平成22年9月議会一般質問

2010年09月01日

◆13番(加藤仁司君) 通告に従い順次質問してまいります。

はじめに、現代日本を取り巻く諸事件の本市の状況と対策についてと題し、幾つかの質問をいたします。

今年の夏は例年以上に猛暑が続き、連日熱中症で病院に運ばれた患者もウナギ登りであったと聞いております。夜間も寝苦しい日が続いて、クーラーや扇風機の風での涼しさを求めた一方で、寒々しい事件が全国を覆い尽くしました。その一つが、所在不明高齢者の事件であります。

本年7月28日、東京都足立区で、生存していれば111歳の男性の白骨遺体が発見されました。本件については、死亡した男性が生存しているように装い、既に亡くなっている妻の遺族年金約915万円をその長女と孫が詐取した疑いで逮捕されたわけですが、この事件を契機に所在不明高齢者が続々とあらわれ、本年8月末の報道では、全国の自治体が所在不明とした100歳以上の高齢者は、22都道府県で325人に上り、うち33人は死亡、外国籍の2人の出国が確認され、依然行方不明は290人と大問題に発展しました。その中でも、同じ東京都大田区では、生きていれば104歳の母の白骨遺体を砕いてリュックサックに入れていた長男が年金詐取目的の疑いで逮捕されたり、9月には室内のタンスにポリ袋に入れられた91歳男性の遺体が見つかり、同居の長女が詐欺容疑で調べられている事件が発生するなど、常識では考えられない事件が連日報道されました。

さらには、事件性の有無は別として、不明高齢者の中には、いずれも生存した場合の年齢ですが、青森県青森市で184歳、岡山県浅口市で183歳、愛媛県宇和島市で189歳の戸籍が残っていることが判明し、長崎県壱岐市では戸籍上200歳の男性が生存しているとの調査結果が示されました。

この問題について、厚生労働省は後期高齢者医療制度をもとに医療機関への受診状況を調べ、所在確認ができない上に年金を受給している場合は年金差しとめ措置をとることを発表し、不正受給対策を講じ、また、各自治体においては、長期にわたって所在が確認できない人の住民票を職権で抹消する「職権消除」の手続がとられているようであります。

そこでお尋ねいたします。まず、本市では、戸籍上及び住民基本台帳上の高齢者の所在確認はどのようにしているのか。二つ目に、100歳以上に限らず、本市では所在不明高齢者は存在するのか、存在するとすれば何人で、どのような理由か。三つ目に、今回の所在不明高齢者が社会問題となってから、本市では何か措置を講じているのか。四つ目に、今後の対策についてはどのように考えているのか伺います。

次に、児童虐待をはじめ、頻発する家庭内事件について伺います。

本年8月の初め、新聞やテレビでは、さきの所在不明高齢者問題とともに、これまた信じられない事件を報道しました。大阪市西区で発生した児童餓死遺棄事件であります。この事件については、ここで概要を話すだけでも胸が苦しくなりますが、大阪市のワンルームマンションで3歳の姉と1歳の弟が裸で寄り添うように死んでいるのが見つかりました。猛暑の中、冷蔵庫には飲み物もなく、死体は白骨化しており、友人宅を泊まり歩いていた風俗店に勤める23歳の母親が逮捕されました。ほかにも、福岡県久留米市では5歳の女の子が母親に手足を縛られ洗濯機に入れられ死亡した事件、横浜市では母親らに1歳2ヵ月の女児が木箱に閉じ込められ窒息死、大阪府寝屋川市では父親が14歳の長男の背中にライター用のオイルをかけて火をつけた事件など、目を覆う事件が頻発しました。

これら残虐な事件の数々は、時には虐待死までの間に近所の住民から児童相談所や警察に通報していたケースもあり、さきの大阪市西区の事件では、児童相談所は3回の通報、5回の訪問をしていたにもかかわらず、呼び鈴に応答がないため、連絡先を書いた不在票を置いて帰ったとのことであります。これが行政の限界と言えるかわかりませんが、あまりにもむごい事件に対して、どうして強制立ち入りができないのか、調査権限の見直しが必要なのではといった声も多く聞こえます。

これら児童虐待だけでなく、8月の下旬には、大阪府寝屋川市で86歳の女性が集合住宅3階から転落した事件で、日常的な暴行を繰り返していた同居の長男が高齢者虐待の傷害容疑で逮捕される事件もあり、児童や高齢者への虐待が、児童虐待の防止等に関する法律や高齢者虐待防止法が施行されてもなお事件が起きている現実に愕然とする毎日です。また、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が改正されるなど、依然DVも社会問題として生活を脅かしている現実もあります。

そこで、このような家庭内で繰り返される数々の惨劇に接し、何が原因であると思われるのか、市長の御見解を伺います。また、本市では、児童虐待、高齢者虐待、DVについてどのような対策を講じているのかお尋ねいたします。

次に、大きな項目の二つ目として、橘地域の諸課題について伺います。

はじめに、(仮称)橘分署について伺います。

当施設建設については、何度も本会議や委員会で質問してきたところであります。本年4月の総務常任委員会では、県西地域広域市町村圏協議会広域消防検討分科会による広域消防グランドデザインの概要版が提示されました。本概要版では、国の基本指針に基づく消防の広域化の期限を平成24年度末とされるものの、消防広域化は市町の自主的な判断により行われるもので、国の基本指針や推進計画に強制等されないというものでした。今後消防広域化については、階級割合や人件費格差などの課題が議論されると思われますが、既に平成19年度3月補正予算において、(仮称)橘分署の用地を取得し、「ビジョン21おだわら」の後期基本計画第1次実施計画にも(仮称)橘分署建設が明示されていることから、分署の建設は行政と地元の約束事なのであります。

そこでお尋ねいたします。はじめに、(仮称)橘分署の建設計画はどうなったのか。二つ目として、この5年間の橘地域への消防車及び救急車の出動回数はどのように推移しているのか。三つ目に、消防の広域化が図られたとして、橘地域住民の安全は図られるのか伺います。

最後に、保育園設置について伺います。

橘地域には現在市立幼稚園が二つあります。平成22年5月1日現在の園児総数を見てみると、小田原市立下中幼稚園は、定員140名のところ4歳児22名、5歳児28名で総数50名、小田原市立前羽幼稚園は、定員70名のところ4歳児11名、5歳児9名で総数20名だと伺っています。この数字だけを見てみますと、それだけ当地区に子供がいないのかと思われますが、そうではないのであります。平成22年3月に下中幼稚園を卒園した園児は29名、その年に下中小学校に入学した児童は62名、同じく平成22年3月に前羽幼稚園を卒園した園児は12名で、前羽小学校に入学した児童は24名であり、下中幼稚園から下中小学校に入学した児童の割合は約47%、前羽幼稚園から前羽小学校に入学した児童の割合は約50%であります。

現在、小田原市内では、公立幼稚園6園、私立幼稚園10園、公立保育園8園、私立保育園23園が存在します。しかしながら、橘地域においては、さきにも述べましたように2園の公立幼稚園だけしか存在しないことから、地勢的な面から近隣市町の幼稚園・保育園に通わせている家庭もあると伺っています。

そこで伺います。はじめに、市全体での本年4月時点の保育園待機児童数をお示しください。次に、本年4月時点の橘地域の未就学児童の幼稚園・保育園入所状況はどのようになっているのかお聞きいたします。

さて、橘地域は近年、羽根尾工業団地、いわゆる西湘テクノパークは平成10年より造成が始まり、本年4月時点では13社の企業が当地区に進出され、現在の稼働率は75%にまで至っており、当然雇用も図られているところであります。また、平成7年に都市計画決定された小田原中井線も、現在工事中の市道0077への橋りょう工事が終了の後には、国道1号からの工事が開始されることから、西湘テクノパークの100%稼働、道路環境整備の充実も図られると推察されます。

さらに、当地域は昭和46年までは旧橘町であったことから、地域内のつながりは濃く、行事や各種事業にも大勢の地域の方々が参加している特徴もあります。しかしながら、橘地域に保育園が存在しないため、近隣市町の保育園等に子供を預けられる家庭は、どうしても通っている各園の子供のつながりを中心とすることから、住所は小田原にあっても地域内交流が希薄になってしまうと危惧されます。

そこで、需要はありながらも橘地域に保育園が存在しないため、他市町の保育園に行かざるを得ない当地区の状況から、ぜひとも橘地域に保育園を設置すべきと考えますが、市長の御所見を伺いまして、登壇しての質問を終わります。(拍手)

○議長(今村洋一君) 市長、登壇願います。

〔市長(加藤憲一君)登壇〕

◎市長(加藤憲一君) 13番加藤議員の御質問に順次お答えを申し上げます。

はじめに、本市における戸籍上及び住民基本台帳上の高齢者の所在確認についてお尋ねをいただきました。戸籍は、日本国民の出生から死亡までの身分事項につきまして、届け出に基づいて記録するものでありまして、高齢者の所在確認という手続は行っていないのが実情でございます。また、住民基本台帳に基づき、満100歳以上の方には、その誕生日に訪問させていただき、祝状及び祝品を直接御本人に贈呈する長寿祝品交付事業を昭和59年から実施しておりまして、100歳以上の方の所在についてはすべて確認してございます。

次に、所在不明の高齢者の存在についてお尋ねをいただきました。平成22年8月末現在、100歳以上で戸籍の附票に住所の記録のない方は92人おられまして、最高齢者は112歳となってございます。この主な要因は、海外移住や身元不明で死亡されている可能性が考えられるわけでございます。なお、毎年、各地区において敬老行事を実施するに当たり、民生委員の皆さんの協力による高齢者調査を実施しておりまして、対象となる75歳以上の高齢者については、実態の把握に努めているところでございます。これとは別に、地域ふれあい活動の一環といたしまして、各地区民生委員児童委員協議会が主体となりまして、定期的にひとり暮らし高齢者等を対象とした配食サービスや昼食会、ふれあい訪問、ふれあいサロン等を実施しておりますほか、介護サービスや市の配食サービスを通じて民間事業者による高齢者の見守りも行われておりまして、こうした取り組みにより、高齢者の所在は本市におきましてはおおむね確認されていると考えております。

次に、所在不明高齢者の社会問題についてのお尋ねでございました。高齢者に限らず、住民基本台帳では、台帳上の事項につきまして必要な調査を行うことができますため、従来より、市民や関係所管からの情報提供に基づく調査の結果、居住実態がないと認められた場合には、職権により消除を行っております。戸籍につきましては、100歳以上で戸籍の附票に住所記録のない場合は、海外移住や身元不明で死亡している可能性が高いということでございますので、法務局の許可を得て、職権で戸籍を除籍とする高齢者消除という行政的措置を実施してございます。平成18年に戸籍を電算化するに当たりまして、102歳から139歳までの高齢者28人の消除を行っておりまして、現在も110歳以上の15人につきまして手続を進めているところであり、今後も法務局と調整し戸籍の整理を進めていく所存でございます。

次に、今後の対策についてのお尋ねでございました。住民基本台帳は、住民に関するさまざまな行政事務の基礎となりますことから、住民の届け出に基づき、今後も正確な記録の管理が適正に行われるように努めてまいりたいと考えております。所在不明高齢者につきましては、全国的な問題でありますことから、国からの指示・指導等に基づきまして、関係各課の密接な連携を図り、より一層、住民基本台帳の正確性の確保に努めてまいりたいと考えております。また、住所の変更などの住民の地位の変更に関する事実につきましては、原則として住民からの届け出により把握することとされており、届け出が正確に行われるよう、改めて住民に対し制度の周知を図ってまいりたいと考えております。

次に、児童虐待や高齢者虐待など家庭内で起こる惨劇の原因は何かとのお尋ねでございました。近年、家族のあり方を考えさせられる事件が相次いで起きておりまして、その内容は今まででは考えられないような悲惨な事件となっているところでございます。虐待等の要因といたしましては、養育能力や介護力の欠如もしくは低下、経済的な困窮、コミュニケーション不足などによる家族の絆の希薄化など、それぞれの家庭内における要因のほか、地域におけるコミュニティ機能の低下をはじめとする社会環境の変化などが要因として考えられるわけでございますが、実際には、こうしたさまざまな要因が複雑に絡み合った結果として、虐待等につながっているものと考えているところでございます。

次に、児童虐待の対策についての御質問でございました。平成17年度から市町村が児童相談の一義的窓口と位置づけられまして、学校、保育所、児童相談所、警察などの関係機関で構成する要保護児童対策地域協議会を設置いたしまして、幅広いネットワーク体制を構築し、保護を要する児童の対策に当たってきてございます。例えば、児童虐待の通告を受けた場合、直ちに緊急受理会議を開催いたしまして、健康診断の受診の有無、保育所・幼稚園の通園や小・中学校の登校状況などを関係機関へ問い合わせをいたしまして、必要な情報を収集するとともに、市の職員が家庭訪問し子供の安全確認を行い、状況によりまして要保護児童ケースとして、継続して見守りや家庭訪問を行っているという取り組みをしてございます。また、本年10月から実施いたします「こんにちは赤ちゃん事業」におきましては、生後4ヵ月までの乳児のいるすべての家庭を訪問し、子育て情報の提供や育児相談を行いますとともに、親子の心身の状態や育児環境を把握し、家庭への支援が必要と思われるケースにつきましては、養育支援訪問事業など適切な支援を行いまして、児童虐待の早期発見、未然防止にもつながっていくものと考えているところでございます。

次に、高齢者虐待の取り組みについてのお尋ねでございました。本市では、高齢者虐待の防止や早期発見、虐待を受けた高齢者及び養護者に対する適切な支援を行いますため、高齢者虐待防止ネットワークを構築してございます。このネットワークは、自治会、民生委員、老人クラブ、地域包括支援センター、医療機関、介護サービス事業所、小田原保健福祉事務所、警察、消防などの関係機関で構成されておりまして、虐待に係る情報の収集や虐待事例に関する処遇検討会議の実施、さらには、従事者のスキルアップのための研修会の開催、高齢者虐待防止の啓発活動などを実施しているところでございます。このような取り組みの中、高齢者虐待と認められましたケースに対しては、市と地域包括支援センターが中心となりまして、医療機関や警察等の関係機関と連携を図りながら、介護保険施設への緊急一時入所等をはじめ、当該高齢者の権利擁護のため必要な支援を行っているところでございます。

次に、DVの対策についての御質問でございました。配偶者等からの暴力であるDVにつきましては、重大な人権侵害でありますことから、DV防止講座やパネル展を開催し、暴力撤廃に向けた啓発事業を実施してございます。DV被害者からの相談に当たりましては、本市の婦人相談員が生活面や心理面の相談を受け、自立に向けての支援を行ってございます。また、相談状況によりまして、被害者の安全を確保する必要がある場合には、警察など関係機関と連携し、安心して生活できるよう被害者の救済に取り組んでいるところでございます。

次に、橘地域における(仮称)橘分署の建設計画について御質問をいただきました。現在、橘地域には消防分署が所在しないことから、(仮称)橘分署を整備すべく、平成20年3月にその用地を確保してございます。しかし、その後、2市8町による合併協議があり、また、現在、神奈川県西部広域行政協議会におきまして、消防の広域化の実現性を模索すべく協議、検討を行っているところでございます。このようなことから、橘地域における(仮称)橘分署の整備につきましては、消防広域化の協議、検討の推移を見守りながら、東分署の機能移転も含めて適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

次に、橘地域における過去5年間の災害出動件数の推移についてのお尋ねでございました。平成17年から平成21年における災害出動件数でありますが、まず、火災につきましては、5年間で13件出動しておりまして、平成17年の1件を除き、平成18年から平成21年までの4年間は毎年3件でございます。次に、救急出動でございますが、平成17年が408件、平成18年が464件、平成19年が361件、平成20年が280件で、平成21年は342件でございました。次に、救助出動でございますが、平成17年と平成18年が各1件、平成19年が4件、平成20年が3件でございまして、平成21年は事案が発生してございません。

次に、消防の広域化により、橘地域の住民の安全は図られるのかとの御質問でございました。御承知のとおり、消防の広域化は、消防の広域再編化によりまして、その地区の消防力を高め、住民の安全・安心をより一層確保することを目的としてございます。県西地域の消防広域化が図られました場合には、現在ある4消防本部の管轄区域が統合されることによりまして、橘地域における火災、救急等の災害におきましては、小田原市の東分署からの出動はもとより、橘地域に近い、現足柄消防組合の中井分署からの出動など、初動体制の強化により、安全性の向上は図られるものと考えております。

次に、本市の保育所待機児童数について御質問をいただきました。国で定めております待機児童の定義に基づいた本市の待機児童数は、平成22年4月1日現在で15人となっております。なお、そのうち川東地域には10人となってございます。

次に、橘地域の未就学児童の幼稚園・保育所の入所状況についてお尋ねがございました。橘地域の就学前児童は、平成22年4月1日現在、幼稚園には前羽幼稚園に20人、下中幼稚園に50人、合わせて70人が入園してございます。保育所につきましては、国府津地域の保育所など市内の保育所に46人が入所し、また、近隣の二宮町、中井町、秦野市などの市外の保育所に61人、合わせて107人が入所してございます。

次に、橘地域に保育所を設置すべきとの御質問でございました。保育所の入所につきましては、市内にお住まいの方を市外の保育所で受け入れていただき、逆に、市外にお住まい方を市内の保育所で受け入れるというように、近隣市町村と連携し、相互に補完し合っている面もございます。しかしながら、待機児童解消は本市にとって大きな課題であり、既存の施設や制度の活用を基本としながら、その解消に努めているところでございます。その中で、橘地域に保育所がないことも検討課題としてとらえ、現在、庁内の関係部局で検討しているところでございます。

以上をもちまして、13番加藤議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。

◆13番(加藤仁司君) 一定の答弁をいただきましたが、再質問をさせていただきます。

まず、所在不明の高齢者の件ですが、市長の方からるる御答弁をいただきました。ちょうどこの通告を出してきょうに至るまでで、新聞の方で100歳以上の不明者はゼロだという記事がいきなり載ったので、ちょっとあっけにとられたところもありますけれども、今お話しのように、おおむね一般の高齢者と言われる方についての所在確認、民生委員・児童委員さんや、また民間の事業者、そういったところで確認をとられるということで、本市はほかのいろいろ言われているところ以上に措置はとっているのじゃないのかなと、そのような感じはいたします。しかしながら、おおむねという表現がありました。幾つか不明の部分が、海外に行ったりいろいろあるということではありますけれども、今回さっきの質問でも言いましたように、年金の不正受給、こういった事件の発覚によって大騒動となったわけでもあります。本市においては、このような年金不正受給、こういったことに進展するようなケースは見当たるのかどうか、これをまず1点伺いたいと思います。

それから先ほどの答弁の中でも、各機関でいろいろな連携はとられているというお話がありましたけれども、こういった不正受給の問題、これ自体も、やはり福祉の所管だったり、医療機関、また住民基本台帳をつかさどる機関、ここら辺の連携がとれていないということから起きているのではないか。いわゆる縦割りの行政、これに一因があるのじゃないか、このような指摘もあります。そこで、高齢者情報の共有化という点で、この行政システムとしてはどのような形になっているのか、それを2点目として伺いたいと思います。

それからこの職権消除という表現なんですけれども、これは、当然行政が行うことですから、手数料、こういったものは一切かからないということは当然のことなんですけれども、実は滋賀県大津市では、住民基本台帳に亡くなった人が記載されたままなので、職権消除を行うが、手数料がかかるので振り込みが必要だというような全く新手の詐欺が発生したという記事を目にしました。詐欺ですから、ちょっとした事件が起きると、それを突いてすぐこういう事件に発展してしまうんですけれども、本市としては、そういうような部分について何か対策を講じられるのかどうか、それを3点目として伺います。

それから事件の中の児童虐待等の部分についてなんですけれども、この通告をした後もいろいろな事件がまた頻発しております。ちょうどきょうの新聞では、母親と交際相手がトイレに中学3年生の男の子を監禁したという公判の記事がありました。しつけだというような言い方をしているんですけれども、何がしつけなんだということで、本当に憤慨する事件であります。こういった事件、先ほども言いましたけれども、学校とか主任児童委員さんとか、そういったところが受けた情報を児童相談所に連絡しても、児童相談所自体、人もあまりいない、そしてまた事件は大変多いということで、なかなか細かい対応ができていないということも多く聞きます。特に高齢者の場合は、御本人に聞いてみると、私はそういう虐待を受けていないと否定するケースが本当に多いとも聞いております。そういうふうなことで否定されると、なかなか傷害罪で立件もできないということでもあります。先ほど御答弁で、いろいろな形で連携をとり合って未然に防ぐ、またそれに対応するということもお聞きしましたけれども、何か抜本的な解決策、対策、こういったものがこれ以上ないのかな。ちょっとそんな思いがいたしますので、抜本的な対策等についてどのようなお考えを持たれているのか、再質問としてお聞きします。

◎福祉健康部長(清水清君) 13番加藤議員の方から4点再質問があったんですけれども、私の方から、最初の所在不明高齢者の関係と虐待の関係、こちらを御答弁させていただきたいと思います。

最初に、所在不明高齢者に関連いたしまして、本市において年金の不正受給、こういったものがあるかというお尋ねでございますけれども、日本の公的年金につきましては、厚生労働大臣などの委任を受け、国民年金は、御案内のとおり日本年金機構、そして厚生年金につきましては厚生年金基金または日本年金機構、共済年金につきましては共済組合がそれぞれ調査を行い、支払いを行っておるところでございます。一方、市では、法定受託事務といたしまして、20歳から60歳までの自営業者や無職者など国民年金第1号被保険者の加入資格の出入りや年金保険料免除申請など、日本年金機構へ取り次ぐ事務を淡々と行っておるのが現状でございます。このため、市では、だれが何の年金を幾ら受給しているのか、現行では管理できないようになっておりまして、年金の不正受給が行われているかどうか、その実態を把握できないのが実情でございます。

そして次に、虐待の関係でございますけれども、虐待等の家庭内事件に対する抜本的な対策というお尋ねでございます。虐待等の要因は、先ほど市長が答弁申し上げたとおり、多種多様でございまして、さらには、それが本当に複雑に絡み合った結果といたしまして、虐待等につながっているというふうに認識しております。そのようなことから、お尋ねのあった抜本的な対策につきましては、現段階では、これを見いだすことは大変難しいものというふうに考えております。これは本当に13番加藤議員御指摘のとおりでございます。いずれにいたしましても、虐待等の対策におきましては、早期発見、これが大切であり重要であるというふうに考えております。そこで、このたび新たに作成いたしました「相談窓口のご案内」、このパンフレットを配布し、そして民生委員・児童委員、そして関係施設との連携、こういったものも通じまして市民への啓発に努めてまいりたいというふうに思っております。そして、具体的な虐待のケースの対応に当たりましては、神奈川県などさまざまな関係機関との連携をより密にいたしまして、適時適切な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

◎市民部長(柴田正光君) 所在不明高齢者についての残りの2点の再質問には、私から御答弁させていただきます。

まず、高齢者情報の共有化についてでございますけれども、住民基本台帳は市のさまざまな行政事務の基礎となることから、住民に関する正確な記録が必要でございます。介護保険制度や後期高齢者医療制度などの高齢者に関する事業をはじめ、各行政事務を遂行するに当たり、関係所管において住民基本台帳と実態のそごが確認された場合には、これまでも情報の共有化に努めているところでございますけれども、今後も、なお一層の連携強化を図りまして、正確な住民基本台帳を確保してまいりたいと考えております。

もう一点でございますけれども、滋賀県大津市の事例をもとに、所在不明高齢者問題を悪用した振り込め詐欺対策についてお尋ねがございました。所在不明高齢者問題を悪用した振り込め詐欺は、小田原市内でも予想されるため、小田原警察署と連携を図りまして、地域自治会、民生委員・児童委員、老人会などの集会や街頭キャンペーンなどを通じまして、職権消除の手続に手数料がかからないことを周知してまいりたいと考えております。また、広報紙や市ホームページなどさまざまな広報媒体を通じましても、振り込め詐欺の手口を情報提供し、注意喚起を図ってまいりたいと考えております。それに合わせまして、振り込め詐欺は家庭や御近所の関係が希薄化していることをねらい、その手口は巧妙化しているため、日ごろから家族や隣近所でのおつき合いを大切にして、地域で顔の見える関係づくりを心がけてもらえるよう、さまざまな機会をとらえて呼びかけてまいりたいと考えております。

以上でございます。

◆13番(加藤仁司君) この所在不明の高齢者については、行政の方もいろいろと一生懸命やられているという部分はわかりました。ただ、住基ネットの充実とデータの一元管理、こういったものをやはり基本的には行っていかないといけないのじゃないかな。この辺につきましては、国の方も動きがあるということでありますので、推移を見守っていきたいと思います。

最初の質問、そして再質問と、行政に関しての部分として質問させてもらったんですけれども、そもそも所在不明高齢者というものは、本当に不思議なのは、身寄りのない高齢者ではなくて、身寄りがあるのにその家族が親の行方がわからないという事件が多いわけです。これは本当に信じられないことです。ただ、これはあくまでも一部の人でしょうけれども、親が生存しているかしていないかを気にしない人たちが存在している。本当に狂った世の中になったものだなというのを憂えざるを得ないわけです。

ここでちょっと気になった記事を一つ紹介しますけれども、神奈川新聞で9月6日、孤独死に立会い、その死体処理を請け負う。事件現場清掃人という職業になるのか、高江洲さんという方が言っています。「一人で死を迎えること自体が問題なのではない。その死が悼まれず、目を背けられ、恨まれさえする。高齢者の所在不明問題にも通じる、この荒涼にこそ目を向けなければ」と。また、「部屋が汚れ、ほかの入居者も出ていったと大家が遺族をののしる。親族はリフォーム代の負担を拒み、遺品を引き取ろうともしない」というような記事が載っていました。こういった所在不明高齢者の問題も、また、児童そして高齢者の虐待、DVについても、あくまでも家族という社会を構成する最小単位、この集団の本当に基礎がおかしくなっている、こういうことを実感するわけです。今、子供とか高齢者は社会が面倒を見るんだ、こんな風潮が目につくわけなんですけれども、本当にそれでいいのかというような疑問を常に持っているところであります。家族の関係が希薄になったのもこの風潮がもたらしたものなのかな。そのようなことではないかと私は確信しておるところであります。

先ほど市長の御答弁の中に、さまざまな個々の問題もあるけれども、地域コミュニティの充実を図っていくんだというお話もありました。総合計画の中でもやはり地域コミュニティの充実、こういったことを市長は特に訴えているところでありますけれども、こういった地域コミュニティがうまく機能することによって、少なくとも今言ったような事件、残虐な家庭内における事件等は、少しでも解決できるのかどうか、食いとめることができるのかどうか伺いたいと思います。

◎副市長(加部裕彦君) 13番加藤議員の再質問に私の方からお答えさせていただきます。

地域コミュニティにお触れになって、さまざまな課題の対決に少しでもつながるのかと、こういう御趣旨だったと思いますが、さまざまな社会経済環境の変化によりまして、近年、単身世帯や夫婦のみの世帯が急増するなど、社会を構成する最小の基礎単位であります家族のありようが大きく変化し、身近な生活周りでの困り事がふえているほか、御指摘のような深刻な社会問題の一因ともなっていると認識しております。先ほど御指摘になりました神奈川新聞の記事を私も読みました。ある意味、大変ショッキングな記事だったなと思っております。13番加藤議員御指摘のとおり、家族の規模や形態がどのように変わろうと、人々の幸福には家族の絆が最も大切なものであると。これは言うまでもないことであると思っております。一方で、地域社会では、民生委員・児童委員さんやボランティアの方々による地域福祉の活動が、児童や高齢者を支えてきた役割が大きく、その活動が継続されていくことは、今後とも非常に重要なものであると認識しております。ただ、先ほど御指摘になりましたようなこと、いろんな要因によりまして、支援を必要とする住民が今後もふえ続けることは、これは確実ではないかなと思っております。そこで、こうした従前の地域活動や行政だけではなかなか対処し切れないいろんな課題が今後出てくるのではないかなと思っておりまして、そういう意味では、担い手の確保や地域の新たな連携を図って、地域コミュニティの充実を図るということも、もちろんこれが根本解決かどうかということではございませんが、少なくとも地域コミュニティの充実を図ることがそういったものを食いとめる一助になるのではないかなと考えております。

私からは以上でございます。

◆13番(加藤仁司君) 今、副市長のお答えにあったように、この地域コミュニティの充実が本当に一助になるように、こちらの方も祈っております。

ちょうど一昨日、新聞には子供の暴力事件が増加傾向にあると、このような記事がありました。また、このような子供が大人になったらどうなるのかなと本当に心配でもあるわけです。とにかく児童虐待においては、子供が負った心の傷、本当にこれはそうたやすくいえるものではないと思います。今お話がありました。いろいろな御答弁をいただきました。これから何がいいのか、何をやるべきなのか、何をすれば未然に防げるのか、そういったことを私どももまた一緒に考えたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

また、教育の面もそれにはかかわってくるのじゃないかなと思いますけれども、ちょっと時間の関係もありますので、教育論議はまたの機会とさせていただき、最初の第1の方についての再質問はおしまいにします。

続いて、(仮称)橘分署の件につきまして再質問をいたします。

(仮称)橘分署の計画、用地は取得しましたけれども計画が進まないというのは今御答弁のあったとおりです。この広域化が進められれば、中井分署、これが橘、特に下中地区、そこを包括するということが考えられるわけです。平成21年8月の総務常任委員会、ここにおいて(仮称)橘分署の位置について消防科学総合センターにより署所の配置が示された。こういった経緯もあります。橘地域、小田原市の中でも一番東に位置いたしまして、二宮町とも市と町の境でもあります。特に橘団地、ここは二宮町の百合ヶ丘と隣接しているということで、二宮の消防署、ここからも大変近い位置にあります。このような中にありまして、昨年11月、災害時の相互援助に関する協定、これを二宮町と小田原市が結んだと聞いております。また、本年は二宮町と小田原市のスポーツ施設、これの相互利用が可能になったということで、小田原市と二宮町というのは、ここ急速に何か近い関係になってきております。これは橘地域の住民としても大変評価するところなんです。

そこで伺います。広域については2市8町という枠で今考えておりますけれども、今の二宮町と小田原市の関係、この部分からすると二宮町も一緒に広域の中に加わることが可能なのかどうか、それを伺いたいと思います。

◎副市長(大野速雄君) 今現在進めております県西地区の消防広域化、これにおける市町村の組み合わせの中に二宮町を含められないかと、こういう御質問でございますが、神奈川県は県内の広域消防化を推進するために、平成20年3月に、政令指定都市を除きまして、県域を5ブロックとするいわゆる「神奈川県消防広域化推進計画」というものを策定してございます。御案内のとおりだと思います。そこで、神奈川県は、この推進計画における広域化の市町村の組み合わせについては、あらかじめ各自治体の意見を聞くとともに、生活圏域や医療圏域などの状態を踏まえた上で、現在の5ブロックに決定していると、このようになっております。したがいまして、広域の消防化における市町村の組み合わせの変更につきましては、神奈川県が判断するものであると、このように御理解をいただきたいと思っております。

以上でございます。

◆13番(加藤仁司君) 神奈川県がそれを判断するということなんですけれども、今、ブロックの部分を決めるのは生活圏域や医療圏域という御答弁になりましたけれども、まさしく今、小田原市民、特に橘地域の人たちは、医療も生活も案外二宮町に依存している部分の方も多数いるということを、とりあえず指摘だけさせていただきます。

今、二宮町を入れるのは県の判断ということなんですけれども、今五つのブロックに分けているこの2市8町、そこを見ますと、中井町、これは橘地域と隣接、当然小田原市と市と町の境であります。今から数年前、さんざん合併議論を市長ともいたしました。中井町さんについては、合併についても任意合併協議会等の話には大変消極的でもありました。中井町自体が平塚市、秦野市、そういった市との境でもある。小田原市とも境である。こういった地勢的な問題もあるからかもしれませんけれども、合併についての消極的な姿勢。そしてまた、広域化という形になったときに、果たして2市8町という枠の中で本当に進むのかなというのを、隣の市である小田原市の私の気持ちとすればどうしても持ってしまうわけです。この2市8町の広域という形で今は進めていますけれども、この広域化が本当に進むのかな。これは常々疑問を持っているところであります。

そこで、前から(仮称)橘分署の話は地元の方も十分承知している話でもあります。この際、この広域化の動きというものと、地元が大変期待している(仮称)橘分署の建設、これを切り離して考えるべきじゃないかな。このように思うのですけれども、御所見を伺いたいと思います。

◎市長(加藤憲一君) 13番加藤議員からの再度のお尋ねで、地元の皆さんから非常に要請と期待の強い(仮称)橘分署の整備に向けて、広域化の議論と切り離してはどうかという御提案でございました。これにつきましては、今13番加藤議員が御指摘になられたような情勢の客観的な分析で、この後、きちんと2市8町で進むのかどうか、そういう御心配も理解できるところではございます。ただ、この間、中井町さんももちろん消防の広域化の議論の俎上には当然のっていただいておりまして、想定される圏域の中には、中井町に配置されている署所の存在ももちろん視野に入れて現在議論を進めているところでございます。そういったものを踏まえて、また、この議論は期限を切って進めておりますので、いつまでも議論するということでもございませんので、スピード感の中で一定の結論に至っていくというふうに思っておりますので、当面は、この協議、検討を通しまして、本市の安全・安心、特に橘地域の皆さんの安全・安心の確保に向けた議論をしっかり進めてまいりたいというふうに思っておりますので、ぜひ御理解をいただければありがたいと思います。

以上です。

◆13番(加藤仁司君) 確かに、広域化の部分については期限が切られているということであります。ただ、最初の質問でも言いましたように、階級の割合、特に足柄上消防の部分については階級の割合、また人件費の格差、これは本当に大きな問題で、これをどうやって乗り越えるのか、こちらも心配するところです。地元においては、先ほど言いましたように大変強い要望があります。要望書の提出等も今後あるやにも聞いておりますので、ぜひとも前向きに検討いただきたいということを申し上げて、消防の問題については終わります。

最後に、保育園の問題です。橘地域へ保育園を設けてもらえないかというお話でありますが、実は情報として、JR東日本、これが保育園の設置について市の方に打診したということをちょっと聞き及んでいるところなんですが、これは橘地区の保育園設置に関係があるものなのか、また、その内容はどういったもので、その後どうなったのか、これについて伺いたいと思います。

◎福祉健康部長(清水清君) 橘地域の保育園の問題に関連いたしまして、JR東日本が国府津駅前に保育所の設置をするというお話でございますけれども、この関係について3点質問がございました。私の方から答弁させていただきます。

ちょっと順番が変わってしまいますけれども、経過を申し上げますと、JR東日本による国府津駅前保育所につきましては、平成20年12月にJR東日本から本市に、国府津駅前に民間保育所を設置する計画について話がございました。そして、計画内容でございますけれども、JR東日本が所有する国府津駅構内の用地に、JR東日本が保育所を整備し、運営については、経験ある市内の社会福祉法人に依頼したいというものでありました。場所につきましては、国府津駅南側の現在駐車場として利用しているところで、定員は60名程度の認可保育所ということでありました。橘地域への影響でございますけれども、設置された場合には、橘地域に近い場所であることから、利用する人も少なからずあろうというふうに思っております。そういうこともあり、川東地域の待機児童の解消、こういったものに寄与するものというふうに思っております。そして、昨年8月でございますけれども、小田原市保育会の民間部会に対しまして、JR東日本から本計画の概要についての説明がございました。その後の状況でございますけれども、今年度に入りまして、6月に再度JR東日本が私のところにもお見えになりましたし、市保育会の方へも来られました。そして、より具体的な事業内容やスケジュール等の説明がございまして、その際、運営を希望する社会福祉法人があれば7月末までに手を挙げていただきたい旨の投げかけがございましたけれども、保育会の方で手を挙げる法人はなかったというふうに聞いております。その後、JR東日本から市と保育会に対しまして特に話はない状況でございます。

以上でございます。

◆13番(加藤仁司君) 今、部長より答弁をいただきました。設置をされれば、国府津駅は大変近いところでもありますので、利用される人は少なからずいるだろう。これは本当にこの推測どおりだと思います。しかしながら、今年度7月末をもって名乗りといいますか手を挙げる方がいないということで、難しい状況にあるというお答えをいただきました。そこで、下中幼稚園と前羽幼稚園、これについては最初に言いましたように定員以下というか、大幅に少ないわけです。そしてまた、そういったことで空き教室も多少あるということも伺っています。そこで、平成18年10月に施行されました「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」にのっとりました認定こども園という形で橘地区に保育園を設置すること、これはできないものか、それについて伺います。
◎副市長(加部裕彦君) 橘地域の幼稚園を認定こども園にできないかと、こういうお尋ねでございました。認定こども園につきましては、県内の認定こども園の視察なども行いながら、設置につきまして教育委員会とも検討を重ねてきているところでございます。この中で、13番加藤議員御指摘のとおり、橘地域に保育所がないこと、また、公立幼稚園の空き教室の活用の面から、橘地域の公立幼稚園の認定こども園化につきましても、現在検討を行っているところでございます。また一方、国におきましては、本年6月に「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」、これを策定いたしまして、幼稚園と保育所、今申し上げました認定こども園も一体化した「こども園」を創設する制度改正について、平成25年度施行に向けた具体的な検討に入っていると、こういうことでもございます。本市といたしましては、そういった動向も踏まえまして、今後とも大きな関心を持って注視してまいりたいと思っているところでございます。

以上でございます。

◆13番(加藤仁司君) 先ほど虐待のときの質問でも、たしか加部副市長の方から、地域コミュニティについての説明というか御答弁もいただきました。まさしくこれは何度も言うようになりますけれども、この橘地域の中で、先ほどの御答弁で数字をいただきましたけれども、今保育所に通っている107人の子供たちのうち、市外に通っている子が61人、市内は国府津方面等を含めると46人ということで、明らかに市外に通っている子が多いわけです。そういった子供のつながりは、やっぱり子供のつながりの中で親がいろいろ友達ができるということで、どうしても保育園所在のところが中心になっていく。これは自然の形だと思います。そうなってくると、住所は小田原にありながらも、なかなか自分たちが居住しているところについてのコミュニティは希薄になりがちじゃないのかな。そのような感じはどうしてもしてしまうわけです。ですからこの橘地域への保育園の設置、これは重要じゃないのかなと訴えるところでもあります。またさらに、少子高齢と言われております。子供の出生率も低くなっている。しかしながら、こういった小田原の地域に保育所を設けることによって、人口の流入、こういったことも考えられる。そういう要素があるということを指摘しておきます。

ちょうど今回の議案の中で、上府中保育園の児童送迎用駐車場の整備、これが審議されました。橘地域の事情を考えますと、今お話がありましたが、法もいろいろと変わって、認定こども園、こども園、いろいろな形で変わっているところではありますけれども、園児送迎用の駐車場、こういったことがどうしても保育所の中には必要だということを伺っております。今、場所的にも前羽幼稚園のところは国道筋から車を置くこともなかなかできないところでもありますので、ぜひとも下中幼稚園に、保育園もしくは認定こども園、また、国の法律によって別の名称になるかもしれませんけれども、そういったものを設置するということを切に願うわけでもあります。先ほど庁内としての検討はされているということなんですけれども、今まで述べてきた実情等を酌んでいただきながら、いま一つ保育園設置についての前向きな御答弁をぜひ市長にいただきたいなと思います。いかがでしょうか。

◎市長(加藤憲一君) 先ほど13番加藤議員から、虐待やもろもろの問題も絡めて地域コミュニティの充実という話がございました。我々としても非常に重要な課題としてこの間取り組んできているところでございます。少し直接のお答えではない話をさせていただきますけれども、私も就任以来、この保育をめぐる状況、子供の育ちの現場の状況については非常に強い関心を持っておりまして、公立、私立を問わず、保育園の園長先生方とたびたび懇談をしてまいりました。また、現場をお訪ねして直接先生方のお話も聞いておりますが、保育園という場が果たす役割が、働く親御さんのサポートということをはるかに超えて、子供の生育はもちろんですけれども、親御さんのサポート、何といいますか、親御さんの親育てというとちょっと語弊がありますが、そういう部分にまで保育園の先生方が視野を広げてやっていかないと、なかなか健全な子育てというものが成り立っていかないような状況も地域にはあるということで、やはり保育園が果たす役割は地域コミュニティの成立に向けて非常に大きな役割を持ちつつある。これはもちろん幼稚園もそうでありますが、そういうことと認識しており、非常に重要な地域社会の基礎的なインフラであるというふうに考えているところでございます。

また、御指摘のとおり、橘地域につきましては、かねてから古いコミュニティにより地域の結束も強いわけでありますけれども、また、新しい住民の方もふえておりますが、そういう方たちの力が地域の力としてしっかりと結束できているかというと、おっしゃるように地域外へのコミュニティの重心の移動ということもお買い物も含めてあるということで、この辺も地域の方たちのお悩みの種であるということも承知しております。そういったことも踏まえて、13番加藤議員の御質問については受けとめさせていただいております。

今、加部副市長の方からもお話をさせていただいておりますように、これについては認定こども園、また、ここにきて国の方のこども園構想というものも受けて、我々としては庁内で認定こども園の設置については検討を進めてまいりました。この間、当初は、酒匂地域の認定こども園の設置等について検討してきておりますが、このあたりについてはいろいろ課題の整理の検討も一定見えてきているということもありまして、現在では、橘地域の公立幼稚園の認定こども園化について話し合いを大分進めてきているところでございます。これにつきましては、御提案のありました下中幼稚園の認定こども園化ということにつきましては、我々も十分視野に入れて、先ほどお話ししたような国の動向も収集しながら、設置に向けて現在課題となる点を整理して検討を詰めているところでございますので、今後ともまた相談させていただきながら進めてまいりたいと考えております。

以上です。