令和4年6月定例会一般質問

2022年07月01日

◆20番(加藤仁司君) 通告に従い順次質問してまいります。

初めに、大項目の1、地域特性を生かした農産物の生産振興について伺います。

本年4月より、第6次小田原市総合計画「2030ロードマップ1.0」の計画期間がスタートし、「世界が憧れるまち“小田原”」の実現に向けた新たな取組に多くの市民が期待していることと思います。守屋市長におかれましては、既に総合計画のスタート前から、「世界が憧れるまち“小田原”」の実現に向けた様々な取組が、スピード感を持って着手されており、これらの取組を着実に進めていくことも重要であると考えております。

この観点から、総合計画の詳細施策の一つである「農業生産・流通の振興」に位置づけられている三つの主な取組のうち、「地域特性を生かした農産物の生産振興」について伺ってまいります。

質問に当たっては、日本は食料自給率が低く国内での食料調達には限界があり、ウクライナ情勢により国際市場はさらなる価格高騰の様相を呈しておりまして、食料安定供給への懸念が高まっております。食料などの海外からの輸入が将来的にさらに困難となる事態も想定し、国家の危機管理の観点から、今回の質問は、農業生産基盤の強化に向けた施策のさらなる推進を図るという趣旨があることも申し添えさせていただきます。

さて、最近、小田原の農産物は新聞やタウン誌、テレビでもよく紹介されております。今回は、イチゴの新品種「かなこまち」、「湘南潮彩レモン」、「下中たまねぎ」それぞれの生産振興についての具体的な取組について伺います。

次に、大項目の2、国指定史跡である石垣山一夜城の活用についての質問に移りますが、その前提として、今年の「北條五代 歴史と文化の祝典」について伺います。

本年5月3日に開催された「北條五代 歴史と文化の祝典」は、コロナ禍によって中止となった一昨年、北條五代祭りの冠をつけて複数の代替事業を展開した昨年の復活を期したイベントで、当日は天気にも恵まれ盛大に開催されました。私ども市議会も、氏綱公に扮した議長とともに北条氏綱隊として武者隊パレードに参加することができました。守屋市長におかれても、三の丸ホールでの式典の後、北条早雲公として市長就任以来初めて武者隊パレードに参加されたのですが、祝典及び初乗馬パレードの感想について、まず伺います。

さらに、まだまだコロナ感染者数が落ち着いていない中にあって、当日の来訪観光客数やまちのにぎわいの状況はどのようであったのか伺います。

次に、本題であります国指定史跡である石垣山一夜城の活用について伺います。

石垣山一夜城は、申し述べるまでもなく、全国制覇を狙った豊臣秀吉連合軍が、水陸15万人とも言われる大軍で小田原城を包囲し、その地に天守台ややぐらの骨組みを作って、白紙を貼ることで白壁に見せかけ、一夜のうちに周囲の樹木を伐採したことで、その光景を見た小田原城中の将兵は驚愕、士気が低下し、ついに籠城を続けていた北条氏は降伏したという歴史があります。

その歴史ある石垣山一夜城ですが、私も何度か訪れていますが、確かに当時、野面積みされた石垣、本丸、二の丸跡、淀殿の化粧井戸と言われる井戸曲輪等、400年以上前の歴史の重みを感じずにはいられません。しかしながら、秀吉の関東制覇をもたらせた小田原合戦は、我が国の歴史としても非常に価値の高い出来事だと言えるのですが、一夜城跡には建造物が一切なく、また目立たないことから、観光客の関心がいま一つ向いていないのではないかと思います。

過去、本議会においても、様々な議員が石垣山一夜城の活性化、活用を訴えて、何度か質問をいたしております。石垣山一夜城を取り巻く環境もいろいろと変化してきた経緯から、このたび改めて質問する次第であります。

初めに、石垣山一夜城が国指定史跡となった経緯について伺います。

次に、国指定史跡に指定されたことによって、整備事業等、何らかの制約はあるのか伺います。

続いて、国指定史跡に指定されて今日に至るまでの整備状況及び財源について伺います。

次に、今後の石垣山一夜城の活用について伺ってまいります。

初めに、石垣山一夜城の今後の整備予定事業はあるのか伺います。

そして、さきにも申し述べたとおり、私も何度か質問をしていますが、国の史跡指定は解除できる可能性はあるのか伺います。

以前質問いたしました際、解除は難しいという答弁をいただいておりますが、なぜ難しいのか、解除した場合にはどのような支障があるのかも併せて伺います。

大項目2の最後の質問は、石垣山一夜城の新たな活用策についてです。

現在、10月には石垣山一夜城まつりが開催され、私も参加したこともありますが、野点や和太鼓演奏、甲冑隊のパフォーマンス等、来訪者を楽しませるイベントが開催されています。小田原城天守閣の来場者も、祭りのある日に限らず、長期にわたる歴史ブームを反映してか一年中とても多くの方々が来場されていることから、石垣山一夜城も一年を通じての来訪者を招き入れる方策も必要かと存じます。

そこで、石垣山一夜城の新たな活用策についてのお考えを伺います。

最後に、大項目の3、映画「二宮金次郎」について伺います。

二宮金次郎の偉業については、あえて申し上げる必要もありませんが、日本各地で荒れ果てた農村の復興を成し遂げたその地域の方々にとっては、まさに命の恩人であります。その二宮金次郎のゆかりの市町村が「全国報徳研究市町村協議会」を設立し、年1回、その年の会長自治体において総会と全国報徳サミットを開催し、各自治体の取組についての意見交換を行ってまいりました。私も何度か全国報徳サミットにも参加させていただきましたが、その中で二宮尊徳翁の大河ドラマ化がいつしか参加者の目標に掲げられ、会場も大いに盛り上がったこともありました。そんなさなか、二宮金次郎の映画化の話が飛び込んできました。メガホンをとった五十嵐匠監督もイベント会場に来られ、二宮金次郎ゆかりの自治体の方々にも挨拶され、映画の成功を一緒に祈念したことも昨日のことのようであります。

映画完成後、本市でも全国に先駆けて先行上映され、多くの方々が感動したとの感想を漏らしたと伺っています。多くの市民、いや国民がぜひとも鑑賞してもらいたい映画なのでありますが、全国ロードショーとなったわけでもなく、DVDがネットストア等で販売されているわけでもなく、レンタルしたくてもレンタルショップのリストにも掲載されていないことから、製作された作品が今どうなっているのか、二宮金次郎生誕の本市にとっては映画を活用するすべはないのか伺いたく、質問してまいります。

初めに、映画「二宮金次郎」の本市における上映会での評判や反応はいかがだったのか。

また、本市のみならず、ゆかりの自治体でも上映会が行われたとも伺っていますが、その状況はいかがだったのか伺います。

また、現在、映画は先にも述べたようにDVDとして手に入らないようですが、ネット配信の可能性はあるのか伺います。

次に、活用策について伺います。

全国報徳研究市町村協議会が開催する「報徳サミット」では、ゆかりの各自治体の方々が出席されていると申し上げました。金次郎の映画が撮影中との情報の中で、各教育長も「児童生徒たちにもぜひ鑑賞させたい」と申していたと記憶しております。

そこで、本市だけではなく、全国の小学校に教材として映画のDVDが配付される可能性はあるのか伺います。

また、市長におかれましては、この映画をどのように活用されるのが望ましいのかお伺いいたしまして、登壇しての質問を終わります。

 

◎市長(守屋輝彦君) 20番加藤議員の御質問に順次お答えをしてまいります。

初めに、地域特性を生かした農産物の生産振興について、まず「かなこまち」の生産振興についての御質問でございます。「かなこまち」は神奈川県農業技術センターが開発した県オリジナルの品種であり、令和3年12月の初出荷の際には、青果市場にて小田原いちばやさいブランド仲間入りのお披露目式を行いました。令和4年2月には朝ドレファ~ミで試食・即売会を開催し、96%の方から「おいしい」と評価をいただき、約30分で完売いたしました。また、5月には、農事組合法人小田原アイス工房が新商品「かなこまちジェラート」を開発し、「オダワラデイキャンプ2022~オープンマルシェ~」で販売したところ、約1時間で完売いたしました。このように、初出荷時から積極的にPRを行うなど、生産振興を図っております。

次に、「湘南潮彩レモン」の生産振興についての御質問でございます。本市では、キリンホールディングス株式会社と包括連携協定を締結しており、それに基づく取組の一環として、グループ会社のキリンビール株式会社とともに、JAかながわ西湘の協力の下、小田原駅前東通り商店街の13店舗にて、「キリン氷結+湘南潮彩レモン」を期間限定で提供いたしました。また、山崎製パン株式会社が、湘南潮彩レモンを使用した「レモンのパン」と「三角パイ」を期間限定で発売しております。レモンは加工品として様々な活用が期待できるものであり、生産振興のため、公民連携で商品化に取り組んでいるところでございます。

次に、「下中たまねぎ」の生産振興について質問がございました。JAかながわ西湘小田原オーナー園部会及び姉妹都市の東京都八王子市と連携した取組といたしまして、令和3年6月に、八王子市役所の食堂で、刻みタマネギが特徴の八王子ラーメンに下中たまねぎを使用し、期間限定で提供いたしました。また、令和4年7月には、八王子市の小・中学校の給食で、下中たまねぎを使用したメニューの提供を予定しております。さらに、オーナー制度による農業体験を通じ、都市住民への下中たまねぎの認知度向上を図ってまいりました。このように、様々な切り口から消費拡大を推進することで、下中たまねぎの生産振興を図っております。

次に、石垣山一夜城の活用の御質問がございました。まず、「北條五代 歴史と文化の祝典」に参加した感想についての質問でございます。例年の北條五代祭りに比べ規模は縮小されましたが、小田原のゴールデンウイークの風物詩である武者隊が街なかを練り歩く姿が小田原に戻ったことを、素直にうれしく感じました。私自身初めて騎乗いたしましたが、マスクの上からでも分かる皆様の楽しそうな笑顔を見たとき、大規模イベントを工夫して開催する難しさを乗り越え、実施できたことに安堵の気持ちを覚えました。そして、このようなイベントが人々の心の活力の一つとなることを改めて感じることができました。

次に、「北條五代 歴史と文化の祝典」の観光客数やにぎわいの状況について質問がございました。本イベントにつきましては、新型コロナウイルス感染症対策といたしまして、広報を近隣市町のみにとどめるなどの対応をしていた中にあっても、観客数は13万5000人となり、お堀端通りを中心に小田原駅周辺の人通りは、ゴールデンウイークの行楽客と相まって、かなりのにぎわいであったとの報告を受けております。また、地域の事業者からも、久しぶりの大型イベントでお客様が戻ってきていることを実感したと伺っており、祝典の開催が地域におけるにぎわいの回復に寄与したものと感じております。

次に、史跡石垣山が国指定史跡となった経緯について質問がございました。史跡石垣山につきましては、豊臣秀吉が天正18年の小田原合戦の際にて築城した、桃山時代の初期の石垣の城で、当時の遺構が残されている貴重な遺跡として古くから評価されておりました。このため、その価値の高揚と遺跡の保存を目的とし、土地所有者の承諾を得た上で、小田原市教育委員会が昭和34年3月に国に申請し、同年5月13日付で国の史跡に指定されたものでございます。

次に、国指定史跡に指定されることによる整備等への制約について質問がございました。国指定史跡は、我が国の歴史にとって欠くことのできない遺跡が指定を受けるもので、その価値を明らかにし高めていくために、保存と活用を図ることが求められております。そのためには、史跡としての価値を損なうことなく後世に伝えていくことが重要であり、文化財保護法により、現状変更を行う際には文化庁長官の許可が必要とされ、土地の掘削、建物の建設、樹木の伐採などについては、史跡保護のために強い制約が課せられております。

次に、これまでの整備状況と財源について質問がございました。史跡石垣山の土地は、明治時代以降、個人が所有しておりましたが、土地所有者の申出があり、昭和62年度に国・県の補助を得て本市が購入し、平成元年度に、園路やトイレを併設したあずまやなどを整備し、現在の姿となっております。近年は、遺構の保全と安全確保を図るため、石垣の保全対策工事を、国・県の補助金を得ながら実施するとともに、通常の維持管理につきましては、一般財源で実施しております。

次に、今後の整備予定事業について質問がございました。史跡石垣山は、石垣や城の構えなど、肥前名護屋城とともに、豊臣秀吉が築城した当時の状況が残されているところに、他の城には見られない価値があると評価されております。しかしながら、時間の経過や度重なる地震などにより、石垣が崩落する可能性がある箇所が目立つようになってきております。当面は、来場者の安全確保のため、石垣の保全対策事業を進めていきたいと考えております。

次に、史跡指定解除の可能性等について質問がございました。史跡の指定解除につきましては、文化財保護法第112条に定められております。解除の要件につきましては、新たな調査等により事実や価値の認識が変化しその価値を失った場合や、自然災害など不可抗力的な事由等による損壊が起きた場合などが挙げられております。現状では、史跡石垣山がその歴史的価値を失うなど、文化財保護法第112条に定められる指定解除の要件に当てはまらないものと考えております。

次に、史跡石垣山の新たな活用策について質問がございました。週末には年間を通じて観光回遊バス「うめまる号」が石垣山を巡るようになり、以前にも増して多くの観光客が訪れるようになっております。これまでも、説明看板の設置やパンフレットの配布、一夜城まつりの開催、石垣山を経由する早川・片浦ウォーキングトレイルの整備など、整備・活用に努めてまいりましたが、これらの充実を図り、史跡石垣山の魅力や価値をこれまで以上に広く発信していきたいと考えております。

次に、映画「二宮金次郎」についての質問がございました。まず、本市における上映会の評判や反応についての御質問でございます。本市では、市民会館での試写会、尊徳記念館での小・中学生と保護者向けの上映会、小田原映画祭における小田原城銅門での上映会、ミナカ小田原での上映会など、令和4年5月までに延べ54回上映され、1万1971名が来場しております。「このような人が小田原にいることを知り、誇りに思った」、「これからの私にも生かしていくことがたくさんあった」などの感想が寄せられ、この映画が好評で、人々の心を揺さぶることのできる有意義かつ感動的な作品であるとの認識を持っております。

次に、二宮金次郎ゆかりの自治体における上映会での状況について質問がございました。二宮金次郎ゆかりの全国報徳研究市町村協議会に加入している17市町村のうち、本市以外では秦野市、栃木県日光市、静岡県掛川市、茨城県筑西市など9市町が上映会を開催しております。静岡県掛川市では「農村復興、桜町仕法のこと、一円融合に開眼するところなどが感動的だった」、茨城県筑西市では「一人一人がお互いに思いやり、協力し合うことの大切さを学ぶことができた」などの感想が寄せられ、大変好評だったと伺っております。

次に、映画「二宮金次郎」のネット配信への可能性について質問がございました。映画の著作権は、映画「二宮金次郎」製作委員会が有しており、ネット配信の判断も同製作委員会が行うことになります。同製作委員会といたしましては、現時点ではネット配信の計画はなく、まずはコロナ禍で開催が見送られていた各地の上映会を、順次再開していく予定であると伺っております。

次に、全国の小学校へ、教材としての映画のDVDが配付される可能性はあるのかとの御質問がございました。映画のDVDが配付された全国の事例といたしましては、映画「二宮金次郎」の製作に協力した全国報徳研究市町村協議会加入自治体の栃木県日光市において、市内の小・中学校へDVDを配付したとのことであります。このほか、秦野市、静岡県掛川市、栃木県真岡市では、小学校配付分はないものの、各自治体保管のDVDを用いた自前の上映会や、市内の団体への貸出し等により、小学生を含め多くの方々に、映画「二宮金次郎」を見る機会を設けているとのことで、小学校での教材としての活用が、さらに広がる可能性があるものと考えております。

次に、映画「二宮金次郎」をどのように活用するのかとの御質問がございました。映画「二宮金次郎」は、二宮尊徳の生涯と事績、教えを知ってもらうための入り口として、大変有効な作品であると考えております。尊徳の教えである「一円融合」をはじめ、「至誠」、「勤労」、「分度」、「推譲」などは、現代においても非常に有用であり、これらを学ぶことによって、人生に役立てることができるものと考えております。この映画をきっかけに、二宮尊徳の事績とその教えを知り、理解を深めることで、これからのまちづくり、人づくりに取り組むなど、様々な活動が市内外に広がっていくことを期待しております。

以上をもちまして、20番加藤議員の御質問に対しての答弁といたします。

 

◆20番(加藤仁司君) 一定の御答弁をいただきましたので、順次、質問項目順に再質問をいたします。

初めに、地域特性を生かした農産物の生産振興についてですが、それぞれの農産物の具体的な取組をお示しいただいたわけであります。まず、「かなこまち」ですが、今答弁いただきましたとおり、昨年、小田原いちばやさいブランドの仲間入りを果たしたということでありまして、これからの伸展に大いに期待をするものであります。また、先ほど、答弁の中にありました、マルシェがあったのですが、これをちょうど、「北條五代 歴史と文化の祝典」の際、二の丸広場で開催されたと思いますけれども、これは登壇でも申し上げましたとおり、私どもは武者パレードに参加をしていたということもありまして、そのジェラートを食すことができませんでした。大変悔しい思いなのでありますけれども、この「かなこまち」は、聞くところによりますと生産農家もまだまだ少ないと伺っています。「かなこまち」のブランド化の強化に向けた今後の取組について、再質問させていただきます。

 

◎経済部長(武井好博君) 「かなこまち」のブランド化に向けた今後の取組について御質問がございました。本市には、湘南ゴールドや梅、レモン、キウイフルーツ、タマネギ等の特産物があり、生産や販売を支援することでブランド化に努めてきたところでございます。約30年ぶりとなる神奈川県のイチゴの新品種「かなこまち」につきましては、本市では、ブランド化に向けスタートを切ったところでございまして、今後もスピード感を持って生産や販売を支援し、ブランド化に取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。

 

◆20番(加藤仁司君) ぜひとも、生産者の育成、そしてまた販売についての支援をお願い申し上げまして、次の質問になります。

「湘南潮彩レモン」ですが、今御答弁にありましたキリン氷結とのコラボ商品が提供されている。この情報は市のホームページでも御紹介されていましたので、私も拝見いたしました。また、期間限定ということでもありまして、私もアルコールが弱いので飲んでいないのですが、機会があればぜひとも飲みたいと思っているところであります。御答弁いただきましたように、レモンは確かにそのものを食べるよりも加工割合が高いというものであります。ドリンクとともに今紹介にありましたレモンのパン、また三角パイと併せまして、今後どのような展開をされるのか伺います。

 

◎経済部長(武井好博君) 「湘南潮彩レモン」の今後の展開についてというふうな御質問でございました。「キリン氷結+湘南潮彩レモン」は、御当地ドリンクとして定着することで、鳥獣被害を受けにくいレモンの栽培が進み、耕作放棄地の解消や地産地消の推進も期待され、農業振興につながる取組であると考えております。今後、認知度を高めることで、農業振興が図られ、地域経済の活性化にもつながるよう、キリンビール株式会社とJAかながわ西湘との連携をさらに深めながら、提供店舗を増やす等の取組を進めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

◆20番(加藤仁司君) 続いて、「下中たまねぎ」について伺いますが、先ほどの二つの農産物を食していないというお話をしました。下中たまねぎについては、これはもちろん、私の地元でもございますので子供の頃から食しておりまして、近年何かと話題となっていることに地元の人間としても大変驚いております。登壇しても述べましたとおりに、テレビでも取り上げられましたことで、地元でもそのような話で持ち切りであります。

先日は、今話のありました東京都八王子市に行きまして、市役所で八王子ラーメンを食してまいりました。そのラーメンに入っていた刻みタマネギは、先ほどの話のように期間限定なので、御当地の下中たまねぎではなかったわけなのですけれども、いろいろタマネギのトッピングが可能であったり、なかなか向こうも趣向を凝らしておりまして、答弁でもありました給食への提供も含めまして、これからも姉妹都市交流に下中たまねぎがもっと役立っていただきたいなと、このように思うものであります。

しかしながら、このところ生産現場では大変大きな課題に直面しております。今年のタマネギはすこぶる生育状況が芳しくなく、相当量が枯れてしまっている状況のようであります。地元の農家の方の話では、小菌核病という病気が発生しているようで、対策としては早めの防除が必要で、農薬を散布してから土壌をシートで覆うことが求められているということでありますが、それにはかなりのコスト、また大きな労力が必要だと伺っております。この小菌核病はカビが病原菌だそうで、胞子が飛んで病気が広がるという大変厄介な病気です。この病気にかかっている畑、これはまだ局地的ではありまして地域全体には広がっているわけではないのですけれども、早急な対策が求められているところです。

そこで、小菌核病の対策についての本市の考えを伺います。

 

◎経済部長(武井好博君) 下中たまねぎの小菌核病対策について御質問がございました。本市では、神奈川県とJAかながわ西湘とともに現地を調査いたしまして、局地的に小菌核病による被害が発生していることを確認しているところでございます。対策でございますが、20番加藤議員御指摘のとおり、発生が認められた場合には、速やかな農薬散布等が必要あり、さらに、病原菌が他の圃場に拡大しないよう努めなければならないところでございます。そのため、県やJAと連携し、被害発生と防除についての情報収集に努め、早期の農薬散布を働きかける等の対策に努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

 

◆20番(加藤仁司君) 対策については、ぜひとも早急なる対応をよろしくお願いしたいと思います。

今回、総合計画における施策の一つであります「地域特性を生かした農産物の生産振興」について伺ってまいりました。さきにも申し上げましたとおり、食料自給率を目指した食料の安定供給には、農業生産基盤の強化に向けた施策が大変大事である。今伺ってきました様々な市の取組によりまして、農家のやる気を喚起させ、そしてそのことが食料の安定供給に必ずや寄与するものと確信をしているところであります。どうか引き続き、地域特性を生かした農産物のブランド化の強化を図っていただきますようお願い申し上げまして、大項目の1を終わります。

続いて、国指定史跡である石垣山一夜城の活用について再質問してまいります。

一つ目の、「北條五代 歴史と文化の祝典」について市長の感想ということで、これについては分かりました。ぜひとも、来年はコロナ禍の影響がない中で実施されることを望んで、これについてはこれ以上の質問はいたしませんので、次に移らせていただきます。

二つ目の、石垣山一夜城の国指定史跡の経緯、整備についてでありますが、経緯のほうはよく分かりました。登壇しての質問でも申し上げましたけれども、これまで石垣山一夜城が国指定史跡であることは、これは当たり前でありまして、それを前提としての方策についていつも論じてきておりました。ここで改めて、国指定史跡であり続けるメリット及びデメリットについて伺いたいと思います。

 

◎文化部長(鈴木裕一君) 石垣山一夜城につきしまて、国指定史跡であるメリット・デメリットについてのお尋ねでございます。国指定史跡であるメリットにつきましては、石垣山が日本の歴史にとって欠くことのできない史跡であることが法的に位置づけられることにより、史跡の価値やその評価が広く知れわたることであります。加えて、その保存と活用に当たりましては、国・県などから、計画の策定や整備事業に対して支援を受けられることであります。その一方で、史跡石垣山の活用に当たり、遺構を保護するため、土地の掘削や建物の建設などに対し、一定の制限が加えられることになります。

以上でございます。

 

◆20番(加藤仁司君) それなりにメリットがあるということは分かりました。今いただきました答弁を基に、今後の石垣山一夜城の活用について再質問をさせていただきます。

今後の活用については、今御答弁をいただきまして、これからの事業等は理解をいたしました。しかしながら、基本的には従来と同様のイベントが開催されるということでありまして、それ以上の発想というのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、以前申し上げた私の考えについて、ここで改めて披露させていただきます。

長崎県南島原市にあります原城跡は、平成30年に世界文化遺産に登録された、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産であります。その原城跡では、今年は中止したようでありますけれども、毎年、原城一揆まつりが行われまして、高さ15メートルのベニヤ板張りの夢一夜城が築かれ、幻の夢一夜城はなかなか見応えがあると記したブログもありました。さらに、福岡県嘉麻市の益富城址には、やはり豊臣秀吉が九州平定の際、一夜城作戦を敢行し、秋月氏を降伏に追い込んだいわれから、原城と同様にベニヤ張りの一夜城を作って、一夜城まつりが開かれるとも伺っております。

そこで、本市の石垣山一夜城天守台跡にこのような構造物の設置は可能か否かお伺いいたします。

 

◎文化部長(鈴木裕一君) 史跡石垣山に、例えばベニヤ張りの一夜城を設置することは可能かとのお尋ねでございます。史跡内にベニヤ張りの一夜城を設置する場合には、文化財保護法に基づく現状変更の手続が必要であり、自然公園法などその他の法令に基づく手続も必要となります。史跡石垣山は、礎石が露出しているため、貴重な遺構を傷めないという条件を満たすことが、相当困難ではありますが、現状変更の許可が下り、さらにその他の法令に基づく手続に支障がなければ、設置できないことはないものと考えております。

以上でございます。

 

◆20番(加藤仁司君) 今御答弁をいただいた中では、指定の解除、別にこれはしなくても、一定の基準をクリアすれば構築は可能、だけれどそのクリアする条件というのはかなり厳しいという御答弁をいただきました。これは分かりました。

そこで、先ほども少し申し上げましたけれど、この天守台跡、ここは石垣山一夜城を上りますと天守台跡というのが表示されているわけでありますけれども、この天守台跡に構造物を構築するといったときには、どのような手続が必要なのか、それについて伺います。

 

◎文化部長(鈴木裕一君) 天守台跡に建造物を構築するための手続についてのお尋ねでございます。史跡内に仮設とはいえ建造物を設置する場合には、文化財保護法に基づき、県や文化庁とも十分な協議を行い、最終的に文化庁長官から現状変更の許可を得なければなりません。また、富士箱根伊豆国立公園内に位置することから、自然公園法に基づき、十分な協議を行った上で、環境省に「国立公園事業の内容の変更の同意申請書」を提出する必要があります。さらに、設置する物の大きさ等により、建築基準法や小田原市屋外広告物条例など関係法令に基づく手続を行っていく必要があります。

以上でございます。

 

◆20番(加藤仁司君) 様々な省庁も含めて厳しさは分かりました。ただ、今、建造物構築という話がありましたけれど、さきにもほかの市の構造物の話をしましたように、決して、常設のものをそこに建てるという発想は、私はしておりません。先ほど紹介した二つのところのように、イベントの一つとしてその時期に構築することはどうかなと思っているところであります。現在、城に関わるイベント、これは本当に数多くあるのですけれども、例えば北條五代祭り、今年は名前が変わりましたけれども、いつもの北條五代祭り、また一夜城まつりのときに、これを一時的に構築ということは可能なのかどうか、改めて伺います。

 

◎文化部長(鈴木裕一君) 北條五代祭りや一夜城まつりなどの際に、期間を限り仮設で建てることについての可能性のお尋ねでございます。繰り返しになりますが、こうした仮設の建造物の設置につきましては、文化財保護法、自然公園法、建築基準法など様々な関係法令に基づく手続を行い、最終的に文化庁長官から現状変更の許可を得る必要がございます。平成2年に小田原城野外彫刻展が開催された際には、史跡小田原城跡において、堀の中などに20点の野外彫刻が展示されたことがございますが、貴重な遺構を傷めない確実な設置方法が取られ、かつ、短期間であれば史跡内での設置の可能性はあるものと考えております。

以上でございます。

◆20番(加藤仁司君) 確かに、天守台跡をはじめ国指定史跡の中にあるものについての、様々な現状変更をするというところには困難があることは分かりました。ただ、あくまでも指定を解除しなくても場合によっては、様々なものをクリアすれば、そこに一時的であっても構造物ができる可能性があるということが分かったわけであります。ぜひとも、そういったところをこれからも進めてもらいたいなと思うところであります。

一方で、今、小田原城の木造化に向けて活動されているという団体があると伺っています。市長も御承知のことだと思いますけれども、これは、コンクリート製のお城よりも本来の木造のお城にしたいという気持ちは、当然理解できるところでありますけれども、先ほど来申し上げましたように、一つの市に二つの城がそのときに存在したということは本当に貴重なことではないかと思います。先ほど紹介をいたしました一夜城作戦によりまして包囲されました城、すなわち小田原城と、それを包囲して築城した石垣山一夜城と、この二つのお城が同時に現代、令和の時代に見るということができれば、またそれはいろいろなロマンに駆り立てられるのではないかなと思いますので、ぜひともこれは実現したいなと思うところであります。

そのような思いを持ちながら、この小田原市に2城が存在したと、この珍しさを強調させるためには、従来も多少の整備はしておりますけれども、石垣山一夜城の整備、これにもっと力を入れるべきだと思いますが、市長の御所見を伺いたいと思います。

 

◎市長(守屋輝彦君) 今、様々な観点から史跡石垣山の整備についての御質問をいただいたところでございます。改めてでございますけれども、本市には、史跡小田原城跡と史跡石垣山、二つの国指定史跡の城があるということ、これは本当に日本の中でも希有な例だと受け止めておりますし、両方あるからこそ、なおさら本市にとっての大変貴重な歴史資源であるということは、これは観光の資源であると言い換えてもよろしいのかなと思っております。この400年以上にわたり城として使用され続けてまいりました史跡小田原城跡と、豊臣秀吉が全国を平定するために築城し、戦国時代終焉の舞台となった史跡石垣山には、それぞれの魅力があるというふうに十分認識しているとろこでございます。様々な史跡、もちろんこれはしっかりとした調査をしていく、そしてその保存をしていくということ、そしてそれを後世に伝えていくということはとても大切なことです。ただ、後世に伝えていくといったときに、人々の関心がないと果たしてそれは伝わっていくのか、いやそうではなくて、いろいろな方が関心を持っていただくということが、しっかりとこれを後世に伝えていくことに必要だと私は考えております。そういった意味では、今、20番加藤議員から様々な御意見をいただいたことも、一つの方策ではあるのだろうというふうに伺っていたところでございます。こういったことを踏まえて、さらにこれらの二つの史跡を、やはり観光資源として活用していきたいというふうにも考えているところでございますが、そのためは、しっかりとした調査と計画ということが必要になってまいりますので、まずは、保存活用計画の策定に向けた準備作業を進めていきたいと考えているところでこざいます。

以上でございます。

◆20番(加藤仁司君) 市長の思いは分かりました。確かに保存活用ということ、まず第一に考えるということは、もう十分、分かっているところであります。

私が、どんどん行き過ぎた発想をしてしまうのかもしれないのですけれども、先ほど来申し上げているように、ある程度の条件がクリアすれば、一時的であっても、俗に言う張りぼてに近いような形で一夜城の再現ということができるかもしれない。こういう前提に立ちながらお話をさせてもらうと、例えばこれは、ただ単に機械的にそこにベニヤで、足場を組んで作るというわけではなくて、たしかこれも長崎でやっていたのかもしれません。いろいろな一夜場を、例えば高さ15メートル以内だとかという基準を設けて、全国に応募をかけると。小田原にはもちろん工業高校もありますので、その辺の生徒たちも参加してもいいかと思うのですれども、いろいろな老若男女が様々な一夜城を作ってみて、それをコンテストにかけて、優勝者は例えばお祭りのときに一時的にそういったお城を作って、観光客に見てもらう、また、作った人のほうもいろいろな満足度が上がるのではないかな、そのようなことを勝手にこちらが想像しております。

今、市長から御答弁がありましたように、これからも石垣山一夜城の活用、これはぜひとも、またさらに取り組んでいただきたいなと思いまして、最後の映画「二宮金次郎」についての再質問に移ります。

御答弁いただきました。今、著作権を持っている製作委員会、こちらがやはりコロナ禍の影響でなかなか上映会が全部できなかったので、それが終えてからの話ということはもう理解をしているところであります。ただ、登壇しての質問でもありましたけれども、報徳サミットのときに、本当に二宮尊徳翁ゆかりの自治体の皆さん方、首長そしてまた教育長、また議長、皆さんが本当に大いに期待をして、待ちに待った作品ができた、大喜びをしたということもあります。ぜひとも、児童生徒の多くの方々にこの作品を見ていただきたいと思うわけ

なのですけれども、先週はたしか、4番角田議員のほうで小学校4年生に二宮金次郎の副読本があるというお話もありました。映画「二宮金次郎」においても、やはり児童生徒の心にも響く作品ということで、副読本と同じような扱いとして皆さんに見てもらいたいと思うわけであります。さきにも述べたこの製作委員会の上映会、これが終了した後には、ぜひともこれは我が小田原だけではなくて、やはり日本全国、一時的には日本全国の学校に二宮金次郎像があったわけですから、これは国が動いていただいて、児童生徒に、本当に個人に、例えばDVDなりを頒布してもらうというようなことを私は望むわけなのですけれども、やはりこれは文部科学省の考え方いかんだと思うわけであります。文部科学省について市長は働きかけをしていただけるのかどうか、それを伺わさせていただきます。

 

◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。

映画「二宮金次郎」を私は何度も拝見をいたしました。見るたびに新しい気づきがあって、いろいろな人に広く鑑賞していただきたい。また、その鑑賞を通じて、二宮尊徳翁の事績に触れていただきたいなと改めて感じているところでございます。本当にすばらしい作品ができたなと。製作委員会の方のお話をお伺いしたときに、先ほど御質問にもありましたように、これは全国のロードショーで上映するのではなくて、いろいろな鑑賞の機会の設け方についても工夫をしていきたいということを伺いました。そして、そのことを通じて100年残る映画にしたいのだという、そのコンセプトに私も大変感銘を受けたわけです。一気にわーと上映会をやって、またすぐしぼんでしまうよりも、人づてにどんどんどんどんそういう輪が広がっていく、まさに100年残る映画ということを、あの映画を見るたびに私も改めてそれを痛感しているところでございますので、そのような思いも含めて、やはりこの二宮尊徳翁を顕彰する団体である全国報徳サミット、それから郷土の偉人を顕彰する嚶鳴フォーラム、こういったところにも本市は加盟して、いろいろ交流もしているところでございますので、こういった機関とも連携をしながら、今御質問にもありましたように国などに対して、この映画「二宮金次郎」をしっかりとPRして、二宮尊徳翁の生涯と事績、その教えが広く伝わるように働きかけていきたいと考えております。

以上です。

◆20番(加藤仁司君) 御答弁いただきました。

市長も何度も見られたということで、私も何度も見たいのですけれども、手元にDVDとかまたネット配信がないものですから、何度も見られないのです。小田原は54回上映したということで、54回足を運べば見られたのかもしれないのですけれども、それは無理でありました。私も、好きな映画とかドラマなどもDVDとかに保存して、それこそ擦り切れるまで見るようなものもあります。映画「二宮金次郎」は本当にそういうふうな作品だと思っていますので、とにかくこの小田原では一家に1枚「二宮金次郎」のDVDがあるとかいうぐらいになってほしいなと思います。ただ、それは製作委員会の事情もありますので、ぜひとも、その上映会が終わりましたら、先ほど市長から御答弁いただいたように文部科学省のほうに働きかけをいただくとか、また、本市においてはどのような形でこのDVDを紹介するか、DVDとは言いませんけれども、映画を紹介するか、様々な方策を取っていただければと思います。

いずれにしても、いつでも、どこでも、どのような環境でも映画「二宮金次郎」を見ることができる、そういう環境に小田原があるという状況にぜひともしていただくことを願いまして、質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。(拍手)