緊急性があると判断された市町村を優先的に対象とされている、そういうことがございまして、小田原市におきましては、来年度以降に整備をする考えであります。ちなみに、全国瞬時警報システムというものをもう少し細かにお話をいたしますと、津波警報、緊急地震速報、弾道ミサイル発射情報等対処に時間的余裕のない事態に関する情報を、人工衛星を用いて送信し、市町村の同報系防災行政用無線を自動起動することにより、住民に緊急情報を瞬時に伝達するシステム。これがJ-ALERTと言われているところのものでございます。

住民に対する緊急地震速報専用受信装置導入についての質問でございますが、緊急地震速報専用受信装置は、気象庁から配信される緊急地震速報を受信し、音声や表示により地震の発生を知らせる機器であります。この装置につきましては、現在、先ほどもお話しいたしましたように、この10月1日からの本格運用に向けまして、一般家庭用の幾つかの機器が民間事業者等で開発されているところでありますが、その有効性につきましてはいまだ不確実なこともございますことから、一般家庭におきましては、テレビ・ラジオなどから情報を入手していただきたいと考えております。この装置のあっせんや補助制度の創設につきましては、その機能を十分見きわめ、今後の効果の推移を見守りながら判断をしてまいりたいと思っております。

次に、本市における地震の被害予測でございますが、現在、本市において地震発生の切迫性が高いと言われる地震に神奈川県西部地震、東海地震が挙げられるわけでありますが、平成11年3月に神奈川県が発表いたしました「神奈川県地震被害想定調査報告書」によりますと、その被害予測は次のとおりであります。神奈川県西部地震につきましては、死者140名、負傷者1230名、倒壊家屋7700棟となっております。東海地震につきましては、死者30名、負傷者500名、倒壊家屋2830棟となっております。

次に、ライフラインの災害予測とその対応でございますが、水道については、地震の規模により主要な配水池に設置されている遮断弁が作動することによります大規模な断水や、耐震化されていない配水管を中心に相当の被害が想定されるわけであります。復旧につきましては、災害発生時の協定を締結しております小田原市管工事協同組合や甲府市、日光市及び日本水道協会神奈川県支部等に応援要請を行いまして、被害状況にもよるわけでありますが、おおむね1ヵ月を目途に応急復旧を完了させるという予定であります。

電気については、東京電力に確認いたしましたところ、地震の規模により停電戸数も違ってはきますが、かなり多くの停電戸数が予想されます。復旧については、その状況をできる限り早く把握し、官公庁、重要病院、上下水道、交通機関、その他公共上重要な設備について優先送電する方法を講じ、その後、順次一般家庭の復旧に努めていくということでございます。

下水道施設の災害予想といたしましては、下水道管の破損や液状化現象によるマンホールの浮上(突き出し)等が想定されます。下水道終末処理場では、水処理施設の躯体コンクリートの亀裂による漏水や、機械器具の損傷による処理施設の運転停止が予想されます。復興に費やす日程や労力につきましては、被害状況の把握後に決定されますことから、予測が難しい状況にあります。下水道施設の復興につきましては、地域防災計画に基づき、国、県、他市町村、土木、建設団体などへ応援要請をいたしまして、早期に下水道処理施設が使用できるように復旧をしなければならないところであります。

災害時のボランティアの受け入れ態勢でございますが、本市の災害時におけるボランティア受け入れにつきましては、現在、本庁舎2階に受付本部を設置することといたしております。また、本部の運用につきましては、市民救援部や社会福祉協議会を中心に行うことになっておりまして、各広域避難所における被災者からの要望につきましては、防災情報システムを活用し、情報を一元化し、適材適所にボランティアを配置するようになっているところであります。

次に、余震などによる二次災害への対応と防犯体制についての御質問でございます。建物の倒壊による二次災害への対応につきましては、まず第1に、家屋の安全性の確保のために応急危険度判定士により現状調査を実施いたしまして、倒壊等の危険があると判断した場合には、避難対策を講ずる等、建物等の倒壊による人的被害を防止することとなります。災害時は、混乱に乗じた窃盗等の犯罪が考えられますが、その防犯体制として、各自主防災組織において地域の警備を担当する「警備班」を設置し、対応することとなっております。さらに、万全な防犯対策を講ずるために、自主防災組織だけでなく、警察と連携を図りながら、警備体制の強化に努めることといたしております。

次に、災害時における各地域からの要望・要求への対応についての御質問がございました。地域からのさまざまな要望・要求については、原則的に、緊急性の高い事案を除き、各自主防災組織で把握し、これを各広域避難所で地域の情報として一元化することとなっております。その情報については、防災情報システムや、今年度中に整備される双方向通信の機能を持つ防災行政用無線を活用し、本市災害対策本部へ報告することといたしております。

次に、全半壊した家屋の家財の保管でございますが、本市の地域防災計画では、全半壊した家屋の家財の保管については定めておりません。家財等の個人財産につきましては、原則として個人で管理・保管することとなるわけでありますが、災害復旧の作業上、どうしても家屋の解体撤去が必要と判断する場合等におきましては、行政執行によるケースも考えられますために、中越沖地震の対応でも見られますように、県と連携を図りながら、被害状況を考慮しながら適正に対応していくということになります。

次に、自衛隊や応援物資搬送車両等の駐車場でございますが、本市の広域応援要請に基づく自衛隊、警察、消防、ライフライン事業者等の活動拠点につきましては、市内各中学校と位置づけておりまして、その際に使用する車両の駐車場については、各中学校のグラウンド等で対応するようになっております。また、応援物資につきましては、市内11ヵ所に指定する「救援物資等ターミナル」に直接搬送してもらうようになっているところであります。

消防署の計画について、(仮称)橘分署建設計画のことでございますけれども、このことにつきましては、平成20年度に小田原市土地開発公社よりこの分署の建設予定用地の購入を現在のところ予定いたしているわけであります。そのほか諸環境を整えながら、順次、庁舎の設計業務委託を行いまして、庁舎建設へと進めていくことになります。

次に、コミュニティバスの導入について何点か御質問をいただきました。バス事業者が退出あるいは減回を図る可能性のある路線に関するお尋ねがございましたが、本市内を運行しているバス事業者は、箱根登山バス、伊豆箱根バス、神奈川中央交通、富士急湘南バスの4社でありますが、どの会社におきましても、利用者が減少し、赤字路線を抱えていると聞いております。しかしながら、今後の退出または減回の具体的な見通しにつきましては、退出または減回、減便が、各社においてバスの具体的な需要の動向等を踏まえ、毎年判断されるものであるために、市としてお答えすることは困難でございます。市としても、今後とも、必要に応じてバス会社と意見交換を行うなど、事業者の動向を注視してまいりたいと考えております。

過日、民間バス会社の社長とお話をする機会がございました。バス事業の路線の免許等の規制緩和が数年前に行われまして、いろいろと地域におきましてもさまざまな課題が生じるようになりました。規制緩和という措置によって、地域の皆さんは大変お困りになっているという部分もございます。また、それでは規制緩和によって競争性が増してバス事業者は有利になったのか、あるいは自由なバスの運用等によりまして営業もやりやすくなったのかということをお聞きしましたら、「そんなことはないんだよ。率直な話、大変なんだ」とおっしゃっておられまして、こうした地域での課題や地域での大変困っている状況、そして肝心のバス事業者等の皆さんのお考え、こうしたことを受けまして、たまたませんだって、国土交通省のまちづくり・住まいづくりの意見交換会が私ども首長と国の幹部の皆さんとございました折にも、個人的な意見として言わせていただければ、規制緩和が失敗したいい例の一つではないかというふうにあえて言わせていただきまして、何とか早くこれをもう少し、昔の形のようにとは言いませんけれども、地域の皆さんが困らないようなあり方を模索していただきたいということを強くお願いしておきました。コミュニティバスのこともそうでございますけれども、規制緩和があまりうまくいっていない事例として、あえて国に対してお話をさせていただいたところでございます。

次に、バス事業者の退出及び減回により不便を来した地域に対する公共交通サービスに関するお尋ねでございますが、バス路線の退出等の意向申し出がなされた路線につきましては、神奈川県が事務局となりまして、国、県、市町村、乗り合いバス事業者で構成いたします「神奈川県生活交通確保対策地域協議会」において、地元の皆様方の御意見や御要望も踏まえ、できるだけ生活交通への影響が少なくなるように調整を行っております。また、バス路線を維持するためには、利用者の増加を図ることが何よりも重要でありますことから、広報紙やホームページなどにおきまして、市民の皆様方にバスの利用を呼びかけるなど、利用促進に向けた活動を行っているところであります。市といたしましては、今後とも地元の皆様方の御意見や御要望をお聞きしつつ、バス事業者等に対してできる限りの対応をしてまいりたいと考えております。

最後に、コミュニティバスの導入に関するお尋ねでございますが、小田原市におきましては、平成6年度に福祉バス「ふれあいシルバーバスほほえみ号」を週に1回運行してきました。二、三年、これを継続して事業として行ってきました。思った以上に利用者も少なくて、年に1200万円ほどの負担が発生したわけであります。平成8年度に中止をさせていただいた経緯がございます。このようなことから、公平性が確保できる広範なエリアに、市の負担で運行させるコミュニティバスを導入することは、なかなか難しいのではないかと考えております。しかしながら、地域の交通ニーズをきめ細かく調査分析することや、バスの運行方法のあり方を検討すること等により、市場ベースを基本として運営・機能するよい工夫がないのか研究していくことは大切なことではないかと考えているところでございます。市としては、今後、地域のさまざまな立場の住民の方々を交えて、地域のニーズの把握や課題の解決策を一緒に考えるような場をモデルケースとしてつくっていきたいと考えているところでございまして、また、14番加藤議員におかれましても、御指導いただくとありがたいと思うところでございます。

以上をもちまして、14番加藤議員の御質問に対しましての答弁とさせていただきます。

◆14番(加藤仁司君)
一定の答弁をいただきましたが、再質問をさせていただきます。

今回の質問は、さきにも申し上げましたとおりに、実際に被災地に行って経験したことをもとに、小田原市においては、さまざまな見てきた事例についてどのくらいの想定をし、また対応をしようとしているのか、これを中心に質問をしてまいりました。

はじめに、緊急地震速報についてですが、メリット、デメリットを伺ったわけでもございます。今お答えのとおりだと私も思うんですが、地震が起きる前に情報がわかれば、こんろとかで火を使っているところは本当に素早く消火をする、また、机の下に潜るとか、安全なところに逃げる、こういった初動のことができるということで、これもまた訓練を重ねれば重ねるほどその時間短縮もできるということで、これが有効に使えればすばらしいのではないのかなと思うわけなんですけれども、一つ質問させていただきますのが、こういう緊急地震速報と関連して、今年の8月17日ですか、藤沢市において、東海地震注意情報が間違えて、本来、津波の注意報を行うべきところを間違ってそれが放送されてしまったという事故といいますか手違いがあったと聞いております。こういったことが起きると一部パニック、そしてまた、相当な苦情というか問い合わせも行政にあったと聞いているんですけれども、こんな失敗は小田原市では起き得るのかどうか、システムはどうなっているのか、まずその1点目を伺います。

それからちょうどきょうの新聞に載っていたんですけれども、先ほど言いました、表現的には緊急地震速報専用受信装置、これが、市長から御答弁いただいた中では民間の事業者が開発されたものが幾つかあると。これが、各家庭用の部分でこれから普及されるのではないのかな。このような状態なんですけれども、きょうの新聞では、にせものの受信機を売りつける者がもう出てきてしまったということが載っておりました。市民・住民がこの機械というのはどういうものかというのが十分な知識がない中で、運用が始まるというのを、今テレビでもラジオでも宣伝しておりますので、これだなということで、待っていたよと。そこに例えば訪問販売の電話とか勧誘とか来たときに飛びついてしまう。ちょっとこういう懸念があります。そこで、そういった詐欺等も発生している事例を私は聞いておるんですが、これについての対策、何か講じることは考えられているのか、これを二つ目として伺います。

続いて、防災体制について幾つか相当な数質問させていただき、それぞれお答えをいただきました。小田原市における災害の見込み、また、それに対する対応を幾つか伺ってきたんですけれども、細かいところを聞いていると時間がありません。今の中ではこのような計画になっているということを聞き及ぶわけですけれども、防災危機管理部においては、先日、小田原市の防災マップも配布されました。こういったマップの中に、自主防災組織がそれぞれの地図に緊急の井戸、またいろんな必要事項を記載するということで、大いに活用してくれるのではないかなと期待をしているところであります。この自主防災組織、先ほどから御答弁の中にもありました。自主防災組織はどういう形になっているのかな。小田原市全体には各自治会における自主防災組織があります。この自主防災組織の規約また役割分担表、これはホームページからでもそのひな形として出すことができますので、私も見させてもらったんですけれども、ここはちょっと一つ気になって、前も指摘したことがあると思いますが、例えば規約自体も、このひな形どおりにとにかくやればいいんだと。また、役割分担表も、地区においては毎年かわる組長さん、とりあえずこの役割分担は名前だけ載せておけばいいみたないなところで表をつくって防災危機管理部に提出すれば、これでよかったと。こんなところもあり得るのではないのかな。これを心配するところです。それでは、そんな組織というのは本当に形骸化したものであって、いざ発災したときには本当に絵にかいたもちになってしまうのではないかな。このような懸念をいたします。どこがそうだというわけではありませんが、どうしてもそういうふうな心配をいたします。この中に例えば「消火班」があります。地元の消防団との関係はどうなっているのかとか、「避難誘導班」は一回でもそういう避難誘導のシミュレーションをしたことがあるのか、また、「災害時要援護者班」は民生委員とかとちゃんと日ごろから連絡をとっているのか、また、先ほど例で市長が御答弁いただきましたけれども、警備班が24時間体制でちゃんと見回ることができる人材を確保しているのか、こういったさまざまなものが必要になってくるんですけれども、そこまでちゃんとできているのか、ここが気になるところです。そこで、防災危機管理部におかれましては、今まで以上の指導とかをしているのか、また、今どのような状況なのか、実態をお答えいただきたいと思います。

続いて、細かい質問の最後にちょっと触れましたけれども、物資の受け入れ態勢、小田原は11ですか、市内のターミナルに駐車場を設けていたり、物資搬入の場所を設けていたりするということでお話を伺いました。そこで、実際、柏崎の中で非常にいろんな車両があふれておりまして、かなりの渋滞もしておりました。こういった中で、果たして、救援物資がそのターミナルにたとえ着いたとしても、それからの配布、これがどのような形で配布ができるのか、そこを4点目として伺いたいと思います。防災については以上です。

それで今度、コミュニティバスについてでありますが、お答えにもありましたように「ほほえみ号」、ちょうど私も議員になりたてのときに「ほほえみ号」を実際に見たところ、1人しか乗っていない実態を見て、本当に必要な事業なのか、費用対効果はどうなっているのか質問した経緯があります。平成8年にそれはなくなってしまったわけなんですけれども、先ほど言った「ほほえみ号」は、市全体を網羅するということで相当な無理があった事業ではないのかな。今回いろいろ今減便になっているところは、それぞれスポットのなかなか乗降客が少ないところ。ここが、ねらい撃ちといいますか、減便している状況でありまして、地域でいいますと国府津や田島、下曽我、千代、そして橘、ここら辺のところが迷惑をこうむっているところです。

私は橘におりますので、具体的な実情をここで申し上げますけれども、例えば中井の比奈窪の停留所から二宮行きと国府津行き両方出ております。橘地域はその両方とものバスが国道1号で分かれるんですが、国府津行きのバスが減便になりました。何とか今、朝と夕方については多少残っているんですけれども、それを利用していた通勤・通学客、この方々が大変迷惑をしております。特に高齢者の方々については、ちょうど国府津のところに総合病院が御承知のようにありますので、そこに通っている方々が、結局、二宮行きに乗って押切というバス停でおりて、再度、国道1号を通るバスに乗って国府津に行くと、このようなルートです。停留所名は同じ押切なんですが、県道でおりる押切のバス停と国道の押切のバス停というのは何百メートルか離れておりますので、ここを歩き、また国道1号を横断しなければいけない。こんな実情のところなんです。その高齢者の方々はとても今回の減便で苦労されているところですので、何とかならないかというのが地域でも上がっています。特に橘においては、先般、タウンセンターこゆるぎがオープンいたしました。あそこもバス停から400メートルぐらいですか、ちょっと離れているところで、行きたくてもとても行けないよという声もあります。

そこで、今回質問いたしましたコミュニティバス、これが活用できれば大変ありがたいなと思っておるところです。先ほど言った500幾つかの各地区でコミュニティバスを利用されておりまして、いろんな手法があります。私は今回、行政の方で全部この「ほほえみ号」のようにお金を出して、またはバス会社に委託して、全面的に税金を使って何とかしてくれとかそういうお願いをしているつもりはありません。地域の中でその目的を持った形で、たとえそれが大型タクシーのような形のものだったり、小型のマイクロバスのような形のものだったり、緑のナンバーを取得すればそういう送迎ができるのかなと思いますけれども、そういった地域の中でこういうコミュニティバスを運行したい、こういった声が上がって、場合によってはNPO法人とかつくった中で運行する。こういう発想があったときに、行政はどのような形で応援をしてもらえるのか、そのスタンスをこの際再質問として伺いたいと思います。

市長(小澤良明君)
14番加藤議員の緊急地震速報の諸問題につきましては、担当からお答えいたします。

最後のコミュニティバスにかかわります問題につきましては、先ほども登壇しての答弁でお答えをいたしましたけれども、地域の皆さんと何かこの問題の解決について相談をできる場をつくるというのはどうなんだろうかというふうなことも考えております。NHKの「難問解決!ご近所の底力」をごらんになったでしょうか。せんだってたまたまそれを見ておりましたら、地域の皆さんが、行政は全然一切かかわらないで、地域の皆さんだけで、坂のあるまちとかそういうふうなところだったと思いますけれども、自主的にタクシー会社とかいろいろそういうところと交渉して、乗り合いタクシーですね、そんなようなことをお願いする。電話一本ですぐタクシーがあちこち寄っていただいたり、非常に何かうまいシステムを考えてやっている成功例を2例ほど紹介しておりまして、私も行政がかかわらないからいいなと思ったわけじゃなくて、知恵というのは本当にいろいろ出して、そしてタクシー会社さん等も、橘地域なんかはまたタクシーも大分走っていかないといけないというネックはあるかもしれませんけれども、あるいはいい知恵が相談するとあるのかもしれませんし、先ほど答弁いたしましたように、地域の皆さん、あるいは地元の議員さん等関係の皆さんと、何かそういうことをテーマにして、本当はバス会社さんが入ってくれるのが一番いいわけでありますけれども、少しじっくりと腰を据えて、そういう検討会をつくっていったらいいのではないか。あえて言わせていただきますと、橘地域も、皆さんのお気持ちを反映して、たしか神奈中さんも一定の考慮をしていただいたというような経過もかつてございました。今もそういうことでやっていただいているんだと思いますけれども、いずれにいたしましても、よそのそういう先進地というか、NPOをつくったりいろいろ御指摘のとおりで、活発にやっていらっしゃる事例もあるようでございますので、一緒になって研究・検討させていただけたらというふうに思っております。またその節は御指導をお願い申し上げたいと思います。

他につきましては、担当からお答えいたします。

副市長(加藤一男君)
緊急地震速報の専用受信装置の導入につきまして、にせもの等の悪徳訪問販売についての懸念がされるが、その点については市の対策はどうなっているのかということについては、私の方から答弁させていただきます。

こうした新たな制度とか、最近のことでいえば消防法が変わりまして火災報知器のこともございまして、こうした悪徳訪問販売が時期をとえらてかなりいろんなところで発生いたしますので、こうした被害の未然防止につきましては、西さがみ連邦共和国消費生活センターと連携し、その対策を協議していくとともに、広報紙やホームページ及びメールマガジン等で情報発信を考えていきたいと思っております。特に情報の得にくい高齢者に対しましては、地域のいろんな方で構成されています地域団体の方と協議し連携していきたいと考えております。悪徳訪問販売等の被害を未然に防ぐためには、緊急地震速報の仕組みや効果について、市民に正しく理解していただくことが必要でありますので、あらゆる機会を通じて広報を十分に行い、正確な理解を深めてもらうつもりであります。

それから自主防災組織のことにつきまして何点か御質問があったので、その中の何点かを答弁させていただきます。自主防災組織が創設されてからかなりの時が経過しており、こうしたことから地域からも多くの問題・課題が提起されております。そうしたことから、昨年11月に自治会連合会長や民生委員・児童委員、老人クラブ等で構成された「地域防災検討委員会」を設置し、自主防災組織の役割や体制を見直したところでございます。その結果につきましては、全自治会長に説明し、現在、各自主防災組織における防災計画書等の見直しを実施してもらっているところでございます。また、先ほど御指摘にもなられました防災マップもその一環で、基本的な項目については共通になっておりますが、各地区の防災マップの縮尺を大きくして、その地域に合った情報を共有化してもらうために、その防災マップをその地区に合わせた形で各地区で活用してもらうために、その防災マップを題材に、自主防災組織の機能や役割、それから地域の共通認識を深めてもらいたいということで配布してございます。そうしたことから、こうした機会をとらえまして、各自主防災組織の方には、各班の役割や重要性を十分認識していただき、訓練等を通じて実効性のあるものにしていただきたいと考えております。

以上でございます。

防災危機管理部長(松浦晴敏君)
14番加藤議員の再質問の残りの部分につきましては、私の方から御答弁させていただきます。

まず、藤沢市の防災行政無線の誤報があったという例が示されましたけれども、藤沢市の場合は手動放送といいますか、人間の手を介してやるということでございますけれども、本市の防災行政用無線につきましては、震度4以上の地震の発生や津波注意報以上の場合は、気象庁からの情報が自動的に無線の方に放送されるようになっております。

それから2点目の、救援物資等ターミナルに集積された物資の輸送の際に、輸送路の確保がどうなっているのかという御質問だったと思いますけれども、救援物資等を優先的に輸送するために、市として、地域防災計画上、緊急輸送路を指定してございます。しかしながら、災害により輸送路の確保ができないことや、車や人で渋滞することも考えられますので、その場合は、警察が、被害規模、状況に応じまして、一般車両の通行を禁止する区域及び通行を制限する区域の設定や緊急交通路の確保など必要な交通規制を実施することとしております。万が一、ターミナルへの輸送路が確保できない場合につきましては、別のターミナルを確保するなど臨機応変の対応をとることとしております。

以上でございます。

◆14番(加藤仁司君)
民間の方にも御協力を得る姿勢だということで安心をいたしました。いろいろと提案をさまざままだしていきたいところなんですけれども、防災というのは、いつも質問しているように、半分、掛け捨て保険みたいな部分もあります。起きなければ、その備蓄の食料、またいろんな機材、こういったものがむだになる可能性もあります。それを今有効に使ってもらったりもしているんですけれども、発災をしたときに最小の被害、また迅速な対応、もちろんこれはまずはじめに人命の救助ありきなんですけれども、こういったものが必要であることは言うまでもありません。地震が起きているうちは、小田原市内のスーパーなんかも防災用品が飛ぶように売れるんですけれども、ちょっとそういう地震が近隣で起きていないと、のど元を過ぎればすぐ熱さは忘れてしまう、こういった性質が人間の中にはあります。継続して防災というものを訴えて、備えることの重要性を、ぜひとも所管の方におかれましては常に発信していただきたいと思っております。今年も大きな台風もありました。また、集中豪雨もありました。防災危機管理部や消防の方々はその都度出動されているということで、本当に頭の下がる思いであります。皆様に敬意を表しながら、防災体制の充実をお願いして、質問を終わらせていただきます。