平成28年3月議会会派「誠風」代表質問

2016年03月01日

◆26番(加藤仁司君) 通告に従い、会派誠風を代表して質問をいたします。

市長は平成20年5月の初当選以来、2期8年にわたり、本市のかじ取りを担ってまいりました。そして、本年、改選期を迎えられるわけですが、このたび打ち出された平成28年度施政方針における市長のお考えについて、順次伺ってまいります。

初めに、大項目1、平成28年度施政方針における県西地域将来都市像についての(1)財政運営について伺います。

平成28年度一般会計予算における歳出に係る性質別予算では、平成27年度が構成比10.44%であった投資的経費割合が平成28年度では構成比9.23%と減少しております。このことは、芸術文化創造センター整備事業のスケジュール変更や市庁舎耐震改修事業の完了等がその一因との説明がありましたが、それらを除くと投資的経費割合はそれほど減少していないと見てよろしいのかお尋ねいたします。

また、市長は平成28年度予算提案理由説明において、各事業に対して優先順位をつけていくと言及していたと思いますが、市民生活に直結しているインフラ維持管理費は、優先順位としてどのくらいの位置としているのかお伺いします。

さて、本市は、行財政改革の一環として設置された小田原市補助金等検討委員会から、平成17年9月には「補助金等の見直しに関する答申」が、翌年の平成18年11月には「補助金のあり方に関する答申」が出され、補助金制度の見直しを行ったと記憶しております。あれから10年の歳月が経過し、人口減少及び少子高齢化によって就労人口とのアンバランスが今以上に顕著になる近い将来において、今まで当たり前のように拠出していた補助金等の歳出について、継続すべきか否かを見直す時期ではないでしょうか。そこで、補助金見直し検討について市長の御見解を伺います。

次に、(2)行政広域化について伺います。

初めに、斎場計画について伺います。2月の議員説明会で資料として配付された、平成25年度の「県西地域におけるこれからの自治体のあり方に係る共同研究」及び平成26年度の「県西地域における中心市のあり方研究報告書」の中でも示されているとおり、どの自治体も厳しい財政の中での行政運営を強いられているところです。このような状況のもとでの新たな施設整備に対して、各自治体負担、住民への使用料負担が発生するに当たり、そこには十分な説明と協議による合意、双方の信頼関係の構築は絶対条件であるわけですが、行政といえども事業撤退の可能性は決してゼロではないはずです。私は再三にわたりその心配について行政にただしてきましたが、この際、市長は斎場計画について当初の予定どおり2市5町による斎場整備は行えるものと断言されるのかお尋ねいたします。

また、ごみ処理広域化の枠内で焼却場整備も今後進めていく事業でありますが、この事業も当初計画どおり1市3町での複数自治体により協議し、それぞれ整備運営されるつもりなのか、改めて確認させていただきます。

さて、この広域行政については、平成22年4月より、神奈川県西部広域行政協議会の中において特定課題検討部会として、消防、地域医療、地域防災、酒匂川流域問題の4部会においてさまざまな協議がされたと認識しています。その中で、消防については既に広域化が図られ現在に至っていますが、地域医療に関してその方向性が示されているのか不明であります。本市では、現在、老朽化によりその建てかえについて議会でも幾度となく取り上げられている市立病院が存在します。この市立病院の建てかえに合わせて経営形態を検討すべきと思いますが、市長の考えを伺うとともに、県西地域の基幹病院として救命救急センターとあわせて運営されている市立病院の建てかえを機会に、行政の広域化施策と結びつけていかれるのか伺います。

(3)合併について伺います。

既に、午前中の公明党代表質問において、当問題は幾つか挙げられたので、1点だけ伺います。

市長は、平成20年6月議会において、合併に関する市長の考えについて問いただした際、直面する内政課題の解決が合併への推進の前提となると答弁されております。続いて、平成22年における同様の質問においても、合併と広域化は対極ではなく、広域行政を行っていく上でその延長線上に合併が存在するとし、本市の懸案諸課題が解決したとは思っていないが、合併という手段が県西地域一体化による総合力を発揮することの必要性について答弁されております。そこで、今後、本年秋までに合併の可能性についての協議機関を設置する方向であるようですが、果たして、前提である直面する内政課題については解決に至っていないと私は見るのですが、市長の御見解を伺います。

(4)おだわらTRYプランについて伺います。

平成23年に策定されたおだわらTRYプランの前期基本計画が、平成28年度で終了年度を迎えるとのことですが、まず、その進捗はどうであるのか、また、積み残した課題はあるのか伺います。

また、平成29年度には後期基本計画がスタートすることで、平成28年度中に後期基本計画の策定作業に入ると思うのですが、あと6年間の計画が、合併の進行いかんではその計画の前提も変わってしまうわけであります。おだわらTRYプラン策定時も、合併の可能性が取りざたされている最中でありました。その際も、行政規模、人口、組織などの変化が生じる可能性がある中での計画ができるのかただしたと記憶していますが、後期基本計画に向けての考えを伺いたく存じます。

次に、大項目の2、まち・ひと・しごと創生総合戦略推進策についての(1)人口減少が続く現状について伺います。

さきにも触れましたとおり、人口減少社会は納税額にも多大な影響を与えるものと推察するものです。それは、就業人口がある一定規模で増加をしているならともかく、少子高齢化という現実は、これからも福祉関係予算が大きく膨らんでいくことは自明の理であると思われ、現在の行政サービスの継続が困難となる状況も生じるのではないかと危惧するところでありますが、人口減少がもたらす弊害を市長は改めてどのように感じているか、所見を伺います。

次に、(2)安定雇用創出について伺います。

安定雇用を求める声は、本市だけではなく、全国的な問題として認識しているところです。毎週日曜に配達される求人広告は、決して少なくないものの、その業種は限られ、一時雇用、正社員よりも契約社員募集が目につくことから、就業者の安定雇用についてはなかなか図られていない現状を目にすることができ、総合戦略において安定雇用の進展を望むものであります。

さて、言うまでもなく、株式会社ジーエス・ユアサ・コーポレーションの工場撤退後にはアマゾン小田原フルフィルメントセンターが稼働されたものの、日本たばこ産業跡地へのイオンタウン計画の行方も気がかりでありますし、今年の秋には、株式会社日立情報通信マニュファクチャリングの統廃合により小田原分工場も撤退すると伺っています。市では従来よりさまざまな企業誘致対策を講じているところであり、誘致が雇用増大につながることは十分理解するものでありますが、さらなる企業誘致策についての考えについて伺います。

次に、(3)魅力あるまちの創出について伺います。

市長はかねてよりアメリカのポートランドについての魅力をよく論じておりました。確かに、ポートランドは全米でも毎日企業家を初めとする若者流入が盛んなまちで、そこにはやはり魅力あるまちだからこそのヒントがあるのではないかと推察します。そこで、市長はポートランドを理想とするようなまちを目指していきたいのか、まずお考えを伺います。そして、そのまちと小田原を比較して何が足りないのか、何をなすべきか、お考えがあればお伝えください。

また、魅力あるまちの創出を図る上で、国内はもちろん海外に対して本市の魅力を発信する施策として都市セールスは非常に重要な要素であります。昨年、15番神戸議員も取り上げられましたが、現在、国では地域経済分析システム(RESAS)を提示し、各自治体による活用を支援しているところですが、この膨大なデータを利用し、実際に施策にどう結びつけられるかが、これからの観光を初めとする各施策にも大いに役立つと考えます。そこで、関係省庁あるいは民間等から専門的な知識を有する人材の派遣を受け、総合戦略のスタッフとして登用することについての考えはないのでしょうかお尋ねいたします。

次に、(4)子育て環境施策について伺います。

平成28年度予算では、小児医療費助成事業の対象年齢を中学校3年生まで拡大するとされております。子育て家庭の経済的負担軽減策として各自治体が競って対象年齢枠拡大を図る中、当然十分な財源を確保した上での実施であると思いますが、そこで、その財源はどのようにして生み出されたのか伺います。

さて、今、小児医療費助成事業は子育て家庭の経済的負担軽減策と申し上げましたが、以前質問で、当事業は少子化対策の一つであり、出生率も多少上がっているとの答弁をいただきました。確かに子育て家庭において経済的負担軽減策はありがたいものであり、出生率増加にも多少かかわりはあるかもしれませんが、私はさらなる出生率増加に導く策だとは思っていません。そもそも昨今において、高齢出産とは言わないまでも、初産年齢が上がっているとも聞く中、第二子、第三子出産を望まない、望めない家庭もあり、特に医療費助成をしても出生率増加にはつながらないと考えます。私が以前提案したように、第二子や第三子に対する支援策を充実させたほうが結果的に出生率増加に役立つと思うのですが、見解を伺います。

次に、認定こども園化の取り組みについて伺います。この問題も、幼保一元化の流れの中で議論してきた経緯があります。初めに、平成28年度において認定こども園化する施設はあるのか伺います。

従来の幼稚園を認定こども園とするには、保育機能を取り入れるため多大な改修整備や相当な管理費もかかるようですが、それは乳児と幼児との混在となると大変なことはよく理解できます。しかしながら、乳児及び3歳未満の幼児は従来の保育園がその機能を担い、3歳以上の幼児に限定して幼保一元を図ることになれば、設備面、運営面ともにそのハードルは少しは下がると思います。そこで、3歳以上の幼児に限定した保育と教育の一体化をまず進めることで、認定こども園化へと移行すべきと考えますが、御見解を伺います。

さて、子育て環境施策に関連しての最後として、子ども会について伺います。近年、子ども会組織を解消した、あるいはするという声をよく聞くようになりました。地域コミュニティを推進する市長とすれば、これからの地域の担い手でもある子供と地域とのつながり、きずなを一層深めていこうと思っていらっしゃると思いますが、子供が小学校6年生になったら子ども会役員になるのは嫌だから子ども会を抜けたとか、親の都合で子ども会から脱退したという話を聞くたびに驚きを感じております。本市全体がこのような状況かは聞いておりませんが、市長はその現実をどのように把握し、またその対策についてのお考えを伺います。

次に、(5)住み続けたくなるまちづくりについて伺います。

総合戦略における具体的な住み続けたくまちづくり施策は幾つかうたわれており、現在、本市では空き家対策事業の推進を掲げ、対策協議会を設置して空き家の実態調査、宅建事業者との情報交換などを行うことで、需要と供給の調整が図られ、そのことが防犯や防災上にも大きく寄与するものと期待されるところであります。ただ、まちづくりの観点の前に、まず現状の市民の住居環境を改善する必要があると思われます。その一つとして、現在市が運営している市営住宅について伺います。

既に長年にわたって市民の住居施策として展開されてきた市営住宅ですが、この高齢社会の中で、建物の老朽化や高齢者と若い世代との入居の共存、建てかえやリノベーション等の課題があります。そのような中、神奈川県宅地建物取引業協会小田原支部青年部から、市営住宅の運営を含めた公共施設等の有効利用の提言を受けていると伺っています。今後の市営住宅運営には、豊富な専門知識や民間ノウハウを有する事業者とともに十分な協議をすべきと考えますが、市長の御見解を伺います。

次に、大項目の3、競輪事業の今後について伺います。

(1)国際自転車トラック競技支援競輪についてですが、施政方針では、事業収益を確保するために記念競輪と同等の国際自転車トラック競技支援競輪を開催するとありますが、聞きなれないその支援競輪とはどのようなものか示していただきたい。さらに、この支援競輪は恒久的なものなのかもあわせて伺います。

次に、(2)競輪事業廃止計画について伺います。

市長は、初当選時のマニフェストでは競輪事業の廃止をうたっていたと記憶しております。2期目にはその年に本市が全国競輪議長会会長職を務めた年であることから、その公約は一時棚上げされたと推察しますが、今回の施政方針においては、競輪事業についてかなり積極的に取り組む姿勢であると感じられます。そこで、平成20年2月に報告された小田原市競輪事業検討委員会の結果を踏まえ、現状の競輪事業について今後どのようにされようとしているのか、さらに、今後も、入場者、売り上げともに先細りとなっている競輪事業の存廃についての考えを伺います。

次に、大項目の4、観光拠点である小田原城址について伺います。

(1)史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想と基本計画策定についてですが、史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想の見直し、あるいは基本計画すなわち整備計画策定の必要性については、本会議においても再三にわたり議論してまいりました。このたび住吉橋の保存修理事業費が平成28年度からの2年間継続事業として計上されておりますが、それは、今までの議論の過程において俎上に上げられた経緯も記憶にないものであります。小田原城址については、御用米曲輪整備に係る発掘調査で戦国期の遺構が発見され、当初計画の見直しが図られるなど、性格上想像を超える事態が起こり得る可能性もありますが、城跡整備についてその優先順位や計画性がないように思えます。そこで、城跡整備はどのような優先順位をもって行われているのか、また、今後の整備はどうするのか、構想の見直し時期、内容とあわせて伺います。

次に、(2)新たな魅力づくりについて伺います。

昨今の歴史ブームは比較的長期にわたっていることもあり、天守閣入館者も10年前に比べて現在では10万人以上増加しており、平成26年度には年間50万人を突破したと伺っています。ただ、私たちが幼いころには動物園、遊園地も充実しており、一日を子供たちが十分楽しめる場としてにぎわっていた時期もありました。近年は動物園は猿舎だけ、遊園地もメリーカップ、バッテリーカー、豆汽車程度となり、寂しいことに子供が好んで来るような状況ではなくなりました。しかしながら、観光協会の努力もあって、忍者の里「風魔まつり」の開催など二の丸広場でのイベントも開催し、にぎわいを取り戻している感もあります。

さて、この4月末にはいよいよ耐震補強工事を終えて、5月1日に小田原城がリニューアルオープンされます。そこで、お城を含め、来訪者を引きつける魅力を持った城址公園として、これからどのような魅力を提供していきたいのか、お考えを伺います。

次に、(3)石垣山一夜城整備についてです。

本市は言うまでもなく、一つの自治体に二つの城が、それも双方の武将が対峙した歴史を持つ城を有した、まさに希有な場所でもあります。歴史に興味のある方々はそれぞれの地に立って、はるか昔の武将に思いをはせているであろうと推察するところですが、実際、一夜城跡から小田原城を望み、時の秀吉を初めとする北条征伐軍の気持ちに同化する気分も味わえる場所において、一夜城が復元されたらと思うと、わくわくするのは私だけではないと思います。現在、石垣山一夜城址は国指定史跡であり、復元整備は古文書にも残されていない中で文化庁の許可はおりないと伺っておりますが、この際、新たな小田原の魅力発信のために、史跡指定を外して独自の天守をつくるような考えについて、市長の御所見を伺います。

最後に、大項目の5、本市の教育行政について伺います。

(1)平成27年度全国学力・学習状況調査結果に対する本市の対応についてですが、昨年実施した全国学力・学習状況調査結果は、本市小・中学校において全教科が国平均及び県平均を下回る結果でありました。まず、この結果について教育長の見解を伺います。

次に、この結果を受けて、教育委員会ではさまざまな検証をされたと思いますが、これからの本市の教育について教員への指導はされたのか、また、児童・生徒に対しては今後どのような学力向上策をとっていく予定なのか伺います。

さて、平成28年度施政方針では、個に応じたきめ細かい学習指導や体力・運動能力向上の取り組みを充実させるとのことで、新規事業として体力・運動能力向上推進事業を展開されるようですが、「社会を生き抜く力」の養成は、まず学力向上を目指すことが大事だと思いますが、なぜ体力・運動能力向上を優先しているのか、御見解を伺います。

最後に、(2)3学期制の考えについて伺います。

本議会においても何人かの議員も再三にわたり、市内全公立小・中学校が実施している2学期制を従来の3学期制に戻すべきであるとの議論を重ねてきましたが、一向に実施されておりません。神奈川県において、昨年から大和市の全公立小・中学校が3学期制に戻したと伺っていますが、その経過、結果、そして効果等について情報収集はされているのか、まず伺います。そして、3学期制には戻せない具体的根拠は何なのか、改めて伺い、登壇しての質問を終わります。(拍手)

○議長(武松忠君) 市長、登壇願います。

〔市長(加藤憲一君)登壇〕

◎市長(加藤憲一君) 誠風・26番加藤議員の代表質問に順次お答えをいたします。

初めに、投資的経費の構成比についての御質問でございました。扶助費や社会保障関係の特別会計への繰出金の増加等によりまして、平成28年度の一般会計当初予算の規模が拡大しておりますため、割合での比較が難しいところでございますが、大規模事業の進捗や国の補正予算等に呼応した平成27年度予算への前倒し計上によります事業費の変動要因を除きますと、投資的経費は平成27年度当初予算を上回る規模となっております。

次に、予算編成におけるインフラ維持管理の費用の位置づけについてでございます。本市の財政状況は、景気の回復基調を受けまして、市税収入等の増収は期待されておりますものの、扶助費や他会計への繰出金・補助金等の増加が見込まれ、ますます厳しさが増しております。こうした中におきましても、予算編成に当たりましては、セーフティネットとしての扶助費等の確保に加えて、インフラの維持管理を含め、市民生活の基盤に係る所要の経費につきまして、一定の事業費の確保を念頭に置きまして編成に当たっております。今後も、事業財源の確保に努めながら、事業の重要性、緊急性等を見きわめつつ、限りある財源を有効に活用いたしまして、適時適切な予算の配分に努めてまいります。

次に、補助金の見直しについてでございます。補助金の見直しにつきましては、平成17年度及び平成18年度に小田原市補助金等検討委員会を設置いたしまして、効率的な財政運営や市民と行政の役割分担のあり方など、市民及び専門家の視点からすべての補助金を厳しく評価いたしまして、各種補助金等の検討をいただいたところでございます。検討委員会から補助金のあり方に関する考え方が示された平成17年度以降につきましては、市としては適正な補助金制度の運用に取り組んでまいりました。しかしながら、今後さらに厳しさを増していくと予想されます財政状況におきましては、健全な行財政運営を維持していくために、補助金制度について、公平性・透明性の確保を前提に、無駄はないか、役割を終えていないか等について総点検を行いますとともに、他の事務事業につきましても、限られた税財源を投入すべきものは何かという観点から、検証・見直しにしっかり取り組んでいく考えでございます。

次に、斎場整備についてでございます。本事業につきましては、小田原市斎場事務広域化協議会を構成する2市5町におきまして協議を重ねてきているとともに、協議会負担金の支払いや事務局職員の派遣を行うなど、密接に連携し取り組んでまいりました。平成27年10月には、2市5町で「現小田原市斎場に代わる新たな小田原市斎場に関する基本協定書」を締結いたしまして、これまでの協議の成果を確認するとともに、今後の事業の協力体制について定めたところでございます。これらを踏まえますと、本事業につきましては、今後も引き続き2市5町で連携し、事業を推進することができるものと考えております。

次に、ごみ処理の広域化についてであります。ごみ処理広域化につきましては、神奈川県ごみ処理広域化計画に基づき、本市と箱根町、真鶴町、湯河原町の1市3町による広域ブロックで協議会を設置し、検討を行っております。現在は、平成25年度に公表した「ごみ処理広域化の検討状況」に基づきまして、当面は、広域化を見据えながら、本市と足柄下郡の2系統でごみ処理体制を組み立てていくこととしております。来年度から着手予定の本市のごみ焼却施設の改修は、この「ごみ処理広域化の検討状況」に基づきまして、本市として整備するものでありまして、本市と足柄下郡3町それぞれで現在の施設の改良を視野に整備運営していくこととなってまいります。

次に、市立病院の建てかえに合わせた経営形態の検討についてであります。建てかえにつきましては、市立病院の医療スタッフを中心に検討を進めておりまして、現在は取りまとめを行っている段階にあります。また、総務省から「新公立病院改革ガイドライン」が示され、経営形態の見直し等の視点に立った改革を盛り込んだ「新公立病院改革プラン」の策定が求められております。このプランは、平成28年度末までに策定することとなっておりますので、その策定作業の中で検討を加えてまいりたいと考えております。

次に、市立病院の建てかえを機会に行政の広域化施策と結びつける考えはとの御質問でございます。26番加藤議員御指摘のとおり、市立病院につきましては、小田原市民のみならず、県西地域の基幹病院としての役割を担っております。広域行政につきましては、さまざまな分野で取り組んできているところでありますが、市立病院の建てかえを広域化施策に結びつけられるか否かにつきましては、県西地域の各市町の御理解をいただく必要もございますので、慎重に検討してまいる考えでございます。

次に、合併推進等に関し、直面する内政課題の解決についてのお尋ねがございました。当時直面していた内政課題といたしましては、地域の主体的なまちづくりの推進や、いわゆる三大事業の推進がございました。これまでに、福祉や防災など生活に密着した地域コミュニティによる課題解決の取り組みや、地域のあり方を自分のこととしてとらえた市民活動の多分野での展開が着実に進んでおり、「持続可能な市民自治のまち」の実現に向けた道筋は確かなものとなってきていると手ごたえを得ております。また、三大事業につきましては、芸術文化創造センターは引き続き整備の可能性を探っていく段階でございますが、小田原地下街「ハルネ小田原」やおだわら市民交流センターUMECOについては、開館以来、交流の拠点として既に機能し始めているところでございます。このようなことから、内政課題については着実に解決に向かってきていると認識しております。

次に、前期基本計画の進捗状況についてのお尋ねがございました。前期基本計画に位置づけた事業につきましては、ほぼすべての事業に着手しておりますが、大規模事業については実施年次がおくれているものもございます。いずれにいたしましても、先導的施策を初め、各施策に位置づけた事業は順調に進んでいる状況であり、直近の平成26年度分の事務事業評価におきましては、成果指標が9割以上達成している事業が全体の約70%、7割以上達成している事業まで含めますと全体の95%となっております。

次に、前期基本計画で積み残した課題についてでございます。これまでに着手してきた取り組みのうち、今後さらに取り組みの質を高め、成果としてまとめていく段階にあるものも幾つかございます。具体的に挙げればこれは多岐にわたるわけでございますが、その一つに地域コミュニティの取り組みがございまして、地域における多様な課題解決の取り組みを、その活動拠点の位置づけも含めまして、当初想定した到達モデルとして形にしていくべき段階にあると考えております。また、地域経済の活性化につきましても、交流人口の拡大に向けて、さらなる観光振興や都市セールスの充実を図るとともに、木材の活用、水産資源の活用、農業資源の再構築などが地域内の経済循環を生み、暮らしに定着していくように取り組みを進めていく必要があるといったものがございます。

次に、本市と南足柄市の協議状況によって、後期基本計画のつくり方が変わるのではないかとの御質問でございました。県西地域における中心市のあり方についての2市協議につきましては、ことしの秋ごろに協議組織を設置し、合併の選択肢を含め、1年をかけて検討してまいります。一方、後期基本計画は、平成29年度から平成34年度までの小田原市のまちづくりの方向について定めるものでございます。仮に、2市の協議の結果、合併に進むことになったとしても、その間の本市のまちづくりの方向性を示す計画として、また2市協議の前提となるものとして、後期基本計画は必要なものであり、予定どおり策定を行う考えでございます。

次に、人口減少による弊害についてであります。人口減少の進行は、労働力人口の減少や消費活動の縮小等による経済の衰退、税収の減少に伴う財政状況の悪化や地域の担い手不足等を招き、地域、経済、社会、さまざまな基盤の維持を困難にする可能性が高いものであると考えております。

次に、企業誘致へのさらなる取り組みについてでございます。昨年4月に施行いたしました企業誘致推進条例は、従来の企業立地促進条例よりも内容を拡充することはもちろん、神奈川県が推進する未病関連産業の進出等にも対応できるよう、制度の改正も行ったところであります。今後も、国における地方創生制度の動きを注視いたしますとともに、神奈川県の新たな企業立地支援策であります「セレクト神奈川100」との連携を図りながら、さらに積極的に企業誘致を進めてまいる考えでございます。

次に、ポートランドを理想とするまちとするのかとの御質問でございました。アメリカのポートランドは、全米でも常に最も住んでみたい都市に選ばれるまちでありまして、環境と経済の調和や住民自身の活力による持続可能なまちづくりが注目を集めております。私自身も平成23年に現地を訪れ、ポートランドがすばらしいまちであることを実感いたしますとともに、まちづくりの仕組み等について当時の市長や関係者からお話を伺ったところでございます。豊かな地域資源を生かし、「持続可能な市民自治のまち」の実現を目指す本市にとりまして、ポートランドは学ぶことの大変多い、目指すべき理想を体現したまちの一つであると考えております。

次に、ポートランドと比較して小田原に足りないことについての御質問がございました。ポートランドのまちには、食の地産地消のブランド化、自動車を極力使わない都市構造、古い建築の活用など、そのまちにしかない魅力にあふれており、それが持続可能な営みとなって活力を生み出し続けております。本市においては、街なか緑化などを進める都市廊政策の取り組み、農林水産分野の六次産業化、歴史と文化の資源をつなぐまちづくり、街なか朝市など、民と連携した取り組みが充実してきているところでございます。今後は、こうした取り組みが、環境と調和した暮らしや仕事のライフスタイルとして定着し、広く市内外に認識され、自分たちのまちをより豊かで楽しいものにすることへの市民のかかわりがふえていくことで、さらに多くの人が引かれる魅力的なまちになっていけるものと考えております。そういう観点からも、現在取り組んでおります総合戦略によって、さまざまな取り組みをトータルに推し進めていくことが大変重要になると考えております。

次に、総合戦略の推進における外部人材の登用についてでございます。総合戦略の推進に当たりましては、現時点で外部人材の登用は想定しておりませんが、各種施策の企画立案に携わる職員の知識や技術の向上に努め、着実に取り組んでいきたいと考えています。なお、地方創生の推進に当たり、国が推奨している地域経済分析システム(RESAS)の活用につきましては、各都道府県に対して、普及促進体制の構築も求められているところでありますため、こうした動きにも注視しつつ、国や県ともしっかりと連携して取り組んでまいる考えでございます。

次に、小児医療費助成拡充の財源についての御質問がございました。中学校1年生から中学校3年生までの通院医療費助成と就学前の所得制限撤廃に係る医療費助成には神奈川県の助成がありませんため、拡充のための財源はすべて一般財源でございます。しかし、小児医療費助成事業は、昨年策定した「小田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げている「子どもを産み育てやすい環境づくり」のための重要な事業でございますので、厳しい財政状況の中ではございますが、優先的に予算を配分したものでございます。

次に、少子化対策としては多子世帯を支援すべきではないかとの御質問でございました。国が平成27年3月に取りまとめた少子化社会対策大綱におきましても、「多子世帯への一層の配慮」は重点課題の一つとされておりまして、本市でも、来年度から多子世帯の保育料軽減に取り組むため、システム改修の補正予算を計上し、お認めをいただいたところであります。一方で、小児医療費助成の拡充のように、子育て環境を整え、子育て世帯の経済的な負担を広く軽減していくことも、少子化対策としては大変重要であると考えているものであります。

次に、認定こども園についてでございます。現在、飯田岡地内で認可外保育施設として運営している「こひつじ学園」が移行準備を進めておりまして、本年4月に認定こども園となる予定であります。

次に、幼稚園の認定こども園化についてでございます。幼稚園を3歳児以上の幼児に限定して認定こども園化する場合、ゼロ歳児から受け入れる場合と比べて施設整備のハードルは下がりますものの、児童福祉施設としての施設整備が必要となりますことから、公立幼稚園としては課題が多いものと考えております。民間の幼稚園につきましては、事業者の意向が重要でありまして、市としてこれまで認定こども園化の働きかけを行ってまいりましたが、現在のところ、動きがない状況でございます。定員に余裕のある民間幼稚園が認定こども園化することは、保育ニーズの受け皿の拡大につながりますことから、3歳児以上の幼児に限定した認定こども園化も含めまして、引き続き働きかけを行ってまいりたいと考えております。

次に、子ども会の加入状況についてでございます。子ども会の加入者数につきましては、県内各市と同様、本市でも減少傾向にございます。これは、少子化による児童数の減少とともに、子供たちの余暇の過ごし方の多様化などによる影響が大きいものと考えられます。ともあれ26番加藤議員御指摘のとおり、地域における子ども会活動の意義は大変に大きいものととらえておりまして、子ども会の加入促進については、「広報おだわら」における特集記事の掲載も含めまして、小田原市子ども会連絡協議会の関係者等とも連携しながら取り組んでいるところでございます。

次に、市営住宅の運営についてでございます。本市には、昨年11月30日に、神奈川県住宅建物取引業協会小田原支部青年部会から、市営住宅の運営を含めた公共施設・未利用地等の有効活用についての提言が提出されております。その中では、市営住宅の建物の老朽化や入居の課題などを挙げた上で、高齢者や若い世代の共存をテーマに対応する必要性や運営方法などについて、民間事業者ならではの提案をいただいております。市営住宅は公営住宅法の枠の中で運営する必要がございますが、市営住宅の運営に民間の専門知識やノウハウを活用することは有用でありますことから、民間事業者等と市営住宅のあり方について今後研究してまいりたいと考えております。

次に、競輪事業の今後についてでございます。まず、国際自転車トラック競技支援競輪でございますが、これは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定を契機として、これにつながる国際自転車トラック競技大会に出場する選手の育成・強化及びその環境整備事業を支援することを目的に新設された競輪でございます。開催する競輪場は、開催収益の2分の1を国際自転車トラック競技支援関連事業積立金に拠出することとされております。開催に当たりましては、開設記念競輪と同様に、全国の競輪場等で場外発売されますことから、本市にとりましても一定の収益確保が見込める競輪でございます。この開催は、平成27年度から平成32年度までの期間限定でございまして、年に2回ずつ、計12回予定されており、小田原競輪場では平成29年2月に開催することとなっているものでございます。

次に、競輪事業の今後のあり方についてでございます。競輪事業は、市財政への寄与に加え、安定した雇用の確保や地域経済にも貢献している事業であると認識しております。事業運営は、入場者数の減少傾向が続くなど、大変厳しい状況でございますが、売上増加策と経費削減の両面に工夫を凝らしながら、当面の収益を確保し、健全経営に努めているところであります。今後も厳しい状況が続くものと予想している中で、競輪事業につきましては、事業収支はもちろんのこと、事業実施による効果や影響、周辺のまちづくりにおける展望など、さまざまな観点から検証しながら、今後のあり方を見きわめていく必要があると考えております。

次に、史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想についてのお尋ねでございます。まず、史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想における整備の優先順位につきましては、大手の登城ルートの整備を優先しつつ、施設移転状況等も加味しながらこれまで進めてきたところでございます。基本構想の見直しにつきましては、短期・長期の計画など全体的なスケジュールの再調整や御用米曲輪での調査成果に加え、植栽や便益施設のゾーニングという新たな状況など、城郭遺構の整備にとどまらない課題や新たな視点などから、広範囲に構想を練り直す必要が生じておりますため、庁内検討組織を立ち上げ、その見直しを現在行っているところでありまして、今後もそれに基づき整備を進めていく予定でございます。

次に、城址公園における魅力の提供についての御質問でございます。本年5月には天守閣がリニューアルオープンいたしますが、展示内容を全面的に刷新し、最上階に摩利支天像の安置される空間を設けるなど、魅力が大幅に向上することとなります。昨年の秋からは、本丸広場での手裏剣体験ブースの設置、甲冑・忍者隊によるおもてなしサービス、常盤木門での武具甲冑展、銅門の無料開放などを行いまして、観光客から好評を得ているところでございます。今後も、常盤木門の展示空間整備や園内の各種サインの更新、Wi-Fi環境の整備など受け入れ環境の整備を行いまして、本市の歴史・文化観光の核施設としてさらなる魅力向上に取り組んでまいる考えでございます。

次に、石垣山一夜城の整備についてでございます。史跡指定は、その歴史的意義及び学術上の価値が高いため、文化財保護法に基づく保護のために国が行ったものであり、原則として史跡指定の解除はできないことについては御理解をいただきたいと存じます。国指定史跡石垣山につきましては、資料がほとんど残されていないため、天守の復元は困難でございますが、豊臣秀吉が動員した石垣施工の技術者集団であります穴太衆(あのうしゅう)が積んだと言われる、高度な技術による野面積みの石垣が、400年余の時を経て見事に残されており、この貴重な石垣などの遺構を顕在化し、市民や来訪者の皆さんに、より広く周知していくことによりまして、これまで以上に小田原の魅力として発信してまいりたいと考えております。

誠風・26番加藤議員御質問のうち、教育委員会所管に係る質問については、この後、教育長から御答弁申し上げます。

以上をもちまして、誠風・26番加藤議員の御質問に対する私からの答弁とさせていただきます。

◎教育長(栢沼行雄君) 誠風・26番加藤議員の代表質問のうち、教育行政に関する御質問については、私から御答弁申し上げます。

初めに、平成27年度全国学力・学習状況調査について御質問がございました。文部科学省及び神奈川県では、全国平均正答率プラスマイナス5%の範囲内は、「全国と同程度である」ととらえておりまして、この見方でいえば本市の児童・生徒の平均正答率も「全国同程度」の範囲にあります。しかしながら、26番加藤議員御指摘のとおり、小・中学校ともにすべての教科において全国平均正答率を下回っていることから、まずは全国平均を目標として取り組んでまいりたいと考えております。

次に、結果検証後の教員への指導について御質問がございました。本市の調査結果につきましては、毎年、教育委員会が分析を行っておりまして、本年度は、各教科の平均正答率以外に、全国平均と比較して「各教科の無回答率が高い」とか「家庭学習の時間が短く、ゲームやスマートフォンの時間が長い」といった課題が見られました。これらの分析をもとに、本年度から、指導主事が各中学校区ごとに学校訪問をし、教員への指導を行ったところでございます。

次に、学力向上策について御質問がございました。教育委員会では、教育研究所の共同研究事業におきまして、「全国学力・学習状況調査の活用に関する研究」に取り組み、先日、公開研究会を開催したところでございます。本研究は、調査結果を学習指導の充実・改善にどのように活用するかという研究でありまして、その研究成果を各学校で共有することにより、児童・生徒の学力向上につなげていきたいと考えております。また、各学校においても、漢字の読み書きや計算問題などの基礎的・基本的な学習、家庭学習、放課後学習の実施などの一層の充実を図るよう指導してまいりたいと考えております。

次に、体力・運動能力の向上について御質問がございました。教育委員会といたしましては、児童・生徒の学力向上も体力・運動能力向上も重要な課題であると認識しており、どちらかを優先して取り組むということではありません。本市の目指す子供の姿である「未来を拓くたくましい子ども」を育てるには、「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」をバランスよくはぐくむことが大切であるととらえております。

次に、大和市の情報について御質問がございました。大和市では、全保護者、全教職員、市民にアンケートを実施したり、2学期制検証協議会や2学期制検討プロジェクト委員会を開催したりして、2年以上議論した上で、平成27年度から3学期制に戻すことを決定したと伺っております。3学期制に戻した結果や効果等につきましては、今後伺ってまいりたいと考えております。

次に、3学期制について御質問がございました。本市におきましては、平成23年度に2学期制検討委員会を開催し、そこで保護者や児童・生徒及び全教職員を対象とした実態調査を実施いたしました。検討委員会では、2学期制導入の目的の一つである授業時数の確保ができていることや、現在2学期制に基づいて実施されている教科の学習や学校行事といった教育課程が、各学校で定着していることなどから、2学期制の継続となり、そのことを尊重しているものでございます。

以上をもって、誠風・26番加藤議員の代表質問に対する私からの御答弁とさせていただきます。

◆26番(加藤仁司君) 幾つかの項目について伺い、また答弁をいただきましたが、二つほど再質問をさせていただきます。

まず、斎場整備の部分については、市長は、今の体制で大丈夫ですということで明言をされました。それはそれでわかります。ただ、たしか昨年の施政方針の中に、ちょうどそのころに「消滅可能性都市」について報道もあり、また市長もそれについて触れられていたと思いますけれども、特にその中で神奈川県において県西のこの斎場整備にかかわる4町がその「消滅可能性都市」に名指しをされてしまった、こんな状況もあります。それぞれの自治体も、やはり人口減による歳出歳入の不均衡、これによって今までの事業については改めて考えることもあり得るのではないのかなと、そういったことで私も再三指摘しているところでありますけれども、このような状況であるということを改めて申し上げまして、これはぜひとも意見としてとらえていただき、とどめていただきたいと思います。

それでは、再質問の一つ目ですが、これは、まち・ひと・しごと創生総合戦略推進策に関連して1件ございます。ちょうどさきの総務常任委員会の中で、平成28年度には新たな機構改編が行われるということの報告がありました。そのときに私のほうで質疑をさせていただきましたけれども、先ほど来お話があります都市セールスについて、今あるセクションはそのままだということで、これはおかしいのではないのか、やはりこれからの総合戦略を推進するに当たっては、この都市セールスというのは本当に大きなところであって、これを中心に庁内を横断する組織をつくるべきではないか、こういった指摘をさせていただきました。企画部長からは、理事者のほうには、この機構の部分について、都市セールスの件については特にまだ相談していないという答弁があったのですが、この機会でありますので、市長に、この都市セールスに特化した組織、これはやはり早急に必要ではないのか、これについてのお考えを伺いたいと思います。

二つ目については、平成28年度予算を見ますと、確かにさまざまなところでの事業、大きい事業もありますし、地道な事業もありますが、そういう大きな事業から離れて、日常の市民生活、行政と市民の距離をちょっと縮める意味においての観点から再質問したいと思います。

今議論しております市の予算、これについては当然公平で公正なサービスを市民の方々は享受する、これを前提として予算化がされているところであります。また、市民・住民の日常生活を快適にするということも行政の務めであり、また議会の務めでもあると思います。そういった意味において、毎回の議会、いつも専決処分が報告されております。この専決処分はいろいろなパターンがあるのですけれども、例えば道路の陥没とか、また側溝のふたが外れたとか、そういったことで市民が傷ついたり、また車の損傷がある、このようなことも報告されているのです。市のほうも日常いろいろパトロールをずっと続けられているとは思いますけれども、常にそういったものが発見できるか否か、これは大変広いところですのですぐに見つからない、このようなことも状況としてはあろうかと思います。今、市のほうでは、そういった場所を市民の方が発見したときにはぜひ通報してくださいということで、広報等にも所管の電話番号が載っていたりしていることは十分承知しているのですけれども、全国においては、このような道路の損傷とかを発見したときには、いち早く市民が通報するシステムを構築しているところがあると伺っております。例えば相模原市では「パッ!撮るん。」、これは導入からちょうど1年たっているということで、私もホームページを見させていただきました。これは市民が持っているスマートフォンにアプリを入れて、道路が損傷しているとかという状況があったときには、それを撮影してすぐに行政のほうに映像を送るということで、行政はそれを見てすぐ行うべきかを判断し、そして必要に応じて対応している、こんな事例が載っておりました。もちろんいたずら等も多少あるということではありますけれども、この1年間、相模原市が行ったということで、ぜひともそれを見ていただければと思います。全国においては、大阪府泉佐野市や愛知県半田市、静岡県浜松市、千葉県千葉市、さまざまなところでそのようなアプリの導入をされているということも伺っておりますけれども、このような通報システムの導入を本市においても研究・検討すべきではないのかなと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。

2件でございます。

◎市長(加藤憲一君) 誠風・26番加藤議員から2点いただきました。1点目に、都市セールスに特化した組織立てをすべきではないかというお話がございました。これは、まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進に絡めてということと理解しておりますけれども、まち・ひと・しごと創生については、御承知のとおり、いわゆる経済あるいは観光といったような都市セールスに比較的イメージがつながりやすいような分野だけではもちろんなくて、子育て支援から福祉から雇用から居住政策からさまざまな面があるということで、これからの都市セールスというのは、いわゆる直接的な経済活動だけではなく、人の暮らしにまつわるあらゆる分野において小田原の魅力が発信されなければいけないということにおいて、原則論としては、各政策に携わる職員一人一人が担い手でなければならないということでございます。そういう観点でこの間もずっと意識づけをしてきておりますし、本市における広報戦略の推進に当たっては、各所管が所管単位での情報発信をやるようにということで、この間も庁内で方針を出してきたところでございます。

一方で、都市セールスについては、先般の9月議会でしたか、15番神戸議員からもお話があって、都市セールス係は非常に頑張っているということで、ここをもう少し強化したらどうか、直轄にしてはどうかという話もたしかあったと思いますが、確かにここ数年、非常に厳しい人員ではあったのですけれども、その分野に集中してやってきたことによって、少ない担当職員たちが非常にスキルアップしているということ、それで専門性が高くなっております。そのことによって、現下の課題により高いレベルで取り組めるような状況があるということも、これは間違いなくありますので、ある程度専門性を持たせたところにこういったテーマを抱かせていくということも今後必要になってくるというふうに思っています。

ですから、今二つ申し上げましたけれども、全般的には、各政策部局の担当職員それぞれが、都市セールスの観点から今取り組んでいるテーマをきちんと発信するということをやるということに加えて、今後の組織立てについては、この総合戦略の推進もありますので、きちんと都市セールスの観点から横ぐしを刺して、庁内で推進ができるような体制も検討していく必要があるということで、そういった問題意識は庁内で共有しているところでございます。

私からは以上です。

◎建設部長(柳川公利君) 道路の異常などの通報システムについて御質問がございました。私のほうから御答弁申し上げます。

道路の異常などの状況につきましては、道路パトロールや職員の通勤時における情報収集のほか、「広報おだわら」においても市民からの情報提供を呼びかけております。また、小田原郵便局や小田原駅構内タクシー組合と「道路破損等の情報提供に関する覚書」を結び、ヤマト運輸株式会社とは「地域活性化に関する包括連携協定書」の中で連携を図るなど、民間企業の協力も得ております。通報システムにつきましては、今後、既に導入している先進自治体もありますことから、その事例を参考に、利便性や効果などを研究してまいりたい、そのように考えております。

以上でございます。

◆26番(加藤仁司君) 答弁をいただきました。機構改革といいますか、機構の再編の中で都市セールスの部分のお話をしましたけれども、市長がおっしゃることは十分わかっております。今回、横ぐしというお話もありましたけれども、この総合戦略自体は、横ぐし以上に、やはり庁内全体の中で動いてもらうということが大事なことだと思いますので、さらに専門部署の研究は進めていただきたいと思います。特にここの部署だけではなくて、例えば今回質問した認定こども園、これについても実際のところ子ども青少年部と教育委員会、また障がい児云々になれば今度は福祉健康部、こういったことで一つの施策自体がさまざまな所管にまたがるといいますか関連する、そういったことというのがやはり今でも生じているわけです。特に認定こども園についても、やはり新しい取り組み、またこれからの子育て支援の中では重点施策、こういった部分については、今、窓口がそことそことここだからということでそのまま進むのではなくて、重点施策については一たん窓口を一つに絞った形で運営していく、これが大事ではないのかなと思いますので、そういったことも含めて、やはり専門部署を設けるというようなことは、これからもまた検討していただければありがたいと思います。

これからいろいろ予算特別委員会でさまざまな議論が繰り広げられると思いますけれども、それからの議論はそちらに譲ることとして、質問を終わらせていただきます。