平成21年12月議会一般質問

2009年12月01日

◆12番(加藤仁司君) 通告に従い順次質問してまいります。

まず、大項目として挙げた本市の教育行政について伺います。

前田教育長が御就任されて今回の議会が初舞台となったわけですが、既に複数の議員からさまざまな質問が行われました。重複する部分が少なからずあると思いますが、お許しをいただき質問させていただきます。

はじめに、非常に端的な質問ですが、今の教育に何が必要だとお思いでしょうか、また、どのようなスタンスで教育長の職に臨まれるのかお伺いいたします。

次に、中項目の一つ目である教育委員会の組織について伺います。

平成20年度までの教育委員会学校教育部は、教育政策課には教育政策担当、施設担当を、学校教育課には学事担当、指導担当を、学校保健課に保健担当、給食担当を置き、教育研究所は課と同列に位置づけられておりました。それが平成21年度には教育政策課がなくなり教育総務課が新設され、そこには総務担当、施設担当を、今までと同様に学校教育課には学事担当を置くとともに、新たに教職員担当が設置され、今までの学校保健課をなくして学校教育課の中に保健担当、給食担当が置かれ、さらに教育指導課が新設され、指導担当、相談担当及び教育研究所が配置されております。

学校教育部内におけるおのおのの課や担当の新設や移動は、当然その理由が存在していると思われますが、まず、なぜ組織の改編を行ったのか、その理由をお尋ねいたします。次に、それぞれの課や担当がどのような仕事を行っているのか、その役割について伺います。

次に、中項目の二つ目、小田原市事業仕分け結果について伺います。

先般、10月に開催された小田原市事業仕分けは、市内外からの反響は予想以上であったと思います。そのことは、今回の質問議員の数の多さからもその影響の大きさをはかることができるのですが、私は、対象となった80事業のうち、教育委員会関係に特化して伺います。

今回の事業仕分けでは、学校教育部関係7事業、生涯学習部関係17事業が仕分け対象とされ、学校教育部関係では不要事業が4、要改善事業が3、生涯学習部関係では不要事業5、要改善事業3、民間1という結果となったことは既に報道のとおりであります。

そこで、まず、教育委員会関係の事業仕分け結果を市長はどのようにとらえているのかお尋ねするとともに、教育長にもその感想を伺います。

また、本年11月17日に開催された総務常任委員会では、行政改革推進課より、事業仕分けを踏まえた事務事業見直し方針と、事業仕分けの対象となった事業の今後の見直し方針が示されました。その中には、当然教育委員会所管の事業見直し方針も示されております。その中で、どうも私が納得できないのは、仕分け作業において事業見直しと指摘されたものの、ほとんどの事業について見直しを図るという行政の姿勢に問題があると思うからであります。いや、見直すという行為は決して否定するものではありません。以前からの事業は継続している中で、果たして実情に合った事業を展開しているのか、効率的な運営をしていないのではないかという疑問も皆無とは言えないと思います。しかしながら、指摘された事業の見直しは、明らかに市民に「行政は事業自体を深くしんしゃくせずに惰性で行ってきた」というメッセージを発信しているのも同様に聞こえます。そんなに行政は、自信を持って胸を張って事業展開してきたという自負すら持っていないのか、堂々と主張できないのか不思議でなりません。事業仕分け判定の結果は結果として真摯に受けとめつつ、実際にその行政サービスを享受している住民が本当に必要としている事業か否か、さまざまな手段で行政側の主張と住民の意見のすり合わせもせずに、1ヵ月足らずでその方向性を出すことは、行政不信を招くものとして非難せずにはいられないことを申さずにはいられません。

さきの質問とあわせて、判定結果を踏まえた事務事業の見直しについて、なぜ短期間でその方向性を示したのか、市長に御見解を求めるものであります。

続いて、今回の事業仕分けにおいて判定され、その見直しを図ろうとしている事業のうち、幾つかの事業について伺います。

はじめに、青少年体験事業について伺います。

本事業は、仕分け人の判定では、不要1、要改善2、民間2+1とされ、結果的には民間の手で行うべきとの判定でした。この判定を受けて、教育委員会では、「青少年の健全育成のために、安定的に継続して体験学習プログラムを提供することは行政の役割である。しかし、個々の学習プログラムの内容や事業費については、より効果的、効率的な実施に向け改善を図っていくこととする。少年少女オーシャンクルーズ事業については廃止の方向とし、これにかわるものを今後検討する」としています。

青少年健全育成のために、さまざまな事業に対して、さらに効果的、効率的実施に向け改善を図ることは当然のことであります。しかしながら、既に本市の青少年体験事業として画期的なオーシャンクルーズ事業については、なぜ廃止方向となったのか。事業に参加した児童をはじめ、保護者、指導者、さらには今後の事業参加を楽しみにしている市民に十分な説明が必要であります。本事業については、開始当初からさまざまな議論があることは承知しておりますが、実際に参加した児童が将来どのような成長をしていくのか、まさに貴重な体験が今後の本市の将来を担う子供たちに与える計り知れない可能性を秘めた事業として評価するものであります。また、児童だけに限らず、アドバイザーやサポーター、成人などの指導者の育成を図る意味でも意義のある事業と評価する方もおられると思います。約2000万円の費用がかかり過ぎるという事業ならば、本事業の持つ意義を明確に発信し、例えばその趣旨に賛同する事業者や団体を募り、事業費の半分を協賛金で賄うことも可能かもしれません。いずれにしても、即刻廃止する前に再度検討すべき事業だと思いますが、市長の御所見を伺います。

次に、塔ノ峰青少年の家管理運営費について伺います。

当施設は昭和40年に建設され、老朽化著しい施設でもあります。私も数年前に、地元の育成会事業として中学生と育成会役員とともに宿泊体験、バーベキュー等を楽しんだこともあります。久野の山深い場所に位置する青少年の家は、不便な場所であるからこそ、そこでなければできない体験学習が習得できるという一面も持ち合わせていると思います。このたびの事業仕分けによる判定では不要と結論づけられ、事業見直し方針としては、「体験学習の重要性が叫ばれる中、その活動の場は確保する必要があるので、近隣施設の利用実態や市民ニーズ等を再確認しながら、今後のあり方について検討する」とされております。

そこでお伺いします。事業仕分けの判定では、この塔ノ峰青少年の家管理運営費をなぜ全員が不要と判定したか、その主な理由は何だったのか伺います。そして、教育委員会は当施設を今後も利用していく方向なのかお尋ねいたします。

さきにも述べましたとおり、当施設は確かに老朽している施設であります。しかしながら、現在も青少年団体等に利用され、夏の時期にはかなりの利用者があるとも伺っております。移り行く時代に即さない面があるとすれば、それは企画の問題かもしれません。今までと同様、利用団体の申し込みを待つ施設ではなく、逆に青少年の家におけるイベントの開催を行うなど、活用の仕方を工夫することも可能ではないかと考える次第です。例えば、企画会社にある一定期間、イベント開催を委託するのも一案だと思いますが、御見解を伺います。

次に、西湘地区教職員互助会福利厚生事業費補助金について伺います。

当補助金については、事業仕分けを行った学校教育部関係の中で、唯一、全会一致で不要の判定を受けた事業であります。はじめに、その判定が出された理由について伺います。

また、市としての事業見直しの方向としては、補助金のあり方、内容についてゼロベースで見直すとされています。当互助会への補助金は、本市だけではなく1市8町もそれぞれ支出されていると伺っています。そこで、この問題は本市だけで解決できるものではないと思いますが、他市町との関係は今後どのようにしていくのかお尋ねをいたします。

次に、中項目の3番目、国の新政権誕生による教育政策等に関連して幾つか聞いてまいります。

民主党をはじめ、3党連立の新政権が発足して、はや数ヵ月が経過いたしました。国政においては、いわゆるマニフェスト実現のためにさまざまな議論が展開されております。中でも民主党が掲げたマニフェストにおけるマニフェスト政策各論の2、子育て・教育に掲げられた六つの項目の中で、15番目の「すべての人に質の高い教育を提供する」項目には、その具体策が挙げられています。今回は、このマニフェストを基本に、新政権誕生後に各大臣等の発言などを通して、本市の教育行政に関連する諸課題について質問してまいります。

はじめに、新政権が発足された後に、文科省から新たに出された通知や通達はあるのかどうか、また、それはどのような内容かお尋ねいたします。

次に、数項目に絞り順次質問してまいります。まず、全国学力・学習状況調査について伺います。

本調査については、既に過去の議会においても何人もの議員が質問しております。私が申すまでもなく、本学力調査は平成19年度より実施されており、文科省から毎年各都道府県の順位が発表されております。しかしながら、個別の市町村や学校名の公表は行われずに、各教育委員会の独自の判断で結果は公表できることになっているものの、今まで本市においては公表していなかったのでありますが、本年度より市全体の平均値のみ数値の公表を行うことといたしました。

そこで、今年度の調査結果は教育委員会としては当然把握されていると思いますが、その調査結果はいかがだったのか、まず1点目として伺います。

また、昨年より、専門的知識を持った大学教授や複数の教員等で構成する検証委員会を立ち上げて、全国学力・学習状況調査の結果を詳細に分析し、今後の教科指導等への具体的な方向性を学校に示していくと伺っておりますが、この検証委員会の提言は平成21年度には生かされたのか、2点目として伺います。

3点目として、この結果を受けて、学校全体の教育力向上のためには何をなすべきとお考えかお尋ねいたします。

さて、この全国学力・学習状況調査につきましては、新政権誕生後も来年度も継続する報道がなされました。しかしながら、民主党は、衆議院選挙前に独自で行った事業仕分けで、今までの悉皆調査ではなく、抽出調査で十分だと指摘され、マニフェストには盛り込まれなかったものの、川端文部科学大臣は、就任直後の記者会見で抽出方式への移行を表明しておりました。

現在の情報においては、新政権下の調査は40%の抽出調査と、希望する学校設置管理者が参加できる「希望参加方式」の併用を検討しているようですが、抽出調査に協力するのかどうか、また希望参加方式に参加するかどうか、本市の対応について伺います。

次に、教員免許更新制度について伺います。

この問題もかねてよりさまざまな議論が展開されております。民主党のマニフェストでは、「教員の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直す」とし、民主党の輿石参議院議員会長兼代表代行は、9月の記者会見で「教員免許更新制度の廃止に向け、来年の通常国会にも教育職員免許法改正案を提出する考えを示した」と報道されております。文科省は否定しておりますが、そもそも指導力不足の教員、すなわち資質に問題がある教員の排除を可能とした改正教職員免許法の改正が平成19年6月に成立したにもかかわらず、資質向上のために見直すというのは、正直のところ全く意味がわかりません。

そこで、この議論の問題点は何であるのかお伺いいたします。また、本法が改正されたとして、児童・生徒への影響や学校運営にはどのような影響を与えると考えるかお尋ねいたします。

次に、学校理事会について伺います。

民主党マニフェストでは、「公立小中学校は、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する『学校理事会』が運営することにより、保護者と学校と地域の信頼関係を深める」としております。この学校理事会については、まだ議論の俎上に上がっていないかもしれませんが、教育委員会として、本制度の内容、メリット・デメリット等についてわかる範囲でお答えいただきたく存じます。

この学校理事会は、現在、文科省が推進している学校運営協議会制度と似ているように思われますが、過去にモデル校として導入を研究した三の丸小学校においてこの学校運営協議会はどうなったのかお伺いいたします。

中項目3の最後として、「心のノート」について伺います。

文科省が小・中学生に配付している道徳教育補助教材の「心のノート」は、昨今の少年による重大事件が相次いだことにより、道徳教育充実のために配付されたと伺っています。新学習指導要領の内容を反映した改訂版では、うそや悪口等の「してはならないこと」をイラストで説明し、中学では、「日本人としての自覚を」掲げて世界貢献の重要性を説いたり、全学年で決まりを守る大切さを強調するなど、規範意識を自然に身につけさせる内容との報道もあります。私も、小学校1・2年、3・4年、5・6年、中学生用の「心のノート」を読んでみましたが、他人とのかかわり、家族や友人の愛、思いやりの気持ち、社会とのかかわりなど、子供の成長に合わせて学べる教材として高く評価いたしました。

そこで、この「心のノート」は、全国の小・中学生を対象に約500万部を無償配付したと伺っていますが、本市の各学校にどのように配付され、活用している学校はどのくらいあるのかお尋ねいたします。

また、新政権では、本年4月に実施したさきの民主党による事業仕分けにおいて、「その内容とともに全国的に配付するやり方について乱暴ではないか」との問題視する声が相次ぎ、7月のむだ撲滅のための政府全体予算時事業検証の中で「廃止」と分類したとも聞いております。そこで、本市教育委員会として、「心のノート」は廃止すべき教材と見ているか、御見解を伺います。

最後に、青少年にかかわる施策について伺います。

私は、本年4月に、長きにわたって務めておりました少年補導員をやめ、現在は地域の青少年健全育成会員として青少年にかかわってきております。その活動の中で、どうしても気になることがあり今回質問するわけですが、その一つは、青少年にかかわる事業について、これはイベントや講演会等の行事が多いのですが、県主催、市主催の行事がかなり重複している感が否めないことであります。昨今では、動員してまでも集める機会は少なくなったようですが、やはりそれぞれの通知が集中して、毎週何らかの行事が入ってくることも気になるところであります。そこで、神奈川県においても県民部青少年課があり、本市においても生涯学習部青少年課が存在していることから、それぞれの役割は何かお示しいただきたく存じます。

さて、私は、昨年6月に、本市城山にあります青少年相談センターのフリースペースの活用について質問いたしました。そのときの議論は、子供の居場所確保のために、青少年相談センターをフリースペースとして活用したが、年を追うごとにその数は年々減少したことから、場所等の立地条件や利用形態等について検討し、検証を行っているとの答弁がありました。そこで、この青少年相談センターにおけるフリースペースのその後の状況はいかがか伺いまして、登壇しての質問を終わります。(拍手)

○議長(志澤清君) 市長、登壇願います。

〔市長(加藤憲一君)登壇〕

◎市長(加藤憲一君) 12番加藤議員の御質問に順次お答えを申し上げます。

はじめに、教育委員会関係の事業仕分けの結果について、どのようにとらえているかとの御質問をいただきました。これまでも御答弁申し上げましたとおり、今回の事業仕分けの大きな目的は、事務事業のあり方を外部の視点で根本から議論していただき、その結果を踏まえて改めて行政として事業の見直しも含め検討し、効率的、効果的な市政運営に結びつけることでございます。その意味では、事業仕分けの結果そのものよりも、仕分けの過程において得られた意見や指摘を踏まえて各事業を再度点検し、現状のままでよいのか、あるいは見直すべき点はないのか、各所管をはじめ、我々みずからが検討することこそが大事な点だと考えているところでございます。

次に、事業仕分けの結果を踏まえた見直しについて、なぜ短期間で方向性を示したのかとのお尋ねでございました。事業仕分けの結果を見て、市民や関係団体等も事業の方向性に高い関心を示しているところでございますが、今後の予算編成や新総合計画策定に向けて全市的に議論を展開していくために、また、行政としての意思決定過程の透明性を確保するために、現時点での行政としての見直しの方向性を提示させていただいたものでございます。今回あえてこの時期に「見直し方針」をお示ししたわけでございますが、私としては、今後この方針に沿って取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。

次に、少年少女オーシャンクルーズについてのお尋ねでございました。少年少女オーシャンクルーズには、私自身、2年度にわたりまして参加いたしました。その中では、12番加藤議員がおっしゃるとおり、貴重な体験が子供たちに与えるさまざまな可能性、また異なる世代が協力して行う人づくりのシステムなどとしての成果が大変大きいと思う反面、参加できる子供たちの人数、あるいは全体の事業費の問題等さまざまな課題があることも実感してきたところでございます。そうした中で、私といたしましては、さまざまな観点から検討した中で、市内の一つの学年全員が参加できるプログラムではないこと、また、事業費では市の負担とともに参加者の負担も大変大きいこと、そして、これまで16回の開催を重ね、約1万人近い人たちが参加し、その中から多くの青少年リーダーあるいは指導者が生まれ、人づくり事業としても十分に役割を果たしてきたこと、さらには、今が、これからの小田原の体験学習及びそれを支える指導者育成の新たな方向へのシフトの時期ととらえたこと等の理由により廃止したいとの判断をしたものでございます。今後は、この少年少女オーシャンクルーズが築き上げてきた「人づくり」のすばらしい仕組みという土台の上に、小田原の自然や地域の資産を活用した新たな体験プログラムを、これまでともにこの事業にかかわってこられた方々の御意見も十分に踏まえて検討してまいりたい。そのように考えておりますので、御理解賜りたいと思います。

次に、塔ノ峰青少年の家運営管理業務事業の事業仕分けの結果についての御質問でございました。塔ノ峰青少年の家運営管理業務事業は、事業仕分けの中では、平成20年度の実績数値として、維持管理費約730万、年間使用料収入約85万円、利用者数2590人、築45年、これらの数字をもって議論がなされたところでございます。その結果、不要と評価した仕分け人からは、利用者数や使用料収入に対してかかる維持管理費のコスト面への指摘、また、施設の運営方法や、市の青少年育成施設としてキャンプ施設が本当に必要なのかどうかなどのコメントがあったところでございます。したがいまして、塔ノ峰青少年の家運営管理業務事業につきましては、その費用対効果の面で不要と判断されたのが主な理由となってございます。

次に、塔ノ峰青少年の家の今後の方向についてお尋ねがございました。塔ノ峰青少年の家は、事業仕分けの結果では費用対効果の面で不要と位置づけられたわけでございますが、青少年の健全育成にとって体験学習の重要性が叫ばれている中で、その活動の場の確保は必要であり、即座に廃止することは適当でないと考え、改善の方向で検討することとしたものでございます。同施設は老朽化も進んでいる状況にございますが、今の施設のよさを生かしながら、12番加藤議員の御提案も参考にさせていただき、積極的に利用率を高める工夫をしてまいりたいと考えているところでございます。いずれにいたしましても、今後の施設のあり方につきましては、近隣施設の状況、また利用者の方たちの声なども確認しながら、新総合計画の中での方向性を出してまいりたいと考えております。

次に、青少年にかかわる事業の県と市の役割についてのお尋ねでございました。大変幅広い分野をカバーする青少年行政につきましては、御指摘のように重複しているかのようにとらえられることもあろうかと思いますが、県の施策や事業は広域的であったり、また指導的レベルで展開されておりますことから、事業への参加者や青少年関係団体にとって幅広い交流や情報共有ができていると考えております。一方で、市は地域性を重視いたしまして、実施する事業の日程や内容を考慮しながら設定してきてございます。このことで市民の参加機会がより多く創出できていると考えているところでございます。講演会や研修など、内容、目的、対象などが重複する事業につきましては共同で開催しているほか、県からの講師派遣や県主催の研修事業を積極的に活用するなど、事前に県と調整して対応してきているところでございます。今後も県と連携いたしまして、より効果的、効率的な青少年施策に取り組んでまいりたいと考えております。

次に、子供たちが気軽に訪れ、また安心して自由に利用できる居場所として、青少年相談センター内に設置したフリースペースのその後の状況はどうかとの御質問でございました。その後も現在まで一般の利用者はない状況でございまして、同センター内でフリースペースに隣接しております不登校児童を対象にした教育相談指導学級、いわゆるしろやま教室に訪れる子供たちへの指導の場としての利用が現状の主な使われ方となってございます。平成16年度の開設以来、このような状況で推移しておりますことから、フリースペースにつきましては、今後も教育相談指導学級用として活用してまいりたいと考えております。

以上をもちまして、12番加藤議員の質問に対する私からの答弁とさせていただきます。これ以外の御質問に対しては、教育長からの御答弁とさせていただきます。

◎教育長(前田輝男君) 12番加藤議員の本市の教育行政についての御質問に順次お答えいたします。

はじめに、今の教育に何が必要であるかという御質問がございました。子供たちを取り巻く環境が急激に変化している中、子供たちが社会に出て生きていくために、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、問題を解決する力、人を思いやる心や感動する心、たくましく生きるための健康や体力などの知・徳・体をバランスよく育てることなど、学習指導要領の理念である「生きる力」、私流で言いかえますと「社会をたくましく生き抜く力」「3つの心と力」が必要であると思っております。子供は成長していく過程で、自分がかかわった人々から影響を受け、環境に左右されながら人格を形成してまいります。私は、小田原の将来を担う子供の幸せを願い、魅力ある学校づくりをしていくことを第一に考えておりますが、そのためには、学校、家庭、地域が連携し、それぞれの立場で子供とかかわり、役割を担う、社会総がかりで子供を育てる環境を整える必要があると考えております。小田原の教育の発展のために、子供たちの幸せを願い、全力で職務に精励してまいる所存でありますので、議員の皆様はじめ、多くの市民の方々の御支援と御協力をよろしくお願いするものでございます。

次に、平成21年度に改編した教育委員会の組織について御質問がございました。教育委員会では、行政改革の推進により職員数が減る中、指導主事等が教育専門職としての職務に専念できる体制を整えるために、学校教育部を教育総務課、学校教育課、教育指導課の3課に再編しました。それぞれの課の役割でございますが、教育総務課は、教育委員会の会議や庶務に関すること及び施設管理に係る事務等を所掌しております。また、学校教育課は、児童・生徒の入学、転学、退学の事務や学級編制、幼稚園に係る事務、県費教職員に係る事務、学校保健、学校給食に係る事務を所掌しております。そして、教育指導課は、教職員の研修や学校経営の指導・助言、教育課程、教科用図書等の取り扱い、教育相談、教育研究所などを所掌しております。

次に、事業仕分けの結果について、教育長はどのようにとらえているのかと御質問がございました。小田原市事業仕分けの対象80事業のうち、教育委員会に関するものは26事業で、仕分け結果は、不要11事業、民間で実施1事業、要改善14事業でありました。教育委員会では、これらすべての事務が必要な事業と考えて実施しており、「予算ありき」や「前例踏襲主義」と判断されることは残念でありますが、事務事業のあり方を市民や外部の目線で点検し、その結果をもとに再検証することは有意義なことと思っております。そこで、事業仕分けの結果を踏まえて事業を再検証し、廃止の方向で検討2事業、改善の方向で検討23事業、現行どおり実施1事業としたものでございます。これらは、学校はじめさまざまな関係者とともに実施している事業が多く、今後は関係団体等との連携、協議を進め、事業の見直しを図っていきたいと考えております。

次に、事業仕分けにおける西湘地区教職員互助会への補助金についての質問がございました。まず、この事業の不要とされた理由でありますが、本市の教育の充実のために、教職員の健康保持が重要であることは理解したが、教職員の福利厚生については、任命権者である神奈川県が行うべきであるとの意見や、教職員は優遇されているなどのことから不要と判断されました。

次に、西湘地区教職員互助会補助金の他の市町との関係について質問がございました。今回の事業仕分けの結果を踏まえ、本市では、教職員互助会への補助金のあり方などについて見直しを検討してきました。市立の小・中学校に勤務する教職員は、県費負担教職員でありますが、教育委員会が服務監督を負う規程があり、また、学校保健安全法では、「学校の設置者は、毎学年定期的に、学校の職員の健康診断を行わなければならない」とされております。このようなことから、教職員の健康保持に対しては、学校の設置者である市が一定の責任を負う必要があるものと考えており、他の市町と協調し適切に対応してまいりたいと考えております。

次に、新政権発足後に文科省から新たに出された通知や通達はあるのかについて質問がございました。新政権発足後に、新たな教育行政に係る通知や通達は、現時点では受けておりません。

次に、全国学力・学習状況調査について幾つかの御質問がございました。はじめに、今年度の調査結果でありますが、本市の平均正答率や児童・生徒質問紙、学校質問紙の結果は、全国や県の結果と比較する形で、8月末に文部科学省から送付されました。これを受け、現在、大学教授と教員により構成された検証委員会において、結果の分析と課題に対する対応策を策定する検証作業を実施中であります。調査結果については、おおむね昨年並みでありますが、遅くとも今年度内には、分析結果や対応策とあわせ、各学校並びに市民に公開する予定でございます。

次に、平成20年度に立ち上げた検証委員会による提言が平成21年度に生かされたのかについて質問がございました。本市では、提言内容の具現化に向け、本年度は、国語と算数・数学に関する学習指導法研修会を実施しております。この研修会には各小・中学校の教員代表が参加し、調査で明らかになった課題やその対応策について、検証委員である大学教授の講義を受けております。また、その講義内容を反映させた事業研究を各校で実施することにより、研修内容の共有を図っております。加えて、教育委員会指導主事が校内研究等への参加で学校訪問した際にも、提言内容についての指導・助言を行っております。

次に、学校全体の教育力を向上させるためには何をなすべきかについて質問がございました。平成20年度の全国学力・学習状況調査の結果を受けた各校の効果的な取り組みを見ますと、例えば、教員の研修の場である校内研究の活性化や、学校独自の漢字検定の創設、家庭と連携した家庭学習の推進等が挙げられます。いずれにしましても、まずは、課題を克服するために各学校が教育計画を策定することが重要であり、継続性と一貫性を踏まえた意図的・計画的な取り組みが求められております。また、幼稚園・小学校・中学校における縦の連携や、家庭・地域との横の連携が効果的な取り組みには欠かせないと考えております。

次に、本市は、来年度に予定されている全国学力・学習状況調査では、抽出調査に協力する意向があるか、また、併用される希望参加方式に参加するのかという質問がございました。来年度の全国学力・学習状況調査への参加の可否につきましては、1番鈴木議員の御質問にお答えしたとおり、現在、教育委員会において、今までの全国学力・学習状況調査への参加にかかわる経緯や目的を確認するとともに、参加に対する教員と保護者の意向をアンケート調査したものを取りまとめております。そして、教育委員会12月定例会において、抽出調査に協力するかどうか、並びに希望参加するかどうかを決める予定でございます。

次に、教育職員免許法見直し議論に対する問題点について質問がございました。教員免許状更新制は、平成19年6月の改正教育職員免許法の成立により、平成21年4月から、「そのときどきで教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身につけること」を目的に導入されております。民主党のマニフェストでは「教員の資質向上のため教員免許更新制を抜本的に見直し、教員の養成課程は6年制とし養成と研修の充実を図る」としております。このマニフェストが、どのような過程を経て政策項目とされてきたかは承知しておりません。また、現在の新政権のもとで、どのような論議がなされているかについても情報を持っておりません。いずれにしても、今後どのような論議がされていくかを含めて国の動向を注視していきたいと考えております。

次に、教育職員免許法改正の児童・生徒等への影響について質問がございました。現段階では、教育職員免許法の改正も含め内容が明確になっていないため、学校現場へどのような影響が出てくるのかは判断できないものでございます。しかし、既に更新講習を受講・修了し、確認申請を済ませた教員からは、多忙な中、子供たちと向き合うこともできたであろう貴重な時間を割いて受講したことが無効となるなどの混乱や、現在、受講中や、これから受講しようとしている教職員にも戸惑いがあるのではないかと考えられます。

次に、民主党のマニフェストでいう「学校理事会」について質問がございました。民主党のマニフェストにおいて、「学校理事会」は、地方公共団体が設置する学校を主な権限を持って運営する組織で、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画するものとされています。しかし、現時点においては、マニフェスト以外に具体的に示されたものはありませんので、学校理事会に対する具体的な評価はできないことを御理解いただきたいと存じます。

次に、三の丸小学校の学校運営協議会について質問がございました。学校運営協議会制度は、保護者や地域住民が学校運営に参画する制度であり、校長の作成する学校運営の基本方針を承認したり、教職員の任用について教育委員会に意見したりする役割を持つものであります。本市では、平成17年度に三の丸小学校が国からの指定を受け、モデル校として学校運営協議会制度についての研究・調査に取り組んだ経緯がございます。三の丸小学校では、この制度についての課題を検討した結果、地域ぐるみで学校を支援する既存の学校評議員制度の活用や、スクールボランティアパワーアップ事業などの推進により、保護者・地域・学校が強いつながりの中で子供たちを育てていくことが望ましいと考え、同制度の導入には至らなかったものでございます。

次に、「心のノート」について御質問がございました。はじめに、「心のノート」が各学校にどのように配付され、活用されている学校はどのくらいあるのかという質問でありますが、「心のノート」は平成14年度より、毎年、小学校1年生、3年生、5年生と中学校1年生の全員を対象に文部科学省から配付されている道徳の副教材であります。本市では、「心のノート」を全小・中学校の対象者すべての児童・生徒に配付し、道徳の時間や進路学習などの特別活動の内容と関連させたり、学年や学期の初めに目標を立てる際の参考にしたり、さまざまな場面で活用しております。

次に、「心のノート」を廃止すべき教材と見ているかとの御質問がございました。「心のノート」は、児童・生徒が身につける道徳の内容をわかりやすくあらわし、道徳的価値についてみずから考えるきっかけとなる教材であります。また、「心のノート」は、道徳の時間をはじめ、学校の教育活動のさまざまな場面で使用するとともに、児童・生徒がみずからページを開いて書き込んだり、家庭で話題にしたりするなど、生活のさまざまな場面において活用することができるものであり、使い方の工夫次第でより効果的な指導へ結びつくものであると考えております。したがいまして、「心のノート」については、引き続き活用方法を工夫しながら、有効的な活用を目指していきたいと考えております。

以上をもちまして、12番加藤議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。

◆12番(加藤仁司君) 一定の御答弁をいただきましたが、再質問させていただきます。

順序はちょっと異なりますが、(4)の青少年施策に関しましては、市長からの御答弁をいただきました。重複するさまざまな案内等は、スケジュール、そして内容を調査しながら、重複とかないように進まれるということでもありますので、これは了解いたしました。

また、青少年センターの使われ方についても、しろやま教室が使われるということでもございますので、あのときには、私は大人が子供の居場所をつくる必要はないということでの質問をさせていただきましたが、結果的にはもう使われていないというような形ですので、これも特に再質問はいたしません。

続いて、最初に、教育長が御就任されてからのスタンス等をお聞きしました。これから今答弁のあった事業仕分け、また新政権による教育政策等の質問等、再質問させていただいてから、総括としてまたお聞きしたいと思いますので、まず教育委員会の組織から再質問いたします。

各所管の役割について伺いました。特にその御答弁としては、指導主事の職務専念ということが一つの理由ということで伺ったのですが、たびたび話題に出ていることとして、平成18年に教育基本法が改正されまして、また、新学習指導要領も小学校では平成23年、そして中学校では平成24年に完全実施されるということになっておりますので、その完全実施に対応するために改編された部分というのもあるのかなと思ってお聞きしたんですが、そういうことではないのか、そこをちょっと確認したいと思います。

それから事業仕分けの件ですが、今、市長、そして教育長の方からの感想をいただきました。今回、この事業仕分けについては各議員とも多くの質問が出ておりますけれども、実際の現場の方はこの事業仕分け結果をどういうような思いを持っているのか。特にこの教育委員会においては、学校教育部長、そして生涯学習部長がいらっしゃいますので、それぞれの率直なお気持ち、感想をお聞きしたいと思います。

それから事業仕分けの結果、これは短期間で見直しをしたということでの答弁をいただきましたけれども、ちょっと確認したいことがあります。先ほどこれも御答弁がありましたけれども、今後は諸団体と連携して進めたいというようなこともございましたけれども、今回、結局この短い時間の中では全く確認していないということでよろしいのかどうか。それで、今後はそういう団体と連携をしたいというのであれば、じゃあいつごろやられるのか、そこを再質問としてさせていただきます。

◎学校教育部長(木目田和義君) 教育委員会の組織に関する関係ほか2点ございますが、両部にまたがりますので、まずは、私が所管する部分からお答えを申し上げます。

はじめに、教育委員会の組織が、新学習指導要領の完全実施に向けての対応も含むかということでございますが、先ほど教育長から御答弁申し上げましたように、教育専門職としての職務に専念できる体制をという中には当然そのようなことが見込まれますので、含みとしてはございます。

それから事業仕分けの結果に対して所管の部長としてはどのように考えるかということでございますけれども、私の所管いたします関係の事業は8事業でございます。事業仕分けの結果がどういう結果かは別といたしまして、私どもといたしましては、この8事業が必要と考えたからこそ予算要求して、また議会のお認めもいただいて実施いたしているわけでございます。1事業30分という中、またあのような雰囲気の中で担当職員が十二分な説明ができたかということについては、私自身は大変歯がゆい思いがしてございますが、職員は大変努力してお答えをしたというふうに私は感じております。私といたしましては、今後また検証しながら、新しい視点もいただいたわけでございますので、見直すべきところは見直してまいりますけれども、私ども職員が市民の皆さんや団体の皆さんに対して説明責任を負ってございますので、十分議論をしていく必要があるというふうに考えております。そういう中で見直すべきものは見直しながら、また必要な事業というふうに考えた場合には、また議会の方にお諮りしてまいりたいというふうに考えております。

3点目の、団体というのが、私どもとまた生涯学習部の関係にございますけれども、先ほど御質問いただきました西湘地区の互助会の関係につきましては、既に関係市町と調整するような動きを現在もう既に行っております。

私の方からは以上でございます。

◎理事・生涯学習部長(和田豊君) それでは、12番加藤議員の再質問のうち、2点ございました事業仕分けに関しまして、現場の思い、部長の思いはどうかというお話でございます。

まず、全体的に言いますと、短時間の中で決められたということが1点ございます。それから、全体的な感想なんですけれども、意外と私どもの事業に対しては、費用対効果、経済効率という面でずばっと言われてしまった。その裏にある各地域の団体、それから地域の市民の皆様のその思いとか、今までかかわってきた情熱等を無視されて、経済効率だけで判断されたというちょっとつらいところもございました。これは本音でございます。

それから2点目の今後各団体の連携をどうするかということなんですけれど、全体的に言いまして、これからということで、特に12番加藤議員の質問のオーシャンクルーズにつきましては、まだ連携というか、個々にはお話は聞いております。オーシャンクルーズについてどうだったという評価とか、そういうのは個々には事務レベルでは聞いております。

以上でございます。

◆12番(加藤仁司君) 再質問に対しまして、各部長の方から思いを語っていただいたわけでございます。確かに短時間の説明というハードルといいますか、これを越えるのが本当に大変だったのかなと思うのですけれども、また、この見直し作業自体も1ヵ月、これは本当に短過ぎるなと思います。所管によっては調整をもう既にされているというところもあるんですけれども、特に教育委員会にかかわるものはあくまでも特定の団体だけではなくて、多くの市民の方々にもかかわる事業が多いわけですよね。そういう点から、やっぱり市民の目というのはどういうふうに向いているのか。これを考える必要があるのじゃないかなと思うのですけれども、市民生活に関係するさまざまな事業、今回の事業仕分けの結果、そしてまた市が出された方針、この部分の市民意見を聞くような形を市長の方は考えられているのかどうか。これは全体にもかかわりますので、市長の方から市民意見を聞く場、こういうものをどういうように考えられているのかお尋ねいたします。
◎市長(加藤憲一君) 事業仕分けの結果全般にかかわる部分だというふうに思いますけれども、市民の意見を聞く機会があるのかということでありました。まず、既にホームページ等で市の方針については公表しておりますが、そういったものに対して所管の方にも意見が当然寄せられてくるということになると思います。ただ、それだけではなくて、当然個々の事業について、特に、ともに事業をつくってきた諸団体や市民の皆さんというところとのコミュニケーションが非常に重要だと思っておりますので、基本的には、個々の事業について、各所管が該当される皆さんと十分情報を共有して意見を交わしながら、しかるべき形での見直しにおさめていくということの作業がベースになっていくというように思います。一方で、ホームページ等で公開し、また、今後いろんな形でその方針を80事業だけではなく全事業に及ぼそうということも考えておりますので、いろんな形で市民の皆さんから御意見をいただけるような場の設営をいろいろ工夫してまいりたいというようには考えておりますが、基本は、各所管ごとの事業単位で関係する皆さんには丁寧にお話をするという作業が基本になってこようかと思います。

以上です。

◆12番(加藤仁司君) 続きまして、事業仕分けのそれぞれの中身について伺います。

オーシャンクルーズについて、生涯学習部長の方からは一言いただきましたけれども、市長も2年乗られたということでございます。私も第3回目のときに乗船いたしました。私が乗ったときには2日目が大変波が荒くてとても外に出られなかったのですが、1日目の夜、ちょうどデッキに出ましたところ、何人かのサポーターの子がデッキに出ていました。そして、特に気になったのは泣いている女の子がいたんです。子供たちが言うことを聞いてくれなくてとても悩んでいるということでした。その数人のサポーターの子たちはみんな同じだったのかどうかわかりませんけれども、背景としては、兄弟も少ない、少子化とも言われています。弟や妹の扱いとかも全くしたことのない高校生が、それこそ本番で直面した問題。これは最後まで頑張ったと思いますけれども、逃げ出したくても、海原を進んでいる船の中でもありますので逃げることもできい。こんな体験はどこでもできるものではないと思うわけでもございます。今まで参加した小学生、そしてサポーター、アドバイザー、また大人たちも、やはりオーシャンクルーズでしか味わえなかった経験というのはあると思います。

そんな思いをしながら、先日、事業仕分けに関する新聞の記事で、教員出身の義家参議院議員の言葉が掲載されていましたので御紹介いたしますけれども、「教育の効果は、長い時間をかけ醸成され、よりよきものになっていくものもある」、こういう言葉もあります。私もまさしくそのとおりだと思います。先ほどもありましたけれども、費用対効果でやはり教育というのは判断してはいけないのじゃないかな、このように思うわけでもございます。このオーシャンクルーズ事業、とりあえずは廃止方向ということなんですが、来年実施されるのか、しないのか。ここについて一つ目の再質問をさせていただきます。

続いて、塔ノ峰青少年の家なんですけれども、コストがかかり過ぎているという、これも費用対効果の部分で不要になったということでもあります。言ってみれば、本当に古いことは確かです。今回、古いからということが不要の理由ではなかったというのは一つのよかった面なのかもしれませんけれども、先ほどのように、ここも工夫をいろいろすることができるのじゃないか。例えば子供の夏休みの共同の事業として、壊れかかっているとか、そういう壁面だとか、いろいろな看板だとか、そういったものを修理してみるとか、子供の発想で模様がえをしてみるとか、教育委員会の枠を超えたさまざまなアイデア、こういうことを募集するというのはやってみるべきじゃないのかなと思います。先ほど来、今まで利用していた方々に再確認をされるような御答弁をいただきましたけれども、さまざまなところから知恵を集める。こういった工夫をやるべきだと思うのですが、再度御見解を伺いたいと思います。

それから、教職員互助会福利厚生事業費補助金の件なんですけれども、何度かこれについては質疑をしているんですけれども、特に教育行政というのは、県もあり市もあり、そしてすべてがいろいろ複雑に絡んで正直言ってよくわからないんです。特にこういう補助金の部分について、関係しているところもある特定の方々なので、一般の者からするとやっぱり見えない事業ということだと思います。今後は、この中身を十分説明していく必要があると思います。この教職員互助会の補助金とあわせて、小学校長会及び中学校長会補助金も不要と判定されておりますけれども、これはなぜ不要となったのか、その理由について伺いたいと思います。

◎市長(加藤憲一君) 12番加藤議員からの再質問、何点かございましたうち、オーシャンクルーズの件は私からお話をさせていただきます。

まず、この事業についての私なりの見立てを簡単に述べたいと思います。今、12番加藤議員、非常にシンボリックなシーンを回想してお話しいただきましたが、確かに、海の上だからこそできることということがある一方で、海の上でなくてもできることというのも逆にあるわけであります。その辺が、やはりこれから限られた貴重な財源を何に使うのかということ、また今、教育の問題は非常に根が深く、また、先にいけばいくほど子供たちがどうなるのだろうかという不安を我々はひとしく抱えているわけでありますけれども、そういう中で、やはり限られた子たちしか参加できないということはいかがなものかということは、非常に大きな問題意識としてあるわけであります。実際のオーシャンクルーズの事業は、青少年課が余力を持ってできるような事業であればいいんですが、やはりあれだけの命を3日間預かっていくということは、これは本当に1年がかりの大事業でありまして、正直、このオーシャンクルーズに係る労力というのは、なかなかほかの事業を並行してやるということの余地を残さないほどの、ある意味そういう労力を割いてやってきた事業であります。だからこそ、これだけの成果を残しているということもあるわけでありますが、こういう局面でありますので、市として、本市の青少年、子供たちをどうやって育てるのかということを、改めてここでそのテーマにがっぷり四つに取り組んでいくべき時期じゃないかというように思っているわけであります。そういった中で一方で、この16年間にわたる蓄積の中で人材もたくさん得られています。また、人を異年齢集団の中で育てていくという仕組みを、ある意味で確立されたものができ上がっておりますので、これを成果として、じゃあ小田原市全体の青少年育成にどういうふうに振り向けていくのかということを考えるべき時期だというのが、先ほど答弁した私の趣旨でもあるわけであります。

そういった中で、来年度やるのかやらないのかということでありますが、これについては今回の事業仕分けについての答弁でお話をしているように、まず、こう出ましたからこうなりました、来年こうしますということを一方的に決めるのではなくて、やはりそこにかかわった方たちの深い思いも当然あるわけでありますので、皆さんと十分話をした上で決めていくというふうに考えておりますので、結論ありきで臨んでいるわけではございませんが、ただ、これについては実際問題、限られた予算をどう使うかということを考えていく中で、小田原市といたしましては、同じ学年のすべての子たちが対象になるような事業を組むことで、本市の青少年の健全育成政策全般にてこ入れしたいという強い意志を持っておりますので、やはりそこはどうしてもトレードオフになってしまうというように思っていますので、そのような思いを持って関係の皆さんと十分に議論を尽くして方針を見いだしてまいりたいというように思いますが、基本的には、オーシャンクルーズのように海の上だからできるけれども、特定の人しか参加ができないという事業から、やはりだれもが参加できて、より広範なこれまでの資産を生かした形でできる事業プログラムに転換ができる方向で御理解を賜れればなというように考えております。

私からは以上です。

◎理事・生涯学習部長(和田豊君) 12番加藤議員の再々質問でございます、塔ノ峰青少年の家に関しまして、もっとアイデアとか募集をしたらどうかというお尋ねでございます。教育委員会としても、この施設を、今後体験学習等がますます叫ばれる中、貴重な重要な施設であると認識しております。また一方、どうしても老朽化、それに伴う利用率の低下、これが最大の課題であると思っておりますので、12番加藤議員の御意見も含めて、今後、利用率をどういうように高め、その価値を高めていくかということを検討してまいりたいと存じます。

以上でございます。

◎学校教育部長(木目田和義君) 小・中学校の校長会に対する事業仕分けのことにつきましては、私からお答えを申し上げます。

不要と判断された理由は何かということでございますが、判定は不要とはされましたものの、仕分け人の皆様方には、校長会の有益性や必要性につきましてはお認めいただいております。ただ、補助金という名称が非常にわかりづらいというようなことでございましたので、私どもといたしましては、今後、補助金として残す部分もあろうかと思いますけれども、教育費の予算の中で計上できるものはきちっと計上するなど精査しながら、市民の皆様にもわかりやすくしていきたいというふうに考えております。

以上でございます。

◆12番(加藤仁司君) オーシャンクルーズにつきましては、今後の行方をしっかりと見ていきたいと思います。

続いて、新政権による教育施策について伺いたいと思いますが、来年はどうなるのかという最初の質問には、教職員と保護者のアンケートを取りまとめているということを答弁としていただいたんですけれども、取りまとめをしているということはもう既にやっているということでしょうから、保護者は大体どういうふうな意見が多いのか、ここをちょっと伺いたいと思います。

また、今回、今年から数値の公表を市全体の平均値のみを行うという方針が示されました。これは、調査結果の情報公開請求から情報公開審査会の答申に基づいての措置ということで聞いているんでけすれども、このような考えで公表すること自体は大きな間違いだと私は思うのです。新教育基本法においては、その第3章における教育行政の中で、第16条2項には、国は教育水準の維持向上を図るための施策を、そして同条3項では、地方公共団体は実情に応じた施策の実施がうたわれ、さらに第13条では、「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする」とされております。学校教育に関心を高く示す保護者、また地域住民に関して、地域の学力情報を公開しないということは、かえって公教育に対する不信感、不安感というものを助長するものだと危惧をどうしてもしてしまうんですが、新教育基本法の条項に基づいて小田原市教育委員会は公表するという理由でなければ本来おかしいのじゃないのかなと。これはどうしても指摘せざるを得ません。取り扱いの一部変更ということがありましたけれども、まだまだきちんとした情報公開とは言えないと思います。

そこで、二つ目の質問に移りますけれども、検証委員会の提言の内容をお聞きしましたけれども、その中身について伺います。

先般、1番鈴木議員の方からの質問でも触れられましたように、平成18年度に2学期制ということが実施されました。実質的には少子化も手伝って、昔に比べれば少人数学級のような形であります。また、その質疑答弁の中で、全国学力・学習状況調査の結果、基礎的な学力・学習については上向きであるけれども、これは2学期制の成果だと。こういうような答弁もいただきました。反対に応用力は課題ありということでの答弁があったわけなんですけれども、これについては2学期制との相関関係についての答弁はありません。検証委員会では、この2学期制をはじめ、授業時間に関係するこれらの基本的な枠組み、これの是非についての議論または提言等はあったのかどうか、そこを伺いたいと思います。

◎学校教育部長(木目田和義君) 12番加藤議員の重ねての御質問にお答えを申し上げます。

2点ございましたが、最初に、全国学力・学習調査に対するアンケートの結果でございますけれども、教育委員会といたしましては、今年の11月に、来年度の対象となります小学校の5年生と中学校の2年生、各学校1クラス分の対象者を対象といたしまして、参加の意向を問うアンケート調査を実施いたしたものでございます。その結果といたしましては、保護者の約8割方、80%が調査への参加を希望いたしております。その主な理由といたしましては、子供の学力や学習状況の現状を把握したい。あるいは、全国的なレベルとの比較も含めて把握したいという内容でございました。また、逆に参加を希望されない理由といたしましては、授業時間をつぶしてまで参加する意義を感じない等々でございました。

次に、検証委員会の提言でございますが、今年度の検証委員会は現在進行中でございますので、昨年度の関係で申し上げますけれども、当然、その分析結果につきましては冊子でまとめているわけでございまして、各学校に配布いたしております。具体的な内容といたしましては、国語、算数・数学の指導に関する今後の課題と、その改善策、あるいは、学力向上に影響を及ぼす望ましい学習習慣、生活習慣づくり、家庭と地域との連携のあり方等々、多岐にわたって提言の内容はなされております。この提言につきましては、学校あるいは、先ほど教育長から御答弁申し上げましたように、教育長も学校訪問を通じながら指導を徹底いたしているところでございます。

以上でございます。

◆12番(加藤仁司君) 時間も大分なくなってまいりましたが、そもそも今現場の部分、特に今子供たちが通う学校の中では、やはり授業時間数というものが問題になっているという認識をしております。ゆとり教育とか緩み教育とかってやゆされる部分もあるんですが、学力については、完全に世界に比べてどんどん低下してきたということも、ちょうどきのうですか、テレビの中で取り上げられておりました。こういった反省の意味から、この全国学力・学習状況調査というのが実施されたのじゃないかなと思うのですけれども、教育制度はぐるぐるいろいろ変わってしまうということは本当にいけないと思います。この2学期制の問題についても、今、夏休み前に通知表にかわるもの、どういう表現をするのかわかりませんけれども出しているということで、みんな不足する授業数を今度はサマースクールで対応したり、子供にとってはいい迷惑じゃないかなと思うところがあるんです。夏はやっぱり暑いから夏休みがあって、熱射病とか熱中症ですね、こういう心配があるから夏休みをただしているだけのことだと思うのですけれども、それをサマースクールですということで、授業時間数をふやすということもちょっとおかしいのかなと思います。それこそいっそのこと3学期制に戻して、また週6日制に戻せば授業時間数は十分確保できるのじゃないかな。これは私個人的に持っている意見でございます。文科省のホームページでは、この週5日制の導入をされたときに、子供たちのゆとりを確保する意味で導入を図ったということでもあります。ゆとり教育というのは、大方の方がもうあれは間違いだったのかなと思う部分も持っているのじゃないかなと。さまざまな書物とか意見とかを聞きますと、どうしてもそのように思うわけでもございます。先ほどちょっと質問しましたこの検証委員会、平成20年度の部分でお話を聞きましたけれども、学校運営の制度自体、今言った2学期制だとか週5日制の部分は難しいかもしれないですけれども、この枠組みとか制度は議論させるというか議論してもらう、こういうようなおつもりはあるのかどうか、そこを伺いたいと思います。
◎学校教育部長(木目田和義君) お答え申し上げます。

枠組みというのがちょっとどういうことか十分に理解いたしておりませんけれども、いずれにしても、4月に調査が実施されて、国から来るのが8月ということで、この間4ヵ月でございます。先ほど結果の公表のこともございましたけれども、情報公開審査会の御答申はいただきましたけれども、改めて教育委員会としてその数値の取り扱いを審議して、結果として市内の全体の平均値を公表するということでございますが、この数値がひとり歩きしないようにということで、分析結果とあわせて市民の皆さんへ御提示等するようにという教育委員さんの御意見もございましたので、私どもはそれに伴って今進行しているわけでございますが、ただ、その検証委員会の検証の期間をもう少し短縮できないかというのは、正直申し上げまして私どもの課題でございます。つまり、国から8月に来て、来年4月に仮に調査が行われるとすれば、この間7ヵ月ということでございますが、4ヵ月経過して、なおかつ7ヵ月の間に検証しながらそれを現場の方にフィードバックしていくと。こういうことでございますが、当然、その検証が来年度に生かされなければ意味がないわけでございますので、当然私どもは、ちょうど私はこの任に来て浅いわけでございますが、そういう課題というふうに認識してございますので、学校現場の方と調整しながら今後対応したいと考えてございます。

以上です。

◆12番(加藤仁司君) それでは、「心のノート」についての再質問を行います。

学校理事会とか教員免許更新制度についてもうちょっと伺いたかったのですけれども、時間がありませんので、こちらに移らさせていただきます。

11日に15番佐々木議員の質問の中で、学級崩壊が幾つかあるということを伺いました。この原因が教員の指導力不足か子供自体の問題かはわかりませんけれども、学校現場は、今言った学級崩壊をはじめ、不登校、いじめ、モンスターペアレンツ、学力低下、教員の不祥事、さまざまなもう話題に事欠かないという状況だと思います。ちょうど12月1日の新聞各紙には、小・中学校の内外での暴力行為が激増していると。神奈川県は4年連続で全国ワーストとなったと。こんな記事が躍りました。だれが悪いのか、何が悪いのか、原因は何なのか。ここは本当にだれか答えを教えてもらいたいなというのが本音なんですけれども、ある方が新聞に読書投稿をされた文を紹介させてもらいます。39歳の公務員の方なんですが、暴力行為の増加に関しての一文で、「しかし、そろそろ先生方も気づいてほしい。なぜ子供たちの規範意識が低下してきたのかを。教壇をなくし、徳育を教えず、義務ではなく、権利ばかりを教えてきた戦後教育が、教師を尊敬もせず、規範意識も持たず、子供にしつけを施す能力も持ち合わせていない今の大人をつくったのである。その大人に育てられたのが今の子供たちだ。教師自身が自分の首を締めてきたのだということを認識してほしい」と言っています。かなり過激な表現かもしれませんけれども、私も同感するところもございます。ここで、特に教育委員会のあり方、こういったことも今話題になっております。教育の専門家も当然おりますけれども、専門家でない非常勤の委員が教育の基本方針を決定するという現状の制度では、迅速な意見決定や責任の所在が明確化されていないという指摘もあります。今、教育委員会という組織自体を考えなければならない。こんな状態だと思うのですけれども、この教育委員会のこれからのあり方、これについて、最後に教育長からの御答弁をいただければと思います。

◎教育長(前田輝男君) 今の大変難しい御質問でございますが、教育委員会の組織のあり方自体を見直す必要があるのではないかということでございますが、現在、教育委員5名でございますが、レーマンコントロールによって、専門教育の専門家でない者が教育について考え、ある一定方向を示していくということで、教育委員会の事務局サイド、あるいは市長サイドで教育をすべて決定していくと中庸性が保たれませんので、そういった意味で、ある側面常勤でありませんので、教育委員の方が第三者的に教育のあり方を考える、あるいは、自分は責任ある立場で考えるといった、常に中立的な立場から教育のあり方を見ていくということで、私は、教育委員会制度はよいものと考えております。ただ、今現在の国の動きの方でありますが、教育委員会制度をなくして、市長部局の方に持っていって監視制度にしていくような動きもございますが、そのことについては確かな情報を持っておりませんのでコメントはできません。

以上でございます。