平成23年3月議会会派「至誠」代表質問

2011年03月01日

 
◆13番(加藤仁司君) 私ども会派、至誠は、4番飯山茂雄議員、3番武松忠議員と私、13番加藤仁司の3名の議員で構成された会派であります。このたびの代表質問の順番が最後ということですので、多少重複はあろうかと思いますが、極力重複を避けて質問してまいりますので、明快な御答弁をお願いいたします。

それでは、通告に従いまして質問してまいります。

まず、平成23年度施政方針並びに予算案における市政運営に当たっての基本方針についての(1)投資的経費等について伺います。

3月定例会初日に演説されました施政方針には、我が国経済は回復傾向にあるとは報じられているものの、日々の暮らしの中で実感には至っていない、そして本市においても依然厳しい財政状況にあるとの認識であります。まさしく平成23年度予算案において、市税のうち法人市民税、固定資産税は、それぞれ前年比約3億9000万円、約1億7000万円の伸びが予測されるものの、個人市民税は約6億6200万円の減と、市税全般では約8200万円の減収が見込まれております。

そのような状況の中、日々の市民生活に欠かすことのできないインフラ整備に係る投資的経費が、歳出の実に56%を超える義務的経費に比べ6.54%と、極めて財政構造の弾力性が乏しいと言わざるを得ません。そこで、この歳出における投資的経費構成比6.54%という数値を市長はどのように思われるのか、まずはじめに伺います。

続いて、平成23年度の道路や施設の維持に係る経費への予算配分についての考え方、今後の対応の考え方を伺います。そして、投資的経費のうち、特に補助事業が減る傾向にありますが、その理由と今後の見通しについて伺います。さらに、扶助費が義務的経費増に拍車をかける中、扶助費の抑制についてのお考えをお尋ねいたします。

次に、(2)組織・機構の変更に伴う職員配置等について伺います。

加藤市長が市長に御就任される前には、一般職職員数は定年及び普通退職者数を大幅に下回る職員の採用により一定の削減を実現してきました。市長御就任後の平成21年以降、一般職職員数については、ほぼ横ばい状況となっております。はじめに、市長の職員削減についての考えをお尋ねいたします。

さらに、加藤市長御就任後の平成21年度には、一般職において退職者よりも多い職員採用となり、平成22年度は採用人数に比べ退職数が若干多い見込みではありますが、大量退職者があるにもかかわらず大量採用をしている理由はなぜなのか、その理由を伺います。

また、今年度まで本市においては、おだわら市民活動サポートセンター、梅香園、いこいの森、小田原こどもの森公園わんぱくらんど等さまざまな施設での指定管理者制度を導入しております。このような指定管理者制度導入を進めている一方で、職員数が減らないのはなぜなのか、その理由についてお尋ねいたします。

さて、4月より本市の組織機構が変更されることが示されたのでありますが、そこで幾つかお尋ねします。

まず、今まで教育委員会は、学校教育部と生涯学習部の2部制となっておりましたが、今回の機構変更で、生涯学習部所管の生涯学習政策及び文化財、スポーツの各課、図書館が新たに創設される「文化部」に、青少年課はやはり新設の「子ども青少年部」にそれぞれ変更されることになり、市長部局が教育委員会の補助執行を行うとされております。去る昨年の総務常任委員会をはじめ、機構の変更についてさまざまな議論がありましたが、一向に見えないのは、法の改正によって生涯学習部門の市長部局への変更は幅広い施策の執行が可能となる利点を中心に論議が進んでおりましたが、現在の学校教育に関する視点からの必要性についての言及が全くないことであります。私は、教育委員会が昨今の学校教育に関する諸問題解決を考えたときに、学校教育に特化する目的もあって組織機構の変更をしたと思っているのですが、そうではないのか、まず1点伺います。

また、この組織機構の改編に伴い、教育委員の構成の変更は考えているのか、さらに、職員の意識向上策についてどのようなお考えをお持ちか、あわせて伺います。

次に、(3)計画的な公共用地取得について伺います。

はじめに、加藤市政となって取得した主な土地の面積、金額、取得目的、取得時期、現況と取得した合計の面積、金額はどのような状況なのか伺います。

市長御就任以来、具体的に申し上げれば、市民会館隣接の用地、橘中学校運動場、今年度補正減額した看護学校予定地の取得等、市や土地開発公社が購入あるいは購入予定とした場所について、果たして綿密な計画にのっとって取得に向けた作業が行われているのか、疑問を持つ事例が見られます。本来、必要な土地取得については、十分な調査と取得計画を立て優先順位をつけての購入を図るべきだと思いますが、用地取得に至るまでの政策決定過程についてお尋ねいたします。

次に、(4)定住人口増加策について伺います。

最近の市長の言動を聞かせていただきますと、施政方針では、さまざまな施策の導入により交流人口の増加を強く訴えられておりますが、以前よりも定住人口をふやしていくと言及される機会が多くなったような気がします。そこで、市長は定住人口増加策としてどのような考えがあるか、はじめに伺います。

また、鴨宮駅南口周辺は、区画整理事業により北口と同じ近隣商業地域であるにもかかわらず、容積率が300%、北口は200%とその土地利用の面で差異が見られます。鴨宮駅北口周辺における用途地域の変更や、従来と変わらない約25%の市街化区域とされている本市の線引き見直しについて、どのような見解をお持ちかお尋ねいたします。

次に、大項目の2、平成23年度重点方針について伺います。

はじめに、(1)小田原地下街再生事業についてですが、まず、議員説明会において示された再生事業案については、各議員からいろいろな意見が交わされたところです。そもそも長年にわたる地下街閉鎖状況を打開したいとの思いは、行政も議会も一緒であります。ただ、今回の再生事業案は、小田原駅・小田原城周辺まちづくり検討委員会における議論がもとであり、果たして今までの経緯や本市が抱えている他の現状認識がされた上で、本小田原地下街再生事業の検討がされているとは到底思えないのであります。地下街に観光客が利用できるスペースを確保するといった新しい取り組みは理解しますが、商業ベースでの活用は、以前の事業と変わりがなく、それが違う職種の進出であったとしても、客が来なければ採算がとれない、撤退する心配もなきにしもあらずといった極めて投機的な形態なのであります。今回は絶対に失敗は許されないのであります。

そこで、この際、市が事業主体となるのであれば、懸案である図書館、展示ホール等の運営を主に、その可能性を検討し、市施設としての活用策を考えるべきではないかと思うのですが、市長の見解を伺います。

次に、(2)小田原の良さを生かした教育について伺います。

施政方針では、「次世代育成につきましては、地域ぐるみで子育てに取り組むスクールコミュニティや小田原の良さを生かした教育などを推進し、未来を担う子どもを育んでまいります」とうたわれております。学校教育においては、本市の偉人である二宮尊徳翁の研究など独自教育に努めてきておりますが、市長の言われる「小田原の良さを生かした教育」とはどのようなものか、具体的に示していただきたいのであります。

次に、大きな項目の3番目、分野別基本方針の「いのちを大切にする小田原」について幾つか伺います。

はじめに、(1)「福祉・医療」における高齢社会の新交通手段等について伺います。

本質問は、数人の議員、そして私が平成19年9月議会、また昨年12月議会でも取り上げておりますが、現在地元において2回の勉強会を開催しておりまして、そこからの意見も参考に伺うものです。

高齢社会から超高齢社会を迎えるに当たり、心配の一つとして挙げられるのは、高齢者世帯が日常、食べ物などの生活必需品購入や医療機関へ通院するための交通手段についてであります。昨今はそのような方々を「買い物難民」と称するようですが、この数年間で法改正により路線バスも採算がとれない地域では減便や廃止が相次いでおり、買い物難民の救済策を講じる必要があります。頼りの路線バスでさえそのような状況となっている現在、全国ではコミュニティバスや乗り合いタクシーと言われる新しい交通政策を講じている自治体も多く、その利用も顕著だと伺っています。

そこで、本市におけるコミュニティバスの導入について、市長はどのように考えているか、また、このようなコミュニティバスの運営に当たっての市の支援策とは、具体的にどのようなものが考えられるかお聞かせください。

続いて、(2)「暮らしと防災・防犯」における市庁舎耐震診断結果並びに浸水対策等について伺います。

先般の総務常任委員会において、第三者機関による正式な耐震診断結果が示されました。1階・2階部分はIs値0.6以下で「地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、または倒壊する危険性がある」ということでした。

そこでお尋ねします。この結果を受けて、現在、市では庁舎の耐震補強をする方向で検討していると理解してよろしいのか伺います。また、市庁舎の建っている地盤は軟弱であるということを聞いたことがありますが、耐震対策をする上では建物の耐震診断だけではなく、敷地の地盤調査もすべきと考えますが、このことについてどのように考えているのか、さらには、耐震改修ではなく、市庁舎の建て替えや移転を考えなければならないこともあると思うのですが、その考えについてお尋ねいたします。

もう一点は、浸水対策についてであります。昨年9月の台風の影響による大雨や集中豪雨は、市内の多くの場所で道路冠水や家屋浸水が発生いたしました。これまで数十年間浸水のなかったところでも、昨年は2回も浸水し、その対策が急がれているところであります。そこで、本市では浸水想定区域を公表しておりますが、このたびの台風により想定区域外で浸水した箇所があったのか、あった場合、その状況はどうであったのか伺います。

さて、昨年の浸水は、河川自体のはんらん、いわゆる外水はんらんと,内水はんらんと言われる、市街地に降った雨水をスムーズに河川に放流できないことで起こったものと把握しております。しかし、内水はんらんの場合、そもそも放出する河川の水位が高くなっていることが大きな原因と考えられることから、その対策が必要と考えます。浸水の短期的対策と長期的対策について市長はどのように考えるのか、御所見を伺います。

次に、(3)「子育て・教育」における2学期制、小学校英語教育、体験学習施策等について伺います。

本市においては、今までの3学期制から、平成16・17年度に実施した6校の研究実践結果を踏まえ、平成18年度より2学期制が実施されております。この2学期制の導入は本議会でも何度か議論されてきましたが、その大きな目的は授業数の確保であったと記憶しています。ところが、小学校においては、平成23年度より施行される新学習指導要領では、従来のいわゆるゆとり教育の見直しから、自主的に授業数をふやす方策となったと伺っていますが、2学期制については今後どのようになるのか、また、夏休みに行われているサマースクールについてはいかがか伺います。

続いて、新学習指導要領の改訂に伴って、授業内容も従来に比べて濃くなるとも伺っています。先日、テレビで、新しい教科書は従来の薄い教科書から相当分厚くなったとの報道もありました。授業時間のこま数の増加を消化するには、従来のように土曜日授業を行うのが得策であると思うのですが、いかがでしょうか。週5日制への移行期に隔週土曜日授業が実施された経緯もあることから、激変緩和措置として隔週土曜日授業の実施は果たして可能か否か、御所見を伺います。

学校教育に関してもう一つお聞きしたいことは、全国学力・学習状況調査についてであります。平成22年度は、文部科学省の無作為抽出校とともに、本市の全校が調査に参加いたしましたが、昨年12月16日に開催されました教育委員会定例会において、平成23年度の全国学力・学習状況調査への参加について「抽出調査への協力は行うが、抽出校以外のすべての学校の希望利用方式への参加は行わない。ただし、学校の独自判断による希望利用が可能な場合にはこれを認める」と伺っています。その理由について伺います。

次に、本年4月からは小学校5・6年生を対象に外国語活動の時間、すなわち英語教育が創設されます。まず、小学校の英語教育必修化について、市長及び教育長の御見解を伺います。また、小学生からの英語教育導入は、何を目的としてどのような効果があるのか、そして、授業を受け持つ教員の対応はどのようになっているのか伺います。

次に、体験学習施策について伺います。平成21年に実施された事業仕分けによって、オーシャンクルーズ事業は、不要1、要改善2、民間2プラス1、このプラス1はコーディネーターの1と伺っていますが、この判定が出され、結果的には民間の手で行うべきとの判定となり、その判定を受けて教育委員会は「廃止」といたしました。平成21年12月議会において、私はオーシャンクルーズ事業廃止の経過及び結果について疑義を唱えたのでありますが、市長は、市内の一つの学年全員が参加できるプログラムではないこと、また、事業費では市の負担とともに参加者の負担も大変大きいこと、人づくりの事業としても十分に役割を果たしてきたこと、さらには、今がこれからの小田原の体験学習及びそれを支える指導者育成の新たな方向へのシフトの時期ととらえたこと等の理由により廃止したいとの判断を示したものであり、今後は、この少年少女オーシャンクルーズが築き上げてきた「人づくり」のすばらしい仕組みという土台の上に、小田原の自然や地域の資産を活用した新たな体験プログラムを検討してまいりたいと答弁しています。

そこで伺います。オーシャンクルーズ事業にかわる体験学習は、平成23年度は行われるのか、また、平成22年度はどうだったのか、さらに、それはオーシャンクルーズで培われたさまざまな利点を持ち合わせる事業なのか、あわせて伺います。

次に、大項目の4、分野別基本方針の「希望と活力あふれる小田原」について伺います。

はじめに、(1)「地域経済」における公設地方卸売市場の将来像と、観光施策としてのバイク駐車場設置等について伺います。

小田原市公設青果地方卸売市場及び小田原市公設水産地方卸売市場は、ともに昭和47年に開設され、既に40年の歳月が経過しています。その間、消費流通の変化等により、従来の競りから相対取引が主流になっているとも聞き及んでおりますが、公設地方卸売市場運営は今後どのようになるのか伺います。さらに、両施設の耐震診断及び耐震補強についての考えについてお尋ねいたします。

続いて、観光施策としてのバイク駐車場設置についてですが、本質問は、昨年6月に、城内臨時駐車場の廃止により自転車・バイク駐車場がなくなることで、その場所の確保を尋ねた経緯があります。既に御用米曲輪整備に取りかかっている今、その移転先についてはどのようになったのかお伺いします。

次に、(2)「歴史・文化」における史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想等について伺います。

本構想を改めて見ますと、平成4年度から平成16年までを短期計画とし、史跡内の不適当施設についても順次移転方策を講じるとしています。しかしながら、平成16年以降、平成21年には馬出門が復元され、現在は御用米曲輪整備が始まっているものの、年次計画すらなく、今後どのような方策をとっていくのかわからない状況であります。整備構想から既に18年が経過しており、少なくとも向こう10年くらいのスパンでの整備計画を立てるべきではないかと思うのですが、市長の御見解を伺います。また、不適当施設とされた遊園地や動物園は、今後どのようになるのか、さらに、文教施設である図書館の移転に対する考えについて伺います。

次に、大項目の5、分野別基本方針の「豊かな生活基盤のある小田原」について伺います。

はじめに、(1)「都市基盤」における水道事業経営と飯泉土地区画整理事業計画の進捗等についてですが、市民生活に直結したインフラ整備の一つである水道事業について、市民に安全で安定した水を供給する水道事業の現在の経営状況はどうなのか、まずお伺いします。また、一昨年、今後10年にわたる水道事業の運営に関する方向性及び施策推進の基本的考えを示した水道ビジョンが策定されておりますが、その進捗状況について伺います。さらに、その計画遂行に伴う事業資金はどのようにされるのか、あわせて伺います。

次に、飯泉土地区画整理事業について伺います。当事業は、昭和59年12月に特定保留区域に指定以来、26年間経過しておりますが、いまだ事業化が実現せず、平成26年ごろまでに事業化しなければ、市街化区域に編入されなくなると見込まれております。本市の人口減少の状況を考えますと、飯泉土地区画整理事業の成否は、市政発展に大きな影響を及ぼす非常に大切な事業であると認識するところであります。市は次回線引き見直しに備えるとのことですが、その現状はどうなのか、また、今後の進め方をお伺いします。

最後に、大項目の6、分野別基本方針の「市民が主役の小田原」について伺います。

はじめに、(1)「市民自治・地域経営」における広域行政の進捗と合併に対する市長の姿勢等についてですが、去る平成22年3月25日に開催された県西地域合併検討会において、市長は今後広域行政に向けて協議会の統合を図ることを言明し、現在、神奈川県西部広域行政協議会を発足させ、協議が進められております。

はじめに、ごみ処理広域化実施計画の策定について伺います。小田原市、足柄下郡の1市3町により、平成18年度に、ごみ処理広域化を目的として、小田原市・足柄下地区ごみ処理広域化協議会が設置されました。一昨年6月にその考え方が示され、住民説明会も行われたわけであります。その概要については省略しますが、本計画の建設費は合計約200億円もの大事業であります。本事業が計画どおりに進めば、焼却灰100%資源化、不燃残渣は可能な限り資源化を行い、残りは埋立処分するということでありますが、その一方で、広域化、集中処理をすることで運搬経費が増大し、熱回収施設付近の道路負荷対策や一時保管等の中継施設の必要性など、新たな経費が発生することが予測されます。これら運搬経費増額分と中継施設建設費、周辺対策費等の新たにかかる経費についてはどのように考えるのか、また、これまでの方式と比べ、効率面、経費面ともに明らかに広域化が有利なのかお尋ねします。さらに、焼却炉の方式についての検討状況はどうなのか、最終処分場について3町の検討状況はどうなっているのかもあわせて伺います。

次に、広域斎場についてですが、先般の議員説明会において、三竹地区の用地取得を断念したと伺いました。事業手法については、PFI手法を導入することが決まっていると聞いておりますが、このたびの事業の見直しとともに、使用料の見通しについてはどのようになるのか伺います。

次に、消防の広域化について伺います。本件については、さきの総務常任委員会で消防広域化検討結果報告書に基づいた報告がありましたが、消防広域化が図られた場合、改めて橘分署計画についてはどうなるのか、また、橘地域と近隣二宮町との協力体制についてはどうなのかお伺いします。

次に、合併に対する市長の姿勢ですが、本年4月の統一地方選挙において、特に南足柄市長選挙では合併を争点にした戦いが繰り広げられるとも聞いております。さきにも述べました平成22年3月25日に開催された県西地域合併検討会において、市長は「本市としては、広域での課題解決に向けた各市町との共同作業において、先頭に立って汗をかく覚悟であるとともに、本市との合併検討を希望する意思表明が一部市町からあった場合には、真摯に受けとめ対応させていただきたいと考えている」と述べられております。仮に南足柄市等からの任意合併協議会の要請があり合併協議が行われることになった場合、本市の総合計画と他市町の総合計画については、どのように整合をとっていかれるのかお尋ねいたしまして、登壇しての質問を終わります。(拍手)

○議長(今村洋一君) 市長、登壇願います。

〔市長(加藤憲一君)登壇〕

◎市長(加藤憲一君) 至誠・13番加藤議員の代表質問に順次お答え申し上げます。

はじめに、投資的経費の構成比についてのお尋ねでございました。平成23年度の予算編成では、歳入においては、市税等の一般財源が前年度に比べ実質的に約9億円の減となる一方、歳出においては、生活保護費等の義務的経費の大幅な増が見込まれるなど、大変厳しい編成作業を強いられております。このような状況の中、投資的経費につきましては、インフラ整備の不備が市民生活へ影響を及ぼさぬように、予算の重点配分に意を注いで編成したところでありますが、その結果、投資的経費の構成比は、予算規模が拡大した関係もあり、6.54%と前年度を若干下回っておりますが、金額では約3000万円、前年度を上回る額を確保したところでございます。

次に、道路や公共施設の維持に係る経費についてのお尋ねでございました。道路や公共施設の維持経費につきましては、厳しい財政状況の中、限られた財源を地域からの補修要望や老朽度等を勘案し、優先度を判断した上で、予算全体でのバランスを考慮しながら予算配分を行っております。また、今後の公共施設等への対応につきましては、昨年度作成いたしました施設白書などに基づきまして、中長期的な観点から対応方策の検討を行い、市民サービス水準の維持・向上が図れるように、計画的に行ってまいりたいと考えております。

次に、補助事業についてのお尋ねでございました。補助事業費減少の主な要因は、打越跨線橋耐震補強事業や史跡小田原城跡用地取得事業等の事業費の減少によるもののほか、国の緊急総合経済対策に伴う3月補正予算への事業費の前倒し計上などによるものでございます。また、今後の補助事業費の見通しでございますけれども、現在、国庫補助金の一括交付金化や県補助金の見直しが行われておりまして、その先行きは不透明で、現時点では確たる見通しを立てることが難しい状況にございます。いずれにいたしましても、国・県の補助金につきましては、今後とも、国・県の動向を把握するとともに、関係機関との連絡を密にしながらその確保に努めてまいりたいと考えております。

次に、扶助費の抑制についてのお尋ねでございました。扶助費は、生活保護費や障害者自立支援給付費などといった市民の日々の生活や命を守るためのセーフティーネットとして重要な役割を担うものであり、必要な予算をしっかりと確保しなければならないものと認識しております。しかしながら、扶助費等の義務的経費の増加は、予算の弾力性を失わせるので、就労支援など自立支援の体制強化による適正な執行に引き続き努め、抑制を図りますとともに、経常収支比率等の財政指標にも注視し、対応してまいりたいと考えております。

次に、本市職員の削減理由と職員削減についての見解についてお尋ねをいただきました。本市は、平成8年度以降に進めてまいりました適正化計画によりまして、400人を超える人員削減を行ってまいりました。本市の職員の適正人数につきましては、県内各市の状況を見ながら設定しております。その結果、平成21年度決算実績における人件費率19.3%は、県下17市で最低水準でございまして、一般職につきましては適正な範囲に入っていると考えております。今後は、分野別に職員数を管理いたしまして、業務の繁閑等に応じ職員数の適正化を図ってまいりたいと考えております。

次に、大量退職者があるにもかかわらず大量採用している理由についてのお尋ねでございました。本市の採用者数は、一般職の適正な職員数として設定した1415人を超えないようにするため、現段階では少なくとも退職者数を上回る採用は考えておりませんが、市民サービスの低下を招かないために、退職者数の範囲内で職員を採用しているものでございます。

次に、指定管理者制度を進めている一方で、職員数が減らない理由についてのお尋ねでございました。指定管理者制度は、民間企業やNPOなどの多様な団体が施設を管理運営することによりまして、施設サービスの向上を図るということを目的として行っているものでございます。これまで指定管理者制度を導入した施設は、いずれもそれまで正規職員が配置されていなかったため、残念ながら職員数の削減には結びついておりません。今後は、正規職員が配置されている施設の場合、指定管理者制度の導入の趣旨に基づきまして、指定管理者に任せる業務量等に相当する数の職員を削減していかなければならないと考えているものでございます。

次に、教育委員会を学校教育に特化した理由は何か、教育委員の構成の変更を考えているのかとのお尋ねでございました。教育委員会や学校現場には、子供の生育や人づくりに関して、本来地域や家庭でやるべきことも含め、さまざまな問題が持ち込まれている状況にあると認識しております。そこで、市長部局が担うべき、または担った方がよいと考えられる役割を市長部局が担当することによりまして、学校現場に過度な負担がかかるのを防ぎますとともに、教育委員会には学校教育に重点的に取り組んでいただき、学校現場が直面しているいじめや不登校、または学力の向上などの課題にしっかりと対応していただけるものと期待しているところでございます。なお、市長の権限となります文化・スポーツに関する事務を除きまして、教育に関する事務の権限は、引き続き教育委員会に残りますため、組織改編後も教育委員の構成を学校教育に特化することは今考えてはおりません。

次に、組織機構の変更に伴う職員の意識向上策についての考え方に関しお尋ねをいただきました。このたびの組織機構の変更に伴い、職制の改革を行ってまいります。部長をサポートする「副部長」、課長をサポートする「副課長」など、市民に対してわかりやすい職名を使用することで、みずからの職を明確に市民に対してアピールすることとなります。また、組織機構の改編により係制がしかれることに伴いまして、チームのリーダーとしての意識を醸成するため、その呼び名を担当主査から係長に改めるものでございます。このほかにも、どの行政分野におきましても相応の対応力を有する「ゼネラリスト」だけではなく、特定の専門分野に豊富な経験と高い専門知識を持つ「スペシャリスト」を設置いたしまして、職員が専門職を選択した場合のキャリアアップイメージを明確にするものでございます。専門的知識が豊富な職員は、組織として頼りになる存在であるだけではなく、市民に対しましても、安心感のある相談、指導ができるため、市民サービスの充実、より高度なサービスの提供につながっていくものと期待しております。

次に、私の就任以降に取得した公共用地についてのお尋ねでございました。本年1月末までに取得しました公共用地の合計は、道路事業等の線的な取得を除きまして、面積で1万8628.41平方メートル、金額で14億3732万2225円となっております。このうち取得した主な土地を挙げますと、まず、土地開発公社が先行取得した三の丸地区環境整備事業用地でございますが、平成20年10月から平成21年8月にかけまして、1162.72平方メートル、金額にして2億4701万9800円で取得し、駐車場として活用を図っております。次に、小田原アリーナ駐車場整備事業用地でございますが、平成20年12月から平成21年3月にかけて、面積にして1万623平方メートル、金額にして3億1321万9155円で取得し、小田原アリーナ駐車場として活用しております。次に、城内地区における史跡小田原城跡用地取得事業でございますが、平成22年2月から平成23年1月に、770.48平方メートル、補償費含め2億1355万8773円で取得し、史跡として保存を進めるなどでございます。

次に、公共用地取得に当たりまして、どのように政策決定されているのかとの御質問でございました。公共事業用地の取得は、必要となる用地を事業計画に基づき取得するよう努めており、政策的な重要度、位置、面積、金額等について用地取得検討委員会及び政策会議で審議を行い、予算編成会議や予算審議等を経て決定しております。なお、将来的な土地利用を考慮し重要と判断される土地で、緊急を要する場合など、特段の事情があるものにつきましては、先行取得等をすることもございますが、その場合においても同様の手順を経て購入することとなりますので、御理解いただきたいと思います。

次に、定住人口の増加策についてのお尋ねでございました。定住人口が増加することにより、地域経済の活性化、また地域コミュニティの強化などさまざまな面で好影響が生まれてくるものでございます。私は、本市が有する豊富で多彩な地域資源を十分活用してさらなる交流人口の拡大を図り、そこから定住人口の増加へとつなげてまいりたいと考えております。そして、新たな総合計画の中でお示しした先導的施策におきましては、それぞれの施策のもとに、小田原地下街の再生、お城通り地区再開発事業の促進、市民ホールの整備といった懸案事業に加えまして、企業誘致の促進や石垣山一夜城におけるグリーン・ツーリズム事業の推進、小田原漁港における交流促進施設の整備など、交流に直結する事業を多数位置づけ、予算化を図ったところでございます。また、無尽蔵プロジェクトにおきましても、「ウォーキングタウン小田原」をはじめといたしまして、「文学のまちづくり」や「ものづくり・デザイン・アート」など既に交流が活発に行われているところであり、こうした取り組みも積極的に推進してまいりたいと考えております。

次に、鴨宮駅北口周辺の容積率の変更についての御質問でございました。容積率は、用途地域の変更といたしまして、神奈川県が定める都市計画案件となっております。県の基準によりますと、近隣商業地域の容積率は原則200%とし、鉄道駅周辺等で基盤整備済み、または整備されることが確実な区域につきましては300%に定めることといたしております。南口周辺では、幅員18メートルの都市計画道路の整備を含め、鴨宮駅南部土地区画整理事業が完了したことを受け、平成元年にそれまでの200%から300%に変更されたものでございます。北口につきましては、今後のまちづくりの動向を見ながら、必要に応じて対応してまいることとなります。

次に、定住人口増加の視点から、線引きの見直しについてお尋ねをいただきました。市街化区域と市街化調整区域を定める線引きは、おおむね5年ごとに神奈川県により見直しが行われております。市街化区域の拡大は、保留区域の位置づけが前提となっておりまして、この保留区域は、過去の人口変動の傾向に基づき、将来人口を推計し、不足する住宅地を補うものとして定められております。平成21年の線引き見直しにおきまして、本市の住居系保留区域は、将来推計人口の減少により飯泉の1地区となったところでございます。今後の保留区域の位置づけや線引き見直しにつきましては、人口の推移に応じて、県とともに対応していくこととなりますので、御理解をお願いいたします。

次に、地下街を全面的に公共施設として活用する考えについてお尋ねをいただきました。小田原駅・小田原城周辺まちづくり検討委員会の提言や、中心市街地関連統計調査分析の調査結果、JR東日本との協議等を踏まえ、先般、「地下街は、地域資源の活用や回遊性の向上を図るなど地域振興・経済再生の拠点施設として再生を図る」との地下街再生の基本方針をお示しいたしました。至誠・13番加藤議員からは、全面的な公共施設としての活用について御提案をいただき、この方策も一つの考え方ではあると認識はしてございますが、今回、新しい地下街には、駅前という立地を生かし、地下街への集客、また駅前周辺ににぎわいをもたらすような商業機能を配置いたしますとともに、小田原の歴史・文化や産業・観光などの情報発信機能を付加し、市内各地域への回遊を促すなど新しい価値を備えた公共空間として再生を図ることと考えているところでございます。

次に、私の言う「小田原の良さを生かした教育」とは具体的にどういうものかとの御質問でございました。「小田原の良さを生かした教育」とは、自然や歴史・文化、産業、地域の人々など、小田原が持つ豊かですばらしい資源を生かした学習を展開していくことでございます。ふるさと小田原のよさを実感させる体験の積み重ねが、未来を担う子供たちの豊かな心の育ち、あるいは学びへとつながっていくものと考えているからでございます。各学校では、幼保・小・中一体教育と地域一体教育の融合を図りまして、その特色を生かした未来へつながる学校づくりを推進しております。具体的には、郷土の偉人である二宮尊徳学習や、農業体験を含む食育、腐葉土づくりや学校ビオトープによる環境教育、学校林を活用したものづくりなどがございます。また、これ以外にも、多彩な地域のなりわいを生かした職業教育や、また今後展開を考えております芸術・文化のアウトリーチ活動、こういったものも大きな意味では「小田原の良さを生かした教育」の中に含まれてくるものと考えております。これらを通しまして、子供たちが郷土を知り、郷土への愛着を深めるとともに、小田原市民であることへの誇りをはぐくんでまいりたいと考えております。

次に、コミュニティバス導入における考え及び市の支援策についてお尋ねをいただきました。コミュニティバスなどの地域交通につきましては、全国的には、高齢者などの移動手段の確保のために行政が主体となり運行しているものや、また、地域の方々などが主体となり運行しているものがございます。しかし、コミュニティバスやデマンドタクシーなどは利用率が低調で、運行を中止したり、運行を継続するための行政負担が過大となるケースが大半でございます。そのことから、本市におきましては、今後も既存バス路線の維持確保に努めますとともに、地域の方々と一緒に実情に即した地域交通のあり方を考え、他市の事例なども参考にしながら、導入や運行などを支援する仕組みについて検討してまいりたいと考えているところでございます。

次に、市庁舎の耐震診断結果を受けた耐震補強の考えについてのお尋ねでございました。平成21年度に実施いたしました市庁舎の耐震診断結果の妥当性の確認のため、第三者機関であります耐震判定委員会に評価を依頼し、本年1月に正式な評定結果を受けたところでございます。この結果によりますと、1階と2階において、地震に強い構造かどうかをあらわす構造耐震指標、いわゆるIs値が0.6を下回っており、耐震補強工事等の耐震対策が必要と指摘されております。この評定結果をもとに、現在、耐震補強の進め方、工法などについて専門家からの意見聴取等を行っておりまして、今後は、工事期間中の執務環境や改修後の機能性、また工期や経済性などを総合的に勘案しながら、市庁舎の耐震補強について検討してまいる予定でございます。

次に、市庁舎敷地の地盤調査についてのお尋ねでございました。市庁舎敷地の地盤調査につきましては、市庁舎の建設当時に実施しておりますが、それ以降実施してはございません。耐震補強における地盤調査の必要性については十分認識しておりまして、今後、専門家からの意見聴取等を踏まえ、実施時期や調査内容などにつきまして、具体的な検討をしてまいりたいと考えております。

次に、市庁舎の建て替え及び移転についてのお尋ねでございました。今回の耐震診断の結果を踏まえますと、耐震補強工事を実施することにより、市庁舎の耐震性能は向上されるものと考えております。また、耐震化や計画的な維持管理などによる長寿命化対策によりまして、既存建物をできるだけ長く使い続けようという考えもございますことから、現時点では、建設費や用地確保等の多くの課題が伴う市庁舎の建て替えや移転については考えてございません。

次に、想定区域外で浸水した箇所の状況等について御質問をいただきました。現在、本市で配布しております洪水ハザードマップは、酒匂川水系、山王川水系の6河川がはんらんした場合の外水はんらんを想定いたしまして、浸水区域や水深の情報を掲載しているものでありまして、用水路や側溝、小規模河川があふれ出す、いわゆる内水はんらんは考慮されてございません。昨年の台風9号では、市内各所で床上床下浸水の被害が合計で304件発生してございますが、その要因はすべて内水はんらんによるものでございました。このため、洪水ハザードマップでは想定区域外となっております地域でも浸水が発生しており、山王網一色、下府中、酒匂・小八幡地区などで35件の被害があったところでございます。洪水ハザードマップの浸水想定が外水はんらんのみを対象としていることにつきましては、市民の方々への説明が不十分な面もありましたため、今後さらなる周知を図っていかねばならないと考えております。また、内水はんらんに対する情報の提供も今後の検討課題であると受けとめております。

次に、内水はんらんによる浸水対策についてのお尋ねでございました。内水はんらんの原因といたしましては、近年の都市化に伴う農地等の減少による保水機能の低下から雨水流出量が増加することや、豪雨時における放流先の河川の増水などの影響によりまして、市街地を流れる河川や排水路の放流が困難な状況となり、道路や宅地への浸水被害を引き起こしていると考えておりまして、昨年の台風9号のときも含め、対応には非常に苦慮しているところでございます。このような状況を踏まえ、短期的な対策といたしましては、過去に溢水した箇所への土のうの配付や、流れの妨げとなる土砂や水草等の除去などを通常の維持管理の中で行っております。また、長期的な対策といたしましては、国や県と調整しながら放流先の河川改修や河床整理を順次実施していただきますとともに、公共下水道雨水渠の整備や開発事業に伴う雨水貯留施設の設置などの流出抑制施設整備、このような総合的な浸水対策を実施してまいりたいと考えております。

至誠・13番加藤議員の代表質問の分野別基本方針の「いのちを大切にする小田原」についてのうち、学校教育に関しましては、後ほど教育長から御答弁申し上げます。

次に、小学校への英語教育の導入についてお尋ねをいただきました。今回の学習指導要領の改訂によりまして、小学校5・6年生に外国語活動が導入され、原則として英語での活動を扱うこととなりました。社会や経済のグローバル化が進展いたしまして、人材育成面での国際競争が加速する現代社会におきましては、異文化との共存や持続可能な発展に向けた国際協力等が、これまで以上に強く求められております。このような中で、自分の意思や情報を伝達する手段として、国際語としての側面を持つ英語の果たす役割は大きくなってきており、学校教育における外国語教育、その一環としての英語教育の充実が国の重要な課題となっております。また、国が策定をいたしました英語が使える日本人の育成のための行動計画の中におきましても、柔軟な適応力がある小学生から英語や異文化に触れ、言語に対する感覚を豊かにし、異文化と共生する態度をはぐくむことが重要であるとされております。こうしたことから、小学校への外国語活動の導入は望ましいと考えております。ここ小田原の地から世界で活躍する人材が育ち、ふるさと小田原のよさを世界に向けて発信してほしいと考えているところでございます。

次に、少年少女オーシャンクルーズにかわる体験学習についての御質問でございました。オーシャンクルーズは昨年度で廃止し、平成22年度は、新たに「地域・世代を超えた体験学習事業」と、指導者養成研修事業であります「おだわら自然楽校」を立ち上げております。オーシャンクルーズのような大がかりなものではなく、地道ではございますが、小田原の持つ豊かな自然や資源、なりわいを活用し、子供たちが自分の力で課題を克服し、たくましく成長していくこと、それを支える担い手を育成していくことを目的とした事業でございます。平成23年度は、本事業をさらに充実させるとともに、小田原の地域資源を生かした体験学習のモデルとして、地域や学校への取り組みにもつなげ、より多くの子供が参加できる機会の拡大と担い手の育成に努めてまいりたいと考えております。

次に、新たな体験学習事業はオーシャンクルーズで培われたさまざまな利点が生かされているのかとの御質問でございました。オーシャンクルーズは、体験学習を通して異なる世代が交流・協力して行う人づくりであり、その積み重ねが成果につながってきたという点が利点であった事業と考えております。新たに取り組んでおります「地域・世代を超えた体験学習事業」及び指導者養成研修事業であります「おだわら自然楽校」におきましては、ともにさまざまな世代が参画しており、この中にはオーシャンクルーズで活躍された実行委員やアドバイザー、またサポーターの方々も多く、世代間の交流も活発に行われております。こうした中で、たくましい子供たちを育てる体験学習や、それを支える新たな担い手の育成に取り組んでおりまして、オーシャンクルーズにより培われた利点は継承され、十分に生かされていると思っております。

次に、公設地方卸売市場の今後の運営についての御質問でございました。水産市場、青果市場ともに県西地域で唯一の市場であり、その供給人口は約56万人に及び、地域住民の食生活を支える拠点としての役割を果たしております。市場を取り巻く環境は年々厳しさを増しておりますが、毎日水揚げされる魚や、地元で生産される野菜等、新鮮な食材を提供できる地域に根づいた市場として継続させていくことが重要であると考えております。

次に、公設地方卸売市場の耐震診断・耐震補強についてのお尋ねでございました。青果市場は昭和47年に完成し築後38年、水産市場は昭和43年に完成し築後42年が経過しております。両施設とも老朽化は進んでいるものの、現時点では運営上特に支障がないことから、修繕等を行いながら引き続き使用している状況にございます。耐震診断及び補強につきましては、小田原市耐震改修促進計画に定める建築物の対象外ではございますが、早い時期に耐震診断を行ってまいりたいと考えております。

次に、城内臨時駐車場廃止後の自転車・バイク駐車場の移転先についてのお尋ねでございました。城内臨時駐車場は本年1月11日をもって廃止されましたが、小田原城址公園を訪れる方々のために、藤棚バス駐車場内に、自転車が約10台、バイクは約20台分の駐車場を用意いたしますとともに、入り口部分には案内看板を設置してございます。

次に、史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想に伴う整備計画の策定についての御質問でございました。史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想は、策定から18年が経過し、この間、施設の移転や史跡整備が進み、構想に位置づけられた短期・長期の計画など、整備のスケジュールを全体的に見直していく必要や、植栽や便益施設などのゾーニングについて検討が必要な段階になっております。史跡小田原城跡調査・整備委員会からも、そろそろ再検討すべき時期との発言も出されており、市としても見直し作業を行う準備を始めてまいりたいと考えております。御指摘の整備計画につきましては、そうした作業の中で検討してまいりたいと考えております。

次に、遊園地、動物園等の観光施設の移転について御質問がございました。遊園地については、駅にも近く、子供連れの市民等に親しまれている施設でございますので、安全面に十分配慮し、当面の間運営を継続してまいりたいと考えております。また、動物園につきましては、ニホンザルのみとなりましたことから、鋭意受け入れ施設を探しておりますが、それまでの間は、引き続き飼育を行っていかなければならないと考えております。

次に、市立図書館の移転についての御質問でございました。市立図書館の移転につきましては、お城通り地区再開発事業用地内の図書館開設に関する陳情が採択されましたことや、他の文教施設との整理統合なども視野に入れながら、市立図書館のみならず、今後の図書館全体のあり方等について検討する必要があると考えております。そのため、まずは図書館長の諮問機関であります図書館協議会に対し、「小田原市図書館施設の今後のあり方について」を諮問し、現在検討していただいているところでございます。

次に、市民に安全で安定した水を供給する水道事業の現在の経営状況についてのお尋ねでございました。長引く経済の低迷や企業の経費削減により、水道料金収入は平成17年度以降、減少傾向にございます。このような中で、平成21年度決算におきましては、給水収益は減少いたしましたものの、経費の削減に努め約8900万円の黒字経営を維持できております。しかしながら、今後も老朽管の更新や施設の耐震化事業など多くの資金需要が見込まれておりまして、健全経営を維持しながら所要の事業を行うには、これらの資金をどう確保していくかが経営課題であると深く受けとめているところでございます。

次に、水道ビジョンの進捗状況と計画の実施に伴う事業資金についてのお尋ねでございました。現在、水道ビジョンに基づき、浄水施設の新設や管路の耐震化などの事業を計画的に推進しているところでございますが、これら水道ビジョンに位置づけられた事業の実施には、多大な事業費が見込まれております。一方、長引く経済の低迷や企業の経費削減によりまして、水道料金収入は年々減少傾向にあり、このままいきますと、近い将来には資金残高がマイナスになり、経営が破綻することとなってまいります。昨年3月の水道料金審議会の答申におきましては、料金改定についてはやむを得ないとのことであり、水道料金収入の動向や決算の状況等を見きわめますとともに、事業経営の一層の合理化、効率化に努めながらも、必要に応じて利用者のさらなる御負担をお願いしたいと考えているところでございます。

次に、飯泉土地区画整理事業の現状と今後の進め方についての御質問でございました。本事業は、本年度のはじめから、保留区域49.4ヘクタール全体を幾つかの区域に分けた段階的な施行を念頭に置きまして、地元準備委員会の方々とともに実現可能な計画案の策定を行ってきております。現在は、事業費の算出等を取りまとめた計画案を策定してございます。この計画案をもとに、平成23年度に入りまして、地権者説明会を行い、その後、先行地区の選定を含めた地権者の方々の意向把握を行っていく予定でございます。いずれにいたしましても、事業化には3分の2以上の地権者の同意が必要なことから、権利者の方々の意向を十分に把握しながら、平成26年ごろまでの事業化に向けて、地元準備委員会と協力して進めてまいることになります。

次に、ごみ処理広域化の経費と広域化が有利なのかについて御質問をいただきました。御指摘の運搬経費や中継施設建設費等、広域化に必要な施設や総事業費につきましては、現在、検討・精査しているところでございます。広域化が有利かどうかにつきましては、平成21年6月に公表した「ごみ処理広域化の考え方」の中で、熱回収施設の経費や二酸化炭素排出量の比較など行っておりますが、広域化全般の効果につきましては、素案の中でお示ししてまいりたいと考えております。

次に、焼却炉の方式についてのお尋ねでございました。ごみ処理広域化におきましては、焼却残渣の資源化を目指す方向でおりまして、これまで、整備する熱回収施設は、焼却炉、灰溶融炉及びガス化溶融炉の3方式を考えておりますが、昨今の厳しい財政状況の中で、既存施設の有効活用といった点もあわせて検討してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、方式の決定につきましては、実施計画を公表した後に行う施設整備計画の段階で、費用対効果、環境負荷の低減、安定性や安全性等を評価いたしまして、当地区に最も適した方式に絞り込んでいく考えでございます。

次に、最終処分場の配置の検討状況について御質問がございました。ごみ処理広域化における施設の配置につきましては、公平性と効率性に配慮するという基本的な考え方によりまして、最終処分場につきましては、3町のいずれかに配置する方向であり、現在も3町の中で御検討いただいているところでございます。

次に、広域斎場の事業の見直しとともに、使用料の見通しについての御質問でございました。現小田原市斎場の火葬室使用料は、市内居住者は無料とし、市外居住者からは大人の場合1件3万8000円を徴収しております。斎場に隣接する南足柄市居住者は3割減の1件2万7000円でございます。これらの額は、現小田原市斎場の建設費や修繕費、燃料費などの維持管理経費を考慮いたしまして、火葬1件当たりの経費をもとに定めております。広域斎場の使用料につきましては、施設用地を選定し事業の見直しを行い、総事業費が確定した後に、先進事例等を参考にしながら慎重に検討してまいる予定でございます。

次に、消防の広域化についてのお尋ねでございました。まずはじめに、消防広域化が図られた場合における(仮称)橘分署の計画についての御質問でございました。現在、消防広域化の検討におきましては、広域化実現当初は、署所の統廃合は行わないことを前提として作業をしております。したがいまして、署所の再配置につきましては、議論はしておらず、(仮称)橘分署につきましては、広域化後の運営状況を見きわめながら、2市8町全域における署所のあるべき姿を検討していく中で、方向性を示していくことになるものと考えております。

次に、消防広域化が図られた場合における橘地域と近隣二宮町との協力体制についての御質問でございました。神奈川県では、県内すべての消防本部との間で、火災その他の災害における消防相互応援協定が締結されております。その協定の中で、各消防本部の管轄区域境における地区が指定されており、その地区で火災が発生した場合には、自動的に相互が出動し対応することとなっておりますほか、指定地区にかかわらず特別応援要請があった場合には、出動し対応することとなっております。したがいまして、広域化が図られた場合におきましても、この協力体制は変わることはございません。

次に、仮に合併協議が行われることになった場合に、本市と南足柄市等の総合計画をどのように整合していくのかとのお尋ねでございました。本市と隣接し、さまざまな分野で一体性を有する南足柄市等の総合計画は、当然のことながら本市の総合計画とも相通じる部分が多いことから、それぞれの整合を図ることは可能であると考えております。なお、仮に任意合併協議会において協議が行われる場合には、一般的に新市基本計画を策定することとなります。また、先行事例では、新設合併か編入合併かにもよりますが、新市発足後に総合計画の見直しなどが行われるものとなっております。

以上をもちまして、至誠・13番加藤議員の代表質問に対する私からの答弁とさせていただきます。

◎教育長(前田輝男君) 至誠・13番加藤議員の代表質問の分野別基本方針の「いのちを大切にする小田原」についてのうち、学校教育に関しましては、私の方から答弁いたします。

はじめに、新学習指導要領の実施により授業時数がふえてくる中、学校2学期制は今後どのようになるのかとの質問がございました。今回の学習指導要領改訂によりまして、小・中学校の総授業時数がそれぞれ増加する中、本市におきましては、学校2学期制を実施していることもありまして、授業時数の確保はできると判断しております。学校2学期制につきましては、現状の2学期制を十分検証しつつ、今後の学期制のあり方を検討するために、現在、学校2学期制検討委員会を開催しておりまして、平成23年12月までに検討委員会の方向性を示していただく予定でございます。

次に、サマースクールについての質問がございました。サマースクールについては、各学校において、ふだん授業では体験できない学習や個々の児童・生徒の実態に応じた補助的な学習などさまざまな取り組みが行われており、今後も各学校の実情に応じて取り組んでいくものと考えております。

次に、隔週の土曜授業の実施についてでございますが、完全学校週5日制の趣旨が、子供に家庭や地域社会の中で社会体験や自然体験を経験させることを通して、みずから学び、みずから考える力や豊かな人間性などの生きる力をはぐくむことでありますことから、その趣旨を尊重し、現時点では実施は考えていないものでございます。

次に、平成23年度の全国学力・学習状況調査への一律の希望参加を取りやめた経緯について質問がございました。一律の希望参加を取りやめた理由につきましては、抽出調査が国から委託された業者による採点であるのに対し、希望参加の調査は各学校の教員による採点でありまして、採点者が異なる状況などから、それらの結果を同じように取り扱うことには無理があること、また、これまでの調査の結果から抽出調査の結果だけでも市としての学力の傾向の把握が十分可能であることから、平成23年度は一律の希望参加を取りやめることとしたものでございます。

次に、小学校への英語教育の導入に対する私の見解と期待される効果、教員への対応について質問がございました。小学校への外国語教育の必要性につきましては、先ほど市長が答弁したとおりでありまして、その導入は好ましいものと考えております。その理由といたしましては、従来、中学校1年生で英語でのあいさつや自己紹介等に触れておりましたが、こうした活動は、むしろ柔軟性があり適応力のある小学校段階での体験が効果的であると考えるからでございます。また、今の子供たちには、他者を理解し、自分を表現するためのコミュニケーション能力の育成が課題となっております。児童は、英語を用いた国際理解やコミュニケーションなどの活動を通して、言葉を介して人とやりとりすることの楽しさや大切さに気づき、人と積極的にかかわる態度や自分とは異なる文化を尊重する態度を身につけるとともに、母国語としての日本語への関心を高めていくものと考えております。教員への対応につきましては、英語の発音や英語特有の表現などの指導場面で担任を支援するため、平成23年度は小学校専任のALTを2名増員し、5名とする計画でございます。また、外国語活動研修会を実施しますとともに、教育委員会といたしましても、小田原市独自のレッスンプランを改編した新たなレッスンプランを平成23年度末には各校に配付する予定でございます。

以上をもちまして、至誠・13番加藤議員の代表質問に対しての答弁とさせていただきます。

◆13番(加藤仁司君) 多岐にわたる質問に御答弁をいただきました。いろいろ再質問をしたいところなんですけれども、特に教育問題についてはやりたかったんですが、ちょっと時間が限られておりますので、再質問を四つほどさせていただきたいと思います。

まず、組織機構についてなんですが、この見直しについては、私も大変期待しておりました。たしか昨年か一昨年に、教育委員会の社会教育、こちらで言えば生涯学習ですね、生涯教育、この幾つかは市長部局で行う方がよいのではないかと質問した経緯もありました。さらに、総合計画審議会、ここに私も委員の一人でいたときに、ある委員からは、生涯学習はもう行政から外していく自治体もあるというような御意見もいただきました。そのような事情から、今起きております、先ほど答弁もありました教員の不祥事、また不登校、いじめ、校内暴力、またモンスターペアレント、給食費の未納とか、さまざまな学校教育を取り巻く問題の解決策として、教育委員会は教育部として、生涯学習関連は市長部局に移したと、そのように思いまして、市長からも教育委員会が学校教育に重点的に取り組むというような答弁をいただいたわけでございます。ただ、市長部局が補助執行という形なんですが、事務の権限は残るというお話がありました。ここら辺のところがよくわからない、ちょっとはっきりしないところなんです。

そこでお尋ねしますけれども、教育委員会の会議、いろいろと開かれておりますが、この協議する内容、これは生涯学習関係も含めている、今の状況ですね、それと変わらないのかどうか、そこをまず1点伺います。

二つ目として、今回の組織改編というのは、先ほど言いましたような諸問題解決の足がかりになるということの機構見直しであるのかないのか、ここは確認として伺いたいと思います。

三つ目として、今さまざま起こっているこのような問題の解決策、これはどのように行われていくのか、この3点をまず伺います。

それから地下街の再生計画なんですけれども、今回、多くの代表質問の中でこの地下街の問題がありました。今回、私が提案した部分については、やわらかく市長から否定されたわけなんですけれども、一つの案です。それは、以前より小田原市が抱えている図書館の移転問題、また、市民ホールの拡張計画、これによって行政の担当も大変ですし、また、特にホールの地権者の方々、今までそんな計画すらなかった土地をいきなり買収したいということで持ってこられた、こういう方々の気持ちを考えたときに、この地下街再生という事業が、もしかしたらこの二つの問題を解決するかもしれない、こういうふうに思ったので提案したわけでございます。現実にそれができるかどうかは実際わかりません。ただ、先ほど申し上げましたように、小田原市立図書館は史跡内の不適当施設だと、これはもう以前から移転の対象になっています。また、小田原市議会は、保健所跡地への移転と、またお城通り地区再開発事業用地内への移転、両方の陳情を採択していることもちょっと妙なところなんですけれども、新たにそういった場所を見つけて建設あるいはテナントとして入るということならば費用が相当かかるということなのですが、これが公共施設として利用可能であれば、そういった費用もかからないで済むのじゃないかなというように思う点が1点ございます。

また、市民ホール、これについては展示ホールをぜひつくってほしいということが前から言われております。展示ホールは必ず市民ホールと一緒につくらなきゃいけないものなのか。実際に市民ホールが整備されたとしても約5年先になる予定です。小田原市の財産と言うべきさまざまな絵画、また書、そういったものをはじめとする作品の数々を、一日も早く市民や多くの方に鑑賞してもらうためには、これが例えば暫定的だとしても、展示場所として確保されれば大変喜ばれるのではないか、このように思うわけでございます。この案は、例えば、行政の手にかかったとしても無理だという答えが当然返ってくるかもしれませんけれど、それはそれでいいと思いますけれど、今、思いのたけを申し上げているところです。

今回のこの件は、代表質問でお隣の14番俵議員をはじめさまざまな方から、終始そういう経済の観点から姿が見えないという御指摘もありました。私は、ちょっと考えるんですけれども、そもそもこれは、平成20年11月から平成21年3月までの2回の分科会を含め6回を数えた小田原駅・小田原城周辺まちづくり検討委員会、ここで基本的には商業施設の再生を基本に置いたことによりまして、あらゆる可能性についての一からの議論を封じてしまった感がある、こういったことを大変私は疑問に思っているところです。JRと本市との関係、これを壊そうというような意図は全くありませんし、やはりさまざまな可能性をいろいろ議論した上でこの結論を出す、でもこの検討委員会の中ではそういう一からの議論ではなかったのじゃないのかな、そのように言わざるを得ないと思っております。既に議論の方は終わっているところではありますけれども、検討委員会の方々の中で、少なくとも市民ホールの拡張問題が生じる前だったとしても、展示ホールの要望というのがあったことは事実ですから、図書館移転や展示ホールを当該施設に入れ込むような提案、こういったものが最初にあるべきじゃなかったのかなと思います。こういったことから、この検討委員会でそういったことが行われなかったと私は思っておりますが、この検討委員会の結果、これが最終的には市の方向という形になったわけなんですけれども、そういった手法は本当に正しい手法だったのか、これは本当に今さらにおいてなんですけれども疑問を呈するんですが、市長の御見解を伺いたいと思います。

三つ目については体験学習についてです。今、「地域・世代を超えた体験学習事業」、また「おだわら自然楽校」、平成22年度に行ったものについては、オーシャンクルーズの成果というものを継承されていると、市長からのお答えがありました。今回改めて、このオーシャンクルーズの廃止に関して、いろいろ議事録を見たんですけれども、昨年は9番奥山議員が、代表質問そして予算特別委員会で相当食い下がっておられました。このオーシャンクルーズのように大勢の子が参加して、非日常の中に置かれて、さまざまな体験ができてという事業は本当にめったにできるものじゃないと思います。やはり、もう不可能なのかなと思うところであります。先ほど答弁があった体験学習事業、これはオーシャンクルーズの代替なのかなと思ったのですけれども、市長は昨年、明確に代替ではないということを答弁されておりました。だからこそ、この代替となるものというのが、今の状況の中で本当に可能かどうか、私は疑問を持つものです。昨年(平成22年)にやったこの体験学習、実質参加者は37名と聞いております。そして指導者が33名。そういった中でやっている。オーシャンクルーズについては、1回につき500人以上の子供たちが参加している。市長は、市内の一つの学年が参加できるプログラムというものを理想としています。オーシャンクルーズはそうじゃないからだめなんだというのを一つの廃止の一因として挙げていますけれども、昨年そして今年、まだ予算特別委員会をやっていませんからわかりませんけれども、果たしてそのオーシャンクルーズの人数を上回るような、そしてまた、市内の一つの学年が参加できるプログラム、こういったものは本当にできるのか。どうしてもこれは言わざるを得ない、そういう気持ちでございます。オーシャンクルーズは、いろんなことがありますけれども、まず第一に、子供や親には本当に魅力的だったのじゃないかなと思います。やっぱり魅力的な事業だったからこそ、これだけの多くの子たちも集まっている。こういったものを市が掲げない限り、それだけの多くの子が一度に体験できるというのは、もう難しいなと思うわけでございます。

また、費用面もありました。確かに1人につき相当な金額を出す。これが全部の家庭がそれだけのお金を払えるか、払えない子もある、そこのところは本当にわかります。恐らく導入されたときに、そういった機会があるなしで議論したと思いますけれども、何とか16年間やってきたというのは、親にしても子供さんにしてもそれなりの理解があったからできたのじゃないかなと思います。費用面については、例えば昨年の体験学習と比べると、子供1人当たり3万5000円程度、オーシャンクルーズも費用面でいうと3万5000円程度、これは、市が拠出している部分で計算すると、そんな感じで、あまり変わらないというように思いました。これは私だけの計算なのかもしれませんけれども。

特に平成22年の体験学習、これはちょっとホームページを見ましたところ、アイスブレイキングゲームとかウォークラリー、こういうのは各青少年育成会でもできる事業だと思います。先日、私の育成会も、何かこの3月でおしまいになってしまうみたいなんですが、清川村の青少年の家に行って研修を行ってきました。ほかの地区との子供同士の出会いを除けば、各青少年育成会単位でも十分できる事業ですし、地域コミュニティというものを標榜される市長ですから、やはり同じ地域の子供が大人と一緒にできる事業、そしてまた指導者育成としても、こういった事業は大きく貢献できる事業だと思うので、これは本当にぜひ推進してもらいたいと思います。

そこで質問しますけれども、今申し述べましたように、オーシャンクルーズの代替事業をこれから探るよりも、再度オーシャンクルーズ事業を、これは事業仕分けの中で示されたように、民間の協力のもとで復活する、こういったことをしてもいいのじゃないかなと思いますけれども、市長の御所見を伺いたいと思います。

再質問の最後、4番目なんですけれども、先般、おだわらTRYプラン、この説明がありましたけれども、総合計画は、おだわらTRYプランは本市のみということで計画したというわけです。しかしながら、先ほどのお話のように、もしも協議が進んで合併していくと新しい総合計画をつくらなければならないということの答弁がありました。もしかしたら、平成23年の間にそういった協議を持ってくる可能性もなきにしもあらずだと思うのです。そういったときには総合計画をまた一から練り直して、そして新しいのをつくらなければならない。そういった作業が本当に煩雑になることは、もう目に見えているわけです。そういった背景があるにもかかわらず、今回この総合計画をこの4月から実施しようということを決めているわけなんです。もうちょっと様子を見た方がよかったのじゃないのかなと、そのように思うのですけれども、市長の御見解を伺います。

◎市長(加藤憲一君) 13番加藤議員から大きく4点再質問をいただきました。私の方から、3点についてはお答えをさせていただきます。

まず、二つ目にお話しになられた地下街の再生の方針に関しての御意見でございます。平成20年度に実施いたしました小田原駅・小田原城周辺まちづくり検討委員会の答申が下敷きになって、今回の再生に向けた考えが動いているようだけれども、それで本当にいいのかという問題提起でございました。これにつきましては、実際にこの検討委員会の中で、相当いろんな視点からの提案がなされておりまして、当然特定の結論に導くことを前提に議論はもちろん誘導されておりませんし、それぞれのいろんな立場からのいろんな意見が出されて、こんな考えもあるのかというようなことも含めて出されていたことは、13番加藤議員も御承知をされていると思います。そういう中で、ほかの再開発事業、またホールその他、小田原駅・小田原城周辺のさまざまな特性、またその長所、これをどうやって生かすかということを総合的に評価した中で、検討委員会としては地下街について御承知のような方針として取りまとめをしていただいた経緯がございます。ですから、私としては、この方針が偏ったもの、あるいは特定の可能性に道を封じてしまったということでは決してなく、今の本市の状況をトータルに見た上で決められてきたものということで受けとめておりますし、そのほかの案件についての方針についても同じように考え、それを生かして、この間、まちづくりの課題解決に向けた取り組みを進めてきております。そういうことで、これにつきましては総合的に考えられた上での方針だったということで進めておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。

大きな二つ目としては、オーシャンクルーズ事業のさまざまな意義をもう一度確認された上で、今後に向けての御提言というか御意見をいただきました。オーシャンクルーズを、16回続いたこの事業をやめるに当たっての議論は、その当時も13番加藤議員といろいろさせていただきました。幾つか明確に理由を述べた上で判断させていただいたわけでありますけれども、私自身は、くれぐれも誤解のないように、オーシャンクルーズの事業の価値をもちろん否定しているわけではなくて、十分な予算があって、またそれに対応できる職員の余力もあり、またそれに参加できる子供たちや御家庭の参加の余力、こういったものがあった上で、これはこれで当然ほかではできない事業でございますので、すばらしい事業だというふうに思います。ただ、本市が御承知のように財源が減り、また一方で課題はふえ、それにかかわる職員のいろんな意味での繁忙さが度を増しているという中で、そうは言っても、本市の未来にとって最も大事な子供たちの育成に、どこにどうやって資源の投下をするのか、これはもう完全にある意味トレードオフの議論になってくるわけでありまして、同じ学年全員が参加できる事業でないというものについては、やはり厳しく考えていかなければならない。だれもが参加できる、あるいは体験できるものを市としては提供していく方向で考えていくべきだろう。また、そこで体験できる体験の質につきましても、先の難しい時代を見越して、いろんな意味でいろんな能力を子供たちに身につけてほしい、そういういろんな要請を踏まえて、そういった方向にかじを切って、なかなか難しいけれども、新しいプログラムをつくっていこうということで、方針を変えたわけでございます。そういった中で、それに向けて、13番加藤議員御指摘のとおり、確かに平成22年度の事業に参加した人数は、児童あるいは大人の皆さん方の人数も少ないわけでございますが、これはあくまでこの先、おっしゃるように地域の皆さんが支え手になって参加する形、あるいは学校で実施されているいろんな体験学習プログラムへの連動、こういったものを視野に入れて、そのひな形になる形として平成22年度は取り組んだわけでございます。平成23年度以降も、一年でも早く、より多くの地域、学校に展開できることを視野に入れて、学校また教育者の方たちとも連携しながら、このプログラムは育てていきたいというように思っておりますので、今のところ、市といたしましては、オーシャンクルーズを市の力で復活できる状況ではない、また、そういう方針ではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。ただ、民間の皆さんが仮に、これは全く仮定の話ですが、そういうお申し出があって、主体的に民間の皆さんがそういうことをやるということについては、もちろん我々としては否定するものではございません。

もう一点、総合計画の策定の時期についてでございます。これは全く仮定の話でございますので、仮定の話ということでお聞きいただきたいんですが、仮に4月の統一地方選挙の後、合併協議の申し出があったとして、その後、新市が発足できるまでの期間、これはどんなに急いでやったとしても3年程度は要するわけでございます。当然、そこに総合計画を、置くべきものを置かないとなれば、そこに空白が生じるということで、これはあってはならないことでありますということが、まず1点。また、仮に今後合併に向けた協議を進めていくにしても、本市として、この本市のいろんな状況、課題解決、可能性を生かす方針をどういうふうに考えていくのか、本市としての新しい時代を見据えたまちづくりの指針を明確に持っていなければ、その合併の協議には当然応じていけない、また、個別の職員も個々の細かい議論に対応できないことになります。そういうことももちろん含めて、この総合計画の切り替えの時期において、いつになるかわからないことを見越して総合計画をつくらない、こういう選択肢はちょっとあり得ないというふうに考えておりまして、それ以前のところで、新しい時代を見据えた計画は当然に必要であるということで、今回策定させていただきました。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

私からは以上です。

◎学校教育部長(川久保孝君) 13番加藤議員から、組織機構に関して学校教育のことについてお尋ねがございました。これについて、私の方から御答弁をさせていただきます。

教育委員会で扱われる協議内容は、従来と変わらないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、昨年の12月定例会でお認めいただきました小田原市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例によりまして、文化財保護を除く文化及び学校体育を除くスポーツに関する事務については、その事務権限が教育委員会から市長へ移ることとなりました。そこで、教育委員会の会議で扱われる案件は、その分は減少することになります。ただ一方、市長部局の職員が補助執行をすることになります事務につきましては、権限そのものは教育委員会に残りますため、従来どおり教育委員会での審議を行っていく必要がありますので、この部分については従来と変わりがございません。したがいまして、文化・スポーツに係る部分について若干少なくなるということでございます。

それから学校教育の問題を解決するための足がかりとしての組織機構の見直しではないのかというお尋ねでございますが、これにつきましては、先ほど市長が御答弁申し上げましたように、教育委員会、学校現場では、子供の生育や人間づくりに関しまして、本来地域や家庭でやるべきことを含めまして、さまざまな問題が持ち込まれております。これらを解決して、また学校が取り組むためにも、市長部局が担った方がよいものにつきましては、市長部局が担当することによりまして、学校現場に過度な負担がかかることを防ぎまして、教育委員会が学校教育を重点的に取り組み、学校現場が直面しておりますいじめや不登校、学力の向上などにしっかりと取り組めるように目指しているものでございます。また、これらにつきましては、従来から、教育委員会をはじめ、学校の現場また幼稚園等、きめ細かく実態把握に努めるように心がけておりますが、引き続き、教職員はもとより、さまざまな地域の方などのお力もおかりしながら、これまで以上にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

以上でございます。

◆13番(加藤仁司君) 再質問に対してのお答えをいただきました。これもまた一つ一つでは時間がありませんので、総括でもないんですけれども、もう一つだけ質問させてもらいたいと思います。

市長から、やはり財源も減っているということで、それは行政にしてみれば本当に大変なことです。ちょっと一つ、私は勝手な思いを述べるわけなんですけれども、これは本来国全体の問題かもしれないんですけれども、例えば、保育園の待機児童の問題、そしてまた、保育所への要求の増大、また、そもそも介護保険は、高齢者介護によって生活に負担を感じている介護家族の負担軽減策、こういった要素の中で導入したというふうに思ってはいるんですが、今、介護施設を増設する、そしてまた、先般の質疑、答弁の中で、現在592名の特養ホームの待機者もいる、そういったことの軽減に今追われているというわけであります。私は、いっときともお母さんから離れたくない、こういう乳幼児、そして、我が国を長年にわたって支え続けた、家族を養ってきた高齢者を、家族から引き離していくことを平気でするのか、これが不思議でならないわけです。また今、核家族化に象徴されますように、昔は、次男とか三男、こういう方は実家を出て核家族となることはあったにしても、今は、少子化であるにもかかわらず、長男家族ですら親と同居している家庭も別居している家庭も数多くあります。これは家庭の事情ですからとやかく言うわけではありませんけれども、一定の所得のある家庭、すなわち子供と同居している高齢者、この方々には行政も世間もあまり関心を持ってくれない。老老世帯と言われる高齢者だけの世帯、また、ひとり暮らしの高齢者の方々、これは弱者として本当に厚い保護、そしてまた、関心を寄せる傾向があるように映るんですけれども、それは間違いでしょうか。お年寄りになればなるほど人とかかわりたい、そういう気持ちが強いのではないかと思います。そしてまた、家族といたい、こういった気持ちも強く持っていると思います。大家族という一世代前には当たり前であった家族形態、これが核家族へ変化していけば、働くお母さんも当然子供の預け先を探すでしょう。でも大家族の中であれば、おじいちゃんやおばあちゃんに子供を託すこともできる。そして、たとえお嫁さんと仲が悪くても、老老介護のとき、時として介護の必要なおじいちゃんを残して買い物や息抜きに行きたいときには、家族に少しの間でも任せるといったことも可能になると思います。今は他人が、また社会が、子育てや高齢者に対して、仕事として賄うようになってきているのが今の福祉の姿ではないのかなと思うわけでもございます。私はそれでよいとは思っていません。毎年膨れる福祉関係費の削減。この家族制度にメスを入れない限り、超少子高齢社会のもとで財政を圧迫し続けるに違いないと思います。

質問に入りますが、これらの解決を我が国が行っていけば、もちろんよいのですが、本市が独自で大家族化ということをビジョンとして掲げて、それを実現した世帯には、例えば住民税の減税を行うとか、ちょっと名古屋市ばりの大なたを振るう。こういったことをしていけば、特に福祉関係費、またその他の予算の減額、こういったところにもつながると思うのですけれども、そのようなことは可能なのかどうか、まずはそのような減免施策というのが可能かどうかを伺います。

◎市税担当部長(中村悟君) 至誠・13番加藤議員から、市が独自ビジョンを掲げ、その施策にこたえた世帯に対しての市民税を減税することはできないのかというような御質問がございました。これについて、私からお答えさせていただきます。

市民税の減税につきましては、災害で被災した方や生活保護を受けている方など、特別な事情がある場合において、地方税法及び市税条例等の規定により減額または免除を行っているところでございます。その趣旨といたしまして、納税することが困難であると思われるような担税力がない方につきまして、その事情に即しまして減税、免除を行うために規定されていると解されております。したがいまして、税の公平性から見ますと、御提案の件等につきましては、減税することができないものと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

◆13番(加藤仁司君) 今の答弁はわかりました。

市長は、郷土の偉人であります二宮尊徳翁にも非常に造詣が深いから、わざわざ言うことではないんですが、「父母の根元は天地令命にあり」、これから始まる報徳訓、これを前は全部読んだことがありますけれど、きょうは読みません。簡単に申し上げるならば、人間は自分一人だけで生きているのではなく、天地自然があり、親があり、先祖がある。そして、親や先祖の行いによって自分の境遇が決まってくるし、自分の行いが子孫の富貴を決める。人間にとって衣食住は大事だが、これは経済にかかっている。経済は勤労によって成り立っている。今年は昨年の、来年は今年の頑張りが反映されるんだ。要約すればそんな感じになるのかなと思います。家族ということの連続性、そして人生の自然な姿を見事に説いていると思います。日々政務をこなされている市長は、大変お忙しいと思いますけれども、市を構成する最小限の単位でありますこの家族、家庭の仕組みが今のままで本当にいいのか、一度考えていただければありがたいと思います。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)私もこの気持ちを持って、予算特別委員会に臨んでいきたいと思いますので、以上を述べまして質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。